白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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堀本満成-仲邑菫

2020年03月07日 18時06分57秒 | 幽玄の間

<本日の一言>
本日、奨励会の三段リーグ最終日が行われました。
結果は14勝4敗で3人並びましたが、順位の差で服部慎一郎三段(20)と谷合廣紀三段(26)が四段昇段、西山朋佳三段(24)は次点に泣くことになりました。
将棋界では女流初の「棋士」誕生の可能性があり、実現すれば姉が囲碁棋士(静桂初段)
ということもあって面白いことになりそうでしたが、また次回に期待したいと思います。

ところで、谷合新四段は東大工学部卒→東大院修士課程に在籍中という高学歴で、統計解析の本も出しているとか・・・。
一体どんな頭の構造をしているのでしょうか?


皆様こんばんは。
本日は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継された、名人戦予選の堀本満成四段(30)-仲邑菫初段(11)戦をご紹介します。

堀本四段は東京本院の棋士でしたが、2018年12月に関西総本部に移籍しました。
地元の山口県に戻って活動しているようです。
非公式の日本棋士レーティングでは大体100位ぐらいのようで、仲邑初段にとってかなりの強敵です。

一方の仲邑初段は、3月2日で11歳になりました。
成長期を迎えているようで、身長が1年で10センチぐらい伸びたそうです。
もう1、2年経つと、見た目の印象も大きく変わっていそうですね。

さて、それでは対局の模様を振り返っていきましょう。

1図(実戦)
堀本四段の黒番です。
白1から外回りに石をもっていき、白11、13とゆったり補強しました。
そして、先手を取って白15の大場に回っています。
仲邑初段らしい堂々とした打ち回しですね。
白11ではAと潜り込むようなセコい(?)打ち方もあるかもしれませんが、それは仲邑初段の流儀ではないでしょう。


2図(実戦)
白1と大きく構えたのも、いかにも仲邑初段らしい手ですね。
私などは上辺に侵入されるのが怖いので、白Aぐらいに守りそうです。
しかし、仲邑初段はむしろ打ち込みを誘い、厳しく攻めるタイプなのですね。

ただ、黒4に対する白5~9は、仲邑初段らしからぬ筋の悪い対応だったのではないでしょうか。
隅の黒を固めたうえ、B、C、Dなどの嫌みが残っています。
白5ではBと下がるのが筋の良い手で、それで白が打ちやすい碁だったでしょう。



3図(実戦)
黒1に対する白2以下の打ち方も、らしくないと感じました。
白×のお荷物を抱え、右側も黒Aなどの狙いが残って薄くなっています。
白2では白Bなど、堂々と構えておくのが仲邑初段の碁ではないかと思うのですが・・・。

私の想像ですが、仲邑初段に焦りがあったのではないでしょうか。
上辺で失敗したので、頑張らなければと・・・。
悪手が悪手を呼ぶとはよく言われることですが、仲邑初段が崩れるときはそのパターンが多い気がします。
この後の上辺黒への攻め方も一本調子になってしまった印象がありました。



4図(実戦)
黒1~5は上手い手順でしたね。
先手で白を切り離したことで、黒7、9のポン抜きが成立してしまいました。
この後白Aと切るのは、黒Bと反撃されて逆に白が取られます。
こうなっては、白の勝ち目は薄くなってしまいました。
ちなみに、左上隅の形はこの問題と似ていますが、やはり取られている黒の周りに生じている利き筋がポイントですね。


本局は仲邑初段の完敗でした。
引きずらず、気持ちを切り替えて頑張って欲しいですね。



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