白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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格好良い手

2018年04月19日 23時28分36秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
修羅場も今週末で終わりです。
なんとか生還したいと思います。

さて、木曜日は日本棋院棋士の対局日です。
幽玄の間でも多くの対局が中継されました。
しかし、まだほとんど目を通せていないので、今回は一瞬目に入った中国の対局の一場面をご紹介しましょう。
楊鼎新六段(黒)と柁嘉熹九段の対局です。



1図(テーマ図)
白番です。
Aの切りがありますが、すぐ切ってもさほど利益が上がりそうにありません。
そこで、柁九段の選択は・・・。





2図(実戦)
白1、3のツケ連発!
格好良いですねぇ。
この一連、プロは見た瞬間になるほどと思えます。

ただ、相手も狙いを回避してしまうので、進行だけ見ても平均的棋力の方には意味が分かり難いでしょうね。
せっかくの格好良い手がもったいないので、ここでご紹介してみました。





3図(変化図)
黒1には白2と切り違い、白8まで見事に黒地を荒らせます。
ただ、白が良過ぎる図なので決して盤上には現れません(笑)。





4図(変化図)
切り違いに対して黒1の方を受ければ、白6までと黒3子を取れます。
これも気持ち良い図ですが、黒としてはたまったものではありませんね。
実戦はどちらでもない図に進みました。

こういう格好良い手に注目できれば、プロの碁も楽しみやすくなります。
日本の対局でも毎週沢山生み出されているはずですが、もっと世に出て欲しいですね。