白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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囲碁電王戦FINAL第2局

2018年04月01日 21時42分10秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は五反田でこんな催しがありました。



ここは西口の三菱東京UFJ銀行の手前で、真っ直ぐ歩くと私の教室に辿り着くのですが、その間は桜並木が続いています。
そこに出店などが並び、ちょっとしたお祭りになっていました。

問題点としては、今年は桜の開花が早かったため、ピークはかなり前に過ぎてしまったということですが・・・。
まあ、楽しく飲食できればそれで良しということかもしれません(笑)。


さて、本日は囲碁電王戦FINALの第2局が行われました。
第1局はDeepZenGoが弱点を衝かれて負けたという印象でしたが、この第2局の相手、韓国の朴廷桓九段も強敵です。
実力は当然として、バランス重視の棋風もAIにとっては相性が悪いでしょう。
接戦になるかもしれないと思い、注目していました。



1図(テーマ図)
DeepZenGoの黒番です。
右辺の黒模様を消すため、白△と打った場面です。
ここで真っ先に浮かぶ手は、黒Aと受ける手や黒Bと打って上下の線を切る手でしょう(線を切るという考え方いついては、は、「碁の大局観」で解説しています)。
ところが、実戦は・・・。





2図(実戦)
ところが、実戦は黒△の肩衝き!
この手には驚きました。
明らかに白×が形成する勢力圏の中に入り込んでいて、深入りに見えます。
白△も援軍になりそうですし、白AやBと反撃されても大丈夫なのでしょうか?

この手を見て、李セドル九段とAlphaGoの五番勝負の第5局が思い浮かびました。
李九段は似たような肩衝きを打って苦しくなったのに、DeepZenGoは自分なら力で何とかできると言っているかのようです。
なんだかズルいような気がしますね(笑)。





3図(実戦)
朴九段はひねった対応をしましたが、あるいはDeepZenGoの力を意識し過ぎたかもしれませんね。
黒△まで進んだ場面、明らかに白の形がよれてしまっています。
朴九段の碁では珍しいことだと思います。





4図(実戦)
その後も黒が順調に打ち進めていた印象ですが、この黒△にはビックリ!
白×がある所で自ら頭をぶつける手で、意図が全く見えません。
これがプロ同士の碁なら、記録係の入力ミスだと断言するところですね(笑)。
ただ、結果的にはここの分かれで局面が分かりやすくなり、黒の勝ちがよりはっきりしたとは言えるでしょう。


第3局の趙名誉名人との対局は4月7日に行われます。
最後にふさわしい好局を期待しましょう!