白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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先番?

2018年04月11日 22時01分46秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日は有楽町囲碁センターにて指導碁を行いました。
お越し頂いた方々、ありがとうございました。

ところで、指導碁席は受付と近いので、会話などが聞こえてくることがあります。
対局中は集中しているので、大抵のことは気になりませんが、毎回反応してしまう単語があります。
それは、「先番(せんばん)」・・・。

碁会などに参加される方は別ですが、フリーで対局しに来られる方達に関しては受付で組み合わせを行っています。
組み合わせが決まると両対局者の名前をお呼びするのですが、
「〇〇さんと△△さん、互先(たがいせん)です」などと、手合割(ハンデ)もお知らせしています。
手合割には互先、2子局など色々ありますが、時々先番という単語が聞こえてきます。
両者の持ち点に差があり、下位者が必ず先に打てるハンデが課された対局のことをこう呼んでいるようですが・・・。
私はこの単語を聞くたびに、モヤモヤとした気持ちになります。
もう何百回も聞いているはずですが、そろそろ黙っているのがつらくなってきたので、叫んでみようと思います。
王様の耳はロバの耳!

そもそも、先「番」という言葉には、先に打たないこともある、という前提が含まれているように思います。
互先の対局で黒を持った方を先番と呼ぶことがありますが、次は黒白が入れ替わる、もしくはその可能性があると
いうニュアンスを感じます。
コミの無い時代においては、互先ならば1局ごとに交互に黒を持っていました。
ある対局で黒を持っていてもそれは固定されたものではなく、2局につき1局の「番」に過ぎないわけです。
実力差があり、毎回した手が先に打つ手合割ならば、それは「先(せん)」もしくは「定先(じょうせん)」と呼びます。

また、先(せん)ではうわ手が有利で、2子置くとした手が有利になる組み合わせならば、「先二」という手合割が採用されることがあります。
先と2子を交互に繰り返すというものです。
この場合、先の対局は先番、2子の対局は2子番と呼びます。
今回は先の番、今回は2子の番、という意味合いですね。


そんなわけで、先の手合割で黒を持つ側が先「番」と呼ばれる度にモヤモヤが溜まっていくわけです。
必ずしも間違いではないのかもしれませんが、やっぱりちょっと違うような・・・。
でも、ここで叫んだので当分は我慢できそうです(笑)。