「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

今井信子先生のスペシャル傘寿記念演奏会

2023-08-18 11:08:42 | 日記

本日(8月18日(金)19時から)サントリーホールで傘寿記念演奏会が開催されます。

雑誌「ぶらあぼ」にインタビュー記事が載っていますので、紹介します。

INTERVIEW 今井信子(ヴィオラ)

  •  投稿日2023年7月28日

音楽の楽しさをみんなで感じてほしい

 今年傘寿を迎えたヴィオラの今井信子。言うまでもなく世界に誇る真の巨匠である。世界中の尊敬を集める彼女の80歳を祝う記念公演は、3月にアムステルダムでも開かれ、海外で活躍中の仲間や弟子たちが馳せ参じている。8月18日には東京で記念演奏会が開催されるが、今井はこのステージを心から楽しみにしている。

「70歳のときはスタンダードでまじめなレパートリーを選びましたが、80歳になると何か気分が違ってきて、楽しい音楽会にしたい! と考えるようになりました(笑)。ヴィオラで何ができるかを示すというより、若い人たちとみんなで一緒に音楽を楽しみたい、誰でもわかるような肩がこらない音楽会にしたい。私のやりたいことをやらせていただく、ちょっと勝手で贅沢なプログラムになりました(笑)」

Nobuko Imai(c)Marco Borggreve

 演目は“勝手”どころか、バラエティに富んで贅沢な、誰もが楽しめてヴィオラの魅力も多面的に伝わる、すてきな曲目が並ぶ。1曲目がドブリンカ・タバコヴァの「古い様式による組曲」(2006)で始まるのも意表を突く。

「最初のタバコヴァの作品は、ちょっと変わっていて可笑しくて楽しくて。ヴィオラは楽器も奏者もまじめで目立たない、という印象があるかもしれませんが、ワッと驚くようなことができればと思います(笑)。意外な始まり方から笑って楽しんでいただければ」

 次の部はヒンデミットのヴィオラ・ソナタ op.11-4、リダウトの「はなのすきなうし」、武満徹の「Songs」、J.S.バッハのブランデンブルク協奏曲第3番。共演者も各曲違う奏者やグループで、今井が人生で深く関わってきた人々と、いま聴かせたい曲目が並んでいる。

「固いイメージのあるヒンデミットですが、このソナタは一番聴きやすい曲だと思います。ヒンデミットにこんな曲があるとは! というくらい、ヴィオラの音の美しさとロマンティックな良さがよく出ています。ピアノは伊藤恵さん。本当に一緒に音楽をやってきてよかったなと思える方で、心許せる相手です。

伊藤恵 (c)武藤章

 リダウト『はなのすきなうし』は、私の弟子のティモシー・リダウトさんの親戚にあたる方の作品で、これもどなたにも楽しんでいただける曲だと思います。朗読は今井純子さん。実は義理の娘なんです(笑)。この曲自体、こどもや孫にお話をきかせるような作品なので、ぜひ家族とやりたいと思い、彼女にお願いしました。共演をお願いしたら最初は驚いていましたが(笑)、引き受けてくれました。家族で演奏できるのがうれしいです。

 次は武満徹さんの歌の曲を、山田和樹さんのピアノとともに弾きます。武満さんは複雑な内容の素晴らしい曲もたくさんありますが、今回はもっと親しめてみんなが口ずさめる、家族で歌えるような曲がいいなと思って。山田さんも私と同様に、自分の思ったことを正直にやりたいタイプ。やはり心許せて一緒に弾きたいと思える方です。

山田和樹 (c)Suzanna Specjal

 ブランデンブルク協奏曲第3番は、小早川麻美子さんの編曲で、2004年から15年間行った『小樽 ヴィオラマスタークラス』出身者との共演です。ヴァイオリンパートもヴィオラが受け持ち、ヴィオラだけで計6パート、4人ずつで24人になります。小樽では町の方々が手厚くサポートしてくださって、夜中までみんなで弾いたり、自由な雰囲気で音楽会をやっていました。雪の中というのがすごく新鮮で、別天地というか、そこに集まった仲間には特別な思いがあって、今回は同窓会のようです」

 演奏会最後のモーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」のソリストは今井とヴァイオリンの竹内鴻史郎。この曲と冒頭のタバコヴァ作品は、山田の指揮と今回のためにオーディションで選抜した奏者によるスペシャルオーケストラとの共演。多くの若手との舞台になる。

竹内鴻史郎

「私はやっぱり若い人と弾きたくて。竹内さんは原田幸一郎さんが紹介してくださいました。まだ高校生ですが、共演者として素晴らしい方です。オーケストラのオーディションには色々な方がいらっしゃいました。時間をかけてお話をきいて、感覚的に何かいいなと思った人を山田さんと選びました。音楽は経歴で作るものではありません。その場で皆で感じて、分かち合うことが大事。若い人も一人ひとり同等です。音楽の楽しさをみんなで感じてほしい、彼らの人生に何かプラスになれば、という精神でやっています」

(c)Marco Borggreve

 今井は全曲出演し、自ら意欲的にステージを作り上げる。そのモチベーションはとにかく「楽しさ」。自分のことはもはや二の次、「みんなで楽しむ」ことを繰り返す。

「ヴィオラの深くて美しい曲はたくさんありますが、そういう曲は皆さん知っているでしょうし、こんな曲があってこういうこともできる、何か新しいことをやりたい、というのが今回の出発点になりました。皆さんに助けられてここまで来て、スペシャルな音楽会ができるだけでも私はすごく幸せですし、お世話になった方々へのお礼の気持ちも込めて、とにかくみんなで楽しめる演奏会にしたいと思っています」

 このインタビューでの今井は、実際は「(笑)」を半分以上のコメントに付ける必要があるほど、明るく和やかな語り口で、巨匠然としたところが一切ない。これも人との関わりが魅力である、ヴィオラという楽器が生み出す特性なのかもしれない。

(c)Marco Borggreve

 今井が2007年に出版した著書『憧れ』には「次の世代を育てることは、ヴィオラ奏者としての務めだと思っている」と記されている。自らが1992年に開設した「ヴィオラスペース」では「マスタークラス」で後進を指導し、「東京国際ヴィオラコンクール」も実現した。今回の記念公演の若手起用も次世代への思いの表れだろうが、彼女は「育てるというよりも、私自身が型にはまりたくないので、いつも新鮮なことを探しているということです」とやはり自らのこととして語る。

 今井は6月の「ヴィオラスペース」で、若手四重奏団の第一線を走るレグルス・クァルテットと共演し、モーツァルト弦楽五重奏曲第3番の緩徐楽章の第1ヴィオラを担当。もとよりソロの多いパートだが、「これが伝説的名奏というものか…」と本能に訴える圧倒的な音楽を実現、ワンフレーズごとに聴衆が呆然と呑まれていった(会場にいた方には大げさな賞賛ではないと同意してもらえるはず)。世界的レジェンドの何たるかを思い知らされたのである。そのときのことを尋ねると「ちょっと仕掛けてみたら、すぐに応えてくれたので、またもっとやってみたわけです(笑)。レグルスの皆さんの感性がすばらしかったので、お互い様ですよ」と事も無げに笑う。期待の若手音楽家と“その場で感じて分かち合う”ことができたときに巨匠がみせる至芸、今こそ体験するべきときだ。

取材・文:林昌英

Information
今井信子スペシャル ~傘寿記念演奏会~
2023.8/18
(金)1900 サントリーホール

出演
今井信子(ヴィオラ)
山田和樹(指揮・ピアノ)
伊藤恵(ピアノ)
竹内鴻史郎(ヴァイオリン)
今井純子(朗読)
小樽 ヴィオラマスタークラス Alumni
Nobuko Imai Special オーケストラ

曲目
ドブリンカ・タバコヴァ:古い様式による組曲(2006)
ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ op.11-4
リダウト:はなのすきなうし
武満徹(森山智宏編):Songs「さようなら」、「恋のかくれんぼ」、「めぐり逢い」
J.S.バッハ(小早川麻美子編):ブランデンブルク協奏曲第3番 BWV1048
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364

 

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ヴィオラスペース2023

2023-06-29 11:46:25 | 日記

2023年06月06日に紀尾井ホールで行われた演奏を聴きに行ってきました。

特筆すべきは、タメスティーさんがヴィオラダモーレ(注)という通常のヴィオラよりも大型の楽器を演奏したことでしょう。

当日の演奏模様をテレビマンユニオンの動画チャンネルから紹介します。

https://tvuch.com/social/629/

 

(注)ヴィオラダモーレ

ヴィオラ・ダモーレ(viola d'amore)は、バロック時代、特に17世紀の終わりから18世紀の前半に用いられた、6ないし7弦の演奏弦と同数の共鳴弦を持つ擦弦楽器である。(Wikipediaより)

 

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アントワン・タメスティさんのメッセージ

2023-06-14 11:30:07 | 日記

ビデオメッセージを紹介します。

https://youtu.be/q3ientPiGso

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ヴィオラスペース2023

2023-06-08 11:29:58 | 日記

6日、7日の模様は後日紹介します。

今日は、音楽専門誌「ぶらあぼ」のWEB版で紹介された記事を

紹介します。

【ぶらあぼ記事から】

ヴィオラスペース2023 vol.31 ヴィオラへの愛、愛のヴィオラ

  •  投稿日2023年4月13日

ヴィオラ・ダモーレの美しく深い音世界

 今年もヴィオラの祭典「ヴィオラスペース」が開催される。「愛」をテーマに、東京で2回、大阪と仙台で1回ずつの公演が予定され、東京の2公演は関連タイトルが付されている。

 まず「ヴィオラへの愛」(6/5)は、バロックから20世紀、二重奏から協奏曲、時代も編成も跨いだ名品のアラカルト。ヴァイオリンがないブラームス「セレナード第2番」抜粋を取り上げるのが面白い。翌日「愛のヴィオラ」(6/6)は、「愛のヴィオラ=ヴィオラ・ダモーレ」をフィーチャー。「弓で弾かれる6、7本の弦のほか、同数以上の金属の共鳴弦が指板の下に張られている」楽器で、17〜18世紀に広く弾かれていた。バロック、古典派の大作曲家が作品を残しているほか、プッチーニ、R.シュトラウス等がこの楽器を用いている。当公演はビーバーからヒンデミットまで、幅広くこの楽器のオリジナル作品を聴けるという、世界的にも稀少な機会となる。また、大阪、仙台は、組み合わせの異なる別プログラムが用意されている。

 出演は、本イベントの顔となる今井信子、プログラミング・ディレクターのアントワン・タメスティを中心に、佐々木亮、小峰航一、鈴木優人(チェンバロと指揮)らが登場。注目したいのは昨年の第5回東京国際ヴィオラコンクール第1位のハヤン・パクと第2位の湯浅江美子。本選でのパクのソナタの完成度と安定感、湯浅の協奏曲における熱いドラマ、いずれも出色のもので、ふたりの1年の進化を聴けるのが楽しみだ。大阪と東京では好評の公開マスタークラスも開催される。奥深きヴィオラの世界へ。
文:林 昌英

 

 

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ヴィオラスペース2023

2023-05-22 11:36:41 | 日記

ヴィオラスペース2023が、6月3日(土)から6月6日(火)まで開催されます。

 

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「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内

「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内   ―小樽ゆらぎの里での今井信子さんの音楽活動を応援する会の発足― 2014年6月23日   私たちが敬愛する今井信子さんが小樽「ゆらぎの里」朝里川温泉で始めたヴィオラマスターコースは、今年の正月で10周年を迎えました。此の間多くの教え子がここから育ち、年々今井先生に憧れ慕う俊秀のアーティストも多くこの地を訪れるようになり、先生を囲み、手伝い、研鑽し、コラボレートする世界にも類のない活動の拠点として高まっています。 この度、私たちは、今井信子さんのライフワークの一つでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、それぞれの立場でできる支援を行うとともに、それぞれのネットワークを通してこの活動を知ってもらい、多くのクラシックファンに珠玉のコンサートに触れていただくお手伝いをしようと、「天道虫の会」を立ち上げました。 皆さまには、「天道虫の会」の活動にご理解いただき、それぞれにできるご支援・ご協力いただければ幸いです。この会へ参加いただける方は発起人までご連絡ください。会員には、会のシンボルとなる竹製てんとう虫のバッチをお渡しします。 発起人メンバー 高野るみ、諸角憲治、砂岡茂明、樋口義洋、青木真也、須藤正實 <天道虫の会の由来>  天道虫は、太陽=天道(今井信子さん)に向かって飛ぶ習性があるという由来から名付けました <ホームページ> http://blog.goo.ne.jp/igainet  会の活動、小樽での音楽活動、今井さんの演奏活動など適宜掲載します。