■起業家育成塾トップインタビュー

夢を生きる方々に学生がインタビュー

中国料理かっぱ園菜館  伊藤理夫 社長

2007-12-03 10:22:48 | インタビュー記事
●日時 2007年10月9日 14:00~15:30 
●場所 かっぱ園菜館本社
●かっぱ園菜館についての詳細は こちら
●インタビュアー 塾生 國井 美佐

   
●伊藤理夫氏 プロフィール
愛知県出身。
大学卒業後、父の始めた事業を受け継ぐため
東京で中華料理の修業を積む。
中華料理と共に43年を歩み、
2007年5月に黄綬褒章を受章。
現在は愛知県調理師会会長や
日本調理師会理事など多数の役員も務める。
 
Dscn0372b  
  
Dscn0380b_2
 
「鯨の尻尾よりもメダカの頭になりなさい」
小さい頃より聞かされた父親のこの言葉が人生の指針に
なったそうです。料理人として40年以上歩んできた名人に
トップインタビューに答えていただきました。

 
 
◆この度は黄綬褒章受章、本当におめでとうございます。
 
ありがとうございます。
正直言いまして最初「私でいいの?」という気持ちでした。
しかし、お世話になっていた方々や先輩の後押しを受けて
黄綬褒章をいただくことになりました。
 
賞の受章の際には多くの方にお世話になりました。
知事や市長、あるいは議員の方々にお礼を申し上げたいと
思います。そして、なんといってもここまで共に歩んで
くれた妻の存在が大きいです。妻がいてくれなかった
ら、ここまでやってこれなかったかもしれません。
また、一緒に働いてくれているスタッフにも感謝しています。
      
私は料理を作る時に特に気をつけていることは、
カロリー計算や塩分濃度などについてです。
現代の食生活を見るとだんだん味覚が麻痺してきている
のではないかと感じています。
もともとの日本食の良さが現代の人々が食べる料理に
生かされていないのではないかと思います。
 
そういった点で私は常に気にしてきました。
健康で美味しい料理をお客様に提供したいという思いのもと
今まで頑張ってきました。
その思いが今回の受章に繋がったのだと思い、
本当に感謝しています。
 
 
◆この受章は、伊藤社長の料理への想いと、奥様と
二人三脚で築かれた結果の賜なんですね。
料理人になろうと思ったきっかけは何でしたか。
     
私の父親が昔、縫製業を営んでいました。
当時は珍しく、オーダーメイドで行っていました。
また、中国でも事業を行っておりまして、
その時、中華料理に毎日身近に触れていました。
 
それから、事業がうまくいかなくなり、苦し紛れに
父が始めたのが、中国で出会った中華料理だったんです。
最初は本当に小さなお店だったんですよ(苦笑)
  
     
現在ではリフォームもされて大変立派なお店に
なられていますよね。
  
おかげさまで、私の息子も店を引き継いでくれて、
親子三代続けさせていただいています。
   
    
学生の頃から家業を継ごうと考えてらしたのでしょうか。
   
母親はとても教育熱心な人だったということもあり、
その当時いろいろ進路に迷ったあげく私は大学に
進学することになりました。それが、今の中京大学です。
    
大学を卒業すると、また私は迷いました。
サラリーマンになるか、父の事業を受け継ぐか。
結局、事業を受け継ぐ決意をして、三年間東京へ料理人の
修行に行きました。
当時は飲食店は今とは違い「水商売」と言って蔑まれていた
風潮がありましたから、苦労もしました。
   
このように父が行う事業を近くで見ていましたので、
知らず知らずのうちに事業の雰囲気が身に付いていたの
だと思います。
   
実は私は三人兄弟の長男なのですが、次男は現在、
会計士事務所を行っています。
三男は留学経験を生かして英会話教室を開いています。
やはりこのように父の影響がとても大きく、
小さい頃より、独立志向が強い家系だったのだと思います。
     
そして、私は夢を実現するためには独立する方が
良いと考えています。
独立して軌道に乗ることは難しいですが、それを超えてこそ
成功を掴むことができると思います。
   
人は一人ではできることはしれていると思います。
なので、人を管理する能力を身につけ、好きなことに
打ち込むことが大切だと思います。
そして、常にお客様志向であることも重要です。
これが、またなかなか難しいのです。
   
Dscn0370b  
 
 
◆幼少時はどのように過ごされたのですか。
  
そうですね、母からこのように言われて育ちました。
   
「妻が寝込んでも大丈夫なようにしておきなさい」
   
つまり、料理から家事に至るまで、一通りは自分でできる
ようになっておきなさいと教わりました。
料理についても母の影響で小さい頃から好きでした。
イロハのイの字を母から教わりました。
    
また、この私達の幼少時代は食べていくことも困難な
時代でした。映画の「蛍の墓」って知っていますか。
本当にあの映画で描かれているような食べていくことも
大変困難な時代だったのです。
    
学校に行くよりも、とにかく食っていくために
今を頑張らなければいけない。そう思って生きていました。
   
   
◆働き始めた頃はどのような目標や夢をお考えでしたか。
   
事業を本気でやろうと思った時、本場で修行したいと
思いました。ちょうど大学で学んでいたことが中国語
だったので、好都合でした。
しかし、さぁいよいよ中国にいくぞ。というときに、
家の都合で行けなくなってしまったんです。
しかたなく東京に中国料理の修行に行くことになります。      
今考えれば、中国に行かなくてよかったかなと思っています。
  
私は日本人の食の原点はもちろん日本食にあると
考えています。日本は四季がありますから、四季折々の
料理もあります。季節感がある料理ということです。
そして、日本は水がとても綺麗で、香辛料などが
無くても食材の本来の味を堪能することができるのです。
   
一方、本場中国の料理は匂いが本当にキツイのです。
スパイスも結構キツイので、そのまま日本に持ってくると
日本人はなかなか受け入れられないのではないかと
思いました。
   
そこで私は、料理のスタイルを日本の中国料理を目指すことに
しました。日本で中国料理を食べるお客様の立場に立ってみて
どんな料理がいいか、どんな味がいいかを考えました。
それを追求することが何よりも楽しかったです。
     
   
◆日本人に合った独自の中国料理を追求するのは、容易
ではなかったと思います。どういったことに力を入れられ
ましたか。
    
昔から名古屋で店を出していたものですから、
名古屋の人々が好きな味はどういう味かということを
若い時、特に研究しましたね。
   
まず、名古屋の飲食店を食べ歩きました。
そうすると、わかってきたことがあります。
名古屋の味は「甘辛い」ということでした。
  
それを自分の料理に生かしたら、ヒットしました。
それからさらに、なぜ甘辛い料理が名古屋人が好き
なのだろうということも研究しました。
また、流行の味を研究したりもしましたね。
   
その当時の料理仲間と一緒になって研究に明け暮れて
いた時もありました。
営業が終わるとみんなで集まって深夜もずっと
研究するわけです。
とにかく、やってみて改善を続けていました。
  
立地条件上、私達のお店は固定顧客が多かったので、
そういった理由を踏まえてのメニューも考えねば
いけませんでした。
7~8割は固定メニューにして、残りの2割は
変動メニューにする、というように工夫しました。
   
また、女性が好きな料理やメニューについても
考え、工夫しました。
女性の「太りたくないけど、たくさん食べたい」という
ニーズに答えるためにどのようなメニューにすればいいか、
研究しましたね。
   
Dscn0367b
   
   
◆地道な研究と行動と情熱によって、今のかっぱ園菜館
があるのですね。
伊藤社長の、これからの夢や目標を教えてください。
   
実は少し前まで中華とウェディングをマッチングさせた
事業を名古屋でしようと思っていました。
しかし、その事業を行った方がいたのですが、
名古屋という土地に合わなかったようで、
なかなか上手くいかなかったようです。
   
だから今はまたこれからの具体的なビジョンに
ついては模索中ということです。
 
でも、現在は専門学校で料理を教えたりしながら
若い人々を育てています。
これからの人達をもっと育成していくことにも
力を入れたいと思っています。
  
  
◆伊藤社長にとっての理想の人生とは何でしょうか。
   
自分が他界する時に「あぁ、良かった」と思える
人生にしたいと思います。
 
ます、素晴らしいパートナーにめぐり合えました。
今まで頑張ってきたことを認められて、
多くの社団法人や協会などから肩書きをいただきました。
   
それらに感謝し、これからも頑張っていきたいと思います。
  
  
◆夢や目標に向かって頑張っている学生に一言お願いします。
  
まず、夢を大きく持ってほしいと思います。
必ず、壁はやってきます。そんな時でも夢を大きく持ち続け
乗り越えてください。
 
そして、起業を志す人は、ストレスを溜め込まないこと、
上手く付き合う方法を身に付けてください。
自分なりの発散方法があることが大切だと思います。
  
最後に、きちんと食事をとることをお薦めします。
最適な朝昼夜の三食のリズムを取るといいでしょう。
健全な身体で体力と精神力を持って頑張って行って
ほしいと思います。
  
 
ありがとうございました。 

Dscn0381b  
最後にかっぱ園菜館の本店の前で写真を取らせていただきました。
   
 
*****************************
 
大変温かくエネルギッシュお方で、聞いている私達も
元気になってきました。
 
事業を始めたエピソード、幼少時代の経験を聞いていると
今の時代に生きる私達は見直さなければいけないことが
たくさんあるのではないかと思いました。
 
また、お客様の立場に立って料理について考えられている
姿勢は大変参考になりました。
私のような素人にとって、料理の世界はわかっているようで
わかっていないことばかりです。 
研究に明け暮れた日々のお話はその瞬間をとても
真剣に生きてこられたということが伝わってきました。
 
そのようなお話は目指すところが違う自分にとっても
勉強になることばかりでした。 
 
まだまだ、元気で笑顔が素敵な伊藤社長のように
自分も頑張っていきたいと思いました。
 
本当にありがとうございました。 
 
インタビュー記事作成 法人部代表 水谷翔
 
*****************************
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 株式会社アイミック    ... | トップ | 株式会社エイチーム   林... »
最新の画像もっと見る

インタビュー記事」カテゴリの最新記事