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夢を生きる方々に学生がインタビュー

あいおい損害保険㈱   元副社長金子博昌 様

2010-04-08 07:00:00 | インタビュー記事

●日時 2010年3月24日 14:00~15:00 
●場所 あいおい損害保険株式会社 名古屋企業営業本部 
●あいおい損害保険株式会社のホームページは 
こちら
●インタビュアー 起業家育成塾 三潴 克彦 (みつま かつひこ)
  
●金子博昌(かねこ ひろまさ)氏 プロフィール 

昭和19年生まれ。京都府出身。同志社大学経済学部
卒業。昭和41年、千代田火災海上保険株式会社(現:
あいおい損害保険株式会社)に入社し、営業部門、営業
推進部門での業務に従事。平成7年の取締役就任後は、
専業代理店担当部長、営業企画部長、名古屋企業営業
本部長を経て、平成16年4月、同社取締役副社長に就任。
平成19年より同社顧問を務め、平成21年退任。
 
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今回は元あいおい損害保険株式会社の副社長を務められた
金子博昌氏にお話を伺いました。これまでの人生を振り返っ
て語っていただきましたが、最後に若い世代に向けての熱い
エールもいただきました。

 
  
◆本日はインタビューへのご参加ありがとうございます。
金子さんは京都のご出身と伺っていますが、幼少期のお話を
聞かせていただけませんか?
 

私は京都の西京区というところで生まれました。父は東京都出身
で、母は愛媛県出身なのですが、私が生まれた頃には、京都に
住んでいたので、私は小中高とこの地域で育ちました。私が小さ
い頃は特に、山や畑が多く、自然に溢れた場所でした。そして、
大学は同志社大学に進学しました。
 
 
◆大学ではどういったことをされていましたか?
 

当時は、大学での活動というと、今のように多くの選択肢がある
訳ではなく、体育会系か学術系、そして学生運動を行う団体に
所属するくらいしかありませんでした。私は、高校の頃に少し身体
を悪くしていたので、経済研究会というお堅い名前の団体に所属
していました。でも、半分くらいは遊んでいる連中で構成されて
いる団体でしたよ(笑)。
   
私が在学していた頃の同志社大学は、学生運動の拠点校と言
われていました。ある時、友人に学生運動に参加してみないかと
誘われたので、行ってみることにしました。そこでは、これからの
世界はソビエト連邦に代表される「社会主義」か、アメリカを旗頭
とする「資本主義」が担うのか、日本はどの路線をいくのかなど、
学生達が白熱した議論を夜を徹して行っていました。考えると
青臭い話ですが、今の学生諸君にも世界の政治、社会の動向
にもっと関心を持って行動して貰いたいです。
 
また、当時は今ほど裕福ではありませんでしたので、私自身も
大学にいくなら自力で行けと言われていました。周囲もそんな
学生が多く、食べて行くのに一生懸命で、結構「堅実」な生活
ぶりでした。
  
 
◆就職活動はどのようにされたのですか?
 

就職活動の年は昭和40年でしたが、40年不況と言われ、就職
難の時代でした。そんな中、大学の先生に、金融機関に向いて
いるのでは、と言われました。でも、私は正直なところ銀行に就
職したいと思いませんでした。謹厳実直で皆さん真面目そうに
見えたし、髪は七、三分けにしなければいけないんだろうと思い、
とても私の性格では勤まらないと諦めました(笑)。
  
その後、友人から、「損保を受けたらどうか」という助言をもらい
ました。今のところ絶対に入りたいというような会社も無いし、就
職難の時代だから迷っていても仕方ないと思い、損保の会社を
受けることにしました。
 
そして、大変有難いご縁をいただくことになります。当時、私の
父が勤めていた京友禅の会社のメインバンクは「東海銀行」で
した。たぶん父が銀行の方に「息子の就職が決まらない」とこぼ
したのでしょうね。銀行の方が、それでは「当行の提携先の千代
田火災を受けたら」と言って推薦状を書いてくださいました。
お陰様で、千代田火災海上保険株式会社(現:あいおい損害保
険株式会社)に内定をいただくことができました。
 
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◆入社後はどのような仕事をされましたか?
 
最初は、書類の点検、整理や代理店関係事項の届出など営業
の仕事をしました。その後、営業部門に転勤になり、以来ずっと
営業関係の仕事をしてきました。損保営業の最前線は代理店
さんですので法人、個人、整備工場など、いろんな代理店さんを
担当してきました。また、新たに代理店事業を始める法人、
個人の開拓にも力を入れていました。
 
初めて営業に配属された昭和40年代は、日本人なら誰もが
「車を持つ」、「家を持つ」と豊かさを求めて働き、日本経済も
活況を呈していました。それらに拠って、損害保険の売上も
飛躍的に伸び、会社も活気に溢れているという非常にいい時
代でした。「営業ってこんなに毎日楽しくっていいのかな」と思っ
ていました(笑)。
  
勤務地は、大阪、東京、名古屋という順番に変わりました。
名古屋に初めて来た時、「最初の1年は地域に密着することが
大切。華々しく活躍したいなどと思わない方がいい」とアドバイス
を受けました。名古屋という地域に関しては、「一度信頼ができ
ると、ずっと長く付き合っていける」とよく言われますが、本当に
その通りでした。
 
 
◆仕事をされる中で心掛けられていたことはありますか?
 

そうですね、やっぱり、「今いるステージ」で一生懸命やることが
大事だと思って頑張ってきました。就職活動では苦労しましたし
ね。最初の5年間は、縁の下の力持ちになって基礎的な仕事を
しっかりやって、力を蓄えることが大切だと思っていました。
 
それから、仕事で成果を出すためには、優れた人間性を備える
ことがとても大事だと思います。長く付き合って行く中で、信頼を
深めていけるような人間であること、言い換えれば、損害保険
会社ですから、法人であれ、個人であれ、「お客様の抱えている
リスク」を自分が背負っていくという位の気概を持たないと仕事
で本当の成果を上げる事はできないでしょうね。
   
あとは、前の楽天イーグルスの野村監督が「勝に不思議な勝
あり、負けに不思議な負けなし」と言われていますが、勝戦の理
由を分析することも重要です。上手く行かなかった時の理由は
だいたいわかりますが、上手く行った時の理由はわからないこ
とが多々あります。しかし、このままにしておいてはいけません。
 
この理由のわからない不思議な勝を当然の勝にすることが、
仕事をやっていく中で非常に大切なことだと思います。強みを
最大限生かし、弱みを最小限に抑えるに通じますかね。
 
 
◆影響を受けた人や考えはありますか?
 
大きな影響を受けた人は場面によって色々ですね。基本的
な人間形成という部分では父親と大学で指導頂いた理論経済
学の渡辺教授です。会社に入ってからは諸先輩、同僚、お客
さんと枚挙に暇がないですが、仕事をする上で最も影響を受け
た恩人ともいうべき人は、「新入社員時代の大阪の営業部長」、
「課長代理時代の東京四営の課長」ですね。
 
あと、当時は全く雲の上の人でしたが入社時の社長です。
45年も前ですが、これからの時代は「国際化、情報化、大衆化」
がキーワードであると事あるごとに言っておられました。当時は
よく解りませんでしたが時代は確実にそうなっていますよね。
この先見性には驚いています。
 
そんな影響もあったのでしょうか、私は入社間もない頃から
「保険会社は一体何をするのか、どのように世の中の為になっ
ているのか」というようなことを常に考えていました。P・F・ドラッ
カー流に言えば「会社は何のために、誰のために存在するの
か」となるんですかね。こうした根本のところを考えていく姿勢
は仕事をする上でとても大切なことだと思います。
 
 
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◆今後のビジョンを聞かせて下さい
 
今は時間があります。「これまでやりたくても出来なかったこと」、
「今だから出来ること」をやりたいと思っています。お金儲けもいら
ないし、生臭い切った張ったの世界とは少し離れていたいです。
それと、微力ですがこれから前に向かって進んで行こうとしている
人のお役に立てればと思っています。
 
   
◆最後に一言お願いします
 
こうなりたいという自分の理想像を持つことは大切ですが、いきな
りそうなれるわけではありません。人に見えないところで努力し、
今いる環境の中で全力でやってこそ目標は達成されると思います。
上手くいかないことを周りのせいにしてはいけませんし、耀く世界
ばかりに行こうとしてもいけません。むしろ最初に苦労する経験は
後の財産になるでしょう。
 
そして、心身共に健全であれば「早い、遅い」、「大きい、小さい」と
色々あるでしょうが努力、頑張りの先に目標とする新しいステージ
が開けるのではないでしょうか。 是非とも頑張っていただきたい
ですね。
     
 
◆貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました
   

  
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人から見えないところで行う努力や縁の下の力持ちとして頑張る
ことがいかに大切かということを豊富な実体験を踏まえてお話し
ていただき、私はこのお言葉が最も印象的でした。今回はインタ
ビューで学ばせていただいたことを少しずつ実践していきたいと
思います。大変素晴らしいお話を聞かせていただきまして、本当
にありがとうございました。
 
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
  
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ご紹介者様へ
  
金子様をご紹介いただいた
セレンディップ・コンサルティング株式会社の
高村社長 にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
金子様のお話は大変勉強になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
   
起業家育成塾 三潴 克彦(みつまかつひこ)
  
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