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メディアジャパン㈱     宮崎 敬士 社長

2008-10-14 07:00:00 | インタビュー記事

●日時 2008年9月12日 10:30~12:00 
●場所 メディアジャパン株式会社 本社 会議室
●メディアジャパンのホームページは こちら
●インタビュアー 起業家育成塾 三潴 克彦(みつま かつひこ)

●宮崎敬士(みやざき けいじ)氏 プロフィール

愛知県一宮市出身。  
大学卒業後、テレビ番組制作会社に入社。ニュースステーション
(現 報道ステーション)等を手がける。2003年 「ワールド
ビジネスサテライト」「スーパーJチャンネル」などニュース、
報道、ドキュメンタリーのテレビ番組制作を主とした、有限会社
メディアジャパン(現メディアジャパン株式会社)を設立。現在は、
テレビ番組制作以外にも、ウェブサイトや、オリジナルDVDの
制作も行う。モニターに映るものは全て手がける「メディアの
デパート」をテーマに、多くの企業の広報活動を支援している。
  
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「ワールドビジネスサテライト」等のテレビ番組からウェブやCM
などの制作を手がけるメディアジャパン株式会社の宮崎社長に
テレビ業界の動向や今後のビジョンを語っていただきました。

 
   
◆メディアジャパンの創業のきっかけは何ですか
 
簡単に言うと、やらざるを得ない状況に追い込まれた、
この一言です。独立前に私が働いていた会社は、本社が東京で
名古屋に支社を構えていました。私は、名古屋の支社長でした。
 
ある時から、本社の業績が悪くなり、支社の家賃や社員の給料を
払ってくれなくなったのです。困りますよね。私には一緒に働く
仲間がいて、部下もいました。仕事はあるのに、本社からお金が
届かない。独立したい気持ちは正直なかったのですが、状況が
それを許さなかった。
 
自分がどうにかしなければという気持ちで、当時私がメイン
プロデューサーをしていた、名古屋支社を基盤にした新会社の
設立を決意しました。それが2003年1月のことです。
 
 
◆創業されるまでの経緯を教えてください
 
私の父親はものすごく真面目な人でした。朝早く仕事に出て、
日が暮れると帰ってくる。楽しいやつまらないなど関係なく、
毎日きちんと働く人でした。父親とは、逆に私は勤労意欲が
あまりありません。そんな理由から、仕事を続けるためには、
好きなことを仕事にする以外ないと思ったのです。
自分の好きなことはテレビを観ることでした。
 
そうして大学卒業後、私は、テレビ制作業界に身を置いたのです。
当時、東京で働いていました。ディレクターになったばかりの
二十代の後半の頃、日曜日の夜の情報番組を担当していました。
日曜日の夜の放送が終わると、翌日からロケにでる、週末までに
編集して放送する、その繰り返しです。寝る時間はかなり削られ
ます。かなり厳しい環境でした。
 
こういった生活を続ける中、業界の体質にも疑問を抱くように
なったのです。番組の内容ではなく、視聴率を取るためだけに
人々が奔走している、と感じざるを得ませんでした。
 
「自分は何のために働いているのか?」
 
ある時、強く考えさせられる出来事が起きました。
 
中継の下準備のため、下見と打ち合わせをしていた時のことです。
前日は徹夜で、仕事をしていた時です。体も疲労困憊、頭は回ら
ない状態。時間が詰っており、走り回っていた時に、ガラスに体を
突っ込んで大怪我をしてしまいました。そのまま手術です。意識が
朦朧としたまま仕事をしていたことが原因だったのでしょう。
 
後日、自宅療養中の私のところへ、会社から割ったガラスの請求書
が届きました。これには、本当に怒りがこみ上げてきましたね。
一生懸命仕事をした際の怪我だったのに現実はこんなものなのかと。
この事件を機にその会社を辞職し、ご縁があった名古屋のテレビ局
の子会社にユーターン就職しました。
 
いろいろなジャンルの番組を制作する内に、ドキュメンタリー番組を
つくりたいという思いが強くなり、その分野が強い会社に転職しま
した。その会社が名古屋支店を設立することになり私は設立メンバー
となったのです。
 
この会社で、メディアジャパンの基盤となる、番組を数多く担当しま
した。例えばテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」「ニュー
スアイ」、またテレビ朝日の「ニュースステーション」(現 報道ス
テーション)「スーパーJチャンネル」NHK「課外授業ようこそ先輩」
などです。
 
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◆独立後はどのように事業展開をされていたのですか
 
せっかく独立したので、テレビ局だけに依存する会社にはしないと
決めていました。ここで、映像制作会社の仕事内容を説明しますね。
テレビ局に企画を提出し、OKが出たら映像を制作する。
簡単に言えば、これだけです。
 
制作会社への制作費はテレビ局から支払われます。ですから著作権
を、制作した会社が持つことはできません。
制作費となるお金をテレビ局が営業し、テレビ放送権もテレビ局が
保有する。制作会社には、最初に支払われたお金以外ほとんど何も
残りません。もちろん、視聴率や評判が良く制作を担当した番組が
再放送されても、その条件はあまり変わりません。この形式でテレビ
業界は60年間やってきました。
 
私は経営者として、テレビ局の子会社でもないのに、テレビ局だけに
依存するのは恐ろしいと判断しました。年々テレビ番組の制作費は
下がっていましたから。今は、私の感じでは、バブル期の半分くらい
でしょうか。
 
そこで、テレビ番組制作以外の仕事を行う会社の仕組みを考えまし
た。それにあたって会社の方針を、モニターに映るモノは全部制作
する「メディアのデパート・メディアジャパン」としました。実際に、企業
のウェブサイトやCMなどの制作も手がけていますし。
 
また、ワールドビジネスサテライトを制作している会社ということで、
銀行さんや、投資会社さんなど金融機関から、ベンチャー企業や
広報に困っている会社の経営者の方を数多くご紹介していただき
ました。経営者のメディア対策のご相談を受けているうちに、直接
取引が出来るようになりました。
 
通常、制作会社とクライアントの間に代理店が入ることが多いのです。
しかし、クライアントから直接取引を希望する声が多くなったので、
広告代理店業務も開始することになりました。それが、有限会社
メディアジャパンエージェンシーです(2003年6月設立)。
テレビの制作会社が代理店を経営するのは業界でも珍しいことです。
 
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◆今後のビジョンを聞かせてください
 
テレビがある限り、テレビ番組を制作してきた、プロデューサーや
ディレクター達の仕事がなくなる、という訳ではありません。私たち
の企画力や技術は、他のビジネスでの十分通用すると考えています。
映像で何かを訴える力は、テレビという世界以外にも無限の可能性が
あると思うのです。
 
そこで、弊社は下請け企業からメーカーになることを目標に、自社
製作のDVDの販売を開始しました。まず初めに、国内向けにテレビ
番組制作の中で出会った各業界のプロを主人公にした、「THE ゲンバ
シリーズ」を発売しました。「学校改革の方法」や「あがり症の
克服方法」などニッチな世界を収録したものです。
 
また、海外の日本ブームに着眼し外国人向けに、日本の文化を
ハウツー映像化した4タイトル「MAKE JAPAN SERIES」(メイク
ジャパンシリーズ)を今年の7月から発売開始しました。
このシリーズは日本の文化、「寿司の握り方」「お茶の淹れ方」
「折り紙の折り方」「着物(ゆかた)の着方」を紹介した内容です。
スシブームに沸くアメリカ、サンフランシスコの展示会に出展した
ところ、大きな反響がありました。
 
現在は、アメリカ以外に、イギリス、オーストラリアなどからも
注文が入っています。国内では皆さんよくご存知の老舗書店さんや、
セレクトショップ、空港、アマゾンなどで購入できます。現在、
弊社オリジナルDVDのタイトル数はまだ少ないので、これからさらに
増やす予定です。下請けの制作会社からメーカーになる挑戦中です。
 
DVD「SUSHI」はこんなかたちでも販売しています。
DVDを見て、寿司を学び・寿司を握り・寿司を窮める。  

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◆メディアジャパンでの宮崎社長の役割は何ですか

 
新しいモノを創造することだと思います。
番組などの制作は、私以上に優秀なスタッフがたくさんいるので
任せることができます。私に課せられた重要な仕事は、世の中に
ないモノを作ることと、会社を今後どのように発展させていくか
を考えることだと思っています。
 
  
◆将来の夢は何ですか
 
弊社の商品(映像など)を世界規模にしたいですね。海外の書店や
CDショップにうちの商品が並んでいたり、飛行機の中で、見れたら
楽しいですね。アメリカから日本に来る飛行機内で、寿司の握り方
や寿司店での注文の仕方が見れたら面白いです。
 
  
◆嬉しい時はどんな時ですか
 

自分の思ったことがカタチになった時です。テレビなら、制作した
映像が流れて関わった人たちが喜んでくれる瞬間が最高です。
 
 
◆逆に嫌いなことって何ですか
 
嫌いなことは数字を見ること。特に視聴率という言葉は未だに
嫌だなぁ(笑)
 
  
◆本日は大変お忙しい中、本当にありがとうございました
 
 
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テレビ業界で働かれる宮崎社長は人の2倍以上の速さで考え
行動している印象を受けました。大変エネルギッシュかつスピード
感あるインタビューとなりました。インタビューは1時間以上あり
ましたが、特急列車が走っていったように、あっという間でした。
今までされてきたお仕事や現在のビジョンなど、現場で磨かれて
きた観点からは大変多くのことを学ばせていただきました。インタ
ビューにお答えいただきまして本当にありがとうございました。
  
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
 
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ご紹介者様へ
  
宮崎社長をご紹介いただいた
セレンディップ・コンサルティング株式会社の
高村社長に、この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
   
三潴 克彦 (起業家育成塾)
 
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