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夢を生きる方々に学生がインタビュー

株式会社ITCS       深見 和久 社長

2008-07-29 07:00:00 | インタビュー記事

●日時 2008年7月8日 16:00~17:30 
●場所 株式会社ITCS(アイティーシーエス) 会議室
●株式会社ITCSのホームページは こちら
●インタビュアー 塾長 三潴 克彦 (みつま かつひこ)

  
●深見和久(ふかみ かずひさ)氏 プロフィール
愛知県瀬戸市出身。
代々の家業である窯元を継ぐことを諦め、
ソフトウェア開発会社に就職し、5年後に退社。
一時は会計士を目指すが、ご縁があったことで
ソフトウェア開発会社を1995年に創業。現在は
株式会社ITCSの代表取締役を務める。
  
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今回はパッケージソフトの開発やオーダーメイドで業務
システムの構築を行う株式会社ITCSの深見社長に会社
を始めたきっかけから、会社に対する思いや夢を語って
いただきました。

 
 
◆現在のお仕事について聞かせてください
 

事業は大きく分けて二つありまして、一つ目はパッケージ
ソフトの企画・開発・販売で、二つ目は中堅企業向けに
オーダーメイドで業務システムを構築しています。
パッケージソフトは、業務システム連動型ワークフローの
「Manage」と「労務三昧」で、これらの製品は販売パートナー
を通じて全国展開しています。
 
「Manage」は株式会社オービックコンサルタント様との業務
提携により、全国3000社以上の販売パートナーを通じて
全国各地での導入実績があり、上場企業および、その
関連会社でご利用頂いています。また、労務管理パッケージ
の「労務三昧」は、社労士業界では東海三県1位、全国4位
の市場シェアとなっています。
 
 
◆就職活動や働くことについて聞かせてください
 
私は前職でソフトウェアの開発会社に就職しました。
理由は簡単で、当時パソコンやプログラムといったものに
苦手意識があり、それを何とかしたい、深く知りたい、という
思いからでした。
  
入社当初、仕事が出来ずに、というか専門用語やソフトウェア
設計に関することが全くわからず、胃が痛い毎日を送っていま
した(苦笑)。途中でやめようか、と何度も頭をよぎりましたが、
先ず一年は一所懸命に頑張ろう、と心に決め、逆日めくりカレ
ンダーを自分で作り、自分を奮い立たせ仕事に打ち込みました。
 
このカレンダーをめくるという具体的な行動のお陰なのか、
半年くらい経った頃に、少しは仕事がわかるようになりました。
少しずつですが仲間やお客さまが認めて下さるようになり、
仕事にやりがいを感じるようになりました。
そうなるとお客さまが喜んでくれることが嬉しくて、土日も
休まずに働き続けました。
 
しかし、残念ながらその会社は業績が思わしくなく、賞与
は5年に2回だけでした。また、給与が遅配する時も間々あり、
最初の遅配時に多くの人が会社を去り、私はそれにとても大きな
ショックを受けました。同僚も先輩も無断で来なくなり、私も
考えた挙句、退職することにしました。5年間お世話になりました。
  
様々なことがありましたが、この会社で働かせていただき、
仕事について多くの学びを与えていただきました。今の会社と
自分があるのはまさしくこの会社での経験であり、大変感謝
しております。
 
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◆創業するきっかけは何だったのですか
 
ソフトウェア開発の会社を退職した後は浪人して会計士を目指
していました。会計士の資格を取り、会計事務所や監査法人に
入って働こうと思っていました。そんな時に、以前の会社のお客
さまからシステム開発を手伝ってくれないか、と相談をされました。
生活費の面もあり、私はアルバイト感覚で依頼された仕事を行う
ようになりました。
 
しかし、システム開発の仕事がだんだん忙しくなり、当初の
会計士の勉強も疎かになってしまい、見事に試験に落ちて
しまいました(苦笑)。結局、当時のシステム開発を依頼された
取引先の薦めもあり、人に望まれるうちが花と思い、また独身
だったので一人でソフトウェアを開発する会社を創業しました。
  
  
◆学生時代の考え方や行動の仕方を教えてください
 
学生時代というよりは、幼少期の経済的に辛い出来事が私の
考え方や行動するための基盤が出来ていったのではないかと
思います。生まれは瀬戸で、実家は3代続いた窯元でした。
    
家内工業であり、両親が朝早くから夜遅くまで働いていました。
母親は仕事が終わっても、夜また内職をしていました。合計で
15時間くらい一日に働いていたのではないかと思います。
  
小学校3年生の時に、友達の誕生日会に行き、友達の家で
出された料理の多さと美味しさに驚きました。
その時になんとも言えない感情が私の中を巡りました。
自分の家が経済的に豊かじゃないことを身を持って感じたのです。
 
経済的に報われないことを感じ、家業を継ぐのを諦め、自分で新しい
道を探していこうと決意しました。
  

◆自分に最も影響のあった事は何ですか
 
会社での出来事なのですが、数年前まで採用を部下に任せ、
適性と経験を重視した中途採用で行っていました。しかし、
そのように採用した社員が一年間で30%も辞めてしまった
ことがありました。理由は直ぐにわかりませんでしたが、
ある時に、退職する社員の一人にこう言われました。
  
「もっと社員を大切にして欲しい」
 
私はステークホルダーの中で一番大切なのは顧客で、二番
目が社員と常日頃から言っていました。理由は、顧客が満足
してくれて、私たちの製品を買ってくれるから、会社が存続する
のであって顧客が最も大切だと言っていました。
  
しかし、社員には違ったように伝わったようで「社員を大切に
しない社長」という印象だけがひとり歩きして社員との信頼関係
が築けていなかったのです。
私は、社員のことをとても大切だと思っていましたし、そんな
つもりは全くありませんでした。しかし、実際に退職者が多く
出たので、どうすればいいか、悩みました。
  
そして、悩んだあげく働く社員は「会社が好きかどうか」が
最も大切ではないか、と考えるようになり、人材の採用を
自分が行うようになり、また積極的に理念やビジョンを語り
それに共感してくれる人を採用するようにしました。
それからというもの、退職者もいなくなり、業績も良くなって
いきました。この経験は自分の未熟さを知ると共に、一緒に
働く大変さを学び、とても勉強になりました。
 
そして、そういった思いが何かを呼んだのかもしれませんが、
取引先のご紹介で京セラの創業者である稲盛和夫さんが
主宰される盛和塾へ2006年に入塾しました。
盛和塾では、塾長例会や経営に真剣に取り組まれている方々
との出逢いや事業のお話などを聞き、多くのことを勉強させて
いただいています。
  
 
◆理想の人生や将来の夢について聞かせてください
 
現在、開発中の新製品を軸に会社の売上げを10億、利益を
3億にしたいと考えています。この新製品をスタートラインにし、
さらに発展させていきたいと思っています。社員や取引先とは、
一人一人と良い関係になり、多くの時間を共有したいと
思っています。
 
また、今以上に人から必要とされる「徳ある人間」になれ
るよう、日々精進していきたいと思っています。私は「大義」を
自分の中に持つことが大切ではないかと考えています。会社
なら一瞬の成功ではなく長期的に必要とされる会社を
目指していきたい。
  
そのためには自分の中に「大義」を持ち、私利私欲では
なく、人のために尽くす姿勢でいたいと思います。
そして「何をもって幸せとするか」という問いを常に持ち、
本当に大切なことは何かを考えていきたいですね。
 
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◆夢や目標に向かって頑張っている人達に一言お願いします
 
好きな言葉に「大きな努力で小さな成果を」というものがあります。
    
一見すると回り道かもしれないけれど、一つ一つ努力すること
が大切なことなのではないか、という意味が込められたこの
言葉が好きですね。
 
正直、自分はつい目先の成功に欲を出してしまう時があります。
この言葉はそんな時の自分への戒めだと捉えています。
皆さんも頑張ってください。
 
 
◆本日は大変素晴らしいお話をありがとうございました
 
 

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ご紹介者様へ
  
深見社長をご紹介いただいた
株式会社名古屋コンサル21の
高間社長に、この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
高間社長インタビュー記事は こちら

起業家育成塾一同
 
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深見社長の静かでどっしりと構えられた姿から、
起業をされ、多くの経験や苦悩を乗り越えて来られた
重みを感じました。
 
自分の考えが社員の方々に違って伝わっていた時の
辛さや難しさがお話からにじみ出ていて、大変勉強になりました。
 
そういったご経験をされた深見社長の雰囲気と話される
内容はとても深く、心動かされました。本当に素晴らしい
お話をしていただきありがとうございました。
 
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
 
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株式会社インテルプレス 山本 真久 社長

2008-07-24 07:00:00 | インタビュー記事

●日時 2008年7月10日 10:00~11:00 
●場所 株式会社インテルプレス 会議室
●株式会社インテルプレスについての詳細は こちら
●インタビュアー 塾長 三潴 克彦 (みつま かつひこ)

 
●山本真久氏 プロフィール
南山大学経済学部卒業。
2000年4月に東海銀行に入社。2005年4月に
UFJ銀行(現:三菱東京UFJ銀行)を退社し、
インテルプレス代表取締役に就任。
 
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今回は東海地区を中心に就職活動の支援をされている
インテルプレスの山本真久社長に会社について創業の
きっかけと学生
時代のお話を中心に伺いました。
 
 
◆現在のお仕事について
 

現在のメイン事業は新卒の大学生向けに東海地方の
中小企業の紹介を行っていることです。東海地区には
大手企業中心の求人サイトなどでは見つけることができない、
素晴らしい中小企業が数多く存在しています。
 
中小企業の中には技術力が世界一の会社や近年急成長を
遂げている会社もあります。しかし、実際そのような会社の
学生さん達への認知度は低いと感じています。就職活動の学生さん
達がエントリーする会社は多くても100社ほどではないかと
思います。しかし、実際の企業の数はその何十倍もあり、
中小企業が日本の全企業の99%を占めています。
 
インテルプレスでは、そのような中小企業の強みや社風、
企業理念、福利厚生、最新技術など、その会社の光る部分を
見つけ、就職活動を行っている学生さん達にご紹介し、
支援していきたいと思っています。
 
また、東海地区の学生向けのフリーペーパー「REAL」の発行
を行っています。発行は年5回で、それぞれ3万部、学生の手で
企画、製作、配布を行っています。
 
 
◆会社を始めたきっかけは何ですか
 
学生の時から、なんとなく起業をしたいという思いが
あったのですが、具体的にどういった事業をするのかが
曖昧でしたし、人脈やノウハウもありませんでした。
そして、何と言っても起業するための1000万円
という資金がどうにもできませんでした。
  
その後、大学を卒業して、東海銀行に就職しました。
東海銀行で現在の共同経営者である平野と出逢いました。
 
彼と起業するためにいろいろ話し合いました。借入金が
少ないこと、粗利が高いこと、市場の需要と供給のバランス
に乖離が生じていること、市場自体がニッチであることなど、
全てに適合する業種で、限られた資金で起業できるのが
この人材業界でした。
 
私と平野は違うタイプということもあり、上手くお互いの
能力を補完し合っていると思います。彼との出逢いのお陰で
今の会社と自分がありますので、とても感謝しています。
 
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◆東海銀行でのお仕事について聞かせてください

 
東海銀行では新卒の学生の採用のお手伝いをしていたの
ですが、学生の中小企業への認知度が極めて低いと感じました。
最終消費財を扱う会社はCMなどで知名度が高いのですが、
商品の生産、加工をしている中小企業はそうなっていない。
 
ですので、学生の中小企業への認識のギャップを埋める
架け橋になれたら、と思いました。それが最終的に
今の事業に反映されています。
 
また当時法人営業も行っていたので、会計、経理といった
財務面での知識やスキル以外に営業力も学ばせていただき、
起業する際も起業後も大変役に立っています。
 
会社員として働く中、社会の厳しさを身をもって体験しま
した。辛い体験というのは、その時は必死ですが、後から
本当にいい意味で効いてきます。自分のことを見直す良い
機会になると思いますし、起業してやっていけるのもそう
いった経験があったからこそだと思います。
 
 
◆どのような大学生活を送られていたのですか
 
漠然と起業について考えていましたが、具体的に何かに
打ち込んでいた、といったことはありませんでした。
時代の流れということもあるのかもしれませんが、自分の
周りには、その当時起業したいという人はほとんどいま
せんでした。
 
ただ講義を聞くということが自分の中で腑に落ちず、
大学に行っても朝から夕方まで講義に行かないで友人達と
ずっと話していた、というケースもたくさんありました(苦笑)。
 
ただ、これは中学校以来のことなのですが、ものすごく
多くの本を読んでましたね。それから、大学生の間に非常に
多くの人と話しました。
 
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◆理想の人生と将来の夢について聞かせてください
 
会社は4期目を向かえましたが、まだまだ未熟ですし、
課題も多くあります。ですので、今は自分達の目先の
ことを精一杯頑張っていきたいと思っています。
  
  
◆夢や目標に向かって頑張っている人達に一言お願いします
 
やはり学生さん達や20代の若い方々には、好きなことを
とことんやって欲しいと思います。人生は一度しか無い
ですし、一生懸命やりたいことに打ち込むといいと思います。
ただし借金には気をつけて下さいね。頑張ってください。
 
 
◆本日は大変お忙しい中、本当にありがとうございました
 

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ご紹介者様へ
  
山本社長をご紹介いただいた
セレンディップ・コンサルティング株式会社の
高村社長に、この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
高村社長インタビュー記事は こちら

起業家育成塾一同
     

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山本社長はとても静かな方でした。
起業する前に社会人としての経験を積むことが
大切だとお話をされ、起業されて4年目ということ
でしたが、とても冷静に行動、判断されている印象を受けました。
 
社会の仕組みを知り、自分の人生をどうしていくかを
しっかり考えていくことが大切だと、お話してくださり、
自分をしっかり見直す機会をいただきました。お忙しい中、
インタビューにお答えいただき本当にありがとうございました。
 
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
 
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