■起業家育成塾トップインタビュー

夢を生きる方々に学生がインタビュー

ミワ エルマノス株式会社 三輪 緑四郎 会長

2009-07-17 07:00:00 | インタビュー記事

004b
経営の第一線でご活躍されてきた三輪緑四郎氏にこれまで
歩まれてきた軌跡からご自身で設立された会社や仕事観など

幅広くお話を伺いました。

  
  
◆ミワ エルマノス株式会社の事業内容を教えてください
 
ミワ エルマノスのメイン事業は、商社と投資です。
昭和42年の3月に創業し、今から10年程前まで精力的に事業を
展開してきました。現在は、私がこれまで培ってきた経験や知識を
少しでも次の世代にお伝えし、活用していただければと思い、
ベンチャー企業の創業者などに対して、ご支援をさせていただいて
います。
 
 
◆どんな商品を扱われていたのですか?
 
主に新しい技術や商品に関わるものですね。また、それらの事業を
行っている企業に投資を行ってきました。私は創業して以来、ソフト
ウェアや半導体、レーザーなど、次の時代を担う技術や商品に可能
性を感じ、会社で扱ってきました。
 
   
◆新しい技術や商品をどのように見つけるのですか?
 
まず、当たり前ですが、調べることから始めます。創業間もない頃、
大学の研究機関に問い合わせて、教授に直接お話を伺いました。
また、東京にある各国の大使館に足を運び、海外の動向をお聞き
しました。そうするうちに、人を紹介していただいたりするので、
人脈が拡がっていき、情報も手に入りやすくなりましたね。
 
 
◆投資を行う際のポイントは何ですか?
 
まず、必ず成功するというケースはわからないと思います。
常に最悪の事態や損失を想定して動くことが大切です。数字で
見える部分と人の気持ちという見えない部分の両方をよく考えて
行動することが重要です。
 
  
◆逆に投資はどんな時に失敗しますか?
 
投資は失敗することの方が多いと感じますね。おそらく原因は、
「欲とプライド」なのではないかと思いますね。欲がありすぎると現実
を見る目が、欲によってぼけてしまいますし、プライドが高すぎても
判断に狂いが生じますね。引き際を投資を行う前によく決めておく
ことが大切です。
  
今お話させていただいたことに関して、私は小学校までの基本的な
生活が非常に大切ではないかと思っています。良いものは良い、
悪いものは悪いという判断ができない幼少期に、きちんと家庭や
周囲の環境から判断基準を教えられた人は、大人になってから
事業を行ったり、投資を行う際、適切な判断ができる人間になると
思いますね。ですので、投資を検討させていただく場合、経営者の
人となりを見たり、その方についての周囲の声を聞くことを常に
心がけてきました。
  
人間は弱いと思います。残念ながら大きくなり、たくさんのお金を
持つと人が変わってしまうこともあります。非常に真面目にコツコツ
やられていた方が、株式公開し、莫大なお金を手にしてから、
どんどん変わっていってしまったこともありました。
  
010b
  
 
◆会社を始めたきっかけは何ですか?
 
独立したい、自分の力を発揮したいという思いは昔からありました。
母が花が好きだったので、独立したら花屋をやろうと考えていた
こともありました。しかし、小さい時から、発明家になりたいと思って
いたこともあり、新しい技術や商品に関する事業をするように
なりました。
 
 
◆会社を創業されるまでについて聞かせてください
 
大学を卒業して、興服産業株式会社(現:興和株式会社)に入社しま
した。興服産業という会社の創業者は、服部兼三郎という方で、
その後、私の父の三輪常治郎 が会社を引き継がせていただきました。
  
創業時は、繊維を中心に扱っていましたが、終戦後、付加価値が
高い医薬品や光学機器に関する商品を扱うようになっていきました。
私は入社してすぐ、光学工場で働きました。元々、ものづくりや
技術開発に強い関心があったので、仕事は楽しかったですよ。
翌年、本社に戻り、取締役になりました。昭和29年には副社長に
なり、その後は、代表取締役もさせていただきました。
 
昭和43年、興和株式会社の代表取締役を辞任し、同年に、興和地所
株式会社の代表取締役になりました。不動産事業がメインで、マン
ションやSOHOの建設を多く手がけましたね。
 
今でも切実に思うことは、入社以来、私は多くの方々に支えられてきた
ということです。仕事でたくさん失敗したこともありました。しかし、周り
の方々が私を助けてくださり、そのお陰でやってこれました。本当に
人に恵まれ、感謝にたえません。
 
  
◆仕事観を教えていただけませんか?
 

考えたらすぐやることです。いいと思ったらやってみる。失敗することは
当たり前だと思います。やってみてわかることの方が多いですから。
また、成功した人の真似をすることが大切だと思いますね。まずは、
いろいろと成功事例や最適な方法を調べて、それから自分で取り組ん
でみることです。あとは、私は新しいことが好きなので、新しい動きは
常にチェックしていますね。
  
002b
 
  
◆今後考えられていることはありますか?
 

次の世代のお手伝いをさせていただきたいですね。会社経営などに
関して、わからないことやできないことがあれば協力させていただき
たい。問題解決を行うことは仕事の中で、とても重要なことです。
 
 
◆最後に一言お願いします
 
最近、いろんな人によって自分が助けられてきたと強く感じます。
今までの人生、私は多くの方々とのご縁やご支援のもとに生きて
きました。これには、人と人との間に見えない力が流れていることを
感じざるを得ません。そう考えると、ますます何か人のためにお手伝い
させていただきたいと思います。何かあれば言ってください。
協力させていただきます。
 
 
◆大変貴重なお話をしていただき本当にありがとうございました
 
 
*****************************
 
長い間、経営の第一線でご活躍されてきた三輪様の言葉は
シンプルながら非常に重みを感じました。今回のインタビューで
私が学んだことは、幼少期の体験や環境がとても大切であり、
小さなことを大切にしていく姿勢が、長期的にはとても大きな
影響となり、その人の人格や人生になっていくということです。
素晴らしいお話をありがとうございました。
 
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
 
*****************************


日本インフォメーション㈱  深井 貴伸 社長

2009-07-01 07:00:00 | インタビュー記事

●日時 2009年6月18日 10:00~11:30
●場所 日本インフォメーション株式会社 応接室
●日本インフォメーション株式会社のホームページは こちら
●インタビュアー 起業家育成塾 三潴 克彦 (みつま かつひこ)
  
●深井貴伸(ふかい たかのぶ)氏 プロフィール

1955年愛知県一宮市生まれ。
1987年、大学時代に明け暮れていた
コンピュータプログラミングを活かしたくて
当社に入社する。以来、技術開発、営業、
経営に携わり、2003年より現職となる。
 
008b   
今回のインタビューでは、基幹システムの開発をメインに事業を
展開されている日本インフォメーション株式会社の深井貴伸社長
に、ご自身で主催されている交流会のお話や入社時から
現在ま
でのエピソードを中心に語っていただきました。

 
 

◆面白い交流会を主催しているとお聞きしましたが?

交流会の名前は「餃子の会」と言うのですが、参加者の年代は
バラバラで、学生から若手社会人、起業家が集まっていますね。
在学中に起業した人たちもいますよ。会社を創業したり、経営して
いると思うようにはいかないことが多々あると思います。
そんな時に参加して、わいわい盛り上がりながら意見交換したり、
課題解決のためのアドバイスを求めたりし、経験知の共有ができる
場にしたいですね。参加者はだいたい30人から35人ぐらいです。
来るものは拒まずの自然な流れに任せるスタンスで、会員は合計する
と80人くらいいると思います。
 
  
◆始めたきっかけは何だったのですか?
  

7年ほど前に、経済産業省が産業活性化のためにクラスター計画
というプロジェクトを始めました。その際、IT企業がそのプロジェクトの
中心になっていました。私達の会社も参加したのですが、その流れで、
現在まで続いています。当時は経済産業省で働く方や大学の先生、
行政関係の方など、数多く参加されていました。「餃子の会」という
名前になったのは、参加者同士で餃子を食べたいよね、といった
流れからそうなりました(笑)。
 
 
◆経営理念の『わくわく・ドキドキ・おもしろおかしく』について
 詳しく聞かせてください

  
私達が新卒で入社した当時のことですが、月の平均残業時間が
80時間くらいだったと思います。パソコンなどなく、コンピュータを
交代制で1回/1日(1時間程度)使えれば良い方という時代でした。
自分の仕事が夜に割り当てられた時は、当たり前のように徹夜で
した。それで次の日は、寝ずに出勤なんてよくあることです。
 
でも、仕事はとても楽しかったんですよね。大変なことも多いけど充実
していました。特に大きなプロジェクトの場合は、終わったときに行う
打ち上げが格別でしたね。「お疲れ様」と乾杯するのが最高です。
大変な仕事をやり遂げるからこその喜びや楽しみがあると思いますし、
仕事は本来楽しいものだと思います。
  
私が若い頃のことですが、仕事中に喫茶店などに入るということは、
会社の上司や先輩の方々とコミュニケーションを取る時間でした。
悩みや困っていることなどを親身になって聞いてもらったり、アドバイス
をもらっていました。あえて上司と部下の面談の時間を設けなくても
自然とお互いのコミュニケーションが取れる場所が数多くあったように
思いますね。だから会社にも自然と一体感がありました。こういった
流れをもっと作っていきたいですね。
  
  
◆先程お話していただいた「餃子の会」でも自然な流れを大切
にして運営されているとおっしゃられていましたが
 

人が集まって交流すると言っても、勉強のための勉強会にしては
いけないと思いますし、フランクな雰囲気の中で、自然と相手が
言うことに、面白いアイデアやヒントが詰まっていると思います。
カチっと勉強会をやってもなかなか質問も出にくいですし、そういう
時は後で聞こうと思ってしまいます(苦笑)。 
   
015b
 
 
◆事業について聞かせてください
 

メイン事業は、企業の会計、販売、生産管理などの基幹システム
の開発ですね。物流、搬送システムの開発やWebサービスシステム
の開発なども行っています。システムの開発は、大手メーカーそれ
ぞれに、決まったアーキテクチャがあるので、私達はそれらに合わ
せてシステム開発を行っています。
  
 
◆経営において大切にされていることはありますか?
 

社内の行動指針にも書いていることですが、当たり前のことを
当たり前に行うことが大切だと思っています。
朝の「おはようございます」という挨拶や掃除をすることは、
その中でも最も大切なことだと思います。
他には、人との交わりは多くあって欲しいと思いますね。社外のコミュ
ニケーションも増やして、新しいことをひらめいたり、アイデアを生む
機会を作っていって欲しいですね。
 
 
◆御社の強みは何ですか?
 
システム開発の技術者達のオブジェクト開発のスキルの向上を
目指してUMTP資格の取得率の日本一を目指しています。
やはり外部と仕事する時にUMTPの資格を有している技術者ですと
その分、信頼されると思いますし、資格を取得することで、自分で
課題を見つけ勉強し、個人の能力アップにも繋がると考えています。
 
 
◆深井社長が現在の仕事をされるようになったきっかけは
何だったのですか?
 

新卒で入った会社が今の会社だったんですよ。大学の先輩が日本
インフォメーションに入社していて、大学に採用の募集が来ていたん
です。学生時代からコンピュータプログラミングをやっていて、それを
活かしたいという思いもあり、入社を決めました。
  
入社してすぐに大阪に行けと言われまして、これが私の人生の転機
になりました。配属先で出逢った新入社員の同僚は全員で5人だった
のですが、理系の中でも最高学府の大学を卒業している人達ばかり
でした。でも、そんな人達と一緒に働けるということが何よりも嬉し
かったんです。大学在学中は、コンピュータプログラミングに没頭して
いましたから、システム開発に関しては私の方が詳しいくらいでした。
最初の仕事はFortranのコンパイラ開発でしたが、これは今思い出し
ても楽しい仕事でしたね。
 
また、大阪に行って大きな衝撃を受けました。私は愛知県の一宮市
生まれなのですが、実家が農家で、ゆっくりした雰囲気の中で育ち
ました。だから大阪に行った時は、本当に驚きましたよ。だって、
仕事も何もかも育った環境とは全然違っていて、吉本新喜劇が
日常で行われていましたから(笑)。私は元々人と話すのも
あまり得意な方ではありませんでしたが、これは黙っていては損だと
思いましたね(笑)。それからは何か吹っ切れたような感じでした。
  
入社してすぐに全く違った環境で仕事を始めたことと、そこで様々な
人と出逢ったことが私を変える1回目の大きなきっかけになりました。
大阪には5年いて、その後、技術開発の他には、営業や経営に
携わり、2003年より現職です。
 
 
◆1回目のきっかけとおっしゃいましたが、深井社長は他にも
何か大きな影響を受けられたことがあるのですか?
 

私が自分で変わったな、と思ったことは2回あるのですが、2回目は
1990年代後半に経営情報学会の東海支部に入り、そこで出逢った
当時の支部長さんの影響ですね。某大手企業出身の方だったの
ですが、本当に厳しかった。甘い考えや浅はかな考えで行動していると
気づかされましたね。自分の意見を伝えることの難しさを知ることが
でき、成長していると実感しました。この方との出逢いは今でも
印象深いですし、大変感謝しています。
 
017b
 
 
◆深井社長の夢や目標を聞かせてください
 

今の不況を乗り切ることがまずは第一ですね。私は今年で54歳
になりますが、次の世代へと上手くバトンタッチするための取り組みを
行うことが大切だと思っています。企業が成長していくために、若い
世代の人達には、本当にやりたいことや好きなことをやって欲しい
ですね。
  
  
◆夢や目標に向かって頑張っている人達に一言お願いします
 

夢を持つというと難しく考えてしまいがちになると思います。本当に
大切なことは好きかどうかではないでしょうか。村上龍さんの『13歳の
ハローワーク』の中で、世の中には、仕事を好きでやっている人と
そうでない人の2種類に分かれ、その核になるのは好奇心では
ないかと書かれていますが、私もその通りだと思います。
 
何事も好きであるということが最も大切なことだと思いますし、好き
じゃないと続かないと思います。でも、自分は本当は何が好きか
ということは簡単にはわからないし、偶然発見するケースの方が
多いと思います。だからこそいろんな可能性を広げるために、
人と知り合う環境を作ったりして、自分を創っていくためのタネを
蒔くことも重要なことだと思いますね。
 
 
◆本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました
 
 

*****************************
 
深井社長は、終始理論的にお話されましたが、しばしばユーモアに
溢れた話題も登場し、とても起伏に富んだインタビューになりました。
最も印象的だったことは大阪に赴任された際の環境と人の変化
から影響を受けられたお話で、このエピソードからはとても多くの
ことを学ばせていただきました。大変お忙しいところインタビューに
お答えいただきまして本当にありがとうございました。
 
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
  
*****************************