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建築設計者の日々是好日

建築家として感謝をもって生きる日々の記録

オープンスクール

2020年03月01日 | 活動

私の母校の小学校で学校公開があったので行ってきた

昨年まで学校公開だったが、今年はオープンスクールという呼び名になった
なぜ変えたのか校長に聞かなかったが、50年近く前の大学時代の設計の演習で使った「開かれた学校」に出ていた懐かしい名前でなんとなくうれしかった
 
この学校で数年前から地域協働学校委員をしているが、ここでは従来の先生から生徒たちへ一方的に教えるスタイルから、生徒の自主性を育み自分たちで学習する手助けをするスタイルへと意識を変える取り組みを始めている
カリキュラムのこともあり、全ての授業がそうできているわけではないが、今日のオープンスクールでは、子どもたちがそれぞれの知りたいテーマを自由に調べて発表するという形式で行われていた

この学校では以前にも取り上げた通り、OECDが目標とするキーコンピテンシーを会得させることを重視している
キーコンピテンシーは3つのカテゴリーがあり、
 社会、文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力
 多様なグループにおける人間関係形成能力
 自律的に行動する能力
の習得を目標にしている
自動車の仕組みについて発表した3年生の子どもに作った資料はどのように調べたの?と聞くとインターネットと図書館で図鑑などを使ったということだった
そこから写真やイラスト、文章を取り出してパワーポイントでまとめて発表していた
目標に近い成果が出てきていると感じている
 
ほかに個人的に音楽やスポーツの発表する子どももいて、多くの保護者が自分たちの時代の教育スタイルと違うことに感慨を覚えたのではないだろうか

いつかこの子どもたちが社会に出て活躍し、この地域のコミュニティの一員として参加してほしいと思い、そしてするであろうと確信している

開かれた学校

2016年07月20日 | 活動
先日、大学時代の教科書で「開かれた学校」を見直す機会があった
この本の主題は、建築計画上の学校建築の方向性を提案しているものだが、子供の教育手法や方針、学校という機能が地域にも開かれていることが大切だということが述べられている

今年4月から私の母校が地域協働学校に指定された
その協議会では、学校教育の枠を超えた地域との協働による教育の充実を検討している
学校からは、昨年の準備校段階から2015年度に文部科学省が打ち出した「OECDにおけるキーコンピテンシー」取得に関する教育方針が示されている

キーコンピテンシーは3つのカテゴリーがあり、
 社会、文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力
 多様なグループにおける人間関係形成能力
 自律的に行動する能力
の習得を目標にしている

「開かれた学校」では、
 一斉学習から一人一人の子供の進度に応じた学習
 自主的に勉強してゆく能力、責任を持って意思決定できる能力
 教師は教える側から助ける側へ
 運営に保護者の参加
などが掲げられており、45年ほど前にすでに文科省の目標とするOECDの基準を先取りしていたことがわかる

『歴史は繰り返す』ではいつまでも発展はない
今度こそ、先達の提案してきた新しい教育を実践することが求められる
そして、その継続性が問われることになる
我々委員は、その仕組みづくりのサポートをすることが大切だと考えている

空間ワークショップとファシリテーター

2016年05月01日 | 活動

 建築家協会中野地域会で小学生を対象に行っている空間ワークショップは三多摩地域会を始め各方面にも広がりを見せている
 この秋にも近くの小学校で実施を計画させていただいている

 このワークショップで講師を務めている建築家はファシリテーターと称している
あまり聞きなれない言葉かもしれないが、始めから教えるのではなく自発的な学びを手助けする役割をする者を指している

 私たちの活動は、角材を使って家をつくりまちを作ろうというワークショップであるが、単に構造やデザインを教えるというスタイルではなく、簡単に導入を手助けしたあとは、子供達自身が角材を使ったものづくりを身体的に実感してもらうことを重視している
そのなかからすぐにはこわれない構造のしくみや、美しさ、実用性などを考え理解し、家が集積してまちを作る意味や効果としての景観まで理解してもらうことを期待している
さらには仲間達と共同して作業することの大切さやよろこびを学んでほしいと考えている

 こども達の希望やアイディアを理解し、自由な発想をのばし、個性ある創作を促すことは根気が必要でなかなか難しい
しかし、こども達が自分の意思で方針を選択し、ものづくりをしてゆく喜びを知ってもらうことこそ私たちの喜びでもある
ティーチングからファシリテーションへ
これからも、我々自身がさらなる挑戦をしてゆくことが大切と信じて活動してゆきたい


近藤 弘文@イデア建築研究所


卒業式のシーズン

2015年03月25日 | 活動
今日は出身小学校の卒業式に出席してきた。
学校評議員として来賓の立場だった。
毎年恒例で同じような進行だったが、今日はなんとなくいい雰囲気だった。
読み聞かせや、空間ワークショップのボランティアを通じて顔見知りの児童がいたこともあるかもしれない。
しかし、卒業証書授与の後の校長先生の祝辞が良かった。
「ありがとう」「ごめんなさい」「さようなら」の3つの言葉の効用を紹介し祝辞としたのだ。
それぞれ、感謝、勇気、独立をあらわし、彼らのこれからの長い人生に向けたメッセージとしていいものだと感じた。

そしてこれも恒例の4、5年生による卒業生を送ることばとコーラス。
それに応える卒業生の歌声が素晴らしかった。
終了後に参列者が口々に聞き惚れたと賛辞を送っていた。

かくいう私も保護者として息子の高校卒業式に出席した。
こちらは体育館が大きく、天井が半円形で祝辞やコーラスの響きが良くなかった。
この高校の設計には、建築家協会のメンバーが建設委員会に参加していたということなので残念なことである。

今日の小学校の卒業生の将来を語る言葉の中に「建築家を目指したい」というのを聞いた。
空間ワークショップのボランティアで昨年の秋に担当した子供たちだったので、少しは建築の楽しさをわかってくれたのかなと一人うれしかった。
卒業生には夢を追い続けてチャレンジして欲しい。

杉並の空間ワークショップ

2010年07月17日 | 活動

建築家協会中野地域会のメンバーを中心に杉並区の小学校に行き恒例の空間ワークショップを実施した
小学生たちに細い木の棒と太い輪ゴムを配り、それらを使って家や構造物を造るワークショップだ
子供たちの生き生きとした顔に建築の力を感じることができた

実はこの方式は大変省資源だ
ごみが出ない!
切れた輪ゴムとテーマを書いた紙くらいしか捨てるものは無い
ひいては省エネにもなっている
実際の建築でも考えて行かねばならないことだ


さくらガーデンお花見

2009年04月06日 | 活動
久しぶりにさくらガーデンのお花見に参加して来た
早いもので8年目になるこのコーポラティブハウスには大勢の方々がお花見に来ていた
聞くと、建設前にこの桜の下でお花見をして以来、建設後は今日が初めての桜の下でのお花見とのこと
大きなしだれ桜は満開で皆見上げて写真を撮っていた

長老格のHsさんが私が着くなり、「見てくださいよ」と言ってレンガで作ったピザ釜を見せてくれた
作るとは聞いていたがこんなに立派なピザ釜とは思わなかった
そこでピザを焼いたりパンを焼いたり、焼き芋、温野菜、肉なんでも作れてしまう
みな焼きたてを食べたくて釜の回りに集まって来てしまう
火の力は偉大だ

おなかも落ち着いて話をし出すと、賃貸棟のNさんは単身だったのに福岡で嫁さんを見つけてもう子どもまでいる
Nさん自身は岩手出身、奥様も福岡なので横浜にいる必然性は無いのに戻って来てしまったという
他にも横浜国大のF先生が結婚、同じく独身貴族だったH氏も結婚と賃貸棟のおめでたが多かった

この小さなコミュニティが地域の活性化に寄与しているとしたら、苦労した甲斐があったということでうれしいことだ
末永く見守りたいと思う


まちづくり;図書館と公園連携提案

2008年08月08日 | 活動
先日,新宿区長と区民のトーク集会があり、まちづくりのメンバーと出席して来た
平日夕方にも関わらず地区センターの会場は満席だった
地区が少し違うことで遠慮して中盤以降に西落合まちづくりの会からの提案をした
「ライブラリーパークの提案」という2ページのプリントと現状の写真と提案をビジュアル化したモンタージュ写真のセットをお渡しして説明
公園の中の図書館という恵まれた立地なのに、公園となんの交流も出来ない現状の図書館を一体的に融合させてより魅力的な地域の核に生まれ変わらせるという提案だ
現状の公園側の塀を取り払い外壁を抜いて公園に向かってオーニングを出すことで、お茶を飲みながら本を読むことが出来るようなしつらえをすれば、「子どもを公園で遊ばせながら母親がテラスで本を読んでいる」というような情景を実現できますというようなことを説明させて頂いた
これに対する区長の反応はすこぶる良好なものだった
所管部署が違うことで連携がうまくいっていないことを認めながら,区民として当然の要望としてご理解頂いた
さらにその先に,図書館の指定管理者制度を見据えて受け皿の体制作りを考えてほしいとのお話までいただいた
これは、実現の可能性が高いと同時に住民側の責任も重いものがあると受け止めた
今後どのような展開を目指すべきなのか関係部署を含めて詰めて行く必要があるが、意義のある夕べだった

まちづくり2;通り名愛称,図書館,小学校

2008年03月17日 | 活動
今日は西落合まちづくりの会の会合に参加した
区役所から地区計画担当のO課長さんがお見えだった
始まる前に雑談をしていてわかったことだが,Oさんは世田谷にいらしてまちづくりセンターの所長さんを勤められていた
まちづくりセンターと言えば,この世界では有名なのです
出資金を集めてその利子で住民の活動支援をするという仕組みは行政のそれまでの発想を遥かに超えたものでした
思えばかれこれ20年近く前の1990年頃,建築学会でH氏のお誘いで世田谷のまちづくりに顔を出したのが始まり
私はその仕組みが出来上がるのを見届け,自分のまちのボランティアに入ったのでした
そして,世田谷の先進的な取り組みを見て頂くために,西落合の皆様と太子堂近辺を訪問したものです

会議が始まる前に,昔懐かしい職員の方々のお名前に話が弾んでしまいました
会議は通り名愛称の復活検討からはじまり,先だってS氏のアイディアで検討を始めた図書館の活用についてご意見を伺いました
今の現状と問題点,改善のアイディア,希望,具体策などお話しさせて頂き,今後の進め方に付いて検討頂くこととしました
また,A氏から図書館だけでなく小学校の時代にあった改善策も提案されました
児童数が減っていることに関連し,半分を高齢者のホームにしてはどうかとのご提案です
私はそれに加えて,0歳児からの保育園の併設をご提案しました
これにより,この地域の幼児を持つ世帯の定着率が上がり,まちの多世代化が進むことを期待します

また,神戸の震災後の視察の経験から,小学校は平時は学校でも震災時には地域の救援活動の拠点になると申し上げました
児童数が減っているから廃校ではなく,住民と行政が知恵を働かせてよりよく住み続けられるまちづくりをするために,次の世代にこの財産を有効に引き継いで行くことが大切です
都内には学校と他の施設の合築(がっちく)という事例もあります
方法はいろいろあるはずです

ちなみにこの小学校は今年で創立50周年です
私はこの学校とこのまちの次の50年に希望を持っています

まちづくり

2008年03月02日 | 活動
私は何年か前から西落合というところのまちづくりに関わってきた
40をすぎたら何かボランティアをしたいと考えていたことや、地域に同年代の建築家仲間がいたこともあり、結構打ち込んだ
しかし、いろいろな環境の変化から急速に活動はしぼんでしまった
それでも、細々と活動は続いていて、今日は元町会長の奥様が引き合わせたい人がいるからというので、元会長のお宅でお会いしてきた

事前にいただいていたその方のまちづくりにたいする考え方は、素人離れしたしっかりしたもので感心していた
お会いしてみると、保険関係の会社にお勤めとのこと
自宅をつくるのに土地を探しまわって、結局西落合に決めたという
西落合を外から見て比較検討していいと思い住むことにした方が、まちづくりに参加してくれるのは非常にうれしいことだ
いろいろお話させていただいたが、その方は建築学科出身の異色の保険マンだということがわかり、私の疑問が氷解した

その方のテーマはまちづくりの中でも、私権に関わらないで済むためこれからのひとつの課題としていいのではないかとお話しした
まちづくりは、すぐには目に見える形にならないので関心が薄いが、私権に関わることになると今まで無関心だった方が急に活発になるという経験をしたことがある
何をもって「まちづくり」とするのか?
まちづくりというと、道路や建築のハードの部分をイメージされる方が多いと思う
しかし最後は「自主的な自治システムの確立と」いうことになるのだと思っている
自分のまちをどうするのか自分で決める、自分でつくる、自分で管理運営する
これらをまちの住人が、どのようなシステムで決定してゆけばいいのだろうか

私は世田谷のまちづくり活動の揺籃期を10年ほど見てきた
世田谷は結果的に出資金を集めてその運用益でまちづくり活動を支援するというシステムを作り上げた
それまでの、関係者の方々のご苦労も見てきた

西落合はこれからじっくりと西落合にあったシステムを構築してゆかなければならないだろう
世田谷での合い言葉は、「住み続けること」だった
実はこれには税制等、自治では何ともしがたい問題があるのだが、これなくしてコミュニティの形成、保持は不可能だ
西落合がどのような道を切り開いてゆくのか、次世代のためにもあたたかく見守りたい

壁から雨漏り;建築設計監理業務不存在

2008年02月24日 | 活動
ある方からの依頼で杉並で建て売りを購入した方が雨漏りで困っているので力を貸してほしいとのこと
お会いしたのは若いご夫婦でやっとマイホームを購入したのに新築後すぐに雨漏りが始まったとのこと
事情をお聞きすると、建築条件付きの土地を購入、その建築業者に希望の家を建ててもらったが、設計者は途中でいなくなり施工も丸投げとのこと
私の前に建築士の方に相談していたが、進まないので相談したいとのことだった
よく聞くと、その建築士は下請けの業者と直接話し合いをしていて、そのまま修繕をすると保証も受けることができない状態になりかねない
公的な保証機関との瑕疵保険が取り交わされていることを確認して、保証機関から検査機関への連絡、現場確認等を経て、結果的に壁の防水シートとサッシ回りの接着テープが接着されていないことが原因と指摘した

その後、元請けの責任で外壁モルタルを全面的にはがし、下地の防水シートからすべてやり直ししてもらうことになった
ここまでの交渉には施主の奥様の粘り強いやり取りが功を奏した
私の役回りは、知恵を授け交渉の進め方とポイントを説明、基本的には表には出ないし業者と名刺交換もしないというものだった
前の建築士の方が直接業者と打ち合わせて交渉するのとは180度反対の対応で、奥様ははじめは戸惑っている様子もあったが結局それで成功したと思う

ここまで成功した事例は少ないかもしれない
業者の不誠実な対応、業者の計画的倒産、不当な逆損害賠償裁判など消費者の側は初めての事態に右往左往するのが常ではないだろうか
私も建築家協会の相談委員会の友人に相談したりしたが、裁判をしても時間と労力がかかりすぎて、交渉で修繕をしてもらう方が得策と判断した

この事件の構造は、土地売買に建築条件をつけていること、設計施工であること、設計監理業務があってないに等しいなど、他の事件でもいつも問題になる条件を満たしている
建築家協会は、各方面に様々な機会を捉えて設計業務の法的独立化を訴えているが、例の耐震偽造事件でも何ら改革はされていない
これら建築家協会の立場を日本社会にご支持いただけるようお願いしたい

創造性と想像力

2008年02月09日 | 活動
昨日、「ハマの空き家を活用する会」の発足パーティーに行ってきた
わたしたちの作った「さくらガーデン」の発表をH女史と行った
正式に発表していないのだが、予想外に注目を集めているらしい
わたしの所に、横国の院生がさくらガーデン」の調査に来たがその後音沙汰なしだったので、もうやめたのかと思っていた
ところが、建築学会の大会で発表していたらしい
「話を聞きにきたのだから挨拶くらいしてくれよ」
というのが、本音

まあ、そんな人たちのおかげで世に出ているのだから感謝、感謝
ただ、内容には誤解もあるし、作った本人からしてみれば掘り下げも不足だ
やはり、自分たちで公式発表をするべきだということになった
今年の建築学会で発表しようと準備を始めている
今年の建築学会は広島だ
広島は一度も行ったことがないので楽しみだ

そういえば、建築学会も久しぶりだ
子供が小さい頃に福岡にベビーカーを押して行ったことがあった
かみさんの発表している間、子供と市内のホテル巡りをしたりしてそれはそれで楽しい思い出だ

そうそう、お題目の「想像力と創造性」逆だった
「さくらガーデン」は、いろいろな手法を組み合わせているが、世の中にないものだった
それで注目されているようだ

わたしの持論だが、想像力だけではプロジェクトは成功しない
想像力が必要だ
計画したものが、どうやって人々に使われ、時代とともにどのように変化してゆくのか?
これを事前によくシュミレーションしておかなくてはいけない

さくらガーデンは、人間性豊かな集住体の研究会でみんなと長い時間をかけて考えてきたことの一つの表現ともいえる
だから、成功したと言える
私が作っているのは、ハードな建築物というイメージをお持ちの方が多いと思う
でも、実際にはそこに至るまでの時間の方が、建築物をつくる時間よりずっと長い
この部分に人生のほとんどを費やしていると言える
創造性も想像力も「考えること」
そして「表現すること」

「創造性と想像力」が今までにないものを目に見えるようにし、世の中で成功させる秘訣だと思う