建築設計者の日々是好日

建築家として感謝をもって生きる日々の記録

私の建築について;集住体で考えたこと

2023年01月09日 | 私の建築について

今年は古希という人生の区切りの年齢で幕を開けたので、しばらく私の建築について振り返って見ようと思う。初めにちょっと変わったところから。

私は人間性豊かな集住体という研究会を主宰していた時期がある。

そこで議論したかったのは、建築が街になっていく要素、街になるために必要なことはなんなのか?ということで、突き詰めて言えば建築の集合体はどのようにして街になるのか?ということ。

そこでの結論は建築が集まっているだけではダメで、建築に個性が反映されていて、かつそこにコミュニケーションが生まれ、「人間的コミュニティを形成できるか」どうかという点にあるということで、どのようにすればそれを実現できるか?が課題だった。

そこで実践的にそれを実現すべく、研究会メンバー数人が核となり、あるところでコーポラティブハウスを企画、建設、運営支援まで行い、コミュニティの創出を計画することとなった。コーポラティブハウスを選んだのは、家づくりの各段階から共同で話し合いをして完成後の住まい方の方向性を共有できると考えたからだった。

その際、研究会でコミュニティについて話し合っていた「ズカズカベタベタはダメ」というベースを守りつつ、共有の何かをコミュニティの核になる何かが必要と考えていた。研究会のメンバーの一人が「農ある暮らし」というコンセプトを提案し、中庭に農園を作りそれを囲んで住戸が配置される形式でコミュニケーションを誘発することを考えた。

このコーポラティブハウスが実現した背景や手法の概要は建築学会で発表したが、かいつまんで言えば、「定期借地権方式」「借地権終了時買取特約」「スケルトンアンドインフィル方式による自由設計」「農ある暮らしという明確なコンセプト」と言える。

元は農地だったところなので、農地転用など法的な解決も必要だったが、各方面の協力を得て無事実現できた上、出来上がった後が素晴らしかった。

4軒の参加者たちは土地の段階から共同でことに臨み、定期借地契約、融資、設計、施工段階と進めてきたこともあり、完成後には農園クラブを作り、4季に応じたお祭りを行なっている。さらには近隣の方々にも農園に参加していただけるような活動を展開した。これはコミュニティの卵を育てていることと言える。

これからもこの人たちを暖かく見守っていきたい。


今年のレモン

2022年11月21日 | 家庭菜園と緑

例年たくさんの花が咲くけどなかなか実が大きくならないレモンの木に4個の大きな実が残っている

オザキフラワーパークの会長さんから肥料が足りないのではというアドバイスをいただいたので、それからせっせと肥料の追加をしてきた甲斐があったようで感謝!

やはりプロは違うと思う

だんだん黄色くなってきていて目立つようになり収穫を楽しみにしている


建築の電気設計プロフェッショナルを守る資格を作るべきだ

2022年10月18日 | 建築

2008年に「真のプロフェッショナルの受難」という記事を書いた

「それにしても、耐震偽造事件以降の法改正の動きは何か変だ
現時点で頼りになる老練なプロフェッショナルを切り捨てるような結果になっている
実力のない資格だけの稚拙なえせプロフェッショナルばかりになっては、誰をたよりに設備設計をすればいいのかとまどうばかりだ
問題が社会に重大な影響を与えないうちに見直しを希望してやまない」

それから14年が経とうとしているが、建築設計者のうちの電気設計のプロフェッショナルはだんだんいなくなってきて、まさに風前の灯となっているのではないかと危惧している

ご存知ではない方も多いと思うので事情を説明すると、建築設備の設計者は規模に応じて設備一級建築士という資格を取らないと仕事ができないことになったが、設備設計のうちの電気の設計者は建築系の大学を出た方はほとんどなく、一級建築士を受験できないしできたとしても構造計算など専門外でまず合格できない

対して空調や給排水などの設計者は建築系の大学に研究室がたくさんあるので構造もあるカリキュラムから考えて、空調や給排水の設備設計者は合格可能な方が大勢存在する

電気設計は明らかに建築系のカリキュラムから外れていいて、今いる電気設計のプロフェッショナルは当たり前だが電気系の学校を出ている方がほとんどだ

そのため、電気設計者は空調や給排水が専門の設備一級建築士の下請け的な立場に置かれているのが実情である

この人たちを「設備一級建築士という資格」が取れないことで差別していいのだろうか?電気設計の能力に構造計算は必要なはずがないのに制度は今だに改善されていないことに苛立ちを覚えるのは私だけでないはずだ

このままだと、能力のある電気設計者の技能が伝承されずに建築設計界で大きな問題になるはずで、至急プロフェッショナルを守る資格を作るべきだ

設備一級建築士制度を作った人には見えないかもしれないが、空調設備や給排水設備設計と電気設備設計の分野は全く違うことを認識しなくてはいけないと思う

今からでも遅くないので、至急建築の電気設備設計資格を別途に新設することを願う

「建築電気設備設計士」でどうか?


全国旅行支援

2022年09月27日 | Weblog

2022年10月11日から全国規模での旅行業支援策が始まると発表された。以前のGoToトラベル事業もそうだったが、旅行業社経由で予約される宿泊や移動に対する補助施策で、個人が自由に自分のルートで好きな宿泊先を選んで組み立てるような旅行には適用されない。旅行業社偏重というイメージだ。

個人の申請を認めると事務的に煩雑になることは理解できる。ただ補助の仕組みや補助金の流れを工夫すれば可能になるはずだ。困っているのは旅行業社だけではない、ホテルや旅館、交通業界も困っている。それであれば、ホテルや旅館、交通業界に直接お金が流れるルートも用意すれば皆ハッピーになれるのではないか?

そもそも旅行会社経由の補助政策はいいことなのだろうか?いくら日本人が団体旅行よろしく旗の後ろについて回るような旅行が好きだと言っても、旅行会社経由しか認めないのは世界の人たちから見ると「自立能力のない日本人」とみられているのではないだろうか?そうだとすれば恥ずかしい限りである。


プロを見極める審理眼

2022年09月26日 | Weblog

日本でも「プロフェッショナル」という言葉はよく使われているが、一般的には「素人とプロ」のように高度な技術的能力を発揮することと捉えられているだろう

しかし、そもそもは「神への宣誓」というような意味だという。

現代に当てはめるとどうなるか?

クライアント(依頼主)に対して「利益相反」がない状態で仕事をすると宣誓をした専門家というところだろうか?

日本でクライアントが、プロフェッショナルに対し、この「利益相反」をどのくらい重視しているか、あるいは気にしていないか?を考えてみることは興味深いことだと思う。存外あまり気にしない、意識しないクライアントが多いのではないだろうか?

対して、アメリカでは公職につく行政マンが事前の身元調査で「利益相反」を徹底的に調べられるという。関連する分野で「利益相反」が認められる人間は公職につくことができない。なぜか?当然、違法な利益誘導や供与、便宜などの懸念があるからだろう。

疑わしきは「初めから制限する」べきというのが彼の地の常識だが、日本ではどうか?

昨今の五輪疑惑を見ても、性善説が強く意識されていて「人を信用する」ことが和となり善となる世界で、悪い人間はやりたい放題やっているのではないかと思うと悲しくなる。

もちろん良い人間には関係のない世界だと思うが、問題が起きてからどうこうするより問題が起きないような仕組みを整えるのが上策と思う。

 

建築設計における「利益相反」とはどういう状況を指すだろうか?例えば建売住宅を考えてみるとわかりやすいだろう。

設計者は誰に雇われているか?を考えるのがいい視点となる。建売業が儲かるのは儲かるような仕組みで商売をしているからである。「どうすれば儲かるか?」が先にあって、購買者の利益が後になる。見た目は良くて安くできる、それは雇われる設計者の「腕」と言われる。工事の手抜きとは違う、ミニマムスペック(必要な技術的な仕様を最低限にすること)による利益増大手法だ。さらに法的に工事をチェックすべき設計者が雇い主のいいなりになり、指摘すべきことを言わないことも散見される。

そこには厳然としたクライアントに対する「利益相反」状況がある。

これを法的に看過しているのが日本の現実であり、多くの人は知らぬ間に安物買いの銭失いをしている。そして往往にして新聞沙汰になるような悪質工事が起き、それに引っかかることとなる。

日本人は昔はクライアントを大切に考え、信頼のもとに働くプロフェッショナルをもっと大切にして社会的に認めてきたはずだ。

私の職域である建築設計事務所、建築家はそれが大切であることを社会にもっとアピールするべきだと思う。

今こそ何が正解なのか?誰のいうことが本当に自分や社会の利益を守ることになるのか?を見極める審理眼を育てて行く必要があるのではないだろうか?


今年の家庭菜園

2022年06月14日 | 家庭菜園と緑
例年の家庭菜園はやや欲張りすぎて、小さな畑に何種類も詰め込んでしまっていました
今年は土壌の休養も兼ねてミニトマト1本とナス1本だけびしました
ミニトマトの実はまだ青いのですが、ナスは早くも1つ大きな実がなっていて、来宅していた大学時代の友人がもういいんじゃないというので収穫しました

お昼にミートソーススパゲティに入れて美味しく頂きました
まだ他にも花が咲いているのでこれから楽しみです







環境に対する建築家の立ち位置

2022年05月23日 | 環境

最近の気候変動問題は人間の活動に抜本的な変容を迫るものと感じる

建築家はその活動の規範を今まで通りの問題解決的なルーチンにおいていていいのだろうか?

いやそうではないはずである

環境問題というと社会はもちろん建築系組織でもSDGsというキーワードが踊っているが、これ自体が本当に持続可能な方向性を導くことができるものであるかという問いかけから始める必要があるように思う

そもそも「持続可能な開発目標」とは何か?デベロップメントの前に、今まで人類が自然に対して行なってきたことの検証をし、その何が問題だったのかを明確にして、それを正すことから始めるのが論理的な考え方で筋ではないだろうか

作り続けることを前提で考えることしかできない建築界は、付け焼き刃、泥縄的な対処では如何ともし難いところまで状況は進んでいると感じる

目標は大切でいいことづくめだが、今までなぜ行なってこなかったのか?何がそれを阻止しているのか?を見極めて考えることが必要ではないか

建築家の性とも言えるかもしれない「創る」志向の考え方から抜け出せないままの職能は、「持続可能ではない」かもしれない

現代の環境問題に対する建築家の立ち位置は、己の職能さえも疑問視することができるほどの「深い思慮」に基づくべきだと考えている

 


シャガの花の開花時期

2022年04月26日 | 自然

昨年の記事のメールが届いて気がつきましたが、シャガの花はほぼ正確に毎年4月13日前後には開花しています

温暖化の影響で桜は確実に早く開花していますがシャガはどうでしょう?
植えたのが5年ほど前で長期比較はできないので不明ですが、やはり開花が早くなっているのでしょうか?

春前の1日

2022年03月23日 | 趣味
まだまだ肌寒い3月ですが友人のお宅の庭先で昼食をいただきました。
柔らかく陽がさしこむ食卓で友人とのひとときを楽しみました

友人の家は20年ほど前に設計させていただきましたが、このたび外装をきれいにしたということで、外観写真を撮らせていただきました

その後アマチュア無線のFT8という交信方式を見せていただきました
Franke氏とTaylor氏が開発した通信技術ということです
弱い電波でも遠距離の交信が可能です
私も挑戦してみようと思います



アマチュア無線復帰2

2022年01月16日 | 趣味

土曜日に友人に付き合ってもらって秋葉原でアンテナチューナーという機器を購入した

友人のアドバイスでアンテナ計画を決めて、接続ケーブルの部品も買って帰った

今日は電源やコントロール用などの接続ケーブルに1日がかりでコネクタを付けた

そして教えてもらった計算式で50MHz用の室内テスト用アンテナとカウンターポイズを作成、それらをアンテナチューナーに取り付けて動作確認のためケーブル類を全て接続してテストを始めたところうんともすんとも言わない

接続を全て確認したがダメ、いくらやってもダメ

仕方なく頼みの友人に連絡して相談した

アドバイス通りにやってみたがダメで、ついに電話した

電話中にいろいろやってみていたが、友人に言われてあっと気が付いた

1箇所だけコネクタがちゃんと奥までささっていないことに気がついた!

ごめん!と言いつつ奥まで差し込むと当然だがちゃんとガチャガチャと動作した

自戒を込めて思い込みはいけませんね

友よありがとうございました!

 


アマチュア無線復帰

2021年11月08日 | 趣味

やっと無線機を購入して交信をウオッチしようと思ったら全然聞こえてこないので昔からの友人にSOS!

土曜日に西船から自分の無線機に加えケーブルやらポールやらたくさん担いできてくれて、一緒にアンテナを屋根の上に出した

するとあら不思議!ちゃんと聞こえるではありませんか!自分の操作方法が間違っているかと思っていたのですが、アンテナの重要性を忘れていたということです

やはり持つべきは良き友人ですね

10年ほど前に家を新築したのですが、外壁から室内にケーブルを通すのに換気口を利用しようかと悩んでいたところ、工事の際にケーブル貫通用の穴を開けてもらっていたことを忘れていて、ケーブルを持って外に出たら思い出したという健忘症ならではの笑い話のおまけ付きでした

社会に出てから今まで、20代の仕事中心から40代からの仕事とボランティアの並行と生きてきましたが、70代にはボランティアと趣味のウエイトを増やし、そのうち仕事もボランティアも卒業して趣味の世界に没頭する日々を目指していきたいと思います


カマキリの産卵

2021年10月26日 | 環境

今朝、出勤しようとしたら玄関の木製の柵にカマキリがいて卵が産み付けられていた。

ちょうど産卵が終わったばかりのようだ。

幼虫が出てくる時に見てみたいがどうだろうか?


みょうが収穫

2021年10月03日 | 家庭菜園と緑
今年の夏に初めて植えたみょうががやっと収穫できました!

佐久にいる後輩に取り方を教えて頂き、うちも出ていてもいい頃だと思っていました
枯葉のかげに隠れていて気がつくのが遅くなり、花が咲いてしまっていましたが良い香りがします
10月というのに東京は暑いのでお昼はソーメンにして薬味で頂きたいと思います

ネガフィルムの劣化「ビネガーシンドローム」

2021年09月19日 | 写真

前回投稿したネガフィルムの劣化ですが、「ビネガーシンドローム」と言うそうです。

フィルムのベース素材の経年劣化で酸が発生してその酸でさらに劣化が急激に進む現象。

そういえばだいぶ前からネガフォルダーを入れていた本棚が臭いなと思っていたのですが、現像の後の水洗いが完全ではなくてそれが臭っているとばかり思っていました。

フェイルベースの変更時期はメーカーにより違いがあるようで、同じフォルダーに入っていても大丈夫なものとダメになってしまっているものがある理由がわかりました。

湿気にしては臭いし、全く湿気っていないフィルムもあったので不思議でしたが納得しました。

スキー靴が何年か経つと急激に劣化して壊れてしまう現象を思い出しました。


ネガフィルムの変質

2021年09月14日 | 写真

少し時間ができたので50年くらい前のネガフィルムをデジカメで複写しようとして出してみてびっくり!
黒い厚手のビニールの袋に入れて保管していたネガフィルムの多くが湿ったようになってネガフォルダーの中で張り付いていたのです。
初めは湿気が溜まっているのかと思いましたが、よく見ると同じ袋に入っていたにも関わらずなんともないネガもあります。
さらによく見てみるとあるメーカーのネガがひどく、中には丸まってしまって乳剤もシワシワになっているものまでありました。
写真が趣味で中学生の頃から撮り始め、相当な量のネガフィルムを保存していますがショックでした。
中には一眼レフカメラを初めて買った時に撮った写真もあり、みると思い出の多いフィルムがそのような状態になっているとは全くの予想外でした。

大学で写真部に入ってからは自分で長尺のモノクロフィルムを買ってきて36枚分にカットしてパトローネに詰めて撮るようになりました
それは外国製のフィルムで自分で現像したものですが、それらは全くそのようなことはなかったのがせめてもの救いといったところです
日本製でも大丈夫なメーカーもありますが、問題のメーカーのフィルムはカラーネガフィルムもモノクロフィルムと同じく湿ったようになってしまっていました
そのメーカーのモノクロフィルムは大学時代に自分で現像したものもありますがやはりダメでした
これらを総合して考えるとそのメーカーのフィルムの材質は、長期間の保存でなんらかの変質が起こる性質があったと考えられ非常に残念です。

デジタル時代の写真はバックアップメディアの変遷もあり、今後どのように保存すべきかよく考えておかないといけないですね。