栃木県小山市まで行ってきました。
気合いを入れて下の道のみで片道105Km。
中村拓志氏の手がけた小さなMuseum、「録museum&録cafe」という出来たての建築を。
建築模型をみて一目惚れしてしまったのでこれはこの目で見なければ。
住宅クラスの大きさの建築は一番好きだし、何より中に入れるし。
下の道で行ったのは家から小山市までどういう景色で繋がってたどり着くのか、
そして繋がった先でその建築はどういう環境の中で建っているのかという点にも興味があったので(もちろん高速代もばかにならないし)。
さすがになかなかの距離です。ひたすら北へ。
しかしいつも思っていることだが、今回もその寂しさにかられることに。
今の時代、主に郊外の主要部を象るのは「チェーン店」です。
「チェーン店」がどういう配列でそこにあるかで「何駅周辺」とかを認識するのです。
今回は特にひたすら平野。野山があるうちは十分その土地を表しています。
平野を店舗が埋め尽くすとそこはCGで描いた様な「チェーン店」で埋め尽くされます。
そしてそれは手元にある少し古いDVD時代のカーナビの画面と全く同じなのです。
地図の目印に配されるコンビニ、ホームセンター、ガソリンスタンド、、、。
建築とはなんぞや、人知はどこへやら。
これだけ走って人知を詰め込んだであろう作品をみてこの気持ちが晴れなかったらどうしよう。というか、落ちてしまうとそんな世界なんて無いんだろうと思い始めてしまいます。
最後まで住所が入力出来ず、番地は走りながら探そうというところまできて意外と見つからない。とりあえずこの辺のはずというところで停車、突如右手に現れる怪しい塊。
これだ。もう全然違う質感。
場を取り込むもの凄い存在感。
CG鬱は一瞬で吹っ飛びます。
久々に出会えたというこの感じ。良かったという安堵感と興奮。
裏から寄ってみます。
樹木を建物が避けて共存するという建物らしいですが、それよりもシルエットが美しいという印象が勝つ。白い窓周りも美しい!
正面に回ります。
この建物が視界に入るあたりはこの建築で一気に引き上げられる。
人が知的に豊かに暮らしているというメッセージがこの街に出来る。
エントランスに近づきます。
入り口は頭が当たりそうな位低いです。
白いその入り口の向かって左にあるこれまた小さいドアからスタッフのお姉さんが出てきて案内をしてくれました。
入る前にちょっと上を見る。もう圧倒されてしまいます。このフォルム。
ここから先、「中は撮影をお控えください」とのことだったので、カフェでホットチョコレートを頂きながら一休み(かなり美味しかったです)。
館内をグルグル見回して頭に焼き付けました。
案内してくださったウェイトレスさんもこの建物と建築家中村拓志さんを凄く崇拝しているようでした。建築関係の方かもしれませんね。
建築家と言えば非常に突飛な建築を世に出すイメージがあります。
たまにその作品の力が弱いと「自己満足でしょ」、としらけてしまうこともあるのですが、そうならないように、自分の仕事も少しでも可能性を見いだして頑張れるように、良い作品には触れ続けたいです。
今回は既に私個人、今までの作品に強く共感をしている建築家さんでしたが、
期待以上の物を見させて頂きました。改めて建築が担える力の大きさを目の当たりにした思いです。
そして、何がどう良かったかって、よくわかりませんが本能的に揺さぶられた感としかいいようが無い。色々な裏がもちろん取ってある建物ですが、それは知らなくてもあまり関係がない感じ。おこがましいようですが自分が潜在的に見ていた夢を実現してくれた様な感動です。共感するってことはそういうことですよね。ただし、潜在的に見ている物以上の物が目の前に出来上がっていると考えた方が正しいです。そういう幸せはそうは無い。
つまりは、この人ひとりがいなかったら絶対見ることが出来なかった景色が実現されていることに対する感謝。それに尽きます,今回は。
帰りの105kmは穏やかなハイテンションでした。
挙げ句、明日の子供達の誕生日を勝手に切り上げてケーキを買って帰ってしまいました。子供だなぁ、自分も。
録museum&録cafe