最近知って入れ込んでいるピアニストですが、amazonで諸作を見ていたらこれ↓
結構前に新宿のunionで流れていて
「おお、誰だこれ?」
なんてレジを見たらこのピンクのジャケがあったのでした。
自分の中で勢力図がガガガッと動いた思いでした。
2001年作品ということはあれは9年程前だったんでしょうか。しかしUnionのペースで追っかけ始めるとキリがないと恐れをなして深追いはしなかったのです。しかし結局出会ってしまいました。昔よりオーソドックスなスタイルに抵抗がない、というかむしろ好みになってきているので趣向も合ってきたというのもあります。
そのなかでストリングスとベッタリ共演というこのあまりにもイケてないジャケの作品に特に惹かれています。甘々なテイストですが柔ではない。ジャケの駄目さが一瞬でどうでも良くなりました。
ピアノトリオにストリングスが花を添えるという単純なものではなく、Broadbentがストリングス用にスタイルを変えて真っ正面からこのゴージャスな、というかラグジュアリーな(同じか)世界に向き合ってそれはもう見事に溶け合っています。
軟弱と思われるかもしれないですがいやいや、これにはセンスを感じてしまいます。Jazzをやろうっていうんじゃないんですね。熱意を持ってストリングスと共にひとつの音楽を作ろうとしているのを感じます。
Broadbentのトリオの出方も完璧に紳士的でイケてるのですが、ストリングスのアレンジの美しさがまた素晴らしいです。Jazzとはまた違った古き良きアメリカを感じてしまいます。ややクラシカルなホテルのラウンジを思わせます。実際そういう所で流れている音楽に近いのでしょうが、ただ甘いだけでなく胸を締め付けられるような歌心もしっかり存在します。
この種の個人的名盤としてはLars JanssonのWorship Of Selfに近い感覚です。
全般に漂う空気はGershwinの音楽にも近い感じがあります。実際にGershwin曲もやっていますが。選曲も良く、「BLUE IN GREEN」「SPRING IS HERE」なんて歴代の名演に肥えた耳にも別の視点から応えてくれると思います。
音の厚みとしては結構あるはずですが不要な音はひとつもない、互いが互いを活かしている。そしていつもバラされている曲の素材としての素晴らしさも改めて伝えてくれる数少ない作品だと思います。
お好み度:●●●●● ●●●○○
1.AUTUMN VARIATIONS
2.BESS,OH WHERE'S MY BESS
3.BLUE IN GREEN
4.E.32ND ELEGY
5.LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG
6.EVERYTIME I THINK OF YOU
7.LOVERMAN
8.NIRVANA BLUES
9.SPRING IS HERE
10.WOODY'N ME
Alan Broadbent(p)
Brian Bromberg(b)
Kendall Kay(ds)
with Strings
2005年作品
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