一法学生の記録

2014年4月に慶應大学通信部に進んだ法学生の記録である
(更新)2017年4月に神戸大学法科大学院へ進学しました。

勉強のやり方について

2016-09-27 18:54:24 | 日記
勉強のやり方について

 閉館まで、残り10分しかないが、纏めてみたい。

1.基本書を読んでも、理解ができない主な原因は、イ)情報量が足りないこと、ロ)想像力が足りないこと、である。

2.情報量が足りないとは、たとえば、民法の条文は多く、かつ、特別法も膨大に形成されているため、個別的事柄に関して関係する法律関係(権利関係)が重複することが多々ある。基本書では、それらの関係性を踏まえて議論しているので、たとえば、一つの事項を説明するのに、その半分以上が未習内容が占めている場合などには、そもそも議論の土台に乗ることができない。逆に、たとえば、物権法の学習を終える寸前における、基本書の学習において、未習の内容が教科書の本文に占める割合が小さいため、理解が進みやすい。

3.想像力が足りないとは、基本書の記述は、ある程度基本的な法解釈に関しては、判例は固より、事例すら示さないことが多く、単に法律用語より、具体的な事例を想像するほかなく、そのような想像力を前提にして記述がされている。したがって、基本書の記述に対する具体的な想像力が無く、読み進めても、応用力の無い、無用の知識しか身につかない。

4.さらに、踏み込んで、重要な点は、以上の要素を踏まえて、イ)基本書の本文を読むときに、他の法律関係について対比をしながら読むということ、ロ)具体的な事例において、納得がいく理解が得られるか、得られない場合には疑問点を明確にしておく必要があり、この点については、いわゆる「分かったような分らなかったような」感覚で、前に進んでいくことを自粛する必要があるとともに、一つの論点にこだわり過ぎて前に進むことができないことは、非効率をもたらすので、どの点が分らないのかを、表記できるレベルにまで明確にして、次に進めること。

 以上の要点に注意をして、次科目の勉強に励みたい。

 (*'ω'*)


 以上

留置権について

2016-09-27 18:37:10 | 物権法
留置権について

 代金をお受けするまでお渡しできませんm(__)mという、制度だ。

 通常の売買における物の引渡しと代金債権の同時履行の関係では、売主たる物の所有者が上の台詞を使うだろうが、留置権は他人物の占有者が上の台詞を使うシチュエーションだ。

 たとえば、PCを修理に出して修理代金を貰えないとき、PCの所有者は修理代金につき債務者であり、債権者たる修理屋さんは他人物を預っていることになる。このような状況において、物を留置するのは修理屋さんの合理的判断といえる。したがって契約など特に必要はない。

 要件は、イ)物と債権の牽連性、ロ)被担保債権の弁済期到来、ハ)適法な占有開始、と分かり易い。

 牽連性とは、
 ①債権が物自体から生じたとき、およ②債権が物の返還義務と同一の法律関係又は、生活関係から生じるときがあり、後者は上のPCの例を想像し(生活関係は?)、前者について、教科書の例が意味不明であるのでメモっておく。

 他人が運転するトラックが所有建物に衝突して損壊させたことによる損害賠償が生じたときとし、①賃借人は費用償還があるまで目的物を、②建物所有者は損害賠償までトラックをとある。②については、トラックから生じた損害賠償請求権について、建物所有者はそのトラックを担保目的物として留置できるが、①をどう解釈するか。ここで想定できる他人物の占有者は、トラックを客体としたときにはトラックの運転手か建物所有者であり、後者は②があてはまるが、前者は自己を起こした本人であるから、損害賠償責任の債務を負担していると考えるのが普通だろう。①賃借人とは、建物賃借人の事でも言っているのだろうか。そうであれば、建物賃借人が受けた被害については、トラックを担保目的物にすることが考えられよう。誰か教えてくださいm(__)m

 なお、ここで留置権の位置づけをもう一度おさらいしたい。

 動産売買における債権者の保護制度に関して、留置権以外にも同時履行の抗弁権があり、その違いについては先ほど述べたが、その共通点としては、信用取引すなわち掛売では機能しないということ、考えれば当然である。あるいは動産先取特権を行使して、優先弁済を受ける方法もあるが、債権者は差押えを要するなど独特の手続きが必要である。あるいは、債務不履行解除により目的物を回復請求する方法もあろうが、第三者に対して制限がある。これに対して、所有権留保は第三者に対しても効力がある。なぜなら、動産先取特権も債務不履行解除も、売主がその主張を行うときには所有権がすでに買主に移転しており、その買主と第三者の間で築いた権利関係は保護すべきであるという考えが働く。これに対して、所有権留保はあくまで売主に所有権があるから、売主が買主の他に転売することについて認容し、転得者が対抗要件を備えるなど特別の事情が無い限り、対抗力を有すると、言えるからである。

 留置権の成否と第三者との関係につき、ここから先は頭の体操である(p394以下)。

Q:甲が乙にPCの修理をさせた後、丙に譲った場合、乙は丙に留置権を行使できるか?
A:できる。なぜなら、丙はすでに留置権が成立したあとの譲受人だから。甲がPCを修理させ、代金を支払わない時点で留置権が成立しているからといって、丙に対抗できるのは、丙の所有権の権原が瑕疵のある甲の所有権を承継しているからと、いうことにはならないのだろうか?

Q:甲が乙に不動産を売却し、丙に転売されたとき、甲は丙に対して留置権を対抗できるか?
A:できる。なぜなら、上と同じく考えられようか?

Q:担保仮登記において清算期間経過後に、目的不動産が第三者に譲渡されたとき、設定者は清算金の支払いをうけるまで譲受人に留置権を行使できるか?
A:できる。たしか、清算金の支払いと目的物は同時履行の関係にもあった。清算金は清算期間が終了したら直ちに支払えばいいのだから、その場合には、単に債務者の弁済遅滞の現象が生じていると、整理できよう。

Q:甲が乙に不動産を売却・引渡し後に、丙に売却し登記を備えたとき、乙は丙に留置権を行使できるか?
A:できない。このとき、乙は甲に対する所有権の移転につき債務不履行に対する損害賠償請求債権を有するという前提になるらしい(債権は未習)。判例は、甲の債務不履行と不動産の間には牽連性がないとするが、この構成では、甲乙間の売買契約が解除されたとき、甲の返還請求に対して(なんらかの損害賠償請求債権を有する乙が)も、留置権を行使できなくなるから、学説では次のように整理する。

 すなわち、留置権は成立するが、対抗要件を備えない乙は不動産の物的支配関係において、丙に劣後する。そうである以上、不動産の所有権は丙に帰属するが、乙の甲に対する損害賠償責任は、丙にとっては関係が無く、甲乙間の清算関係に過ぎない。留置権は物権とはいえ、あくまで他人物の占有であるから、177条の所有権の帰属関係に関する規定と同列に評価できないと、私は考えたりする。

Q:甲が乙に土地を賃貸し対抗要件を備える前に、丙に譲渡した場合。乙は丙に対抗できるか?
A:できない。上の事例ができないのだから当然だろう。

Q:甲の所有物を乙が勝手に丙に転売したとき、丙は甲に対抗できるか?
A:できない。このとき、丙は乙に対する(他人物取引であったことについて)損害賠償請求にもとづき、主張することになるが、甲にとってみれば、そのような損害賠償請求は、乙丙間の清算関係にすぎないと、理解できよう。

このほか、留置権は、他の権利の効果として〔299〕留置権者による費用の償還請求は、頻繁に準用された記憶があるので、覚えておきたい(*'ω'*)

以上


先取特権について

2016-09-27 18:36:33 | 物権法
先取特権について

 物権に優先的効力があるのは、その物が唯一無二の存在として現に存在するからだろう、という哲学めいた一言を吐いてから本章に入りたい。なぜなら、私の単純な疑問は、先取特権はどうして物権なのかという問いだからだ。

 さて、労働者は賃金につき、債務者の全財産に対する債権者に先立って、また、売主は、取引目的物の代金につき、その目的物に係属する他の債権者に先立って、優先弁先的権利に浴することができる。これを先取特権と言う。

 前者は、労働者の保護のため、後者は売主の合理的期待を保護するため、法政策的な意味が込められているらしい。

 先取特権には、一般先取特権、動産先取特権、そして不動産先取特権がある。このなかで登記が必要なのは、不動産先取特権のみである。

 一般先取特権の目的物は、債務者の総財産であり、その被担保債権は、共益費用、雇用関係上の債権、葬式費用そして、日用品供給費用の四種であるが、解り難いものだけ取り上げる。

 共益費用とは、各債権者の共同の利益のために支出した費用であり、債務者の財産の保存、清算、または配当に関する費用である〔307(1)〕。あくまでも被担保債権は債務者であり(アパートの共益費は不動産先取特権である?)、債務不履行に陥った会社に対する強制執行手続きや、法人清算、担保実行手続きに要した費用は、一般債権者に先立って回収できる。したがって、一般先取特権の行使の相手方はあくまで債務者であり、勘違いしてはいけないのはその実行によって、利益を受けた他の債権者に対する請求権ではないということ(?)。だが、利益を受けた債権者のみ、優先弁済権が存する〔同2項〕とはどういうことだろう(?)。ある債権者の時効中断行為(たとえば確認の訴え)に要した費用は、債務者から優先的に弁済を受ける←納得。これにより、利益を受ける債権者も優先弁済権を有する??

 次に、動産先取特権は次の8種類である。

 第一群(債権者の合理的期待)
 不動産賃借権、旅館宿泊、旅客又は荷物の運輸

 第二群(債権者間の公平性)
 動産保存、動産売買、種苗・肥料供給

 第三群(労働者保護制度)
 農業労務、工業労務

 不動産賃借権がなぜ動産先取特権なのと戸惑うが、「動産」先取特権の分類は、あくまでも担保目的物の種類である。不動産オーナーの不動産賃料債権(被担保債権)が対象としているのは、賃借人の動産(部屋にある有価物)である。すなわち、家賃払わんかったら部屋にある何かを接収するという類の日常的解決方法を法定しただけのこと。このとき、オーナーはその部屋にある何かを執行裁判所の執行官に差し出したらいいらしい。勝手に持っていてもいいのかどうかなどは、良くわからないが、教科書では「建物の使用に関連して常置する動産に限定すへき(p378)」と書いてあるから、それでいけば相当する動産がかなり限られるだろう。ガレージにおいてあるバイクぐらいはオーナーさんが接収できる(合理的期待)ようにしなければと思うのだが。(バイクの場合は登録動産だから、かりに強制競売の場合に、競落人への所有権移転は当然登録の問題を含む?)

 一つ一つ何が担保目的物になり得るのか想像力を要する(*'ω'*)

 不動産先取特権は、不動産の保存、工事、及び売買についての債権につき、その不動産の他の債権者に対して優先弁済権をもつ。ただし、それぞれ登記が必要である。保存行為は、保存の後直ちに、工事費用は、工事開始前に、そして売買では売買契約と同時に。登記内容として売買の場合には、教科書では「売買代金及び利息が未払いである旨につき」と書いてあるが、売買契約時に未払いである旨につき登記をするとはなんとも変わった話だ。

 ところで、工事において、請負業者丙が自ら持ち寄った材料で賃借人乙の依頼に基づき改修をしたが、乙が破産したので建物所有者甲に不当利得返還請求できるか?このとき丙は、乙の他の債権者を差し置いて、甲に支払請求ができるらしいが、これは、甲の財産増加に直接寄与した丙に先ず返還するのが公平であるという、先取特権においても共通する思想にもとづくものであるらしいが、正直何を言っているのか解らない(p381)。

 なお、先取特権の効力は、目的物の売却、賃貸、滅失、損傷によって債務者が受ける金銭その他有価物にも及ぶ。つまり、物上代位が認められる。対抗要件を備えた不動産か、公示方法が存在しない動産、一般先取特権の場合には、有効な手段となり得るが、債権者がいずれも占有を有していないので、どのような場合があるだろう。

 (最判平成12.2.22民集59巻2号314頁)
 AがBに物を売却、BがYに物を売却、その後Bが破産したので、破産管財人X1は、BのCに対する転売代金債権請求訴訟を起こし、X1はその債権をX2に譲渡、X2は訴訟引受けをYに通知し対抗要件を備えた。他方、Aはこの転売代金債権につき、差押え(→X2は差押命令を受ける)のうえ、動産先取特権に基づく物上代位権を行使した。(本件はなしてA対Xでなく、Y対Xなのかわからないが)結論は、X2の主張が認容され、動産先取り特権に基づく物上代位は認められなかった。その理由は、債権が譲渡されて譲受人X2が対抗要件を備えたとき、もはや物上代理権は不能とした。そうすると、一般債権者たるX1が譲渡するまえに、Aが差押えをしておけば、物権たる先取特権が優先弁済権を得たことになる。

 先取特権の、物上代位権の行使に当たっては、払渡し又は引渡し前に差押えを行うことが定められている〔304(1)但〕が、公示方法が存在しない動産売買の先取特権などは、物上代位の目的債権の譲渡人等第三者の利益を保護する趣旨を含むものをされている(p387)が、この場合、一般債権者たるX1に対して先取特権者たるAが優先するが、X2に対してはAが劣後する理由を述べているが、X1とX2の要保護性に実際上それ程の違いがあるのだろうか。

 ちなみにAがX1に優先する理由は、先取特権が物権であるからだとしているが、それも良く考えないと分らないな。X1はBの総財産についての一般債権者であり、いわばBの全部の財産について利害を持っている。それに対して、AはBに売却したその物についてのみ利害を持っている。物には絶対性、排他性が有るから、Aが優先する。なぜ!?

 以上