聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

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■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その4)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
菊田/続きまして、政府に対して質問します。市町村で行なう相談支援事業につきまして、身体・知的・精神の3障害の一元化によって、どのように区分けをされるのでしょうか。

中村局長/これまでの相談支援事業は、身体障害は市町村が、知的・精神障害は都道府県が行なってきました。新制度においては、できるだけ身近な場所である市町村で、障害種別に関係なく一元的に行なうということになっています。障害者は、先ず市町村に障害者手帳等の申請に行きますから、スタートが市町村であるという考えです。障害程度区分の判定・その後のサービスの決定、サービスを実際に受けられている、そこのフォローもずっと続くと考えています。現状では地域間にかなり格差がありますし、直ちに市町村で十分な対応を行なうのは困難な場合も想定されますので、まず、都道府県が市町村へ積極的に支援を行なうことをいたしております。一つは専門的職員を市町村に配置すること。都道府県がアドバイザーを置き、出向いて市町村の応援をすることなどを検討しています。

菊田/確認をさせて頂きたいと思います。今回参議院に出された付帯決議の中に、市町村の相談支援事業が適切に実施されるようにするために、「在宅介護支援センター」などという文言がありますが、それよりもこれまでケアマネージメントのノウハウや実績を積み重ねてきた、既存の支援センターや事業者が中心になってやっていくという認識でよろしいのでしょうか。この在宅介護支援センターとの関係についてご確認をお願いします。

中村局長/お答えします。今度の制度では、市町村が相談支援事業を行なうことといたしておりますが、相談支援事業を専門性を有し、かつ中立公平性が確保できると判断される指定相談支援事業者に、委託することはできる事としています。具体的な委託先の指定は、個々の市町村が判断すべきものであると考えていますし、今議員からご指摘がありましたように、具体的に地域でそういう相談支援を行なっている方がいらっしゃると思います。そういった方々がこの要件に当たれば、有力ではないかと思います。参議院での議論は、高齢者の在宅介護支援センターについても、ただ今申し上げました障害について専門性を有し、かつ中立公平性が確保できると市町村が判断した場合には、候補者の一つになりうると委託の対象になりうると、そういう議論であったと承知いたしております。

菊田/まだまだ質問したい事がございますが、時間の関係上、これで終わります。

田名部/民主党の田名部匡代(まさよ)です。早速質問させて頂きます。
障害程度区分についてお伺いいたします。障害区分の認定は、市町村レベルで行なわれるわけですが、その時点で全国の障害者に公平な認定がなされる必要がございます。つまり、自治体の財政状況また、審査員の選定の仕方などによって、ばらつきや不公平が生じる可能性も決して否定できないと思うのですが、認定の基準はどうなるのか、また、全国の市町村で同一の認定がされるために、どのような防止策がありますでしょうか。

尾辻/そもそも今の支援費制度が、どうしても市町村間のバラつきを作っているという私どもの反省もありまして、今度の障害者自立支援法案をお願いをいたしているわけです。従って、全国統一の基準を作らなくてはいけない、とこのことを申しているわけです。ばらつきがあっては困ると、そもそもの話で。そうならないようにどうしているのかというお尋ねです。障害程度区分の認定における一連の作業手続きとしましては、(1)アセスメント、(2)コンピューターによる一次判定、(3)市町村認定審査会による二次判定、こういった手続きで進めることになっています。そしてこの作業の中で、全国共通のアセスメント項目を設定いたしますとともに調査のためのマニュアルを作成いたします。それから、一次判定をコンピュータ化し、事務の統一化を図ります。さらに二次判定において、審査会運営に関するマニュアルを作成します。加えて、都道府県が認定調査員研修や市町村審査会委員研修を実施することにより、従事者の質の向上を図りますとともに、小規模市町村につきましては、複数の市町村で市町村審査会が共同設置するようにうながしたり、都道府県が市町村審査会の業務を受託することも考えておりまして、こうした措置を講ずることにより、ご心配のような市町村間の格差が生じることのないように務めて参ります。

田名部/障害者区分の支給決定において、なによりも当事者の意見反映が大事だと考えております。
これまで何度も議論されてきたことですが、障害者の皆さまの多くの要望は、二次判定の前、つまり区分けがされる前に自分達の意見を聞き入れてほしいということです。意見をきちんと聞きますと、そういう言葉だけではなくて、このことを法案に明記するとか審査の再検討など、後戻りができるようなそういう制度にすべきではないでしょうか。大臣、いかがお考えでしょう。

中村/障害程度区分認定は、サービスを受けようとする方全員に認定作業するということでございます。委員会でも議論になりましたが、審査会で当事者の方が意見を言いたいと、いうことがあった場合には委員会のほうでお受けすることもあるが、全員の方に認定していただくわけですから、一律にご意見をお聞きするということは、むしろこの審査会の実務・市町村の負担を考えることが1点。第2点は実際のサービスの利用決定に当たっては市町村がそれぞれの障害者の方にサービス利用をお伺いするというシステムになっているという状況でございます。3点目は都道府県知事が任命する不服審査会に提訴出来る、ということです。それによって、障害当事者の救済の制度化が法律でされている、ということでございます。

田名部/局長から話があったが、障害区分についての市町村の認定に納得できない時に、都道府県に不服申立はできるということだが、申請が簡単で便利な制度でなければ、利用されないと思います。また市町村での審査以上に障害者の意向が認められる審査会でなければなりません。そこで、都道府県で行なわれる不服申請審査において、当事者または当事者の気持ちやニーズに応えられ理解できる人を、審査会に入れるべきだと考えています。障害者の家族や障害者の活動に関わってこられた方などを、この審査会に入れる考えはありますか。

中村局長/審査会の委員はこの法律の第98条の三項で規定てしており、「委員は、人格が高潔であって、介護給付費等に関する処分の審理に関し公正かつ中立な判断をすることができ、かつ、障害者等の保健又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。」となっております。障害者の実情に理解がある方が委員になることが望ましく、障害福祉の有識者であって、ただ今挙げた要件に該当する方であれば、障害者を委員に加えることは望ましいと考えております。

田名部/障害者(当事者)の意見が反映されることが大切だと申し上げているわけで、有識者の方が、どれだけ障害者本人の気持ちを理解できるのか、また、障害者の生活の実体を把握しているかは、不明だと私は思っています。何度、この質問をしても、どこで障害者の意向が反映される制度になっているのか、私には伝わってきませんが、聞いても誠実な回答がない。
 ここで、民主党案について伺いたい。障害者の区分認定については、民主党はどのようにお考えでしょうか。

園田/民主党案では、現行の支援費制度をベースに考えており、現行の制度では、ご指摘のように、全国の一律の統一基準になっていません。その意味では、現行の支援費制度でも問題点はあると思う。更にしっかりした基準作りをしなければならないと私どもも考えています。従って、今回提案の法律の形態から言うと、この法律を通して頂いた後で、しっかりと、今の支援費制度を拡充した上で、今の問題点をもう少しきちんと障害当事者の考えを反映させながら、しっかりした基準作りをするというのが、私どものスタンスでありまして、拙速というか、内容が明らかになっていないままスタートさせることには疑問を持たざるを得ません。
 来年10月からの施行ですが、現段階で政府案の中身では、障害程度区分、審査会のあり方、障害当事者の方々の意見の反映などが、がしっかり担保できるか明確になっていない状況の中で採決と言われており、私は既存の制度の中で拡充するのであれば当事者は想像がつくが、新しい制度をここで構築しようとする訳ですから、障害程度区分の内容、つまり政省令にかかるものでするか、これらのセットにしてきちんと障害者の皆さんにお示しする必要があるのではないかと考えています。従って、現在の私どもの立場は、現在の制度の中で問題点を明らかにしながら、3年後の障害者福祉法に向けてきちんとした議論輪積み重ねていくべきだと考えています。
(拍手)

田名部/都道府県レベルに不服申請を上げた場合ですが、この不服申請に対する結果に対して納得がいかなかった場合、その先の不服申立についてはどういう手続が考えられるでしょうか。

中村局長/不服の手続ということですが、都道府県が行なう不服審査については、自立支援法によるものの他、行政不服審査法に基づく不服申立ができますので、不服を申し出た障害者が書類を提出できる他、口頭でも都道府県に対し意見を述べることができることになっています。
 全体の流れを申し上げますと、支給決定については市町村が行ないますので、行政不服審査法の原則によれば、不服審査については市町村に対して行なうことになります。しかしこの自立支援法では、障害区分の判定など、専門的な内容の処分が含まれていることから、行政不服審査法の特例として、都道府県が不服審査会を設置し、専門的な審査官を置いて審査することで、障害者が不利益を蒙ることがないよう一連の配慮をしております。  
これが不服審査としては最終ですので、国において不服審査を行なうといった上級のものはありません。これ以上の手続になりますと、行政不服審査ではなく、一般の裁判、訴訟になります。

田名部/都道府県のレベルでの判定が、障害者自身の意向が反映されておらず、その判定に不服がある場合は、訴訟ということになるということですが、裁判はとても費用もかかります。障害者には限りなく不可能に近いと私は思います。従って、最終的な判断として全国的な不服審査の制度が必要ではないかと考えます。例えば労働災害や自動車事故の後遺障害の認定などについては、障害者区分認定とは異なるが、最終的には、国レベルでの不服審査の制度になっていると聞いています。それをしないと、市町村ごとにバラツキがあるとか、障害者の意向がしっかりと反映されないといった不公平なままに取り残されてしまうといった心配がありますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

尾辻大臣/基本的にそういうバラツキのないように仕組みを作ったのであり、バラツキはそもそも起こらないというのが前提です。不服審査については、支給決定は、市町村の自治事務です。従って、行政不服審査法の原則では、不服は決定をした市町村に対して行なうのが原則です。しかし、今回の法律では、障害程度区分の判定など専門性のある処分が含まれていますので、行政不服審査法の特例として都道府県が不服審査会を設置して審査を行なうことで、障害者の皆さんが不利益を蒙ることがないように一層の配慮をしています。特別に都道府県が不服審査会をおくことで、障害者の皆さんの権利は十分に保護されていると考えています。いわゆる屋上屋を重ねる、というか、国でさらに行なう必要はないと考えています。

田名部/障害者の方々は、自分たちの要望がきちんと届くかを明確にして欲しいと心配しています。従って、法律にきちんと基準を書くなど、公正な制度にしていくことが必要と考えています。いま大臣が仰っておられましたが、障害者の側に立った考え方がとても大事です。多数の要望が届けられたということをお伝えしましたが、個別の生活ニーズに応えるためには、もっと時間をかけて説明し、議論を重ねて欲しいと願っている方が多数おられると思います。ここまで伺って事項についても、当事者の意見がきちんと反映されるとは思えません。(野次:そうだ!)今日までの調査も説明責任も不十分だと思っています。500回に亘って説明会や意見交換会を行なってきたと、小泉首相が前国会で答弁しておられたということですが、家西参議院議員が以前に質問された通り、障害者の疑問に答えたり要望に責任をもって耳を傾けることもほとんどないまま、一方的な制度変更の説明を行なってきたに過ぎませんでした。(野次:そうだ、そうだ)利用者の立場に立ったものではありませんでした。説明は十分に果たされた、利用者の理解は得られたと大臣はお考えでしょうか。

尾辻大臣/この点は再三申し上げてきましたが、この法案の話が出てきた時、というか支援費制度はこのままで良いのか、と言うことがありまして、八代先生が中心になり、勉強会を作りました。障害者団体についても主な団体の皆さんに参加頂き、勉強会を持ちました。私も党の部会長としてこの勉強会としてずーっと参加してきました。その積み重ねの結果として、この法案を作りご審議をお願いしているわけです。
 大臣になりましてからも、厚生労働省がこの点について、皆さんのご意見を吸い上げるか、また皆さんにどのように説明申し上げるか、注意深く見てきたと思いますが、できるだけの努力もし、土日も休まず全国をかけずり回って、そうしたことをしてきたと理解しています。

田名部/役所の現場の皆様も努力されたということは私も否定しませんが、この制度が変更されることによって、障害者の皆さんは、それぞれの生活、人生に関わっているのです。(野次:そうだ!)ですから、障害者の立場に立って、皆さんに納得していただけように、もっともっと努力することが必要だったのではないでしょうか。(野次:そうだっ!)
 それは障害者に限らず、市町村についても同じです。地域支援事業については、市町村が裁量的経費として行なわなければならず、しかもこのまま行けば非常に短期間に施行となります。市町村において、それができる財政的な力があり、人員も確保でき、更に職員を含めたこの制度に関わる人達への教育などが、この短期間に間に合うとお考えでしょうか。
 もし可能だとすれば、どのような計画が立てられているのか、お答えください。

中村局長/地域支援事業は、例えば17年度において、市町村では義務的ではなく任意で行なわれている事業も取り入れ、既存の年間90億円の事業も取り入れ、支援費制度では個別事業として行なわれている移動支援事業なども取り入れ、その他の新たに取り入れる事業をいれて、18年度は年間400億円の支援事業を行なうとしています。このうち、市町村は既に、日常生活用具とか、相談とか研修事業など既存の制度をしており、この基盤の上に、新たに精神障害の方が入るといったことをしておるわけです。私ども、予算的に拡充し膨らまして実施する訳です。地域支援事業につきましては、市町村がしておられることのなかで、国が1/2の財源を用意してやっておりますから、市町村で計画を立ててやって頂ければ十分できるものと考えております。

田名部/申請してから判定され、支給決定が出るまでどのくらい日数がかかるのか。そしてそれは全国一律でバラツキがないのか。それから、支給が決定されるまでの間保障はどうなるのか、お答えください。

中村局長/支給決定までの期間が区切られているわけではないが、当然迅速に決定することが求められています。また差し迫った場合、必要がある場合は、事務が間に合わない場合は、遡って適用するという道も開かれておりますので、障害者の皆さんにご不自由をかけることはないと思います。

田名部/この時期になっても、「これから検討する」とか「迅速に対応する」とか「努力をします」といった答弁が多いと思います。(野次:そうだ!)私は大変不安です。先ほども就労支援の話がありました。中村局長のご答弁を聞いていてもやるべき順番が逆ではないかとおもいました。社会に参画してください、自立してください、と大変良いことを仰っているんですが、その実体が伴っていない、働く場が整っていない、社会整備がされていない、所得の保障もされていない訳です。しかし、社会に参画しろ、自立しろといっても、障害者には無理があるし(野次:そうだ、その通りだ!)、負担だけが押し付けられている気かします。(野次:そうだ)
 就労支援についてですが、負担を求めるからには、雇用促進について見通しが立っているものと思いますが、どのような見通しがあるのかお答えください。

高齢・障害者雇用対策部長/障害者の雇用については、雇用率制度というのが決められており、1.8%です。法廷雇用率が適用されます56人以上規模の民間企業の平成16年6月1日の実雇用率は1.6%、法定雇用率の達成の割合は、58.3%です。法定雇用率を達成するよう従来以上に力を入れて取り組みたいと考えます。

田名部/NPOについて伺いたい。障害の重い方に対する支援活動は、社会福祉法人よりもNPOの皆さんがサービスを行なっている割合が多いと聞いています。社会福祉法人が存在せず、サービスを提供してない場合には、市町村の判断によって、NPOがサービスを提供できると言うことになっています。この場合、その中心的役割を担ってるNPOに対しては、社会福祉法人に対するのと同じような減免措置をお考えでしょうか。

尾辻大臣/社会福祉法人は、他の法人とは異なり、低所得者が福祉サービスを利用できるようにすることを目的とする公共性の高い法人として制度上位置づけられています。このため、社会福祉法人が自ら負担することで、利用者が負担しないでいいということになっており、また一定の方については公費による助成を行なうことにより、その利用促進するようにしています。こうしたことを前提に減免を確保しています。これらの措置に対しては、地域で必要とされるサービスを行なっている社会福祉法人がない場合については、NPO法人を含めて、市町村が認めた他の法人にも認めることにしたいと考えています。

田名部/少しマクロ的な視点から伺います。厚生労働省が要求した予算が確保されなければ、障害者の方に対する今回の自立支援法によるサービスは絵に描いた餅になってしまう。この予算が確保できなければ、この法律の前提は崩れてしまいます。障害者にのみ負担を押し付けることに、内容は大幅に後退してしまうのではと思います。私はだからこの法案に反対です。
 そこで、概算要求が満額認められた場合にのみこの法律を施行するという条項を付け加えてはどうでしょうか。

尾辻大臣/来年の通常国会で概算要求は認められることになりますが、今仰るようなことがありますから、私どもは、この法案をお願いしております。つまり「義務的経費」にするということです。これがこの法案の一番の柱です。義務的経費にすれば、国は義務的に予算を付けますから、その予算が付かないことはないわけです。

田名部/時間が来ました。障害者の方々に対する支援費制度が2年で行き詰まったのは、政治の見通しが甘かったからだと思います。(野次:そうだ!)財源が不足したのも、障害者のせいではなく政治の責任です。そのツケを障害者の方々が押し付けられようとしています。(野次:そうだ!)必要なことを後回しにして国がやってきたことの失敗を国民に押し付けるということがないようにして頂きたい。私はこの法案に賛成できません。国民の皆さんから請託を受けてここに来られた皆さん、政治家としてだけでなく人間としてきちんと判断をして頂きたい。そうすれば、この法案に賛成する方はおられないと思います。障害者の方々の人生が関わっている法案です。「これから努力する」とかではなく、しっかり判断をして頂きたいと思います。
 これで終わります。

鴨下委員長/午後0時30分から委員会を再開することにし、休憩に入ります。

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