聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

ここは、聴覚障害者制度改革推進中央本部の公式ブログです。
(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その12)

2005年10月23日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
柚木/就労対策と授産施設の利用料徴収の矛盾について答えてほしい。

尾辻大臣/就労に関する支援事業での活動は、働くという側面と同時に福祉サービスを受けているという2面性がある。そのため負担をしてもらうという考え。
工賃が少ない、働くことが困難ということを考えると年金収入で負担可能な水準額としている。生活保護水準を下回る場合は負担を減免する。グループホーム利用料は、6.6万を越える収入があり、それが工賃の場合は、より低い上限額を設定している。3000円を差し引き、その額で算定している

柚木/前田としあき君への署名、5400人分を預っている。
ここ数日間議員会館には全国から障害者が来られている。予算編成の前にこられる陳情団とは切迫感がちがう。家族との対話をたのしんだり、普通に人生をまっとうしたいと思っている人たち。この5400人の方が賛同したのは、この不安を13歳の彼に対して強いているのが問題だから。

尾辻大臣/署名について。説明不足が原因、しっかりと説明していきたい。

柚木/もっと切実だと思う。署名の重みはある、でも、13歳のとしあき君には
当たり前のことをするのにお金がかかるという現実、悲痛な叫びをどう認識されるのか
応益・定率負担の撤回はないのヵ

尾辻大臣/これまでも言ってきている。無理のない、応能負担に限りなく近付けさせていただいている。この仕組みをご理解いただきたい。

柚木/形通りの答弁だ。次の質問。育成医療について。公費負担制度を残してほしい。
心臓病では、一生のうちで数回手術が必要。しかも命に関わる手術、定率負担は食費も含まれる。育成医療は是非公費で。

尾辻大臣/育成医療ですが、障害にかかる医療制度は、負担の公平、安定化により見直している。医療費も所得に応じた負担をお願いしている。これもこれまでの議論があったが、上限を40200円とした。所得に応じた負担をお願いしている。若い世代の負担もあるが、所得が少ないことの配慮もしている。激変緩和を図っている。措置を講じても負担増になる場合もあるが、公費医療負担の見直しだけではなく全体的にも直して一元化をしたので障害者施策の充実に理解いただきたい。

柚木/難病の子供などに対する育成医療の対象者は若い人が多い、現状維持でお願いしたい。次、重度障害者の問題について。重度障害者の介護を行う事業者は、この制度でほとんどなくなってしまう。現在の事業者、NPOなどが事業を継続しているように、制度を変更すべきではないが。

尾辻大臣/この法案では重度障害者には、複数サービス利用者を対象に包括支援制度を作ったが、一定の事業者がサービスの提供をすることを想定している。事業者がすべてのサービスを直接提供する必要があるとは考えていない。人材の配置や医療機関等とのネットワークが組めればよいと考えている。現在の事業者でもこうした要件を満たせばよいと思う。

柚木/病院への付き添いの問題も、ADLSなどの障害者の意思相通ができない人の場合はヘルパーの付き添いができるように。

尾辻大臣/ヘルパーといわれたが、通院の際のコミュニケーション支援というと手話等を思い浮かべたが、意思疎通の支障の場合はコミュニケーション支援は重要と思っている。手話等のコミュニケーション支援は地域生活支援事業として市町村の義務事業。
通院の際にも同じ様に適用が可能と考えている。

柚木/もう一点グループホームの課題について。日払い性の問題を検討されていると思うが。入所・通所について。入院で一時的に、いなくなっても職員を配置する必要がある。入院しがちな障害当事者はお断りせざるを得なくなるなら、使いにくいグループホームになってしまう。日払い制度を導入しないということをお答えいただきたい

尾辻大臣/一定の報酬が保障される月払い方式から、日払い方式に改めるとした。しかし利用者の実態を考えると、一時的外泊や入院も考えられる。利用者不在が一定程度発生しうることを勘案した報酬を設定することとしている。日払い方式はこの法式は排除する

柚木/日払いになると、その間ヘルパーが別の人の仕事にうつってしまう。
支援法案への疑問・質問に答えるという資料に障害者団体の声がのっている。これは集約された声なのか。各団体の役職者について資料公開をしていただいたが、全日本手をつなぐ育成会評議員一覧で都道府県の分は厚労省は出せないといわれた。出せない理由はなにか。

委員長/もう申し合わせの時間がない。

尾辻大臣/このことについては承知していない、事務方がこたえられるなら。(知らないいので)答えられないようなので、のちほど。

委員長/後刻協議する 柚木君、もう・・。

柚木/最後に是非お答えいただきたい。今議論している我々は、傍聴のみなさんの付託をいただいている。皆さんの思いをもって議論していることを十分配慮してほしい。

糸川/この法案は従来の福祉施策より、就労支援の強化などは前進したと評価する。しかし傍聴の方々からも制度変更に対する不安が出されている。
議論の前に、障害者福祉サービスの利用状況についてききたい。福祉サービスを利用しやすくする、利用数・中身の拡充もするとのこと、各障害者の利用実態や新制度での利用見込みは?

中村/16年10月分の実態では居宅系サービス利用は約26万4000人。身体障害者、8万5000人。知的障害者、12万2000人。精神障害者1万5000人。障害児4万3000人。

施設入所は14万1000人。身体障害者4万人。知的障害者10万2000人。

その他、精神障害(児)の方で施設を利用もされているはず、今後の見通しでは、
16、17年度の伸びをみる、居宅サービスは3割増を計上。自治体が障害福祉計画をたてるが、ガイドラインを作成し策定していく。

糸川/支援法の成立後の利用状況は見込みが難しいとのことだが、円滑な実施を。福祉サービスの地域格差について県別の差がある。人口当たり滋賀と福井は7倍、精神は23倍、ホームペルプは44倍、これは県単位。市町村単位ではもっと広がる。地域間格差の解消は?

尾辻大臣/現状では、市町村の取り組みに差がある。在宅サービスを実施していないなど問題があると認識している。格差を埋めるべく法案を提案している。サービス量の拡大を図って、水準の底上げを考えている。高いところを下げるわけではない。格差をなくして、量の拡大も目指している。

糸川/底上げをお願いしたい。サービスの充実のためには地域のNPO、小規模作業所との連携が必要。それらへの支援策は? 現状と今後とも。

尾辻大臣/現状は、身体、知的の授産、通所施設は行政のほかは第1種社会福祉事業で社会福祉法人と規定されている。NPOは認められていない。作業所は6000箇所だが、法定外。しかし地域で重要な役割を果たしている。今後はNPOも参入可能に、サービス拠点の充実を図る。自立訓練、就労以降訓練など第2種社会福祉事業と位置付けて参入可能とする。規制緩和で空き施設などの社会資源の活用でNPO、小規模作業所が法的に移行でき、委託が出来るように考えている。作業所などに経営セミナーなどを実施して移行を支援する。

糸川/国のガイドラインについて、来年1,2月にまとめるのは本当か。地方の人口密度の違い、障害者が1人しかいない村もある。障害計画の苦労もあるが、そのサポート体制は?

中村/以前、市町村の老人福祉計画を作ったときも地域差を実感。障害者はもっと人数が少ない。サービス量の見込みの福祉計画があるが、小規模の町村は作成が難しい。マニュアルで対応したい。少人数の障害者ではむつかしいので、広域的な対応を考えている。県と相談して実施したい。

糸川 小さな町村を助けていただきたい。

糸川/就労支援について伺いたい。自立を考えるとき、重要なのは就労支援だと思う。
(社福)「Cネット福井」は知的障害者の就労支援にとりくんでいる、8万の工賃をうけとっている、年金と合わせて自立していかれるときいている。この取り組みが全国的に普及するよう支援してほしい。具体的な就労支援は?

尾辻大臣/福井県には有名な法人もある。知的障害者の自立と社会参加を支援していて工賃も高いと聞いている、積極的に取り組んでいる地域を支援すると同時に、経営ノウハウや工賃引き上げの成功事例を知っていただくこともしていきたい
福祉と就労の両面から支援する。就労に必要な知識や訓練を行なう。一般の事業所で
雇用されるのが困難な人には新しい事業を起こして支援を推進していきたい。

糸川/ぜひよろしく。障害者を持つ家族への支援策が重要となる。心のケアも含めて適格な対応が求められる。家族支援は現状よりも充実するのか。

中村/家族支援は大事だと思う。法案では介護給付もする、障害者の短期入所もある。
また心配・不安への相談支援事業も地域生活支援事業での必ずやらなければならない事業となっている。
都道府県のバックアップをうけながら市町村でやってほしい。困難を抱えている当事者・家族への支援となる。

糸川/家族の負担は大きい。よりよくなるようにしてほしい
財源確保の問題について。地域生活支援事業への財源が十分担保されないと。補助金については来年度、最優先課題と厚労省では考えていると思うが。

尾辻大臣/来年度予算については、8月末に概算要求をおこない、鋭意折衝中。
重要課題と認識し予算確保に努力したい

糸川/財源確保に十分取り組んでほしい。
小規模町村で生活する障害者には情報が入りにくい。配付されている資料も難解だ。障害者自身、自分がどうなるのか分かりにくい。村役場での対応が重要になる。丁寧な説明などへの研修は?

中村/行政として県を通じ市町村に情報が届くように、住民わかるように資料を用意したい。時間的にも短いので県と連携を図って実施したい。当事者の理解も必要なので、サービス提供事業者にもわかりやすく。

糸川/利用者負担の問題が先行しているが、当事者の理解が得られるように努力を。過疎地が多いが、戸別訪問など細かい対応をお願いしたい。一旦廃案になったが、来年の予算編成上どうしても成立が必要と思うが、できれば当事者の声を聞きながらの審議が望ましい。法案の周知期間に余裕を持たせる必要、審議時間も掛ける必要性もある。当事者によろこばれる法案に。

尾辻大臣/予算関連法案なので、審議して通過させたいと申してきた。衆議院で可決したが参議院審議中に廃案になったが、今国会で審議を再度お願いしている。議論した結果は真剣に検討させていただいている。議論をした結果をふまえて実施することをお願いしたい。

糸川/予算ありきでなく、お願いしたい。

委員長/次回は25日、8:50理事会、9:00委員会開催とする。これにて散会。

【終わり】

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その11)

2005年10月23日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
笠井/多くの障害者が大臣にも会いたいと。障害者の思いを納税者に知らせて障害者を応援してこそ政治ではないか。これは一生の問題。障害者のサービスは買うものと、担当局長が言っていいのか?

尾辻大臣/買うという表現はあったが、法案の基本的な考え方の1つに支援費の考え方、支援費の良さを引き継いでいる。この法案にも契約の考え方をいれている。局長の買うという表現はそのへんにあるが誤解を与えたなら訂正と局長も言っているので理解を。法案を取り巻くが話があったが、話のポイントの1つは以前障害者団体との話で***になりたいと。向かうべき姿と思ってきた。大臣になってからも法案提出に当たって頭にあったセリフ。みなさんに会って。党の勉強会を続けてきた。意見交換も続けてきた。大臣になってから10箇所以上に伺って意見を聞いてきた。みんなで負担をお願いしたいときめ細かく軽減措置を入れた。みんなで支えるための持続可能なものと思ってお願いをしている。日本の障害者施策の大きな一歩と思っている。

笠井/支援費制度を引き継いでいるというが、性質が違うのでは? 決め細かにというが、複雑でわかりにくい。応益負担を導入したから。持続可能というが、その前に障害者の生活が破壊されると、それが重大問題。政府はお金ではなく人間のことを考えるべき。これは利益ではなく権利である。障害者の負担増はどのくらいなのか?

中村/今回の見直しで、福祉サービスの負担増は260億円。

笠井/自立支援医療も含めて答弁を。

中村/福祉サービスで260億、事業費ペースではその2倍、自立支援医療は90億円。

笠井/あわせて700億になる。関係者に大変な負担増。2級の66000円ではとても暮らしていけない。日本の障害者福祉の現状ははるかに遅れているし自立を妨げている。国民もいつ障害者になるかわからない。だからこそ社会が納得のいく仕組みにすべき。そういう原点を投げて、障害者に負担をかぶせるのはおかしい。

民主党 柚木/言葉の引用から。障害者の言葉。障害をもって生まれたことを不幸とは思わないが、日本に生まれたことを不幸に思うと。一握りの勝ち組だけが反映を享受している。障害者が暮らしにくい社会とは、われわれ健常者にとっても生き苦しい社会。障害者福祉に国の将来が見える。法的根拠を問うべき部分は大臣に答弁してほしい。
一番目。本法に障害者基本法に明記されている自立、社会参加が明記されていないのは何故。

尾辻大臣/目的は、先の衆議院における審議で修正してあり、それにそって本法をたてている。自立ということ。障害者にかぎらず、社会保障を取り巻く施策のなかで一番肝心な言葉が自立支援。大臣就任時の大事なキーワードとして申しあげたのが自立と予防。
自立とは、経済的なことだけではなく、もっと大きい、生活していくうえでの自立。
尊厳をもってその人らしく、人間らしく生きていくことと思う。

柚木/自立支援は中身が問題。支援費制度の介護保険制度化に問題がある。尊厳を尊重するなら、介護保険での支援費制度化はあってもその逆はない。

尾辻大臣/介護保険と障害者施策の整理をする。介護保険は見直しのなかで普遍化と
表現した。被保険者の拡大の問題はある。障害者が介護を必要とする部分はある。
そこは介護保険で。そう整理している。

柚木/介護の社会化の理念である3障害の一元化により、支援費制度でのサービスのほうがよかったという事例がでてくるのではないの。自己決定はどれだけ増えたといえるのか。

尾辻大臣/今回の改革では、支援費制度のよさをそのままにして、支援費制度の自己決定の理念を維持して質と量の維持を目指す。具体的にはサービスの量としては地域の店舗やNPOなどの規制緩和、市町村ごとに障害者福祉計画の策定を義務付ける。裁量的ではなく計画を立ててもらってやる。内容についても障害者の個々のニーズにあったサービスをうけられるように、いろいろなものを作ろうとしている。こうした施策によってサービスの質と量の充実により、自己決定の幅が広がると考えている。

柚木/サービスメニューの増加については本当か? その前提となる審査の妥当性に疑問がある。つまりモデル事業として実施したものでは、精神障害者の3割が非該当。多くの障害者が被害等の不安を持っている。メニューが増えても自己決定がせばめられていないか? 見直して法案再提出を。

西/この試行では、1次判定で現行の要介護79項目を当てはめて実施した。2次は27項目を追加して医師の意見等を踏まえて判定をしていく。・・・2次判定の27項目との関係について、みなさんの意見を伺って考えていきたい。

柚木/今の答弁では不安。不備を見直して法案再提出を。施行後に被害が出た場合は?

尾辻大臣/障害認定区分の話だが、地域差も埋めたい。地域差の発生は統一基準がないこと。埋めるには統一基準が必要。やり方は介護保険の経験を元に要介護の判定を使ってみて、さらに27項目を加えて、検討してから実施したい。これをコンピュータのシステムに反映したい。これをきっちりやれば懸念はない。

柚木/仮の話は困る。検討の精度を高めても、最低限今の水準維持の担保をどのように?

尾辻大臣/これまでも応えているが。支援費制度のサービスの量と質は落とさない。

柚木/質は落とさないためには担保が必要。つぎの質問。
就労支援は所得保障も本法の趣旨なのか。

尾辻大臣/自立は経済的なものだけではない。幅広い概念で申しあげている。
本案は就労支援や所得保障の施策をおこなっていく。他の法律も含めておこなっていく。

柚木/利用者負担額の影響額についての資料をみて驚いた。
これによると、居宅は12倍、見直し後がかなりあがっている。入所は1.6倍でしかない。これは一体どういうことか。地域で自立生活できる趣旨であるはずなのに、負担が集中している。

尾辻大臣/その資料は見せてほしいが。そうでないと答えられない。

柚木/居住と通所の負担増と入所の負担増がかなり違う。地域で自立生活する人の負担が何故これほど高くなるのか。

尾辻大臣/マクロで示した数字とも違うようだ。手元にある資料がどういうものなのか
見せていただければ。個々の負担と、マクロとでは異なる。

柚木/今の答弁では納得しない。この資料が今なぜ出てきたのか。世帯単位に移行するとなっている。障害者の自立を趣旨とするなら、障害者だけの収支で考えるべきではないか。

尾辻大臣/マクロの話でのお訊ねなので、1点だけ答える。
施設から居宅に移る生活になる、このおおきな考え方で制度を作った。これはマクロの話、利用者負担について。従来の支援費制度と異なり障害者本人のみを負担義務者とした。本人負担の軽減措置を考えるときに、世帯単位の所得に応じた限度額を考慮するということ。配偶者が生計一致は常識。介護保険制度と同様に生計を一にする所帯全体で負担能力を判定したい。夫婦から親・兄弟に広げたとき障害者との同一の世帯をどう見るか。税制や医療保険のいずれにおいても障害者を扶養していないときは、障害者・配偶者の所得に応じて負担能力を考える。扶養を前提として何かを得ているときは、扶養している立場を取ってもらいたい。いずれを選択するかは本人の判断として欲しいといっている。

柚木/低減措置の考えの方向性が間違っている。ヨーロッパなどでは障害者介助は社会全体でというのが常識。介護の社会化がノーマライゼーション。日本は逆行している。

尾辻大臣/基本は御本人といっている。低減措置は世帯単位での考え方。有利なほうをといっている。扶養の考え方の導入は整理が付いている。

柚木/社会全体で支えるしくみに。就労支援について、障害者の自立支援は経済的な自立であるべき。障害者の職と住の整備の問題。愛知県の施設では2つがセットで実施している。北海道でも例がある。職と住の一体化が必要と思うが、具体策と事例の把握は?

尾辻大臣/ちょっと認識が違うかと。職と住は分離のほうがよいと考えている。寝るところと通うところは別のほうでと前提に仕組みを作っている。理解が一致すればいいが。

柚木/具体的な就労支援、給与の問題などの取り組みは? 実際に調査を。職場の中での定着率の向上策が大事。ジョブコーチ機能など役所から企業に指導したなどの具体例を。企業の生産性向上にもつながるが、厚生労働省の考えは?

中野副大臣/職場定着は重要。職場にジョブコーチの派遣が必要。指導、障害特性に配慮して、全国47箇所の地域職業センターで実施している。職場定着では雇用促進法の改正で助成金を配布している。職業援助など事業主にも援助している。ジョブコーチ導入箇所では6ヶ月経過で定着率は83%と非常に高いと認識しているので、今後も活用を考えている。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その10)

2005年10月23日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
中村局長/地域生活支援事業の中で移動支援事業も含まれており、半年で200億円要求している。半分なので年間では400億円。19年度以降は400億円確保できれば良いと思う。地域格差がある状況なので、配分を考えていきたい。400億円の予算で対応が出来ると思うが、所要経費を確保できるよう頑張りたい。

園田(民主)/足りなくなったときに、市町村がすべてをかぶらなければいけないのは問題点だと思う。考えて欲しい。質問を終わりたい。


笠井(共産)/今回の障害者自立支援法案は、総選挙で廃案となって、委員の構成も変わった上で出された。初めて法案審議に参加する委員も多い。継続審議ではなく、改めて趣旨説明があり対案が民主党から出された。徹底審議をすべき法案だと思う。障害者や関係者から怒りの声があり、廃案として仕切りなおせという声もある。民主党提案について2点伺いたい。精神も入れて3障害に対し、支援費を適用とし、応益負担をしないとあるが、理由を伺いたい。

山井(民主)/応益負担は、そもそも障害が重いほど多くの自己負担を払う制度。それは福祉の理念に反している。障害が重いほど費用が増えるという応益負担を福祉の中に導入している国はない。障害は望んで持ったものではない。重度障害者に対し、より多くの自己負担を取ろうとするのは福祉の理念に反する。理念の間違った政府案ではなく、所得に応じた応能負担を当面考えたい。

笠井(共産)/もう1つ。民主党案では、難病も対応とした障害者福祉法とあるが、策定段階での障害者の意見反映はどのように意見担保されているか。

山井(民主)/障害者の声をいかに改革に入れていくかは、最も重要。制度の主人公は障害者。時間をかけ、2年以内に障害者福祉法を策定すると書いているが、検討会も作り時間をかけたい。難病の中にも障害の中にも色々なケースがある。今回の政府案の最大の問題は、主人公不在の点。改革には決してなじまないと考える。

笠井(共産)/政府案について伺いたい。最大の問題点は、障害者福祉を現在の応能負担から、障害者が利益を受ける、ということで応益負担にしたこと。限りなく応能負担に近い、減免も考えていると答弁されているが、従来は低く抑えられて、95%無料で使えていたものが、原則1割の定率負担となり、重い障害ほど負担が重くなる。サービスが受けにくくなる、というのは福祉を壊すことになる。局長に伺いたいが、今度の法律では、サービスは買うものだ。買う主体になる、という発言を先の参議院でされていたが、福祉の観点からは信じがたい。健常者でも福祉は応能負担が原則なのに、障害者に応益負担を持ち込むのはもっての他。ハンディを埋めるための障害者福祉ではないか。障害者のサービスは買うものだというのは撤回して欲しい。

中村局長/参議院での答弁は、福島みずほ議員の答弁に対して答えた。今回の自立支援法は1割負担だが、サービスの9割は国民の皆さんからの税で賄う。だから最低1割を利用者である障害者に負担を原則にしているが、その負担についても、更に上限を設けるなど、工夫をしている。サービスを買うもの、というのは、契約の面の話。応能負担はどうしても低所得を念頭においた制度である。社会保障の9割は社会保険で賄われているが、これは応益負担であり、社会保障のすべてが応能負担とは限らない。障害は誰にでも起こるもの。すべての人が受けられるものに変革をする必要があり、「障害者=低所得者」と考えるのではなく、すべての人が使えるようにするべき。9割は皆で負担し、1割は本人負担ではあるが、重度の方ほど、減免の措置もあり、負担率も下がる。短い答弁時間の中で表現する必要があったのでそのような言い方になったが、表現が不適切であるなら、取り消す。

笠井(共産)/契約に基づくという考え自体が違うのではないか。負担率も低所得ほど下がるとはいっても、現状より増えるのは確か。応益負担になればサービスを気兼ねなく受けられるというのであれば、では現状の応能負担ではサービスを気兼ねして受けているのか?普通に生活したい、社会に役立ちたい、人間らしく生きたいというのは人権であり、生存件の問題であり根本問題。法案担当者がそういった認識なら恥ずかしい。重度障害者の多くが生存や日常生活のニーズが脅かされている、障害者の社会参加や自立に必要なサービスは利益でもない。障害者の費用負担は健常者の場合とも違うというのは世界でも常識では?障害者に1割の応益負担がある国を具体的に行って欲しい。

中村局長/障害行政では契約はとんでもない、との話だが、措置から契約へ、というのは支援費制度から。支援費制度を継承して自立支援法がある。精神障害者もサービスの対象になり、障害福祉はこれからどんどん増えていく。利用者にも応分の負担をお願いし、健常者の理解を求めるためにも作ったもの。よく応益負担は国を見ない、とあるが、スウェーデンでもホームヘルパーの利用時間に応じて負担をいただいている。イギリスもサービス料に応じた費用負担をお願いしている。必ずしも応益負担がないわけでもない。また、アメリガなど応能負担を導入している国の場合は、利用対象者を、低所得者に限っている。どの国でも一定の負担をお願いしている。応能だから権利性がないというわけではなく、また無料がよいというのではない。払える範囲で支払をお願いしたい、ということ。

笠井(共産)/スウェーデンには私も見学にいったが、こんな形で一割の応益負担をしていない。納税者の理解、と言われるが、障害者福祉担当の局長・政府であれば、納税者からの声に体を張って、障害者の状況を障害者の立場に立って説明し、説得してこそ担当責任者ではないか。サービスは金で買う、納税者の声を考えろ、というが、こういう立場の発言は問題だと思う。障害者へのサービスは益なのか。障害者はサービスを益になるほど受けているのか。障害者の状況を説明し、応援してこそ政府なのではないか。障害者にとっては、この問題は一生続くこと。障害者のサービスは買うものだ、ということで良いのか。

尾辻大臣/買う、という表現については、本人が説明をした。局長自身も説明をしたが、支援費からの契約という考え方。そして支援費の良い考えを持って行きたいと考えている。局長が「買う」ということで表現した思いはそういう部分だと思う。ただ言葉としてまずかったということについては、本人も話しているので理解をお願いしたい。障害者の意見をどのように聞くのか、が質問のポイントだと思う。障害者団体の方と話をしたとき、出来るだけ皆さんに会わなければいけない、ということで私も、大臣になる前は勉強会もしていたし、続けていた。場所に大臣になってからも10箇所以上訪問し、勉強をした。無理なご負担はお願いしてはいけない、きめ細かな対応が必要と思っていた。皆で支える持続可能なものにする必要であり、それをお願いしている。この法律が日本の障害者施策を大きく進めると思う。

笠井(共産)/契約に基づくということで、支援費制度を継承しているというが、性質が違うと思う。きめ細かく、というが、内容がとても複雑。なぜこんなに複雑かというと、応益負担を導入したからだと思う。仮に、継続可能な制度が出来たとしても、障害者がその制度で暮らしていけなければ、意味がないのではないか。移動介護もコミュニケーションも利益ではなく権利である。今度の法案で障害者の負担がどのくらい増えるのか?

中村局長/今回の見直しで福祉サービスの負担は260億円。

笠井(共産)/事業費ベース・自立支援医療を含めては?

中村局長/自立支援医療は90億円で、福祉サービス負担の260億円に含まれている。事業費は520億円。

笠井(共産)/合わせて700億円以上になる。それでなくても生活が大変なのに、こんなに負担が増えることになる!また医療費の負担や消費税増税などが言われており、ますます障害者が暮らしにくくなっている。日本の障害者福祉は大変遅れている。国民誰もが障害を持つ身になるか、その家族になるかは分からない。この法案も、廃案にしてきちんと障害者の自立支援を促す法案を作るべき。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その9)

2005年10月23日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
園田(民主)/また、生活がある現場で当事者の意見を聞きながら項目を作っていく必要があると思う。これから様々な策定スケジュールがどういうものなのか、策定過程において当事者の意見を取り入れながらやっていただきたいと思う。

尾辻大臣/今まで局長から答えているように、分析している状態で来年設定する。制度の骨格に関するものであるので社会保障審議会で議論する。更に障害者部会で併せて関係団体等に意見を伺う。

園田(民主)/その点はお願いする。確認したいが、最終結果の図の中で65人が非該当となっている。2時判定で該当しない人だと思うが、自立支援法の中でどのようなサービスが受けられるのか。

中村局長/非該当者は65人、全体の4%である。非該当の方々のニーズは、例えば訓練等給付などがあると思う。どのような事情があるのか、地域として必要なサービスがあれば地域支援事業で対応する。

園田(民主)/残念ながら非該当となった人はサービスが受けられないのか。

中村局長/局長/介護給付については受けられない。

園田(民主)/様々な法文を読ませてもらい、試行錯誤しているが、最終的な決定がされた後、不服として訴える機関はあるのか。

中村局長/都道府県に不服を言える。

園田(民主)/審査会の中で介護サービスが必要だと認められれば受けられるのか。

中村局長/そのような形になれば救済しなければならない。具体的なケースになると思うが、従うと思う。

園田(民主)/支給決定の中味が決定されるまでについて、新たに追加されているもの、現段階で想定されるものは何か。

中村局長/当時と変わりはない。サービスの利用事項などの勘案等。

園田(民主)/最終確認をしたいが、介護保険のモデル事業について審査会のメンバーは、先ほど説明があったとおり、市区町村の介護保険のメンバーと同一になるのか。

中村局長/障害の審査会は介護の審査とは別物。介護保険の審査員であっても兼務するのは構わないが別物である。

園田(民主)/どのような人が要介護の幾つになるのか、判断材用に迷う部分がある。今のままの状況でやろうとしても、今の介護保険の延長線となる。来年10月からのスタートになるのだから、きちんとした調査をし、マニュアル作ってほしい。また、障害者の意見を聞いて欲しい。

中村局長/これまで懸念も含めて指摘があったので、障害者にとって中立公正で判定でき、給付の決定などについて明確にしていくことが自立支援法の柱となるので、きちんとやっていきたい。

園田(民主)/残念ながら2次判定も委員会で決められるとなれば、透明な決定となるというわけではない。改正していくなら、本人の同席を認めるのはどうか。私が制度区分の認定方法に拘る理由は、介護給付は障害制度区分によって、今受けているサービスが今後も同様に受けることができるのかが見えてくるから。この制度
区分・最終的な支給決定・支援費での利用時間の相関関係が見えれば、今後のことも見えてくる。誤解があって伝わってないと言うが、そうならば資料を早急に作って出したらどうか。仮に要介護の区分が分かれた時でも、先のことが予測できる。実は昨日お願いしたが、研究班でもっと詳しいものを作っているとのことだ。今回のモデル計画で、どのような区分になったのか事例を出していただきたい。

中村局長/約1,800人が対象者。今のサービス、ホームヘルプサービスなどについての結果を11月にまとめられると思う。

園田(民主)/公表してください。目安になると思う。この法律を、私は良いとは思わないが早い段階から実行しないといけないと思う。

園田(民主)/重度訪問介護と重度包括支援について。13条9項目それぞれ分けて
書かれている。支援の場合は医療ケアが必要な人だと説明を受けた。5月にもらった政省令の中にALSが入っていたが消えている。消えたのは意味があるのか。重度包括支援との違いは何か。

中村局長/重度訪問介護は外出時の移動などを組み合わせたサービス。移動サービスとホームヘルプの居宅サービス。重度包括支援は複数のサービスをし、包括する。対象者は人工呼吸器をつけていたり、重度心身障害者などが含まれる。

園田(民主)/判定機関・専門機関というのは何か。誰が判定するのか。

中村局長/専門機関としては障害についての専門家。支給については市町村が判定する。

園田(民主)/本人が重度訪問介護か包括支援なのか本人が選ぶことは出来ないのですね。

中村局長/障害の認定までの間に、本人のサービス意向というものがある。サービスを利用する場合、利用者・介護者の状況、住宅の問題などを勘案して市町村が決める。重度障害者の希望した生活については市町村から利用決定がある。意向を聞き相談の結果希望と合うとは限らない。

園田(民主)/市町村が適切でないと判断した場合、違うものになるということですね。本人が意向を示しても受け入れ側が包括支援できないという場合もあると理解してよいか。

中村局長/支援費もそうだが、サービスも量も市町村が決める。市町村はその人にとって一番良い福祉を考えると思うが、期待するサービスがなければ期待に添えないこともあると思う。

園田(民主)/市町村を超えて他の地区で利用するのは可能か。

中村局長/利用できる距離にあれば使えると思うし、法律的な制約はない。

園田(民主)/24時間介護が必要な方は、重度包括支援・重度訪問介護どちらでも構わないが自立支援法の中で利用できるのか。青森県などはそのような事業がない、使えないなどと聞いているが利用できるのか。

尾辻大臣/負担基準を設定してあって、月22万。特に重度障害者のことを踏まえつつ、水準を上げる方向で検討していることを約束する。地域で暮らす場合、24時間介護が必要な場合、国保負担の水準を上げるとともに給付内容などを検討し、答えを出します。

園田(民主)/報酬単価が身体介護とサービス単価に開きがある。大臣が力強く言ったが、支援費の介護報酬について期待している。先ほど言われた、サービスそのものを増やすというのは障害者福祉を増やすということにつながると思う。現行のサービス水準の低下を招くことがないようにとのことだが、地域間格差をなくさないといけない。国保負担水準に合わせるのか明確にして欲しい。

尾辻大臣/サービスの量と質の問題がある。地域格差などがあると、量をやっていないと思われるだろうが、量も質も落とさない。格差が低い所をあげるという考え方だ。

園田(民主)/信頼したいが、聞いておきたいことがある。最初に話が出ていた、地域生活支援事業には、個人に併せて支給設定がされていた。とても良い制度だった。ところが予算形態において今までの個別給付から総額予算に入ってしまった。中味が予算化されたわけではない。今年の概算予算では200億円とのことだが、求めている予算は取れるのか、これを最後に伺いたい。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その8)

2005年10月23日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
園田(民主)/それぞれ地域のよって事情は違うと思うが、一律にやっていただきたいと思う。当事者が求めるのならば対応するのは行政の責任。ぜひお願いをしたい。制度としては、法文上そうなっているが、二次判定から支給決定、その後に不服があれば都道府県に申し出という流れになるのか。その順番では時間がかかりすぎる。区分決定→審査会→となる前に、できたら障害程度区分のところから考え直してほしい。すべて覆すのは大変な時間と労力だと思う。したがって最終的な決定が出てから申し出をするのでなく、区分の時点で判断が必要ではないか?
モデル事業について。区分を決定する前に、介護保険においての項目、多動や精神面、日常生活面など、全部で106項目ある。介護保険の79項目のみで行った場合の結果、最終結果というのが障害の特例に応じて27項目をつくり、最終的に医師の意見書などを通じて最終決定となる。詳細は調査中だということだが、精神障害のところで言えば、198名→597名、介護保険の項目で調査をした場合の結果は、精神障害者198→32名、要介護度1~2にランクアップしている。精神障害については、非該当が191名。非該当の人が、この要介護度1や2になっている 一時判定から最終判定に至るまでの経緯を詳しく聞きたい。どういった理由で上の最終結果になるのか、ランクが上がった人の状況がどういうものだったか聞きたい。

中村局長/モデル事業の最終結果とされる1次・2次の判定結果表であり、違いは、今言われたとおり。介護保険の79項目が一次判定であり、修正が二次結果、相違点は行動面・精神面を加えてチェックし、特記事項は、調査員が障害者にお会いして調査する。医師の意見書をふまえて、審査会で判定した結果。どういう要素、3つの要素で、一時判定から二次判定で、非該当から要支援などに、移ったのか。その分析をしている。変更率は委員から言われたとおり50.4% どういう要素でそれだけ移ったのかというのは分析し、審議会に報告するということになっているのでお待ちいただきたい。79項目の一次判定では、最終判定に近づけるように、一時判定に27項目を追加し、ウェイト図形を作成し、障害者自立支援法に基づく、パソコンで判定できるソフトを作成した。これからしなくてはならないことは、一次判定に二次判定を追加し、二次判定結果に近づけるようなコンピュータソフトを開発し、いわば106項目の判定ソフトを用いたいと思う。

園田(民主)/介護保険の項目を使った場合、一次判定の結果しか出ない79項目というのはということで、最後局長が言ったのは変更率50.4%が96%でしたね?一時判定結果79項目は障害者には使えないということか?

中村局長/モデル事業をする前にも色々な事業を行っており、要介護認定のツールだけでは障害者には適さないと思っている 一次判定結果と二次判定結果比べて、一次判定では不十分なので、79でなく106項目の判定ソフトでやれば二次判定に近づく。そのためのソフトを作りたい。要介護認定は介護認定だけでも若干の違いがある。全国統一ソフトであたりはつけるが、個々の事情や医師の意見や調査員の意見をもとに判断するので、ソフトができても、二次判定はやっていただきたいと思う。

園田(民主)/介護保険の時の例を聞きたい。モデル事業をやって、コンピュータソフトが適正であるかという試行はしたことがあるか?
中村局長/介護保険では要介護認定作成事業をし、一次判定ソフトを作った。初めてでしたのでエラーもしつつ作ったという経過がある。作成後、市町村にも慣れていただくため、試行事業もした。介護保険の例では、平成11年10月から行い、12年の施行に近づいた。実施後も、認知症の高齢者では一次判定では不都合ということで、15年に79項目の組み換え、それぞれのウェイト付けの組み換えをした。その結果、認知症、例えばグループホーム入居者のランクが上がるということがおこった。障害区分判定を作るが、それも日進月歩だと思うので、直すべき点は直す。現在入っていない発達障害や障害児の件は引き続き考えなくてはならない。

園田(民主)/介護保険の時は、導入に時間がかかり、大変だったと思う。市町村に慣れてもらうことも必要。介護保険の部分を使うと、当事者の人に反映するのは難しいということがわかった。このコンピュータソフトを作った上で、本当だったらもう一度、コンピュータソフトがちゃんと働くか、試行事業をしなくてはならない。介護保険をモデルとしてやってみたが、きちんと出なかったから医師の意見書等を足してこの結果になったということであれば、二次判定の区分の認定にあてはまってくるソフトがこれから開発され作られてから、もう一度事業を行って、本当に正しい結果が出せるかどうかやる必要があると思う。導入前にそれを行う意志があるか。ソフトを作るためのモデル事業なのか?

中村局長/介護保険のときとは違い、全く新しい一次判定ソフトを作るわけではない。認定項目に精神障害も入るので、認定調査員にマニュアルを作り、ソフトも間に合うように作る。また、障害程度区分についても設定が必要。まずは試行事業でサンプルがとれているからそれが元になる。どのような形になるかというのは意見を聞いてやらなければいけないが、きちんと動かなければならないので、検証したいと思う。

園田(民主)/認定調査の中で、さまざまな意見が上がってきている。認定調査についても、記載していただく医師について、調査基準に差があり、調査員の研修が必要ではという意見があった。審査会や障害保険の経験を広く有した人でも迷いが生じる。マニュアルが完全に出来ていない。ランクアップした理由や基準には、何が決め手となったのか?曖昧なものを最終的な結果として出し、そしてソフトを作ろうとしている。果たしてこれで全国で通用するのか?施行まではあと1年間ある。来年4月までの間にもう一度試行事業をやる意志があるのか。

中村局長/介護保険の時は、世界初でこういう要介護認定ということを行い、心配していた。介護保険の際は障害者の10倍の数を市町村がやったので、初めてではないと思っている。障害の分野は初めてであるし、精神障害も入ってくる。マニュアルやソフトの検討はきちんとやっていきたい。

園田(民主)/介護保険+27項目を作成するに当たって、ICFに基準は参考にしたのか。

中村局長/単に心身の機能の低下ということだけではく、活動・参加もICFの理念。コミュニケーションの項目等も含まれてくる。活動の基本的な前提になるICFに出されている新しい障害観に沿って考えている。

園田(民主)/ ICFの認定項目を真似しろとはいわないが、参考にしつつ、現場の当事者の意見で基準を作ってほしい。その策定スケジュールは組まれているのか。また策定の過程においては、当事者の意見を取り入れながら作る機会を考えているのか。

尾辻大臣/区分については施行事業の結果を分析中。年内に検討を進めて設定する。区分は制度の骨格になるから、社会保障審議会障害者部会において試行事業速報をしたばかり。 区分は障害者部会の検討に合わせ、関係団体・有識者の意見は聞いていく。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その7)

2005年10月21日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
【鴨下】再開します。
園田(民主)/大臣に質問したい。初めて答弁席に回らせていただいて、そちらから緊張感を持ちながらお答えさせて頂いた。大臣の席は重い、責任の思い地位であるということを痛感した。午前中の議論の中で、厚生労働委員会の方々がこの審議を通じて、わが国の障害者施策の遅れをなんとかしていかなければならない、ある意味今がチャンスと言う言葉を頂いた。このチャンスを生かしていかなければならないのは確かにそう。しかし、チャンスだから突っ込んでいっていいかというと、私は違うと思う。しっかりとやらなければならない。ニーズというのは同じ。積み上げを丁寧にやっていくということがこの政策の中には必要なことではないかと思っていた。改革と言うことが、今の流れでは謳われているが、単なる改革と言う言葉で語りつくせるものではない。人がいて日々暮らしている人がいて、その中には、自由に移動もできない、コミュニケーションもとれないという人がいる。改革とは何かという議論になる気がしている。原点は何か。改革というなら積み上げをきちんとしてやっていただきたい。安部議員の発言にあった、実態と実態に基づくデータを、厚労省や大臣が把握し、理解した上での法案であることを示して欲しい。気になったのは、応益・応能負担もそうだけれども、パイとしては大きく増やしていくという大臣の答弁でした。全体的にはそうなっていますし、その意気込みは私も予算編成を見ていてわかる部分はあります。ただし、必要なところに予算が配分されているかは疑問。それと同時に、私から提案も含めて、お話させていただきたい。
自立支援法案にはここまでしか払えないと言う上限が決められているが、この積算根拠に疑問をもっている。だったら、これだけのサービスの利用があって、積み上げていって、サービスが至っていない地域に「これだけ需要があり、それに見合う予算配分はこれ」と示せるものであれば納得できるし、大臣が常々答弁で言っているように、適正なサービス水準の確保ができるということになると思うが、何が「適正」なのかについて、これから議論をさせていただきたい。すなわち、障害者当事者が「これが必要」と思っている量と、支給決定における障害認定区分の中で、法律に関わった適切なサービス水準。当事者がニーズとして求めている量と、法律上の量には開きが出てくるのではないかと危惧している。だから頭ごなしに基準を決めていると言うと、「いやいや」とおっしゃるかもしれないが、「当事者の意見を踏まえながら基準を策定している」と自信をもって言えないのではないか。3枚ほど、資料を配らせて頂いた。その中では、障害者当事者にとって支給決定がなされる、それによって介護給付におけるサービスが決まってくると、政府が提案されている。支給決定のプロセスの全体像について5月に配られた資料を私が持っているので、配布したい。この内容と現時点で変わっていたらご指摘ください。アセスメントを行って一次判定、二次判定を経て、障害程度区分が認定される。その後に、当事者に意向調査をして、支給決定案の策定をして、決定となる形。私が危惧しているのは、1点目は、一次判定における審査会のこと。審査会の定義と言いますか、構成委員というのはいったいどういう形で定義されているのか。
中村局長/審査会は、障害者の心身の状況について専門的な見地から客観的に判断し、市町村の判断について意見をいうことが出来る。委員については中立・公正な立場であることが求められる。委員については、身体、知的、精神の3障害を対象とすることを考慮し、各分野の専門的知識のある人で構成される必要。人数は5名を基準としている。ただし人数については、政令条例で定める。人選については、市町村長が行うこととなっている。
園田(民主)/障害者の実情に通じたものが選ばれることと、参院の附帯決議で決められている。相当の実績として、中立・公正に審査を行えるものとなっている。この中に障害者が含まれると、参議院の付帯決議ではそうなっていると理解できるが間違いないか。
中村局長/審査会の委員については、障害者の実情に理解のある方が望ましい。有識者であって中立公平に審査を行えるなら、障害者当事者を加えるのが望ましい。
園田(民主)/地域生活にいろんな活動をされている方がいるが、どういう人を想定しているのか。
中村局長/具体的な選任は市町村長が行う。60ヵ所の試行事業では、大学の学識経験者、相談現場に関わっておられる方、従事したことのある人などが選任されているとこと。
園田(民主)/ちょうど障害程度のモデル事業の話が出ましたので、ここで確認したい。審査員は何名か。
中村局長/委員は、一次審査会は5名です。
園田(民主)/300人が携わったと思うが、報告では312人になっているのは地域によって増減があったということか。
中村局長/そのとおり。審査委員職種としては、82人が医師、割合にして、26.3%、他に施設関係者で10.6%、ついで、社会福祉士が10.3%、行政関係者が8.3%、となっている。 
園田(民主)/障害者当事者は何名か。
中村局長/9名の方が当事者。NPO法人の理事長や自立支援施設の方、大学教授で障害者福祉専門の方、ピアカウンセラーの方、福祉工場の施設長等多種にわたっている。いずれも障害をお持ちの方。
園田(民主)/そうすると60ヵ所で9人、その内訳は?
中村局長/8自治体で9人。1つの市町村だけ2人の当事者の方が入られていました。
園田(民主)/今回行ったモデル事業の60自治体の審査会の委員に9人の当事者の方がいたということですね、審査会には医師が82人とおっしゃった。残念ながら医師も、精神科医の方は精神障害のさまざまな症状はお分かりいただいていると思われるが、それ以外で言うと、本当の意味での公正・公平な審査に果たして与するものであるのか。ニーズの基準を用いて、様々な障害の症状にあわせて審査すると思うが、審査会の決定に対して、先の国会でも質問したが、この決定過程で当事者の意見を反映させて欲しいということ。それはできるようになりましたが、当事者の意見を反映させる場所をきちんと位置づけることが大事だと、常々申し上げてきた。本来なら、局長から答弁いただけるのかもしれないが、大臣にぜひお伺いしたい。つまり、プロセスの中で障害区分の認定がなされるときには、障害者当事者の意見を聞く、あるいは意見表明する場が審査委員会の中にあってしかるべきと思う。当事者の声はいかが受け止めていらっしゃるか。
尾辻大臣/障害者や家族から意見や状況を聞くことで、障害者ご本人あるいは家族の意見が反映されるように配慮しているが、さらに市町村の決定に不服がある場合は、都道府県に再審査請求し、口頭で意見表明できるようになっている。制度的に障害者ご本人の意見を聞く機会は十分に確保されている。審査会において、障害者・保護者からの求めに応じて一律に意見を聞く機会を設けることはしていないが、障害者からの求めがあった場合は、市町村審査会の判断でできるとしている。
園田(民主)/求めがあったときに、ということであるが、この点について確認したい。求めがあったときに、二次審査のときに市町村が判断すれば、これは求めがある場合はオーケーになるのか。
中村局長/大臣がお答えした通り。障害程度区分認定は客観的判定、中立・公正で専門的な見地から判断する。サービス利用については、障害者当事者に意見を聞く。一律に義務付けることは考えていないが、求めがあったときは審査会判断で行う。
園田(民主)/何らかの形で通達が出て行くのか。
中村局長/法案が通ったら、法の運営については、様々なことを市町村にガイドラインを示していく必要がある。形式はもう一度全体で考えさせていただくが、通達を出した以後になると思う。
園田(民主)/できれば一律にやっていただきたいただい。それぞれに地域によって事情が違うが、障害者が求めるときに答えるのが行政の責任、そこをお願いしたい。さっき大臣がおっしゃった二次判定から支給決定、障害程度については一律に決定され、そのあとようやく障害者当事者の意見が聞かれ、決定される。それに不服がある場合は都道府県という手段があるというが、そうなってからでは時間がかかってしまうのではないか。すべて決定されてから覆すとなると時間と労力がかかってしまう。支給決定後に都道府県に意見を言う前に、区分のところから障害者の意見を入れていってほしい。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その6)

2005年10月21日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
(阿部続き)もしも今、大臣のお気持ちの中で、骨太の時もそうだった、与党もそう思ってたというのであれば、ほんとに障害問題を前にしては基盤が弱く、ご高齢者の比ではありません。これをハード・ソフトの基盤整備、その前にまず厚労省は現状を把握してください。私は昨日この現状把握のために遅くまでデータを出していただきました。本当はこのような審議の中にきっちり出していただいて、基盤整備の状況をみていただきたいです。そうすれば、お金の枠だけ作っても、その枠は十分でなくなることは、支援費で経験したことですから、あり得るんです。ここを障害の方は一番心配しているんです。みんな苦労して作ってきたのです。これでもまだ足りない。両輪だとご理解いただいて、ハードソフトの基盤整備に、でも、やっぱり立法が欲しいです、予算も欲しいです。そのように検討していただけないか、大臣、いかがでしょう。

尾辻大臣/これは何の施策でも同じですが、特に障害者におきましてもハード・ソフトの両面でやらなければいけないのは、そのとおり、私もそう思います。そのための努力は全力でやります。

阿部/大臣ではなくてもいいのですが、担当のかたで結構ですが、精神障害関連で、さまざまな在宅でお暮らしになる場合、例えば作業所とか、あるいはグループホームとか、そういうものの政治状況を日本全国で見渡した場合に、どのようになっているかというデータはお持ちではありませんか?

中村局長/お答え申し上げます。障害者福祉サービス利用の実態把握調査、16年10月分の調査をさせていただきました。例えば、精神障害のかたのホームヘルプサービスですと、1234市町村で実施されているということで、49.3%で実施されています。市町村の人口に対する割合は79.7%です。通所施設関係の利用状況についての数字はあがっておりません。精神障害者のショートステイは158市町村、6.3%で実施されています。グループホームは678個所、27.1%の市町村で実施されています。障害者のかた全体の居宅サービスでいいますと、身体障害、知的障害、精神障害、26万4200人の中で、私共の調査では、精神障害者の在宅の調査は14500人ということで、5.5%です。身体障害、知的障害、精神障害、いわゆるトータルで600万人の中でいいますと、精神障害者のかたの居宅サービス利用状況はきわめて少ないと。これは、支援費制度でも精神障害者のほうがカバーされていないということが大きな原因ではないかと認識いたしております。

阿部/やはり、そのような答弁になるのですね。私はインフラ整備はどこまで進んだんですかと聞いたんですね。そうすると、他に比べて利用が少ないよというご答弁でした。これは、なぜ少ないかということを分析する際に、例えば、3126自治体、平成16年4月1日現在、で、生活訓練施設、福祉ホーム、精神入所授産、精神通院授産、精神小規模通所、精神福祉工場、支援センターのどれかひとつでもある自治体を1として数えると、3126の中507です。ほんとに少ないのです。16.2%。本当はどのメニューも必要なのです。こうした施設が各地にすべてあってこそ選べるメニューで、そこからその人に見合った支援を受けるということができます。これは精神のひとつのデータですが、人間は都市ばかりに集中して住んでいるわけではありません。田舎、過疎、面積に対してもきちんと調べる必要があります。そうでなければ地方で障害者は生きられなくなっていきます。日本全国を見て、まず基盤整備。ゴールドプランとはそういうものだったと思います。全国を見て基盤整備の必要性をきっちりと把握するまで、そしてそれを提供するまでが国の責任です。そこをあやふやにして地方に計画だけ作っていただいても、先ほど申しましたように、お金もない、サービスも手薄である。その中で支援が行われようもない。大臣、今日の私のお願いは、厚生労働省として、こういう、いろいろな福祉提供施設関連の物のマップをきちんと作っていただきたい。どこでどのくらいの人口と面に対してで、年にどのくらいのものがサービスされているのか、それを把握した上で次のステップが出てくると思いますが、いかがでしょうか?

中村局長/阿部委員からゴールドプラン、介護保険の話もでました。ある意味ではゴールドプランは施設整備の計画と施設に対して運営費を出すランニングコストをどう確保するかという、その両輪から成り立ってきたのだと思います。そういった中で介護保険もできたと。障害行政についても、施設整備についても補助はございますし、支援費制度、今度は障害者自立支援法ということで、かかる経費についてお出ししていこうという制度を作ろうとしています。その意味で車の両輪をもとうとしています。確かに、在宅サービスの利用者数は高齢者の10分の1、施設サービスの利用者数は8分の1、金額では12%でございますが、委員から指摘のありました全国の整備状況について作っていくことも大事かと思いますが、大事なことはやはりニーズに対してサービスを行う、その財政基盤を確保する、そういったことが、ニワトリが先かたまごが先かになりますが、施設を作ってもランニングコストがでないとできない。支援費の場合は、かなりサービスは拡大しましたが、財政負担が追いついていません。今度の自立支援法はそういった意味で基盤整備の基本になります所要経費について国として2分の1を負担していこうという制度です。ゴールドプランのような意味での基盤整備が財政基盤の確保ができたということでこれから確実に進むのではないかと私共は考えております。

阿部/この自立支援法のよい点でもあり、また欠けたる点でもあると思いますが、対個人に対して支援する形をとったわけです。日数計算で利用者がお支払いする、しかし、施設が運営できなければやれないと。中村さんは「過渡的に施設への補助もしますよ」とおっしゃったわけです。あくまでも、ハードとソフトは両輪です。そしてハードがいかに少ないか、大事だと思いますとおっしゃったので、きっちり把握して厚生労働省としてお作りください。これはほんとに大事なことです。しかし、こちらは、作ってみれば一目瞭然です、こんなに少ないかと。ご高齢者のかたの施設とは破格に数が違います。これをほんとに育成していくためにどんな枠組みが必要か、これが障害者自立支援法の骨格になると思います。山井さんに、印象として、サービス基盤状況ということをどうお考えなのか。私は、これまでお聞きした中で非常にすぐれた法案と思っています。例えば、医療は医療として現在のものを残していく、あるいは応能負担、そして本当に障害者が自分が望むことを決めていくという理念にのっとった施策。サービス提供状況ということを持ち上げるために本当になにをすればいいとお考えで法案が提案されているのか、お聞きしたい。

山井/ありがとうございます。お答えいたします。ひとつには私たちの法案の中にも地域福祉政策を作成するということもあります。同時に、現状認知ということでしょうが、支援費制度が導入されて、この2年半の間、ほんとに多くの障害者の方々がサービスを利用して、施設から地域に出てこようとしています。根本的な民主党の考え方は、これだけ多くの障害者の方々がサービスを利用されたいというときに、もっとエンジンをかけていく、アクセルを踏んでいくという考え方でありまして、同時に市町村の福祉計画というものも作っております。ところが、ここが政府案との違いなんですが、政府案はブレーキを踏んでいるのですね。自立支援医療をなくしてしまったり、また応益負担を入れてしまったり、障害程度区分がまだ不十分なのに無理やり入れてしまったり、と。政府案は、サービスプランを整備するといいながら、一方では応益負担などを導入して、アクセルとブレーキを同時に踏んでしまっている。何がやりたいのかわからないというふうだと思っています。(拍手)

阿部/ここが障害者が不安に思っているところで、応能負担ではなく応益であること。先ほどから出ているように、トイレに行くにもお金がいるようになったら、果たして十分なサービスの利用ができるのか、ということです。厚生労働省は「いやいや、皆さん、大丈夫。お金がなければ減免措置をしますよ」とお考えですね。それに対し、民主党は「支援費のように、応能で。負担ゼロと言っているんじゃない。応能で、その方の収入に応じて負担していただくほうが、支援費の経験からも、必要なサービスがちゃんとでてくるだろう」ということです。さて、「応能」と「応益」のあり方について、2000年に障害者福祉法改正の時点で、改正に先立って社会福祉法当時の「合同企画分科会報告」というのがございます。これは障害施策をめぐっての、改正にあたっていくつかの論点整理をしてあるものです。ここに、まさに、「応能負担の考え方に基づき本人の所得に応じた負担にするか、応益負担の考え方に基づきサービスの内容等に応じた定率の利用者負担とするか」の2案が出されています。1999年当時では、「障害者の所得の状況などを勘案し、応能負担だ」と結論付けられています。この4~5年の中で、障害者の所得状況は変わったんでしょうか? 当時の議論を否定するほど、客観情勢は変わったでしょうか? 応能負担から応益負担に変わるためには、当時の論議では、①新しい制度に円滑に移行するためには時間が必要 ②障害者の所得状況等を勘案し、引き続き現行の応能負担で という書き方になってございます。この報告書を何度読んでも、そのようになっております。この4~5年で、それをひっくり返すほどの論拠はおありですか? 障害者の所得状況が上がったか、その実態を把握しておられるのか、大臣、いかがですか?

尾辻大臣/ぜひご理解いただきたいのは、今回の見直しは、障害を「誰にでも起こりうるもの」として捉え、全ての人が受けられるようにしたいということです。このところ「全員が受けられる」=「『ユニバーサルなもの』と表現されてきているもの」へと変革をさせたものです。全ての人が受けるサービスということで、いろんな方がおられます。所得についてもいろんな方がおられます。従って、全ての人が受けられる仕組みにするとなると、これはやっぱり定率でご負担いただくほうがよかろうと思いました。これは、大きく全体のサービスの立場ということです。ただ、今、先生がおっしゃったように、低所得者にはちゃんとしなければいけないと思います。応能負担の考え方も容れなければいけないと思っております。きめ細やかな仕組みにしたところでございます。低所得者の部分だけを見ると、今の考え方を踏襲しております。何かが変わるものではありません。

阿部/2つ問題があると思いますが、時間の関係で1つだけ申し上げます。「国の責任を2分の1、きちんと固めよう。その意味で前向きだ」とおしゃっておいでです。しかし、「国の責任」というのは「税」ですね。税で行なうもので定率負担のものってあったでしょうか? 例えば救急車を利用するに当たり、応益負担としていますか? 一方で日本の社会福祉行政ならびに医療行政の中では、医療のほうは保険の仕組みが発達しています。これは「共助」の仕組みです。共助の仕組みの中では、定率負担はある得るのです。また今度医療制度改革で負担を上げるそうですが、皆さんでプールした中で利用したもののある率を負担する仕組みです。しかし、もともと税で行なわれるものの中で、定率負担のものはございません。例えば32条で、これまで公費医療の中で行なわれた5%というのは、もとの保険が25%お払いで、その補完として出しているだけです。骨格から1割負担として、税が財源で、利用したら定率負担しなさい、なんていうのは、いままでの日本の体系にないんです。だから反対してるんです。ここは、本当に厚生労働省として初めて踏み込んだやり方だと思います。税とは、例えば障害者問題は「国民が等しく障害者問題を支えていかなきゃいけない」と基本法に書かれています。だからこそ、その方の障害が重ければ、重いことを軽減するべく税を使おうとの考え方です。そこに多少の応能負担はあるでしょう。しかし、「定率」となると、利用したサービスにかかっていきます。大臣がおっしゃった2点目は、恐縮ですが次回に言わせていただきたいので、今日は本当に考えていただきたい。税の中で、定率負担でサービスを使用したときに一定率お出しなさい、なんてものはあるでしょうか。いかがでしょう?

中村局長/精神の通院医療は、100分の95は税金で出す。5%はご負担いただく、と。そういう意味では、定率負担が原則のものです。医療保険の補完ではなく、医療保険が出るなら医療保険でやるべきものです。というわけで、定率負担の例がないわけではありません。また、諸外国でもサービス利用に応じた負担としているのは、イギリスなどがあります。ストックホルム市における在宅サービスも、介護の必要度と収入の多寡によって負担を決めており、応益性の負担があります。

阿部/今のに細かい反論をしていると時間がかかりますので・・・もともと医療保険の中での、医療給付の中での補完であるということを申したまでです。次回にまた質問させていただきます。ありがとうございました。

委員長/この会、暫時休憩いたします。本会議散会後ただちに再開いたします。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その5)

2005年10月21日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会

枡屋/それから、もう1つ、現場でよく聞く声。山井さんに負けないぐらい、私も現場を回ってきているつもりですなのですが、現場に行きますとね、こういう誤解があります。自立支援法の第7条にこういう規定があります。これは介護保険、それから健康保険法等の他法の制度、これをまず優先して使いましょうねという規定。それとあわせて、国または地方公共団体の負担、特に地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときは、その限度において給付を行わないという話、条文であります。これは今までの制度の中にもあった規定でありますから安心をしておりますけれども、現場に行ったらどういう話になっているかといいますと、この規定によって、例えば、デイサービスにしても何にしても、1つのサービスを実施する。それを地方自治体が上乗せをして実施するという場合、往々にしてあるわけであります。横出しじゃないですね。上乗せの部分。同じサービスと想定される、国のサービスと相当のサービスで上乗せをするという場合に、その上乗せの部分については、今度は自立支援法の世界では、この条文に基づいて何らかの調整がされるのではないかと。地方自治体が単独で出している部分については、その分、国庫負担金が削られるのではないかというような誤解といいましょうか、そんな声があるのでありますが、私はそういうことがあってはならんと思っておりますが、この点も確認をさせていただきたいと思います。

中村局長/お答え申し上げます。第7条の性格については、委員からお話があったとおりでございまして、自立支援給付のいわゆる上乗せ横出しとして地方自治体の単独事業として行うものについて、自立支援給付の対象とは別のサービス分に対して給付されるものでありますので、この規定の対象とはなりません。つまり、調整するというようなことは考えておりません。

枡屋/もっともっと伺いたいところはあるのでありますが、最初に民主党の皆さんと激しい議論になりまして、大変声を荒らげて、反省しておりますが、ただ、せっかく議員が、民主党の皆さん方が対案をお出しになった。懸命に私も議論したいと、こう思った次第でございまして、ご容赦をいただきたいと思います。今日は本会議で、あるいは趣旨説明で元気いっぱいに提案をされた何とかさん、第二の山井さんのような方が来られて、厚生労働委員会も元気で明るくなるなと喜んでおりますが、本当は彼ともう1回議論をしてみたいなと、こう思いながらも、最後に大臣に、今のような支援費の移行期におけるさまざまな取り扱い。さっき山井さんはご答弁の中で、まだまだ地域によって差があると、こうおっしゃった。僕もその認識は同じであります。したがって、そこは賛成なんでありますが、差があるということは、相当進んでいる地域がある。相当進んでいる地域がやはり今回の自立支援法の新しい体系に入るときにはさまざまな苦労があるだろうと。移行期における十分なる配慮を最後に大臣に回答を求めたいと思います。

尾辻大臣/まさに地域差がある、これを何とかしなければいけないという思いが今回の障害者自立支援法案をお願いしておる大きな理由でもあります。そこで、今度の自立支援法案にいろいろとご理解、十分いただいていないところがあるわけでありますが、その1つとして、今お尋ねいただきましたから申し上げますと、私どもは全体のレベルを上げようと思っているわけでございまして、予算の額を、総枠を同じようにして今の話をすると、上と下があるわけですから、総枠が一定しているということになると、上が下がって、下が上がってと、こういうことになるわけでありますけれども、総枠を増やしながら、この制度を全体にかさ上げをしようというふうに思っておりますので、決して平均値に、上が下がって下が上がって落ち着くというようなことを考えているわけでもないし、今後の予算もそういうことで考えておるわけではないということを申し上げて、上のほうの水準は維持しながら、下を上げてまいりますということを改めて申し上げておきたいと存じます。

枡屋/終わりますが、最後にどうしても山井さんともう一言。スタンスだと僕はさっき申し上げたけれども、大臣も今、言われたけれども、予算の確保、僕ら与党も全力を挙げます。ただですね、ここ2~3年のうちに、おそらく障害者の福祉施策の予算をどうするかと。端的に言いますと、消費税議論も始まると思うんです。私は、それを見越すとですね、今から制度を開始しなきゃだめだと、こう思っているのですが、山井さんのご意見を伺って終わりたいと思います。

山井/本当に質問ありがとうございます。思いは共有をいたします。が、やはり応益負担、1割負担というのはですね、世界にも例を見ない制度でありまして、障害者の社会サービス利用にブレーキをかけるわけなんですよね。だから、これは正直言って、私はやっぱり禁じ手だと思っております。以上です。

枡屋/大臣がご答弁になったように、限りない応能負担に近い、これも今、来ているわけでありまして、次の大きなる議論をしなきゃならんときが来ているんじゃないかと。後退してはならんということを申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

阿部/社会民主党市民連合の阿部知子です。本日のこの障害者自立支援法案は、ここにお集まりの委員の皆様はよくご存じのように、さきの国会で廃案の経過をとり、再び本日、衆議院での審議が始まっております。今週半ばに冷たい雨が降りまして、その後、少しお天気が回復したとき、私は国会の第一議員会館、第二議員会館の前を通過いたしましたときに、植え込みにお布団が干してございました。国会で見るお布団というのはとても奇異に映りましたが、その期間ずっと、障害のある方がこの国会周辺で寝泊まりして、この審議を見守っておられるというほどに、先ほど、枡屋さんと山井さんの伯仲した論議がございましたが、最もやっぱりこの問題に、本当に1つ1つに心を砕き、耳をそばだて、見守っているのは障害のある方だと思います。そして、また、この利用対象となる方、あるいはご家族だと思います。そうした方たちにしっかりこたえられる国会審議を行っていくために、本日はこの委員会、衆議院では初めての冒頭でございますので、骨格的な論議を大臣と行わせていただこうと思います。障害者問題は、先ほど申しましたように、外に詰めかける障害者の方、こういうのを国会周辺で見るというのは、これまでになかったことでしょうし、逆に言えば、国の政策の中で、正面だってがっぷり四つに組み、取り上げられることが本当に少なかった分野だと私は思います。そういう分野をきちんと法案化し、また、審議しようという厚生労働省並びに提出になった政府のご努力には敬意を表しますが、だがしかし、私は、この問題はボタンのかけ違いが大きく生じて、その成り行きのままに進んだら不幸になると思います。どういうことかと申しますと、これは厚生労働省のほうが最もご存じでありましょうが、いわゆる介護保険との統合ということを念頭に、改革のグランドデザインというものがつくられ、それが障害者とご高齢者の統合がある時点で見送られるようになりました。それはおそらく去年の12月ごろでしょうか。しかしながら、財政的に、あるいは現実的にどうにかしなくちゃいけない。枡屋さんがおっしゃったとおりです。そこで、どんな方策があるんだろうということで、この支援法案が出てきたわけですが、しかしながら、大臣もご存じのように、高齢者施策と障害者施策においては、やはり国の取り組みにおいて予算においても、審議においても、そして現実のサービスの提供の在り処においても大きく開きがあると思います。その開きをつくったもの、これは良し悪しではございませんが、例えば、ご高齢者の施策の場合は、平成元年にご高齢者のゴールドプランというものがつくられて、平成12年に介護保険法というものが成立いたしました。事の順序はゴールドプランにおいて一体どのぐらいのご高齢者が現実にお暮らしで、どのぐらいのサービス基盤が国として把握し、提供され、それを支援するかということが10年、先立って行われました。この助走期間がなければ、介護保険、確かにいろいろ問題はあるがスタートできたわけです。そして、今またその改正が論じられていますが、このきっちりしたプロセスというものは見逃しにできないと思うわけです。今回、前・中村老健局長がこの担当になられましたので、そのことは私以上によくご存じだと思いますが、大臣、今、障害のある皆さんがすごく不安で、お布団持って寝泊まりされる大きな理由の一つに、自己負担増という問題がございます。もう払えないじゃないかと。それ以上にかもしれません。サービスが提供される基盤が脆弱で、もともとみんな、例えば障害のある子のお母さんたちが一生懸命お金をかき集めて、家を借りて、いろいろなサービスを提供してきた。ご高齢者の分野に比べれば、はるかに足腰が弱く、サービス提供基盤ということにおいて整備もされないばかりか、厚生労働省としての実態把握が進んでおらない状態で次のステップを踏み出せば、この社会が何によって動いているか。経済によって動いているわけですから、非常に脆弱な基盤、それを市場に委ねたとて、今でもそうですが、多くの困難な部分のヘルプはNPOがやっておられます。手弁当です。そういう中でやっている中で、実は厚生労働省も去年の8月、与党に対してのいろいろな予算の要求説明のときに、たしか、時限で期間を区切ってサービス基盤の整備に、それは何もでっかい箱ものだけを言いません。サービス基盤の整備に予算を要求しようというお考えがあったのではないか。私はその点を大臣にお伺いしたいです。今やるべきは何かと言われたら、私はそれだと思います。さっき枡屋さんと山井さんの本当にハードなバトル、聞いていました。意味があると思います、あの論争にも。そして、それ以前にです。今、緊急に、それは先ほど申しましたご高齢者の政策におけるゴールドプランから介護保険にという、このステップをやっぱり障害者でも、今、障害福祉計画は確かにつくるように言いました。でも、それをサポートする財政支援もなければ、ものは進まないのです。参議院の参考人の与党側の方もおっしゃっていたと思います。大臣、長くなってすみません。この昨年の8月段階の厚生労働省のお考えはいかであったか。それに対して与党はどうお答えになったのか。そしてなぜ、すこんと抜けてしまったのか。この点についてお願いします。

尾辻大臣/今、先生がお述べになりましたこと、私なりに理解してお答え申し上げたいと存じます。昨年の夏のお話、そして概算要求時点でのお話をいただきましたので、おそらく基盤整備についてどう考えるのかという、基盤整備がまず大事だろうと。基盤整備をちゃんとやるということをまず言ったじゃないかと。それに対してどういうふうに考えるんだというお話だと思います。そう理解してお答えいたしますと、まず事実から申しますと、昨年夏の段階で、自民党を中心に障害者福祉の基盤整備に関する特別立法の動きがありましたことは事実でございます。そして、そのことは、ただ、概算要求の資料とは明記したりとか、関係なかったと、私は当時部会長でございましたので、記憶いたしております。特別立法の動きがあったということだけは事実であるということをまず申し上げたいと思います。それから、また、当然、これは今、先生がそれをお述べになったわけでございますけれども、私どもも基盤整備を進めていくという必要があるということは十分そのとおりに認識いたしておりまして、昨年の骨太の方針でどう書いているかということを改めて申し上げますと、障害者の雇用、就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード、ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め、充実強化を図ると。去年の骨太の方針でも申しておりますから、これが政府全体の考え方でございまして、私どもはこの考え方で進めていくべきと考えております。そして、そのためにもこの障害者自立支援法というのをお出ししたと。ちょっとそこ、あるいは先生、飛び過ぎだとおっしゃるかもしれませんけれども、その考え方に基づいて自立支援法を出したというふうにお答え申し上げたいと存じます。

阿部/いつも尾辻大臣はご丁寧な答弁でありますが、いわば自立支援法は介護保険法に当たる、一緒ではないです、介護保険法に当たる部分です。どのようなお金を用いて、どのような給付を行うか。大臣のおっしゃったように、当初、骨太方針や、あるいは特別立法でやろうかと思ったところのものは、ハードやソフトの基盤整備でございます。この両輪がないと車は回らないのではないかというご指摘を私はいたしております。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その4)

2005年10月21日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
枡屋(公明党)/公明党枡屋(ますや)です。先の国会に引き続き、自立支援法について審議させていただきます。先の国会では、尾辻大臣と一時間くらい議論させていただいたことを今思い出しています。本日は30分の持ち時間なので、15分を民主党と残りの15分を政府と議論したいと思っています。まず、山井(やまのい)先生をはじめ、ご苦労様です。短時間で対案をお作りになったことに、敬意を表します。なんで前回、出してくれんかったんですか、出していただきたかったと思っているところです。対案の内容を見ると、ますます民主党の基本的なスタンスが見えなくなってきています。山井議員とは、どこかのシンポジウムでご一緒させていただきました。私は障害の福祉と介護保険についてのリンクについて、大変慎重な姿勢を持っていた一人だったのですが、説得されて意識を変えた一人なので、「一体どうなってるのか」を正直に聞きたいと思うんです。決して揚げ足をとるつもりではありません。国民が見ているのだから、対案を出した基本的なスタンスを、時間がないので小さいところはさっぴいて、議論したいのです。前回の国会で、介護保険改正の議論をいたしました。民主党と中村局長の議論を聞いていて、「まあ、ずいぶんひどいことを言うもんだな」と聞いていたんです。あの分野の話、徹底的にされていましたね。おそらく反対だと思っていたのですが、賛成されました。なんで賛成に回ったのか、あのときの議論は何なのか、僕は分からんです。しかし、賛成をされた。大人の対応をされたなと。私を説得された山井さんも「なるほど、よくわかった対応だな」と思った。支援費も、同様に激しいことをやっていましたが、支援費も賛成すると理解していた。現行の支援費ではもうどうにもならないということは、お互いわかっているわけだから。それなのに、反対された。いまだに、腑に落ちないんですが。出てきた対案を見て、これはないだろうと。問題のある現行制度(現行制度に問題があるのは皆さんご承知ですから)もう少し現行の制度を残して、問題を解決するための仕組みを組み込んだ上でやるならわかるんです。「現行制度は続ける。負担金だけやる」と。だって、山井さん、チャンスは今なんですよ。障害施策はこれだけ遅れているんですよ。介護保険はもう20年。見直しもして、進んでいるわけです。今始めないと手遅れになると私は思います。「チャンスは前髪で」といいますが、この対案ではチャンスを失ってしまう。社会保障の制度について行けないのではないかと。私はそう理解しているが、違いますか。スタンスがよく見えない。ご説明を簡単に。15分ですから。

山井/お答えします。枡屋議員とは今までも色々と議論してきております。質問していただいて感謝しています。先ほどの大村議員と重なる部分もあると思うがお許しいただきたいと思っております。まず第一点。私たちは永遠にこの対案で支援費を続けると言ってないことは、対案を見ればご理解いただけると思います。2年間続けていって、包括的障害者福祉法制を作っていく、ということです。今まさに問われているのは、介護保険の年齢拡大、エイジフリーというのは何かという議論の認識が、政府と民主党では違います。介護保険のいいところの一部を障害者福祉に活用して、障害者福祉を良くしていく、という考えが今回の対案の通りなのであります。枡屋議員が「今がチャンス、先送りはない」とおっしゃった。しかし、現状認識が私たちとまったく違っております。多くの障害者の方々から聞くのは、「支援費制度が入って施設でなく在宅で暮らせるようになった」あるいは「グループホームで暮らせるようになった」と、良かったなぁとはっきりいって大部分の方は喜んでおられるんですよね。これからグループホームを増やそうと言うときに、一割負担導入かと、応益負担導入かと。それはないだろうと私たちは認識しているわけで。支援費制度ができて2年半で急に変える方が、私は当事者不在じゃないかと思っています。

枡屋/ここが見解を異にする立場ですね。今、山井さんは、「支援費が始まって喜んでおられる」とおっしゃったが、今の支援費ではどうにもならないということや様々な問題があることは、痛いほどあなたもおわかりになっているじゃないですか。将来、介護保険を利用する、あなたの言葉で言うと「利用する」という立場、僕も同じですよ。送考えたとき、支給決定の手続きとか認定の事務であるとか、あるいは介護保険とは違って、障害者の世界には施設だけでもたくさんある。その体系を見直しせにゃならん。サービスの内容の見直しをせにゃならん。自立生活給付の中でですね、介護給付の体系を作っていかにゃならん。もう介護保険は動いているのですから。私は、むしろチャンスを失うという立場だと思います。いささか、現場の声に引っ張られすぎているのではないかと。
 時間がないので、次のテーマに行きます。いや、どうしても反論があれば。私は本当に心配しているんです。もっと言いますと、これから2年やろうというのは、おそらく政府案の中でもいい部分がたくさんあると思っているということですか。

山井/枡屋議員に賛同する部分は多々ありますが、1割負担を導入すると、やはり障害者の方々の自立生活、社会参画に大きくブレーキをかけてしまうんです。一元化の方向や年齢拡大の方向性は、同じ思いのところがかなりあります。しかし、主人公は障害者のかた。今の急な改革ではサービスを受けられなくなるという不安がこれだけ多いのだから、やはり慎重にやるべきだと考えております。

枡屋/そうすると、将来、障害者施策が介護保険を利用するとして、一割負担を変える、という発想ですね? 介護保険は1割負担なんですから。どうなんですか?

山井/まさにそこがポイントで、一例を申し上げます。ドイツでは介護保険を全年齢でやっております。障害者を含んでおります。しかし、障害者福祉の部分は自己負担0でやっております。だから「介護保険とくっつくから、1割負担がそのまま導入される」
という考えは、我々民主党は持っていません。

枡屋/表と裏の議論があること、立場の違いもあると了解しております。私どもも、自立支援法で障害者の方々が悩んでいるというのは十分わかっています。だからこそ、何らかの手を打ちたいと思っています。どうも制度に取り組む姿勢の違いではないかと私は思っております。あと、事務的経費を負担金にするということの難しさ。簡単ではないのです。お気持ちは分かりますが、財政当局を恐れて言うのではないのですが、負担金にする以上、国民に理解をしていただく…。後ろで首を振るのはやめてくれないかな。真摯な議論してるときに、なんだ、その態度は。議員同士の議論をやってんだ! どんな思いでやってると思ってるんだ! 下げてくださいよ、サポートなんか、いりませんよ。山井さん、あなたと私の議論じゃないか。不愉快なんですよ、うしろで。下げてくださいよ。何を言ってるんだ!
負担金にするというのは、苦労があると思っています。障害者の皆さん、費用を負担されている皆さん、市民は大変苦しんでおられ、それを見て、みんなも悩んでいるんです。従って、私はサービス給付の手続き、認定の義務、障害制度区分など、介護保険で始めた手法を始めないと、自己負担の問題も含めて、負担金にするのは容易なことではないと私は思っています。民主党の皆さんも理解してると思っているが、どうでしょうか。

園田/基本的な認識を、私も共有させていただきたいと思っております。今、おっしゃっていただいたように、支援費制度そのものの評価に問題があったと。私たちは、当事者団体、当事者、その家族の意見をよく聞きながら今日までの政策に取り組んできた。以前の措置制度の時代、地域や施設に縛られていた時代から、今は外に出れるようになって来た、社会参加できるようになった。その中で、障害者基本法もできてきて、自らの権利意識も芽生えて参加するようになってきた。それが第一歩であったと私は思っています。それはここにいる皆さんも、制度を拡充していこうという方向になってきたのではないかと思っています。しかし、その段階で与党・政府の皆さんが一番苦労されたのは裁量的経費、予算確保がなかなかままならなかった。それが足かせになり、残念ながら支援費制度がスタートして2年、毎年毎年予算不足になってしまった。その辺が問題になったのではと思っています。私たちはその基本をおさえていただきたかったんです。おっしゃるとおり、民主党としても、支給設定の方法や区分の分け方などの手法を考えるという部分に関しては、評価しています。改革ではなく、支援費制度が立ち上がる頃の、新しい考えであったころの考えを思い出していただきたい。だからこそ、社会制度認定区分、支給設定のあり方の中において、介護保険の手法を取り入れるのではない。介護保険を取り入れるのとは違う。作っていくのであるなら、しっかりしたデータや障害者の皆さんの生活に基づいてしっかりと作っておくべきです。午後の議論の中で、認定区分の中身をしっかりと明らかにさせていただきたいとは思っています。こういう形で拙速にやることが、様々な混乱を生んでしまうという危惧がある。ということで、私たちはまず制度を拡充していく。改革ではなく、拡充。その上で、2年後、議論に基づいたきちっとした制度を作っていこうと申し上げているのです。

枡屋/介護保険も走りながら考えながらやってきています。完全に出来上がっているものではないという認識ですね。それが我が国の福祉の現場なんです。皆さんは「現場の声」とよくおっしゃるが、我々も皆さん以上に現場で障害者の方や市町村の方と話をしてきているんです。準備もできていて、今やらなくてはならないと思っている。問題がないわけではない。多くの問題を抱えながらでも、次の段階に行かなくてはならないとおもっているのです。これは、立場の違いだろうと思うんですが。あともうひとつ。民主党マニュフェストの中で、社会保障の分野は地方に任せると書いてあると私は理解していました。マニュフェストを作るときには、支援費の部分はこうなってなかったのではないかと思うんです。地方に渡すよりもむしろ国、生活保護と同じ世界に入れていくという発想ではないか。そこが大きく変わったのではないかと思いますが。どうでしょう。

山井/確かに、生活保護などの一部は残していくと書いてある。厚労省も言っているように、障害者サービスの地域間格差を、底上げすることで、できるだけなくしたい。格差がなくなった時点で、地方に渡したい。しかし、いま地方に任せては駄目だと思う。
それと、もうひとつ。やはり、認識の違いということですが。現場を回ったとおっしゃったが、先日も1万1千人の方が、今の自立支援法を当事者抜きに決めないでとおっしゃっていた。私も5か月間で60数か所回ったが、圧倒的多数は、やはり今回の自立支援法では自己負担と応益負担で、社会参加にブレーキがかかると言う意見が多いんです。私たちとしては、この法案はピンチだと思っています。

枡屋/ピンチだからこそ、私たちは改革を、と。政治は少し先を見て、痛みをどう克服するかという知恵を出しながら取り組んでいこうと。残念ながら、この対案は山井さんの本音と違うのではと思っています。残された時間は、政府案の議論をしたいです。
 今回負担金になるが、今までは現場の裁量が自由にできた。昔、無認可の施設を例えば身体障害者福祉法や知的障害者福祉法の施設にすると、とたんに運営がぐちゃぐちゃに四角四面になり、現場は利用者のニーズに応えられなくなったという実態を私は見てきました。今回の改正が、そうなってはいけないと思います。とりわけ制度の移行期において、柔軟な対応をまず求めておきたいと思います。事務方に伺うが、重度障害者に対しては、今回の自立支援法でどんな支給になるか。重度障害者に対しては、市町村で様々な工夫をしているが、ここで負担金になるからといって四角四面にやるのかどうか。柔軟な対応が現場で求められると思うが、可能かどうかをうかがいたい。

中村局長/お答え申し上げます。負担金になった後の配分方法の問題だと思います。委員からお話がございましたように、新制度の基本は必要度に合わせまして障害程度区分の基準を設定すると、こういうことが基本になろうかと思いますが、今、議論にもありましたように、大変全国的には大きな地域格差がございます。新制度に移行する場合に、当然、今、サービスを受けておられる方々の現状に大きな変化が生ずるということは、まさに一番大変なことでございますので、今、委員からお話がございましたように、制度移行時の対応をどうするかについては、新たに定める国庫負担基準の水準、これは新しい基準を今、定めようと思っておりますが、そういったことも踏まえながら、激変緩和については、当然検討させていただきたいと思っております。

枡屋/ありがとうございます。十分な検討をお願いしておきたいと思います。それから、もう1点、今回の自立支援法の世界で行われる給付について、利用施設について、今までは、私も長い間、現場におりましたけれども、月額単価で支弁されていた措置費の時代が長く続いてまいりましたけれども、今度は日割になると。基本的に日割だろうと。それはある意味でいいことでありまして、日割にすればおそらく定員以上の処遇もお世話することも可能だろうと。そこはそれで私はいいことだと思っているのですが、しかし今、自立支援法の実態を見たときに、案を見て心配しますのは、定員がオーバーしたときよりも、むしろ私の地元では定員が確保できないと。障害者の皆さんでありますから、体の状態を悪くして入院をされたり、さまざまな状況があると。そうすると、定員に満たないことがあると。そうすると十分な運営費が確保されないということがあるのではないかという心配しているのでありますが、この点は移行期においてどうでありましょうか。

中村局長/2つ申し上げたいと思います。基本的には、日払い方式に改めるのを基本に置いておりますが、今、委員からもお話がございましたように、それぞれの障害者施設の利用者の方の特性に応じまして、キャンセルの問題ですとか、入院や外泊の問題など、さまざま、定員と実員の乖離が生ずるようなことがございますので、そういったことについて一定の配慮を行うことは、これは当然だろうということが第1点でございます。第2点は、それぞれの制度の施設がございますが、いわば措置制度に使っている期間が長い施設ほど月額払いが定着しておりますので、そういった施設については、現にかなり定員を下回っておられながら運営されているところもありますので、一挙に日払い方式を適用されると経営が破綻してしまうという恐れもあろうかと思います。激変措置を講じ、そういったことがないように、軟着陸をよく考えていきたいと。その2点でございます。

■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その3)

2005年10月21日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
【中村社会援護局長】移動支援については、今委員から指摘があった通り。市町村が義務的におこなうこととしている。計画にもきちんと入れてほしいと考えている。地域生活支援事業の予算についても、確保してほしいと思う。

【松浪(自民党)】移動支援は、特に目の不自由な方には特に必要になるから、よろしく。
精神障害者については、主に都道府県がおこなっていた。しかし新制度は、市町村の制度として位置付けられている。専門職員の育成を!という声もあるが、どう考えるか?

【中村社会援護局長】できるだけ身近な場所で対応した方が良いだろう、ということで市町村での制度にした。
市町村でやるべきことがたくさんあるので、実施が困難な場合もあると思う。都道府県もフォローする。都道府県からアドバイザーが出向くなどの措置を考えている。人材育成については、都道府県が中心になってやっていただきたいと考えている。

【松浪(自民党)】新制度では、小規模作業所の運営が立ち行かなくなるのでは?という現場の声がある。これについてはどう考えている?

【中村社会援護局長】現在小規模作業所は6,000ヵ所ほどある。これら小規模作業所については、就労を希望する人に支援をする就労移行支援や、就労継続支援をおこなう地域の特性を生かして、地域活動支援センターを作ることも考えている。小規模作業所が重度障害者の世話をする施設に移行するということも考えている。小規模作業所の運営については、セミナーもおこなっている。配慮したいと考えている。

【松浪(自民党)】未来に希望を持てる、充実した施策を作っていってほしい。障害者の自立をめざしたものにしてほしい。これで質疑を終わりにする。

【福岡(自民党)】福岡です。たくさんの要望書が毎日手元に届く。障害者、その家族がこの法案に対して不安を持っているというのが大半の意見。ただ、皆さん真剣に考えている一方で、法案の内容に誤解されている部分もあると感じる。
例えば、利用者負担についても減免措置が講じられていることを理解されていないのではないか。

【尾辻大臣】この法案では、福祉サービスの体系や、支給決定の仕組みなど、大幅な見直しをおこなっている。実施主体になる自治体や医療機関について、内容を正しく理解してもらうことが極めて重要と考えている。
利用者負担の見直しについては、確かに、私たちの説明も十分に理解されていないと感じる。分かりやすい資料を作って、全国課長会議をおこない、周知をお願いしたところ。こうした取り組みをおこなっていき、リーフレットを作成して、HPへの掲載、関係者への配布をしたいと思っている。厚労省の担当者が、全国各地へ説明に伺うということにしなければならないと思っている。引き続き努力すべきと思う。

【福岡(自民党)】この案は、一度廃案になった。拙速な動きに不安を感じる声もある反面、早く制度を整備してほしいという声もある。来年4月から始まるとのことだが、きちんとスタートが切れるのか?

【中村社会援護局長】実施主体である自治体、市町村が混乱しないことが大切。多くの自治体が18年3月に統合等をおこなうこともあり、混乱が起きないように、できるだけ説明の機会を得たい。また、私たちに必要な作業も進めていきたい。

【福岡(自民党)】行動援護について聞きたい。これは、ホームヘルプサービスに見直しによって新しくできた制度。このサービスについての周知がなされていないのではないか?自分の地元である佐賀県は、一人も利用者がいない。また、例えば愛知県は、知的障害者、児童の居宅サービスをおこなう事業所が1,063ヵ所あるにもかかわらず、行動援護をおこなえる事業所として指定されているのは、そのうち18ヵ所しかないという。こういった状況をどう考えるか?

【中村社会援護局長】この行動援護は、非常に難しいサービス。知的障害者、精神障害者についての経験がなければできない。質を落とすということはできない。全国でおこなえるように考えていきたい。

【福岡(自民党)】サービスを受けるための判断基準が厳しすぎるのでは?という意見もある。判断基準は、10項目で決まる。1つ2点。20点満点で10点以上ならサービスを受けられる。
例えばてんかんの症状を持つ人は、付き添いの人が必要。しかし、この判断基準では2点にしかならず、10点に満たない。様々な症状が組み合わさらないと10点にならない。これをどう考えるか?

【中村社会援護局長】現状は20点満点中10点以上、という判定基準について。専門家の意見も聞かせていただいて、考えていきたい。専門家がこちらに出向かれて、「一律に10点以上という判断基準は現状に合わないのでは?」という意見もいただいた。こういった意見をふまえて検討したい。

【福岡(自民党)】こういうサービスは、必要な人にきちんと行き渡るようなものにしてほしい。

【尾辻大臣】これは今年度から始まったサービス。現状で利用者が少ないということで、内容については十分に周知されていないという問題があったと思う。また、内容そのものにも、まだ検討するべき課題があると感じた。

【福岡(自民党)】小規模作業所について。この法案の施行によって、各作業所がどのように整理されていくのか、利用されている方々はどうなるのか、道筋を示してほしい。

【中村社会援護局長】小規模作業所6,000ヵ所。地域で様々な障害を持っている方々を支えている。設備の保有状況、法人の取得有無、いろいろな形態がある。いわゆる無認可と言われている作業もかなりある。今度の障害者自立支援法案で、サービス体系を5年間かけて作っていこうということになっている。就労移行支援、継続支援など移行することもできる。障害者自立支援法案に規定する内容でもできる。作業所の活動の幅が広がるのではないだろうか。

【福岡(自民党)】この法案については、利用者負担の引き上げについてばかり取りざたされている。しかし、所得保障が優先だと思う。障害者の知人に聞いたが、市町村や県に働きかけてもなかなか就業に結びつかない様子。今後の就労支援、所得保障についてどのように考えているのか?

【尾辻大臣】障害者の皆さまに地域で自立をしてもらうために、雇用施策と福祉施策をやっていかなければならないと思う。具体的には、ハローワークが福祉施設と連携をしたり、福祉施設のノウハウを生かして、ジョブコーチ支援制度も作りたい。現状ある障害者就業支援センターの増設も考えている。雇用施策と福祉施策と連携して、一貫した支援をしているところ。今後も連携してやっていきたい。

【福岡(自民党)】企業の雇用率を上げることが大切。雇用の促進を図るためにどのようなことを考えているのか。

【尾辻大臣】雇用率の達成について。計画的な雇用の促進をするために、ハローワークが指導をしているところ。指導を強化すべき、という指摘もいただいているので、7月に各労働局へ厳正な指導をしたところ。
各企業において、その障害者が十分に能力を発揮できるような環境を作るという姿勢が必要。企業のトップに対する働きかけをおこなっているところ。同僚の理解も必要。意識啓発をおこなっている。

【福岡(自民党)】取り組みよろしく。私の考えだが、守らなかったところにペナルティを課すということだけではなくて、達成している企業について社会的認知をあげる等の配慮も必要なのではないだろうか。