聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

ここは、聴覚障害者制度改革推進中央本部の公式ブログです。
(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その3)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
中村局長/法定外の施設であります小規模作業所が今度の法定内に移行しやすくする場合、設置主体の規制が緩和されNPO法人などの運営が可能となっています。2つ目として、空き店舗や空き教室、民家の活用など地域の社会資源を活用できるような事業にしていきたいと考えております。現在法定外の小規模作業所にも希望される場合に障害者自立支援法の規定する事業所となる道が開けるのではないかと考えています。支援策としては、小規模作業所に対する経営セミナーの開催など、今後そういう意向に備えまして、小規模作業所の方がノウハウを習得できる機会を設けるとともに、都道府県が障害福祉計画を策定しますので、都道府県でも地域における位置づけを考えてもらいたいと思っております。

林/時間が迫ってまいりましたが、最後に支給決定手続きについてお尋ねします。自立支援法におきましては、支援の必要の度合いに応じて、サービスが公平に利用できますように、利用に関する手続き、基準の透明化、明確化を図ると聞いております。その為に障害の心身の状態について障害程度区分が設けられると聞いておりますが、これについて通所している施設に通えなくなるのではと言う不安の声を施設に訪問して聞いているわけであります。どのような基準と配慮をしているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

尾辻大臣/現在の支援費制度では支給決定の手続きや決定が明確ではないと言う課題がございましたので、新しい制度では障害者の福祉サービスの必要度を表す、障害程度区分を導入することといたしております。この支援費制度におきます支給決定は、障害程度区分のみならず、介護者の状況、障害者の利用法等を勘案して、一人ひとりの状況にに合わせて行う予定でありますが、仮に新たな基準では利用対象とならないと判定されるケースでも、来年10月時点で現行制度を利用している人は、平成24年4月までの約5年間は経過措置を設けるようにしたいと考えております。

林/障害者の当事者の支給決定につきましては、本人の利用の意向を十分に聞いて、本人のニーズにそぐわないような決定はしないようにしてほしい。直接影響を受けるのは、本人とそのご家族であります。この法案によって障害者が不安にあえぎ、暮らしにくい状況になってはならないので、あくまでも行政本位ではなく、障害者の視点にたった、意向を尊重した政令の実現をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(拍手)

菊田/おはようございます。民主党の菊田です。本審議については、本日まで長時間にわたり審議が続けられてまいりました。尾辻大臣も連日、たいへんご苦労様でございます。しかし、率直に申しあげまして現実につきましてはいくら審議しても審議が深まるばかりで、議論が深まるほどに細かいところがどうなるのか、全容が明確になっておりません。(野次:そうだ!)今後政調例希望として決められると言うことがあまりにも多く(野次:そうだ!)、全国の障害者団体から連日たくさんの不安や疑問の声が国会に届けられています。(野次:そうだ!)私の会館の部屋にも本当に多くの人からの要請、要望が届けられておりますし、たくさんのメールやファックスも届いております。昨日の参考人質疑の中でも障害を持つ子の親としての切ない思いが語られました。「障害を持つ子を残して死ねない、自分が死んだ後はこの子はどうなるのか?」とおっしゃられました。一つの法案が障害者やご家族の生活に大きな影響を与え、人生までも左右してしまうのです。(野次:そうだ!)日本の福祉政策が大きく前進するのか、それとも大きく後退するのか、まさにその分け目の重要な法案です。私は改めて拙速であってはならないと冒頭に申しあげたいと思います。それでは、質問に入ります。今日も多くの障害者の方が傍聴にお見えです。しかしせっかく国会の審議をリアルタイムで見たり聞いたりしていただくのに国会は充分な配慮がなされているのでしょうか?「私たち抜きに私たちのことを決めないでほしい」ということが世界の障害者の共通のスローガンであります。本会議を聴覚障害者が傍聴・参観する際に手話通訳等の配置の現状はどうなっているのでしょうか?

中村局長/お尋ねのことですが、議会の運営に関することですので、私たちがお答えするのが適切かどうかと思いますが、承知していることをお答えさせていただきます。聴覚障害者が本会議及び委員会を傍聴する際には衆参両院の運営の規定などにより、必要に応じて手話通訳の派遣がなされると承知いたしております。

菊田/ありがとうございます。「必要に応じて手話通訳者の派遣がなされる」との事でしたが、これは院の公的制度としてはけんされるのか、それとも個人で手配することになっているのか、現状をお聞かせください。

中村/大変申し訳ないのですが、そちらの手続きとか、どういう状況で派遣されているのかなどは把握していません。

菊田/障害者の政治参画や社会参画を考えていく厚生労働委員会の場で、そのような関心のないようなご答弁を私は残念に思います。(野次:そうだ!)地域生活支援事業の中に、コミュニケーション支援がございます。現行法では、要約筆記は通訳行為としての専門性の位置づけがない、要約筆記奉仕員であるが自立支援法案とはどのように位置づけるのでしょうか? 手話通訳と同等の要約筆記通訳として位置付けるのでしょうか?

中村/お答えを申しあげます。聴覚障害者など、意思疎通を図ることに支障がある障害の方にはコミュニケーション保障はきわめて重要であると思います。この法案では手話を用いて会話する手話通訳や、中途に聞こえなくなったり難聴になった方に対して、手書きやパソコンなどを活用して話し手の話を判りやすく伝える要約筆記などのコミュニケーション支援施策として市町村が実施しなければならない施策として位置づけております。こういったことにより、意思疎通を図ることに支障のある方の各市町村での要約筆記や手話通訳の適切な利用が可能になるのではと思います。コミュニケーション支援施策でありますので、その地域での状況、資源、活用できる資源に応じて行なっていってほしいと思います。

菊田/今ほどお話にありましたとおり、要約筆記は特に中途失聴者にとっては大変有効な情報の保障手段でありますし、聴覚障害者の中で手話を自由に使える方は全体の2割にも満たないということが現状でありますので、もちろん地方自治体、市町村でしっかりと取り組みを行っていくことは当然でありますけれども。その前提におきまして、国会において手話・要約筆記を配置をお願いしたい、求めたいと考えておりますが、尾辻大臣どのようにお考えでしょうか? お聞かせください。

尾辻大臣/聴覚障害者の方々に対してのコミュニケーション支援施策はきわめて重要であると認識しております。国会においてそうした皆さんにおいて、どのように対応していくか、それは議員がお決めになることですから、障害者の施策を預かると言う立場で申しあげると色々な場所でそういうことが進んでいくと言うことは好ましいことだと考えております。

菊田/ぜひ尾辻厚生労働大臣が先頭に立って、ご努力をいただきたいと思います。議員運営委員会で検討される事項であることは承知しております。
次、グループホームについてお伺いします。グループホームは地域への移行としての社会資源としての大切な役割を果たしてきました。今回の改正で病院の敷地内にグループホームを置くことを認めるのならば、街中での自立生活、ノーマライゼーションを目指していたはずが、病院内の隔離生活へと逆戻りしかねないと思います。厚生労働省のグループホームのハンドブックの規定にはこのように書かれております。「グループホームにおける入居者の生活は基本的に個人生活であり、本人の希望により、契約が継続する限り続くものである。その意味で仮の宿ではないことを関係者は明記し、一市民の地域生活にふさわしく、プライバシーが確保され、一市民として全ての権利が保障されるよう最大の配慮をしなければならない。グループホームとして使用する住宅は、原則として一般住宅地内に位置し、外観は一般の住宅と異なることのないように配慮されなければならない。立地条件としては、精神薄弱者、援護施設や通勤寮と同一敷地内は望ましくない。やむを得ず同一敷地内の住宅を使用する場合も一般住宅地内であることが絶対条件です」これは、厚生労働省の児童家庭局障害福祉課が出しているグループホームの制度化設置運営マニュアルにあるわけですが(野次:そうだ!)、このようなハンドブックの規定にも反することであり、本法の趣旨にも反することだと思うが、どのようにお考えでしょうか?

尾辻大臣/グループホームとかケアホームは病院や施設と違い、地域の人と自然に交わりながら、住居から離れた日中活動の場に通うのが特徴です。(野次:そうだ!)設置場所の問題については関係者でもいろいろ意見があるところです。入所施設や病院敷地内に設置する場合、通所・入院と大きく変わることなく認めるべきではないのではないかという意見がある一方、設置場所にかかわらず、施設や病院との独立性が担保されれば認めてもいいとの意見があることも事実です。現実には、ただちに十分なサービス量を地域に確保することが困難な中で、一定の条件のもと、施設や病院の敷地を利用することも否定できないのではないかという、現実を見てという意見もあると承知しております。この点についてはいろいろご意見がありますので、社会保障審議会障害者部会等の場で十分お話をうかがいながら、私どもも具体的な取り扱いについて更に検討を進めてまいりたいと考えております。

菊田/仮に病院の敷地内や通勤寮内に中間施設をおくことを認めても従来のグループホームとは中身が違ってまいります。だから「これをグループホームと呼ぶのはやめてほしい」という運動が出ていることを大臣はどのように受け止められますか。このようなグループホームは、これまでの施設から出て地域の中で自立して生活していくためのグループホームとはまったく違う。ぜひ名前をかえてほしいという意見が出されております。私も今までのグループホームと、敷地内のグループホームとはまったく目指す姿が違ってくると思います。その点についてどうお考えでしょうか。

尾辻大臣/そもそもどうするのがいいか、意見が大きく分かれているというか、いろいろなご意見がありますので、私どもはその意見を十分伺いながら検討を進めていくべきと考えておるわけです。その中でもし認めればという今の話ですが、そういう前提でのお訊ねなので、名称をどうするかのお訊ねなので、私どもはそもそも認めるべきかどうか検討しているところなので、名称については今お答えすることは控えさせていただきたいと存じます。

菊田/現在のグループホームは4~5人という少人数になっています。20人程度のホームはグループホームとしては意味をなさず、現在の通勤寮や援護寮または福祉ホームがただ看板を付け替えただけに過ぎないと思いますが(野次:そうだ!)、その点、厚生労働大臣の見解をお聞かせください。

尾辻大臣/新しい制度でのグループホームやケアホームですが、大規模なグループホーム等を認める場合、実質的に入所施設と変わらないこととなり適当ではないとする意見があり、また一方、地域で居住するサービス基盤が不足している中、既存の社会資源を有効に活用して整備を急ぐべきというご意見もございます。この点について、社会保障審議会障害者部会等でご議論いただいております。そのご議論の中で私どもも、先生のご意見もうかがって更に検討を進めてまいりたいと考えております。

菊田/さまざまな意見がありまだ結論が出ていないということですが、一体いつになったら決まるんでしょうか。こんなに大事なことがまだ検討中、まだ議論が出ないということで、この法案を通していいのか(野次:そうだっ!)ほんとうに不安になります。
(拍手)
続いて民主党案に質問したいと思います。昨日の参考人の方々からも応益負担なら、まず所得保障を先にしてほしいという意見がございました。障害者の多くは月額6万6200円の2級年金が主な収入源であり、利用者負担の見直しにあたっては、まず障害者の所得保障の確立が不可欠であります。しかし政府案ではその点が不明確なままです。民主党案はどうか、お伺いします。

園田/お答えします。昨日、菊田議員の指摘通り、昨日の参考人質疑の中で大変多くの関係当事者の中から、所得保障・所得の確保に対しての考え方、不安が示されました。私どもは、所得保障の考え方について、就労支援という考え方が大きな柱のひとつと考えております。同時に障害基礎年金引き上げ、障害手当等も併せて検討が行われるべきと考えております。就労支援関係の事業についてですが、障害者が自立して社会参加する一環として、就労を促進することであります。これには2つの概念があり、ひとつは、就労が可能な人に対しては一般就労につながるための知識とか、能力向上のための訓練を行うことであります。さきほどの議論にもあったが成功事例の研究を行い、更に研修して実績につなげていくことと、民主党でも同じ考えに立っております。重度障害者等で一般就労が困難な方に対しては、就労の場というものを国の責任で提供しながら、知識や能力の向上のための訓練を行うことも想定いたしております。
更に、就労支援だけではなく、もっと考えなくていけないのは、今、菊田委員からご指摘があったように障害基礎年金、1級は8万2758円、2級は6万6208円という低い現状にあると認識しております。年金制度の抜本的見直しの中でさらなる支給額の改定を行っていく必要があると考えております。同時に特別障害者手当は、各位ご承知だと思いますが、現状では特別障害者手当は、特別障害者に対して福祉的な措置の一環として重度の障害のため必要となる精神的物質的な特別な負担の軽減の一助として手当を支給する形になっておりまして、平成16年4月現在の支給額は月額2万6520円。更には、障害児福祉手当、そして福祉手当、これは経過措置分としまして、20才以上の従来の福祉手当受給資格者のうち、特別障害者手当要件に該当せず、かつ、障害基礎年金も支給されない方に対して月額1万4430円が支払われているものです。そのほか、特別児童扶養手当がなされています。いずれにしてもこれらの障害手当に対して、政府も積極的に取り組んでいただく必要があると考えております。今後、この手当分に関して福祉的な措置として、公明党・自民党、民主党、共産、社民、一同しっかり検討してやっていくべき。財源の問題はあっても、手当の引き上げを念頭においておくことを、政治的な責任として進めて行く必要があると考えております。

菊田/続けて民主党案に質問します。今まで障害者が利用してきたさまざまなサービスが、どう維持されていくかをお聞かせください。また、福祉サービスが一元化すればすべての問題が解決してバラ色の制度になるというわけではございません。この点民主党の考えをあわせてお聞かせ下さい。

園田/現在、受けているサービスの現状維持は私どもの民主党案で可能であり担保されるかというご質問ですが、現在の支援費制度を維持し、その費用については義務的経費化を主張しております。支援費制度を拡充し精神障害者の支援費制度を導入することと、在宅のサービスの義務的経費化を行うことが柱であります。現行の支援費制度を拡充しつつ、継続していくことですので当然、現在のサービス水準は保障されるとお答えさせていただきます。
サービス利用者の現行の制度では、サービス利用者の申し出による契約という形式でサービスが決定されているので、これの継続と、国の財政責任を明確にして今後3年以内に、私ども民主党としては、包括的な障害福祉サービスというものが、拡充されるように包括的な障害福祉法を制定する作業に移っていかならなければならないと考えております。
支援費制度の現在ですが、障害者の地域生活あるいは社会参加を進める役割のまっただ中に果たされていると、まず認識する必要があると思っています。サービス需要がどんどんがのびていることに対して、残念ながら政府は、利用者の急増が支援費制度の維持を困難にした、と主張しているようですが、これは支援費制度の問題ではなく(野次:そうだ!)、政府の障害者のニーズ拡大をしっかり見ていなかった、読み間違ったのではないか、そこに問題があるのではないかと思います。にもかかわらず、支援費制度が問題だとして障害者施策を転換し、需要を抑制する措置を組み込もうとするのは、いかがなものかと考えます。逆に、現在は表に出てきつつある需要実態をまず把握していかならなければならない。その上で包括的な障害サービスの在り方を決定することが絶対必要であると思っております。この委員会の議論でも出てきましたが、法律体系を作ったのはいいが、中身が見えてこないというのは、グループホームもそうだし、障害程度区分もそうですが、枠を作ったが中身が全然見えてこないという形では、抑制されたままの状態で現状のサービスが維持できることにはつながっていかないのではないかという危惧があることをご指摘したい。
当面支援費制度を継続させるにあたっては、まず、制度の血管と言える箇所は裁量的経費で位置づけられた居宅生活支援に対しては民主党としては義務的経費化を行ない、予算不足による混乱を生じさせないこと。2つめは支援費制度の枠外にはずされた精神障害者の方々にも支援費制度を適用することで改善を図っていかならなければならないと思っております。
3障害一元化はすべての問題を解決という誤った認識が委員の中にもまだまだあるのではないかと思います。身体知的その他の障害者に対して、それぞれの定義やサービスの質・量の確保をあいまいにしておきながら、サービスの統一とか一元化を行なうのは、妄想、幻想なのではないかと思います。しっかりとした、手帳制度に基づくだけではなく、さまざまな形で、知的障害者の定義もとりのこされたまま次に移行するのは、拙速な議論であると指摘させていただきます。
(拍手)

最新の画像もっと見る