聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

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(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その8)

2005年10月27日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
委員長/質疑を続行します。

笠井(共産)/昨日の韓国・台湾のハンセン病訴訟判決について、山井議員からの質疑について、関係省庁と協議した上で対応すると言われた。しかしこういうときこそ、国は全面解決を前面すべき。当時、参議院で私も大臣と一緒に超党派の取り組みをした。国立ハンセン病院に入った人々に精神的福祉的に賠償を支払う考えを示した。ここから考えると、平等に保障すべき。立法者の意思は明確だ。政府に義務がある。原告者に会った。身がつまる思いだ。真摯に受け止めて、国は控訴せず、大臣の判断で旧植民地の人にも保障すべき。

尾辻大臣/経過は承知している。昨日判決が出たところであり、今話されたこともあるが、それを踏まえての対応になるので、判決内容を詳細に検討し、関係省庁とも協議した上で判断したい。

笠井(共産)/もう一つ。厚生労働省の経過がある。当時山井議員?が質問したときに、坂口大臣が「歴史を検討した上で行いたい」といった。

尾辻大臣/坂口大臣が述べたことは同じように引き継ぐべきことと思っている。

笠井(共産)/裁判が進行中の今年3月、大臣が受け取った検討報告書がある。今、まさに厚生労働省大臣の政治的決断が大事。明確な判断を。

尾辻大臣/最終報告書は私がじかにもらった。ぶ厚くて重いという物理的意味ではなく、重く受け取ると言った。おっしゃる通りに書いてある。いろいろな経過があることもその通り。ただ、今日私が答えられるのは、関係省庁とも協議した上で決定していくということだけだ。

笠井(共産)/まさに重く受け止めることは大事。裁判で長い期間をかけるのではなく、全面的解決を。
 これまで審議してきた障害者自立支援法案についても、厚生労働省がどれだけ一人の人間を大切にするか、当事者の心に寄せて考えているか、行政のあり方が問われている。昨日も委員会でも障害者と家族の長年の苦労が述べられた。またこの法は自立を侵すとも言われた。本当の意味での自立、社会支援のために抜本解決が必要だ。この法案は応益負担を始め多くの問題があり、当事者や関係者に納得のいく審議が必要。
いくつか質問したいが、まず一つ。障害者福祉の重要な担い手である、施設の職員等福祉労働者の確保について法案には盛り込まれていない。職員の配置基準も明確になっていない。職員の非正規化の流れがある。パートの人も大変だ。まともに食事も出来ないほど忙しい。家に持ち帰って仕事をする、実質的なサービス残業もある。知的障害者の施設では重度の方が増えているのに、人員が足りない。夜間は50人を2人で見ないといけない状況で、何かあったらと心配でしょうがない。障害者の生存権の問題だ。職員数を確保して、設置基準の義務化、改善化を図ることが必要だが、具体的に検討しているか。

尾辻大臣/障害者の能力や適性に応じた支援を行う観点から、障害者別に既存の体系を見直して再編する。サービス毎に利用者像などを見直して、見合った職員数を設定する。利用者ごとに個別計画を作成する。施設には評価責任者を配置し、サービス等の評価を公正にできるようにする。

笠井(共産)/基準の形はどのようなものか?

中村社会援護局長/サービス事業者は都道府県知事が指定する。指定基準は施設、人員配置、職種資格の基準がある。

笠井(共産)/政府はどのように関与するか。

中村社会援護局長/各サービスの配置基準は厚生労働省で最低基準を出す。それで都道府県知事が指定する。

笠井(共産)/どういう形か。政省令か?

中村社会援護局長/指定基準は厚生労働省令で規定する。

笠井(共産)/今、現場が支えるのは本当に大変。これまでよりも改善されるのか、不安がある。働く人には当然だが、何より障害者が生きる上で、きちんと改善されるのか。具体的には?今の答弁は抽象的なものばかりだ。

中村社会援護局長/今度の法律で事業体制を大幅に変える。新基準を作る。今言っているのは今ある施設のことだと思う。それは平成18年4月を目指して基準の見直しを行う。それぞれの事業に応じた報酬基準を決めたい。賃金が払えないと困るから。一体にして決めたい。

笠井(共産)/これから?4月まであと半年だ。現場は不安だ。障害者や関係者が知り得たい中身が、政省令で決まる、213項目といっぱいあるという。法案の成立時にはわからない。これでは政府に白紙委任も同じ。人間あっての社会福祉だ。決め細やかに見守ってほしい。具体的な問題が見えてこない。抜本的に解決すると言っても、これからどうなるかわからない。
次に、障害者自立支援法案について、精神障害者の社会参加からも医療面が大事だ。精神障害者の施策は貧弱。通院医療について聞きたい。

笠井(共産)/自立支援医療について。精神障害者に関しては施策が貧弱。基準についてこれから考えるという話であるが、障害者が知りたい中身が法案では一切分からない。具体的に見えないのでは不安がつのるばかり。精神障害の予防を高めるといわれているが、40年前の法律の趣旨は変わらないのか?

尾辻大臣/昭和40年創設以来、適切な医療をという趣旨は変わらない。改めて変わっていないと申し上げたい。

笠井(共産)/精神通院医療は重要。もし1割負担を導入すれば自立に逆行するのではないか?今日も500人の関係者が傍聴している。当事者の声として「うつの治療を始めて11年。毎週保険適用で5%だから通院できる。10%だと通院も辞めなければならなくなる。」「障害者自立支援法になると医療費がはらえない、止めて欲しい」と。現在の5%から10%になるのは負担増である。早期治療の機会を多くするという意義がうすれるのではないか?

尾辻大臣/法案の趣旨では適切な精神障害の医療を普及することにかわりない。5%から10%になることで、負担増にならないように上限を決めている。5%はどこまでいっても5%なわけだから、額が増えると絶対額が大きくなっていた。その方にとっては上限があったほうが良いと思う。従来の役割は変わっていない。

笠井(共産)/当事者は納得できないというのが先ほど紹介した声である。実態を知って欲しい。平成15年度障害者生活実態より。精神障害者で現在仕事をしていない人は52.9%。収入なしは身体5.8%、知的6.3%、精神22.4%でダントツ。61.2%の人が自宅にいる。世間には精神障害の偏見もまだある。1割負担は通院への足が重くなると思うが。

尾辻大臣/足が重くなるとう表現で言われたが、私が言いたいことは、通院への足が重くならないような仕組みを作ったということ。

笠井(共産)/もう一度この法案で障害者の命が守れるかを考えてほしい。障害者にも清潔できちんとした生活をする権利がある。最低限の暮らしを保障してほしい。それぞれの障害者と向き合ってほしい。大臣一人の人間として一人の政治家としての考えはどうか。

尾辻大臣/だから障害者自立支援法を提案し審議をお願いしている。精神部分が障害施策の谷間になっていた。谷間の谷間が精神障害者になっていた。だから一元化した法案を提案している。負担については提案時に気にしたが、良心に照らして出しても言いと思い、考えてつめてきた。負担の軽減をしようとして複雑な仕組みになってしまったが、この負担なら大丈夫と思い提案した。

笠井(共産)/複雑にしたのは応益負担。納得できないという声がある。一律1割というのはやはり横暴。日本の政治が問われる。まだまだ問題があるので引き続き審議をお願いしたい。

阿部(社民)/昨日のハンセン病の判決の明暗を別けた事態をどのように考え、より良い施策考えないとならない。台湾の人は控訴をしない。大臣は韓国の方にも台湾の方にも会ってくれるということなので、火急にお願いしたい。よい解決方法をお願いしたい。自己負担については審議を重ねるとどんどん藪の中。先程複雑にしたという言葉があったが、応益負担についてが問題。
2000年の社会福祉改正法案の時、応能負担に基づいての利用者負担と、定率負担にして低所得者には減免をするという議論があり、前者を取った。支援費もそう。所得の問題があったから。所得が保障されていない事と、所得が把握されていないという事。根本に立ち返って、その後この部分についての論議が深められていない。社会保障審議会の議事録を読んでも、利用者負担のあり方の部分で、定率負担が大前提のように述べられている。なぜ応能負担にしなかったのか。1999年からこの4年間、所得保障について厚労省としてデータを持って?

尾辻大臣/先日の先生の質問に答えた。今回私たちがしたことは、障害を持つ方すべてにサービスを利用してもらう。障害を持つ人の中でも、低所得の人も高所得の人もいる。すべての人に利用してもらうことを目的とし、ユニバーサル化を目指している。すべての人に利用をしてもらう場合、定率負担の考えが適切である、ということ。その中で、低所得の方々については上限額を細かく決め、限りなく応能負担に近づけたと思っている。

阿部(社民)/誰でも受けられる、というのは応能負担でも出来る。低所得なら低所得なりに支払をする。定率負担導入の理由にならない。誰でも障害のある人はサービスを利用したいし、費用の支払をしたいと思っているはず。もともと、応能負担で出来ていたものなのに、なぜ応能負担ではいけないのか。

尾辻大臣/支援費から契約の制度を入れた。すべての人がサービスを受けられる。契約に基づく場合は定率負担の方が自然だと思う。

阿部(社民)/支援費も契約だったのではないか。契約に基づいて応能負担だった。ただ基盤整備は足りなかったと思う。大臣の説明だと、契約だから定率負担を導入するという。では、なぜ支援費では応能だったのか?応能負担を当面する、というのが99年時の説明。ここの部分を理解されなければ、利用サイドの納得は得られない。大臣、なぜ応能負担ではいけないのか?

尾辻大臣/そもそも応能負担ということは、高齢者介護でもそうだったが、低所得者を対象とした制度。応能負担は低所得者が対象だからユニバーサル化のため、定率負担と変えた。また、先生が指摘している99年の資料には「新しい制度への円滑な移行のため、定率負担の声もあったが、現行の利用者負担を設定していくことが適当である。」とある。つまり、円滑な移行も考えて、と書いてある。

阿部(社民)/その通り。所得の状況を勘案して、円滑な移行のために応能負担となったはず。ではその後、障害者の所得が変わったのか?先日の参考人質疑でも、所得保障をしてほしいとの訴えがあった。しかし、提示されている所得の状況の資料は、簡単な説明の資料1枚だけ。精神障害者のデータにいたっては本当に簡単なものだけ。どのデータを見ても所得は把握されていないし、事実障害者の所得は良くなっていない。その中で、定率負担が導入されたら、障害者の所得は減ることがあっても増えることはない。せっかくこの法案で費用を国の義務的経費に取り込んだとしても、所得の把握も保障もなければ、夢も何もなくなってしまう。また、高齢者の福祉は保険制度が基本であり、その上での補完的な意味で定率負担がある。事情が違う。今は税を財源としてサービスを提供する時に、障害が重ければ重いほど費用を請求するのはおかしい、ということ。質問をしたいが、資料の1枚目。生活保護需給の世帯の人員数をあげてもらった。生活保護の統計はなかなか信頼にたる数値が出てこないが、大臣にはこれを良く見て欲しい。65歳以下の数85万人の中で、障害や疾病が理由の需給者は45万人。この法律が通ることによって、今でも少ない収入の障害者がさらに生活保護になっていく人が増えるのではないか。その理由は、資料の2枚目。区分に「生活保護・一般・低所得」とあるが、この低所得の中に、生活保護の人よりも低い収入で暮らしている人がいるのを、ご存知か?

尾辻大臣/数字だけで言えば、その通りだと思う。しかし、生活保護の制度には色々な条件があるので、その月の収入だけでは比較できない。

阿部(社民)/こういう表を示すのであれば、生活保護よりも低い所得で暮らしている人を補足率というが、そういうデータも示すべき。また、その次のページ。障害者自立支援法で手元に幾らお金を残したらよいか、という基礎データで、年収200万以下の2人世帯をモデルにしている。そのモデルは日本の家計所得のどこに位置付けられるのか?このモデルは1万分の160くらいだが、生活保護の基準は1万分の1000で計算されている。年収200万以下の最低の生活の消費レベルで障害者のモデル像で幾ら残すのかを検討している厚労省は、障害者に、生活保護以下の生活をしていけというのか?この施策では「生活保護に落とさない」というが、そもそも生活保護以下の生活をしている人にすら、今以上の負担を求めている。そういう生活を求めていることが納得できない。今日はデータの問題を指摘したい。自立支援医療にはかからない人の話。いくらを越えれば自立支援医療を受けられないか。資料4枚目の中ほど、医療体系の負担上限額と同じになるとある。所得ベースで医療保険の一定ベースと同じ方は給付外とするという文書。そこに線が結ばれて所得税額30万円以上となっている。実は参議院の審議で、私ども(民主党)の福島が、所得税30万円と言うのは収入でいくらかと質問した。答えは800万円くらい。ところが障害者を含む3人世帯で670万円以上の収入と言う数値も出ている。670と800では話が合わない。積算根拠を求めたところ厚生労働省から出された資料が最後に追加した資料です。右側が委員会答弁、左がこの資料で、審議会でかけたデータであるとすると、この670万円という収入額で所得税30万になるという計算はどうひっくりかえってもできない。収入が670万なら所得税は約23万にしかならない。いろいろな控除、障害者控除とか扶養控除を入れなくてもこの値にはならない。根拠のない数字を並べ審議会に出している。現実には患者の日々の生活が関わっている。670という数値が一人歩きして、先だっての参考人の方が作った資料にも出ていた。年収670万と800万では、除外される方が大きく違う。どっちが本当なのか。所得税30万でいくらくらいの収入を想定しているのか。30万の根拠をあげてほしい。これは中村局長でいい。違いますか?何度も言いますがお金に関わる微妙な審議会資料が違うということは審議していることがイメージがわかない。大臣はどう考えるのか。

中谷部長/今の資料のP5。問題は自立支援医療の給付対象外の一定所得以上をどう切るか。所得が高ければ高いほど対象の3割負担と同じだけの数が少なくなる。それを前提に、所得税30万と言っているが21回の部会には670万、10月12日の参議院の答弁で私が800万といっているのはどうなんだということ。年収に換算した場合、世帯によって控除が異なるので一概にはいえないが、仮に夫婦と障害者のこども、一般的に給与所得、扶養控除、配偶者控除、障害者・・・試算したら概ね800万と答えた。21回の社会保障審議会障害者部会、昨年の、11月。この問題は支援医療の対象外をどれだけみるか。最大限見込むために厳しい試算をした。最低限、障害者控除を勘案せず厳しい試算で670万円。30万以上の設定は医療保険における一定以上の所得者を参考に30万円。結果として800、670という2つの数字がでているが、計算前提が違うので違った結果になった。

阿部(社民)/3人世帯で障害者基礎年金1級受給者、と書いてある。これでどうして障害者控除を受けない世帯があるのか。約100万円の年金。いろいろな控除を受ける人の場合で、受けない人の仮定を設けて何の意味があるのか?そんな無茶苦茶が公の場でなぜ出るのか、お詫びなり善処がないと。そんなずさんな数値では誰が対象外になるかわかわない。次回答えてほしい。大臣は善処作を考えてほしい。

(以下、高齢者虐待防止高齢者・・・草案について案件が移ったので割愛します)

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その7)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
山井/昨日の地裁の判決について。台湾と韓国のハンセン病元入所者の処分取り消しに対するもの。台湾勝訴、韓国敗訴となった。この方々を一括救済する法律が不十分であった。国会の責任も問われている。患者も高齢になっている。これ以上苦しめることは日本の恥だ。植民地支配とそれに続く隔離政策など許されるものではない。議員立法した議員の責任もある。法改正ではなく告示を変えればよい。大臣には是非、原告の方々から直接話をきいてほしい。また運用解釈をかえることで早期決着を。

尾辻/昨日のハンセン病の判決に対して。原告の方々とは一両日中にお会いしたい。東京地裁の判決では韓国の原告については海外の療養所は補償の対象にならないとのことで国の勝訴。台湾は国の敗訴。同様の争点であるにも関わらず司法判断が分かれた。判決内容を詳細に検討し関係省庁と協議をして対応を決めたい。

山井/公示の部分の解釈運用の問題。原告者はほとんどが高齢者。これ以上の苦しみを与えないように早急な政治決断をお願いしたい。
障害者自立支援法について半年審議したが不明な点が多いし障害者はまだまだ不安がいっぱい。
根幹部分の質問を。
厚労省は10年以内に72000人の社会的入院を精神病院から解消すると約束した。この法案も地域で域で暮らせることを目的にしていると理解している。それに関して間違いないか確認したい。

尾辻/障害者が地域の中で暮らしてもらいたいと考えている。特に精神障害者の方々は今まで入院が中心だったが在宅中心にもっていきたいと考えている。先生がおっしゃる通り。

山井/今の発言は重い。厚生労働省の資料を参照して。猪木議員から指摘があったもの。見直しの予算が居宅においては利用者負担額が6倍。通所施設は12倍。今の大臣の話と利用者負担の増額では食い違いがある。自己負担がこのように増えたらかえって利用しにくくなるのでは。

尾辻/資料はマクロの数字。総額で出してある。負担がどうなるか、倍率はその通り。利用者負担の見直しは何回も申し上げている。施設に入所のかたがたには従来から9割のかたがたに利用料を1割負担してもらっている。ホームヘルプサービスとか通所施設サービスの利用者の1パーセントの方々には利用料を5パーセント負担してもらっていた。今までは水準が低かった。みんなで負担をする考えに基づきその数字になった。在宅中心にしたいと予算額に反映させた。平成18年度は居宅サービスの概算要求は278億円増。32・6%増。総額で在宅サービスに対し大きな予算をつぎ込んでサービスを増やそうとしている。

山井/(利用者負担額の)資料にある数字は在宅・通所サービスを利用しにくいことを示している。在宅とは何を意味するのか。病院や施設の敷地は含まれないか。

尾辻/常識的に言えば、含まれない。

山井/今後、知的障害者の施設の敷地内にグループホーム、ケアホームを作る方向にあるのではないか。精神病院敷地内にもホーム設置することを検討していると答弁された。地域で暮らす理念のもとに作られるのがグループホームやケアホーム。平成元年(浅野史郎障害福祉課長時代)のグループホーム設置運営ハンドブックによれば、原則として一般住宅地に位置すること、これが絶対の条件とある。ケアホーム、グループホームはこの条件で設置するものと考える。

尾辻/今まさに政治家同士での議論をしていると理解している。知的障害者、精神障害者のためのグループホームやケアホームについて、どう整理するかを議論中。一定の方向を持って議論はしていない。グループホーム、ケアホームは地域と自然に交わる施設。一施設内で終日生活するのではなく、自宅とホームとの移動は是非やってほしい。基本はそう考えている。病院や施設とは異なると申しあげる。両論あるので意見を聞きながら方向を見定めたい。今は方向を持ってお答えしてはいない。

山井/坂口元大臣の答弁が資料としてある。医療観察法案の審議のなかで社会的入院7万2000人の解消をいっている。病棟改築をすることで解消するのではないことを確認する意味で質問した。地域への社会復帰かと重ねて質問した。坂口元大臣は、「そう思っている、しかし病院に近いことはありうる、地域に戻れるようにする」と約束していた。この答弁を変更するのか。

尾辻/坂口元大臣の「自宅がある地域に戻れるようにしなければいけない」との答弁は私もそう思っている。坂口元大臣の「病院が存在するところの地域で、どこにつくるか、病院に近いところでも」とはいろいろなことを意味するものと理解している。7万2000人の人たちを、可能なかぎり早く自宅に戻っていただけるようにしたい。十分なサービス量確保が困難な状況にあるので、一定の条件をまず考えることも必要かなと考える。しかしこう言うとその方向で答を出そうとしていると思われるが、そうではない。

山井/ノーマライゼーションの社会をつくっていく。地域で障害者が暮らしていく。その中でグループホームは根幹。地域の中にあるのが常識。病院や施設の敷地内に作ったら世界中の福祉関係者から笑われる。そんな国はどこにも無い。国会審議では根幹を話し合わねば。病院内や施設内で看板をかけ変えるだけなら社会的入院などすぐに解決する。

尾辻/それぞれの国々の経緯、歴史がある。日本は与えられた情況の中で現実的に判断しなければならない。一方では別の国民の声もある。一番適切なものを純分吟味させていただきたい。

山井/根本的な政策変更は国会の中で審議しなければならない。理事会でもはっきりした方向性を審議してください。

委員長/後日理事会で協議します。

山井/地域で暮らそうといったのにその根本をひっくり返すことの無いように。
精神障害者の社会復帰に対して答弁いただいたが本当に地域で暮らしやすくなるのか。
資料の3ページについて。三疾病の統合失調症、躁鬱病、てんかん。32条に関して。現場では病名では区切ることができないといっている。精神障害者が地域で暮らすためには医療のベースが不可欠。それを厚労省がなくそうとしている。疾病名で削ることが無いように、状態で区切って欲しい。先日の答弁で大臣はもう一度意見を聞いて判断するといった。

尾辻/理事会には改めてお願いしておく。坂口大臣の答弁を変えたたといわれるが基本は私どもも同じと思っている。私たちとの違いを明確にたほうが答弁がしやすいとお願いした。32条の議論は私も不思議に思っている。最初は状態でといったはず。でも専門家の意見が途中から三疾病になったと私は理解している。私も不思議に思ったのでもう一度調べるといった。担当者に聞いたらここで申し上げにくいこともいっていた。本音を。しかしそんな話しをしていても前進にはならない。三疾病に限ると思ってはいないし、そうするつもりも無い。症状で判断するのがいいのか病名がいいのか専門家の先生に伺ってみるが。誰からも文句が出なかったのでそのようにしたと思う。

山井/重要な点なので確認したい。知人から電話を受けた。32条は救ってほしい、精神障害者は閉じこもりがち。自殺の心配もある。そういう人たちを現場の方々が必死に支えている。最良の措置をお願いしたい。精神障害者に優しい社会を作るためにも、3疾病に限らないと答弁を。

尾辻/専門家に議論してもらい、結論を出す。その前に余談をもって答弁することは避けたい。3疾病に限った捉え方ではないことは申しあげる。

山井/結論がでるまで審議を続けたい。障害者から、これまでのサービス維持となるのか、障害程度区分がどうなるのかが最大の不安だと言われる。その区分に対して国庫補助はどのくらいになるのかも不安だと聞く。半年も法案の審議をしている。利用できるサービスや障害程度区分とその基準、サービス水準についてはどうなっているのか。

尾辻/障害程度区分の基準について。6段階程度を考えている。試行事業で分析中だが、年内には設定したい。

山井/6段階での利用時間数や国庫補助基準は?

尾辻/個々に基準は設定する。介護保険のように限度額設定することはしない。
適切なサービスをうけること(契約に基づき)が基本。これまで受けているサービスが受けられないことはない。

山井/これまでのサービスの水準を低下させないといっても分からない。
障害者にとってサービスがどうなるのか分からないまま、この法案を通すのか。
ALSの方や24時間サービスが必要な方は、利用できる時間数を知りたいはず。それによりこれまでの生活維持が可能なのかが分かる。重度訪問介護の1ヶ月の利用時間数と国庫補助金はどのくらいか。

尾辻/適切なサービスを受けている方の水準を下げることは考えてない。必要なサービスは必ず受けられると約束している。お金が足りるよう予算の措置もする。義務的経費として国が責任を持つ。重度の障害者に関しては地域で支えることは重要な課題と認識している。新制度では重度障害者包括支援、重度訪問介護制度を作る。そのための国庫負担基準を設定する。全身性障害者にかかるホームヘルプサービスの基準額は月に125時間、基準額は22万円程度。利用実態を見ると地域で格差があるので公平な配分が必要と考えている。月22万円に対して全国の実態を踏まえて増やす方向で見直していく。これは約束したい。

今井/それは当たり前で125時間では生活できない。その時間が何時間か、金額がいくらかそれがわからないと障害者は不安。障害者は安心と担保が欲しいといっている。来年の支給決定を受けるまで自分はどれだけサービスを受けられるか不安のままに過ごす。具体的な数字を明らかに刷るか、または今と同じサービス維持するといって欲しい。この法案でどうなるか障害者の死活問題。具体的な数字を出さないと国会審議の意味がない。
半年か1年先に決まるまで待ってといったのでは国会議員として審議した責任を果たせない。

尾辻/何回も繰り返し言っている。地域間格差を小さくしてサービスの底上げを図る、これは理解をして欲しい。高い水準の引き下げをすることはないと再三言っている。予算額でも反映している。全体を大きくするので上の水準は下がらない。下の水準が上がる。状況の変化によって上の水準の変化は絶対無いとは言えないかも知れないが、適切なサービスは必ず受けられる。

山井/それではだめ。障害者が自分のサービスがわからない。誰が適切なのかを判断するのか。今まで二時判定まで障害者の意向を聞いてもらえない状況の中ではどうして安心して暮らせるのか。なんら担保が無い。自分のサービスがどれに当たるのか。肝心の一人ひとりのサービスがわからないことが問題。当事者不在。原則として現状のサービスは維持するというか具体的な数字の目途を出さなくては。これも理事会で目途を出すように委員長にお願いしたい。それが決められないのでは国会議員が審議をしている意味がない。地元の障害者に説明ができない。大丈夫だと思うが支給決定が決まってからサービスは受けられない、ごめんなさいとは言えない。

山井/チラシ問題について。民主党議員には配付されていない、障害者の怒りは、当事者団体の反対についての足並みの乱れ。
3年限りの経過措置を明記する必要がある。地方ではチラシに入っていることを知らない。中央と地域とでは考えが違う。全国団体が法案に賛成していると思われるこのチラシ配付は大問題。強く抗議したい。

尾辻/チラシは委員に説明するために作った。説明を求められた委員に配付している。地方にまで配付に行ったものではない。この法案の成立を要望するという意見は9月に受け取った。団体連盟のもの。意見書を出されたのは事実。

山井/中央と地方との違いは知らないのか。このチラシそのものが、障害者の気持ちをさかなでする。法案は脱病院か、脱施設かと訊いたが、大臣は在宅と言われた。しかし検討会に任せるとはどういうことか、これこそ国会で審議すること。当事者不在であるといわざるを得ない。政治は弱者を守るためのもの。在宅移行がきっちりできない、障害者自身がどうなるのかわからないこの法案はもっと審議すべき。

委員長 午後4時半に再開する。

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その6)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
【中村社会援護局長】まず、予算で概算要求。障害者自立支援法案の成立前提としている。
障害福祉関係では、対前年度で712億円増、で要求。このうち、義務的経費は、314億円を要求。この義務的経費の中に、介護給付、訓練等給付、公費負担医療等が入ってくる。
特別児童扶養手当ても入ってくる。裁量的経費については、対前年度173億円増で要求。ここには地域生活支援事業も入っている。義務的経費と裁量的経費では、9対1。
次に、委員は、裁量的経費がどの程度ふくらむことになるのかと問われたが、19年度、20年度予算については、18年度のサービスの伸び率を踏まえて決めていきたい。最終的に固まるのは、全自治体が障害福祉計画を策定確定してからのこと。ニーズ予測が立ったら、次の三年間の義務的・裁量的の割合が決まる。現在は9:1。

【五島(民主党)】現在9:1。裁量的経費のうち約400億円を地域生活支援事業に使う。この事業は1/2は国負担、1/4は都道府県負担、計画は市町村がおこなうことになっている。裁量的経費というのは、市町村レベルでの裁量的経費なのか?それとも国レベルでの裁量的経費なのか?つまり、国が1/2負担すると言っているが、仮に市町村が1000億の地域生活支援事業を計画したとする。すると、国は自動的に500億の経費を担うことになる。しかし義務的経費ではないから、国の義務的経費の中でやりくりしなくてはならない。そういう場合、市町村に裁量権はない。裁量的経費、義務的経費は今まで言い分けられてきた。しかし一方で、国は1/2負担する、県は1/4負担する、ということになっている。総額と、それぞれの予算枠組みの決定権はどこにあるのか?もし市町村に決定権があるならば、国は自動的に負担するのか?そうした場合、義務的経費になるが?

【中村社会援護局長】私の方から、制度の説明をする。
義務的経費、裁量的経費の区分は、国の補助の性格の差を現している。障害者自立支援法案に関しては、市町村が実施主体になっている。費用の支弁は市町村であるが、その1/2を国が必ず負担するというのが義務的経費。それに対して、裁量的経費の方は、1/2の範囲内で補助することができるという規定。国が予算制度で予算を立て、概算要求の範囲内で市町村が地域生活支援事業の経費として支弁したものに対して、補助することができるということ。

【五島(民主党)】例えば、地域生活支援事業が膨らんできた場合。1/2までで補助できるのだから、国の予算の状況によっては1/4の時もある?

【中村社会援護局長】法律では、94条第2項などの規定で、国は予算の範囲内で、地域生活支援事業に要する費用の50/100以内を補助することができる、とされている。

【五島(民主党)】それでは、自治体は、その辺について地域生活支援事業をきちんとやっていこうと思っても、国が1/2負担してくれるか分からないという状態では、各市町村の財政状況がもろに出てくる。その結果、地域ごとでサービス提供に格差が出る。それで本当にいいのか?これまでも、制度上のペテンをやってこられた。前回も介護保険と障害者福祉サービスの関係について質問をした。今回も、介護給付や訓練等給付を一定の水準に置いて消化したものでないとサービスを受けられない、ということであれば、小さくなっていってしまう。あなたがたは、サービスを縮小する方法はすぐに思いつくと思う。1/2の中でやる、と言っているが、本当に三事業と言えるのか?まやかしではないのか?
次に、これもまた前回の質問の中で、当時の塩田部長が「障害者というのは資産形成にハンディを持っている。所得保障のあり方全体を検討したい。まず省内で勉強したい」と言っていた。省内でどんな勉強していたか?結論は出たのか?

【尾辻大臣】今回の障害者自立支援法案の中でも、この障害者の所得保障は、障害者の地域における自立生活を考える上で大切なものと考えている。就労支援を含めて、所得保障施策のあり方は検討している。
前回の議論の中で、当時の塩田部長が、省内で勉強始めたいと答弁した。障害者の所得保障を検討するにあたっては、障害者の就労や所得の実態、就労支援施策、家族との連携など、仕組み等に関する様々な問題を解決することがまず大切。私たちが整理をしなくてはならないということで、始めている。三年後の見直しまでには、検討を重ねていって、結論を出したい。まだ作業の途中。

【五島(民主党)】今回の障害者自立支援法案は、様々な欠点を持っている。基盤整備というのが、我が国において、全くされていない。障害者施策全体における基盤整備というのは何か?私は、地域生活支援事業が各自治体でどのように取り組まれるのか、ということが大切だと思う。また、施設利用料をとるのであれば、所得保障がされていないといけない。この基盤整備を抜きにしたままの、自立支援法案になっているのが問題。自立支援法案を審議する前に、基盤整備のための法案を作って議論すべき。舛屋さんの質問に対して、「基盤整備が大切」と答えたのを覚えている。
前回の審議から半年経っているが「三年の間に議論したらいい」というような雰囲気。その間どうしたらいいのだ?昨日の参考人質疑で、市長さんは現場の人間として不安の声を出していた。
例えばASLの人へのサービスは、市町村がもたなければならない。しかし、小さな村では、そういう人一人すら抱えることができない。そうした場合、どうしたらいいか。「施設に入っていてほしい」と言うしかない。地域での自立支援と反する!
どう考えているのか?

【中村社会援護局長】基盤整備、地域生活支援、所得保障、重度障害者についてなど質問があった。
ALS患者など、重度の方を地域で支えるのは大切なこと。包括的な支援ができるように検討しているところ。小さな自治体は実施が困難になるのでは?という声があった。適切なサービス水準を作る。小規模自治体において、大きな費用が発生した場合、どのように国庫負担金水準を考えるか、検討しているところ。
ALSについては、介護保険制度活用の問題、在宅で暮らし続ける場合、医療サイドからの支援についても考える必要がある。ALSのような超重度の人については、自立支援法案だけではなく、基盤整備の観点から取り組んでいきたいと考えている。

【五島(民主党)】例えば精神の問題もある。基盤整備は非常に大きな問題。
今、超重度の人についての話があった。重度障害者についても、重度障害者包括支援や、重度障害者訪問介護というものの、国庫の負担水準が適切な水準にする、と言う答え。問題なのは、この「適切な水準」とはなんなのか?困難な思いで社会参加を果たした障害者の方々が、これまでどおり、現状水準を維持することができるのか聞きたい。
先ほど、局長は少し前向きな話をした。これまで、障害者施策は障害者だけで取り仕切る、医療の問題は医療だけで話をする、介護の問題は介護で話をする…という状況だった。一人の人が生きていくうえで包括的にサービスを提供するという観点が少なかった。ALS患者や頚椎損傷の人など、第三者の介助によって排便排尿をしなければならない人たち。ボランティアの看護婦さんを抱えないと、在宅でやっていけないという訴えを聞かされてきた。
局長から、訪問看護についても話があった。では、重度の人については、医療、福祉、介護それぞれの側面からのサービス提供がある、と考えても良いのか?

【中村社会援護局長】指摘通り、例えばALS患者の方を地域で支えるためには、狭義の障害福祉のみならず、医療福祉、介護施策の連携が必要と考えている。現在の医療サービス、介護サービスでも、制約があって患者、障害者を在宅ではできない、という課題がある。今のサービスでは円滑にいかない、という課題がある。以前介護保険で担当していたときも、そういった課題があった。痰の吸引という問題もあった。解決してないこともあり、それぞれの分野で問題がある。
福祉、介護、医療あわせた対応を研究し、作り上げる必要があると思っている。それが基盤整備だと思う。

【五島(民主党)】それが、皆さんが考える福祉施策の方向であれば、その基盤整備がない中でのこの法案はどうなのか?障害者にとっては、不安が増すだけ。今必要なのは、基盤整備をどうするのかということ。今、重度の障害者についての話があった。そこを話しするなら、育成医療や更生医療についても踏み込めるのではないだろうか。心疾患を持っている子どもたちを、医療保険のなかでどうやるのか、という議論はまったくない。障害者施策の中で取り込んで40,200円だなんだと、上限規定を作って議論している。なぜ、何回も手術を受けなければならないような子どもを持つ親、家庭について考えないのか。大臣は、介護保険、障害者などの責任者。200万300万の手術を何度も受けなければ生きていけない子どもについて、医療費をどうするのか、障害者福祉の中でやるのではなく、医療保険の面でやったらいい。その子が20歳を超えて成人した後にも手術が必要な場合でも、医療で考えていったら、すんなりいくのだと思う。それを、「障害者」と名がつけば、障害部で担当しなければならない、という感じ。他も1割負担だからうちも1割負担、という感じ。ようやく重度障害者について医療制度の面からの検討が必要と認めてもらえるようになった。

【尾辻大臣】まず、医療保険制度について。原則として、障害種別程度というよりも、あるなしにかかわらず、国民が受ける医療について費用を支える。一方、障害にかかる公費医療負担制度については障害の特性に合わせて、負担の軽減をしてきた。両制度が、それぞれの趣旨目的をもって、発展してきたということ。先ほど「すべて医療でみればよいではないか」という意見があったが、医療保険制度はその原則がある。その原則と、公費負担医療制度の両方を組み合わせて、対応していくのが現実的であると考えている。

【五島(民主党)】医療の部分は医療でやったらいい、と言っているだけ。先天性高次機能障害についてまで、医療でやれとは言っていない。なぜ、先天性心疾患を持っている人間について、障害の方の費用でやらねばならいのか。
省内における、部局のなわばりみたいなものがあるのでは?
2,3質問がある。
二次判定の問題について。障害者の意見も聞け、という意見もあった。これから二次判定をしていくにあたって、障害程度区分の表に基づいて判定することになる。表を見ると、サービスの利用状況というのがある。その後に、認定調査票というのがある。その後、特記事項、医師の意見書がある。サービスの利用状況表というのは使わない。これまでどのような時間帯にどのようなサービスを受けてきたか、という調査をしないと言っている。まさかそんなことはない??私は、これまでの話から言っても、サービスの状態はいろいろあるから、必要に応じてサービスを提供する 患者の現状、障害者の現状がわかった上で判断するのだと思っていた。それなのに、利用状況表使わない??

【中村社会援護局長】調査票を調査しない、ということはない。現にサービスを受けていて、障害程度区分のほか、市町村が支給決定をおこなううえで大切なものなので、障害者自身のサービス状況を知ることは必要。当然のことながら、市町村が支給決定案を作成するにあたっては、本人と面接をする。

【五島(民主党)】その人がどんなサービスを必要としているのか、を知るために必要な資料。こういうものについてこそ、大切にしてほしい。
もう一つ聞きたい。第94条に、障害程度区分判定について「その他の事情を勘案して」とあるが、これは何を指しているのか?

【中村社会援護局長】国、都道府県が負担すべき費用の範囲を決める部分。現在のサービスの利用実態を想定している。

【五島(民主党)】現在のサービス利用実態、ということであれば、杓子定規ではなく、市町村のなかである程度対応できるということですね。
最後にもう一度言いたい。支援費制度のときもそうだったが、支援費制度が広く普及されるための基盤整備がないままにこの法案が出された。小さい市町村ほどやっていけなくなる。どうきめこまかくやっていくのか。障害者福祉で提供できるサービスの中身についての基盤がない。できあがっても、広がらないまま終わるのでは?与党の皆さんに言いたい。基盤整備の法案を作るべき。
最後に委員長に言いたい。前国会で、全会一致で付帯決議が決まった。今回、前国会で決まった付帯決議をつけるのかどうか、理事会で決めてほしい。
以上です。

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その5)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
五島(民主)/まず、障害者自立支援法について、尾辻大臣にうかがいたい。
前国会、この委員会においても採決がなされて、前国会で参議院において廃案となった。
その審議の課程において、大臣がご答弁なされた内容、それは基本的に廃案になった法案のご答弁は、基本的に今回と中身は変わっていない。前国会での答弁は前回を引き継いだ議論でいいということか?

尾辻大臣/その通り。

五島/7月1日の私の質問に対する、大臣のご答弁の中で、現在、身体障害者1・2級を受けておられる方々、その中で、内部障害その他、いわゆるホームヘルプサービスの対象にならない方を除いた118万人中、この、ホームヘルプサービス支給決定者は7万6千人で、6.4%である。これは、非常に少ない数字である。
「なぜホームヘルプサービスが必要な方が、6.4%しか利用していないのか」と聞いたときに、「原因は分析中である、さらに検討して今後に備える」と、ご答弁なさいました。あれから3ヶ月以上経過したわけですが、この分析と結果はどうだったのか?それをどのようにお考えなのかをうかがいたい。

尾辻大臣/身体障害者手帳の1級2級所持者の方々は、118万人。そうした中で、内部障害1級2級に該当する人が50万人いる。そうした方々は、ホームヘルプサービスを利用することはないと思う。そうした方々を分母から引くと、6.4%とは変わってくると思う。
支援費制度がスタートした、平成15年4月から平成16年10月までの、1年半の身体障害者のホームヘルプの支給決定者数は、約1.4倍に伸びている。身障者のホームヘルプサービスのニーズは極めて大きいと考えている。しかし、冒頭にも申し上げたように、ご指摘の118万人という数字は、心臓機能障害等内部障害の方、介護を行う家族と同居してる方、身障者1級2級であっても、必ずしもホームヘルプを必要としていない方が多数含まれていると認識している。
また、肢体不自由1級2級の方の、支援費制度におけるホームヘルプサービス利用状況において、高齢の方の肢体不自由1級2級の、介護保険制度におけるホームヘルプサービスの利用状況を比較してみると、支援費制度では18%、介護保険では22%となっており、この間に格差はないと考えている。いずれにせよ、身体障害者のホームヘルプへのニーズは潜在的にあると思う。障害福祉計画も含めて、必要な整備をしていきたいと思う。

五島/その答弁では、分析、検討したとはいえないのでは?
介護保険が適用になる障害者手帳1・2級の人でも22%。高齢者で要介護になっている人たちの利用量と比べても低い数値。なぜ、身体障害者が、支援費制度、介護保険の利用率が低いのか?そこのところは、家族に任せているんだろう、という話でいいのか?なぜ、介護保険と若年者の障害者、聴力障害者その他を除いて、本来のサービスを受けられる人たちにおいて、サービスを受ける人が18%にとどまっているのか。ここが明らかにならないと、こういう議論をしておきながら、必要なサービスがきちんと提供されるのか、という話にならない。

尾辻/指摘の通り。さらに原因の分析が必要。自分の答えを十分なものと思っていない。私たちが障害者へのサービスを続けていく中で、障害者自立支援法案をお通しいただきたい。サービスが進んでいく中で、こうした分析は進んでいくと考えている。こうしたことへの原因の分析は必要と思っている。

五島/それでは、支援費制度から自立支援法にかえると、ホームヘルプサービスを利用する人たちにどのような変化があるのか?増えるのか?減るのか?どのように想定している?

中村局長/大臣も答えていたように、今、委員指摘の肢体不自由1・2級の方々の中で、介護保険制度がある65歳以上の方の中で、1級・2級の22%が利用している。介護保険の適用がなく、支援費制度を使っているのが18%。4%の差があるわけですが、これは、肢体不自由1・2級でかつ65歳以上であるかないか…いわば、高齢化しているかどうかという部分について、制度論から言って、支援費制度の方が介護保険に比べてまだ普及していない前提に立った場合、年齢の差がないことを考えれば、介護保険制度的に今度の自立支援法がサービス量なども普及したと考えると、この4%くらいが差になると考えられる。いずれにせよ、この部分についてはもと考える必要がある。
他方、今回の改革のときに、ホームヘルプサービスの16年10月の利用状況をみると、かなり地域差があること、精神障害者が対象となっていないことを考えると、サービス量は今後かなり伸びるのでは。具体的にサービス量がどれだけ必要なのか、ということは、市町村で計画を作っていただければ、見通しが立つのではないか。支援費制度のサービスの伸びなどを考慮して、18年度については大幅に額を上げて予算要求をしている。

五島/わずか18%。本来は障害者福祉サービスを受けることのできる人たちが、サービスを受けていない。これを、介護保険適用者が22%だから、それとの差を問題にしている。しかし、一般高齢者の、障害者手帳を持っていない人たちのサービス受給量を見ると、サービスの利用状況は高くない、という認識を持たなければならないと思う。
自己負担が一割になって、なぜ、自立支援法案を使うと利用量が増えると言えるのか?これまで、市町村によるニーズ調査の積み上げがなかった。その上、適切なサービス提供の体制がない中で、18%、22%という数字がある。これは事実の問題として認めなければ、障害者問題を議論しても、たかだか2割の人たちについての議論になってしまう!
今回3類型のサービスが提供されることになった。介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業。この3つが中心になる。この提供されるサービスを3つに類型して、それぞれの費用の負担比率は、どれくらいを考えている?先ほど局長は、「地域生活支援費は400億円に額を増やす」とおっしゃった。介護給付、訓練等給付はいくらで、地域生活支援事業費は400億円で、と言うが比率はどうなのか。これは固定的に支払えば済むものなのか。もし、ニーズが「当然サービスを受けられる人」の50%まで増えた場合、あるいは、今入っていない精神障害者が入った場合、この地域生活支援事業費はいくらくらいまで、そして、自立支援全体が定めている予算の中において、何%くらいまでになるか教えてほしい。

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その4)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
菊田/続きまして、政府に対して質問します。市町村で行なう相談支援事業につきまして、身体・知的・精神の3障害の一元化によって、どのように区分けをされるのでしょうか。

中村局長/これまでの相談支援事業は、身体障害は市町村が、知的・精神障害は都道府県が行なってきました。新制度においては、できるだけ身近な場所である市町村で、障害種別に関係なく一元的に行なうということになっています。障害者は、先ず市町村に障害者手帳等の申請に行きますから、スタートが市町村であるという考えです。障害程度区分の判定・その後のサービスの決定、サービスを実際に受けられている、そこのフォローもずっと続くと考えています。現状では地域間にかなり格差がありますし、直ちに市町村で十分な対応を行なうのは困難な場合も想定されますので、まず、都道府県が市町村へ積極的に支援を行なうことをいたしております。一つは専門的職員を市町村に配置すること。都道府県がアドバイザーを置き、出向いて市町村の応援をすることなどを検討しています。

菊田/確認をさせて頂きたいと思います。今回参議院に出された付帯決議の中に、市町村の相談支援事業が適切に実施されるようにするために、「在宅介護支援センター」などという文言がありますが、それよりもこれまでケアマネージメントのノウハウや実績を積み重ねてきた、既存の支援センターや事業者が中心になってやっていくという認識でよろしいのでしょうか。この在宅介護支援センターとの関係についてご確認をお願いします。

中村局長/お答えします。今度の制度では、市町村が相談支援事業を行なうことといたしておりますが、相談支援事業を専門性を有し、かつ中立公平性が確保できると判断される指定相談支援事業者に、委託することはできる事としています。具体的な委託先の指定は、個々の市町村が判断すべきものであると考えていますし、今議員からご指摘がありましたように、具体的に地域でそういう相談支援を行なっている方がいらっしゃると思います。そういった方々がこの要件に当たれば、有力ではないかと思います。参議院での議論は、高齢者の在宅介護支援センターについても、ただ今申し上げました障害について専門性を有し、かつ中立公平性が確保できると市町村が判断した場合には、候補者の一つになりうると委託の対象になりうると、そういう議論であったと承知いたしております。

菊田/まだまだ質問したい事がございますが、時間の関係上、これで終わります。

田名部/民主党の田名部匡代(まさよ)です。早速質問させて頂きます。
障害程度区分についてお伺いいたします。障害区分の認定は、市町村レベルで行なわれるわけですが、その時点で全国の障害者に公平な認定がなされる必要がございます。つまり、自治体の財政状況また、審査員の選定の仕方などによって、ばらつきや不公平が生じる可能性も決して否定できないと思うのですが、認定の基準はどうなるのか、また、全国の市町村で同一の認定がされるために、どのような防止策がありますでしょうか。

尾辻/そもそも今の支援費制度が、どうしても市町村間のバラつきを作っているという私どもの反省もありまして、今度の障害者自立支援法案をお願いをいたしているわけです。従って、全国統一の基準を作らなくてはいけない、とこのことを申しているわけです。ばらつきがあっては困ると、そもそもの話で。そうならないようにどうしているのかというお尋ねです。障害程度区分の認定における一連の作業手続きとしましては、(1)アセスメント、(2)コンピューターによる一次判定、(3)市町村認定審査会による二次判定、こういった手続きで進めることになっています。そしてこの作業の中で、全国共通のアセスメント項目を設定いたしますとともに調査のためのマニュアルを作成いたします。それから、一次判定をコンピュータ化し、事務の統一化を図ります。さらに二次判定において、審査会運営に関するマニュアルを作成します。加えて、都道府県が認定調査員研修や市町村審査会委員研修を実施することにより、従事者の質の向上を図りますとともに、小規模市町村につきましては、複数の市町村で市町村審査会が共同設置するようにうながしたり、都道府県が市町村審査会の業務を受託することも考えておりまして、こうした措置を講ずることにより、ご心配のような市町村間の格差が生じることのないように務めて参ります。

田名部/障害者区分の支給決定において、なによりも当事者の意見反映が大事だと考えております。
これまで何度も議論されてきたことですが、障害者の皆さまの多くの要望は、二次判定の前、つまり区分けがされる前に自分達の意見を聞き入れてほしいということです。意見をきちんと聞きますと、そういう言葉だけではなくて、このことを法案に明記するとか審査の再検討など、後戻りができるようなそういう制度にすべきではないでしょうか。大臣、いかがお考えでしょう。

中村/障害程度区分認定は、サービスを受けようとする方全員に認定作業するということでございます。委員会でも議論になりましたが、審査会で当事者の方が意見を言いたいと、いうことがあった場合には委員会のほうでお受けすることもあるが、全員の方に認定していただくわけですから、一律にご意見をお聞きするということは、むしろこの審査会の実務・市町村の負担を考えることが1点。第2点は実際のサービスの利用決定に当たっては市町村がそれぞれの障害者の方にサービス利用をお伺いするというシステムになっているという状況でございます。3点目は都道府県知事が任命する不服審査会に提訴出来る、ということです。それによって、障害当事者の救済の制度化が法律でされている、ということでございます。

田名部/局長から話があったが、障害区分についての市町村の認定に納得できない時に、都道府県に不服申立はできるということだが、申請が簡単で便利な制度でなければ、利用されないと思います。また市町村での審査以上に障害者の意向が認められる審査会でなければなりません。そこで、都道府県で行なわれる不服申請審査において、当事者または当事者の気持ちやニーズに応えられ理解できる人を、審査会に入れるべきだと考えています。障害者の家族や障害者の活動に関わってこられた方などを、この審査会に入れる考えはありますか。

中村局長/審査会の委員はこの法律の第98条の三項で規定てしており、「委員は、人格が高潔であって、介護給付費等に関する処分の審理に関し公正かつ中立な判断をすることができ、かつ、障害者等の保健又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。」となっております。障害者の実情に理解がある方が委員になることが望ましく、障害福祉の有識者であって、ただ今挙げた要件に該当する方であれば、障害者を委員に加えることは望ましいと考えております。

田名部/障害者(当事者)の意見が反映されることが大切だと申し上げているわけで、有識者の方が、どれだけ障害者本人の気持ちを理解できるのか、また、障害者の生活の実体を把握しているかは、不明だと私は思っています。何度、この質問をしても、どこで障害者の意向が反映される制度になっているのか、私には伝わってきませんが、聞いても誠実な回答がない。
 ここで、民主党案について伺いたい。障害者の区分認定については、民主党はどのようにお考えでしょうか。

園田/民主党案では、現行の支援費制度をベースに考えており、現行の制度では、ご指摘のように、全国の一律の統一基準になっていません。その意味では、現行の支援費制度でも問題点はあると思う。更にしっかりした基準作りをしなければならないと私どもも考えています。従って、今回提案の法律の形態から言うと、この法律を通して頂いた後で、しっかりと、今の支援費制度を拡充した上で、今の問題点をもう少しきちんと障害当事者の考えを反映させながら、しっかりした基準作りをするというのが、私どものスタンスでありまして、拙速というか、内容が明らかになっていないままスタートさせることには疑問を持たざるを得ません。
 来年10月からの施行ですが、現段階で政府案の中身では、障害程度区分、審査会のあり方、障害当事者の方々の意見の反映などが、がしっかり担保できるか明確になっていない状況の中で採決と言われており、私は既存の制度の中で拡充するのであれば当事者は想像がつくが、新しい制度をここで構築しようとする訳ですから、障害程度区分の内容、つまり政省令にかかるものでするか、これらのセットにしてきちんと障害者の皆さんにお示しする必要があるのではないかと考えています。従って、現在の私どもの立場は、現在の制度の中で問題点を明らかにしながら、3年後の障害者福祉法に向けてきちんとした議論輪積み重ねていくべきだと考えています。
(拍手)

田名部/都道府県レベルに不服申請を上げた場合ですが、この不服申請に対する結果に対して納得がいかなかった場合、その先の不服申立についてはどういう手続が考えられるでしょうか。

中村局長/不服の手続ということですが、都道府県が行なう不服審査については、自立支援法によるものの他、行政不服審査法に基づく不服申立ができますので、不服を申し出た障害者が書類を提出できる他、口頭でも都道府県に対し意見を述べることができることになっています。
 全体の流れを申し上げますと、支給決定については市町村が行ないますので、行政不服審査法の原則によれば、不服審査については市町村に対して行なうことになります。しかしこの自立支援法では、障害区分の判定など、専門的な内容の処分が含まれていることから、行政不服審査法の特例として、都道府県が不服審査会を設置し、専門的な審査官を置いて審査することで、障害者が不利益を蒙ることがないよう一連の配慮をしております。  
これが不服審査としては最終ですので、国において不服審査を行なうといった上級のものはありません。これ以上の手続になりますと、行政不服審査ではなく、一般の裁判、訴訟になります。

田名部/都道府県のレベルでの判定が、障害者自身の意向が反映されておらず、その判定に不服がある場合は、訴訟ということになるということですが、裁判はとても費用もかかります。障害者には限りなく不可能に近いと私は思います。従って、最終的な判断として全国的な不服審査の制度が必要ではないかと考えます。例えば労働災害や自動車事故の後遺障害の認定などについては、障害者区分認定とは異なるが、最終的には、国レベルでの不服審査の制度になっていると聞いています。それをしないと、市町村ごとにバラツキがあるとか、障害者の意向がしっかりと反映されないといった不公平なままに取り残されてしまうといった心配がありますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

尾辻大臣/基本的にそういうバラツキのないように仕組みを作ったのであり、バラツキはそもそも起こらないというのが前提です。不服審査については、支給決定は、市町村の自治事務です。従って、行政不服審査法の原則では、不服は決定をした市町村に対して行なうのが原則です。しかし、今回の法律では、障害程度区分の判定など専門性のある処分が含まれていますので、行政不服審査法の特例として都道府県が不服審査会を設置して審査を行なうことで、障害者の皆さんが不利益を蒙ることがないように一層の配慮をしています。特別に都道府県が不服審査会をおくことで、障害者の皆さんの権利は十分に保護されていると考えています。いわゆる屋上屋を重ねる、というか、国でさらに行なう必要はないと考えています。

田名部/障害者の方々は、自分たちの要望がきちんと届くかを明確にして欲しいと心配しています。従って、法律にきちんと基準を書くなど、公正な制度にしていくことが必要と考えています。いま大臣が仰っておられましたが、障害者の側に立った考え方がとても大事です。多数の要望が届けられたということをお伝えしましたが、個別の生活ニーズに応えるためには、もっと時間をかけて説明し、議論を重ねて欲しいと願っている方が多数おられると思います。ここまで伺って事項についても、当事者の意見がきちんと反映されるとは思えません。(野次:そうだ!)今日までの調査も説明責任も不十分だと思っています。500回に亘って説明会や意見交換会を行なってきたと、小泉首相が前国会で答弁しておられたということですが、家西参議院議員が以前に質問された通り、障害者の疑問に答えたり要望に責任をもって耳を傾けることもほとんどないまま、一方的な制度変更の説明を行なってきたに過ぎませんでした。(野次:そうだ、そうだ)利用者の立場に立ったものではありませんでした。説明は十分に果たされた、利用者の理解は得られたと大臣はお考えでしょうか。

尾辻大臣/この点は再三申し上げてきましたが、この法案の話が出てきた時、というか支援費制度はこのままで良いのか、と言うことがありまして、八代先生が中心になり、勉強会を作りました。障害者団体についても主な団体の皆さんに参加頂き、勉強会を持ちました。私も党の部会長としてこの勉強会としてずーっと参加してきました。その積み重ねの結果として、この法案を作りご審議をお願いしているわけです。
 大臣になりましてからも、厚生労働省がこの点について、皆さんのご意見を吸い上げるか、また皆さんにどのように説明申し上げるか、注意深く見てきたと思いますが、できるだけの努力もし、土日も休まず全国をかけずり回って、そうしたことをしてきたと理解しています。

田名部/役所の現場の皆様も努力されたということは私も否定しませんが、この制度が変更されることによって、障害者の皆さんは、それぞれの生活、人生に関わっているのです。(野次:そうだ!)ですから、障害者の立場に立って、皆さんに納得していただけように、もっともっと努力することが必要だったのではないでしょうか。(野次:そうだっ!)
 それは障害者に限らず、市町村についても同じです。地域支援事業については、市町村が裁量的経費として行なわなければならず、しかもこのまま行けば非常に短期間に施行となります。市町村において、それができる財政的な力があり、人員も確保でき、更に職員を含めたこの制度に関わる人達への教育などが、この短期間に間に合うとお考えでしょうか。
 もし可能だとすれば、どのような計画が立てられているのか、お答えください。

中村局長/地域支援事業は、例えば17年度において、市町村では義務的ではなく任意で行なわれている事業も取り入れ、既存の年間90億円の事業も取り入れ、支援費制度では個別事業として行なわれている移動支援事業なども取り入れ、その他の新たに取り入れる事業をいれて、18年度は年間400億円の支援事業を行なうとしています。このうち、市町村は既に、日常生活用具とか、相談とか研修事業など既存の制度をしており、この基盤の上に、新たに精神障害の方が入るといったことをしておるわけです。私ども、予算的に拡充し膨らまして実施する訳です。地域支援事業につきましては、市町村がしておられることのなかで、国が1/2の財源を用意してやっておりますから、市町村で計画を立ててやって頂ければ十分できるものと考えております。

田名部/申請してから判定され、支給決定が出るまでどのくらい日数がかかるのか。そしてそれは全国一律でバラツキがないのか。それから、支給が決定されるまでの間保障はどうなるのか、お答えください。

中村局長/支給決定までの期間が区切られているわけではないが、当然迅速に決定することが求められています。また差し迫った場合、必要がある場合は、事務が間に合わない場合は、遡って適用するという道も開かれておりますので、障害者の皆さんにご不自由をかけることはないと思います。

田名部/この時期になっても、「これから検討する」とか「迅速に対応する」とか「努力をします」といった答弁が多いと思います。(野次:そうだ!)私は大変不安です。先ほども就労支援の話がありました。中村局長のご答弁を聞いていてもやるべき順番が逆ではないかとおもいました。社会に参画してください、自立してください、と大変良いことを仰っているんですが、その実体が伴っていない、働く場が整っていない、社会整備がされていない、所得の保障もされていない訳です。しかし、社会に参画しろ、自立しろといっても、障害者には無理があるし(野次:そうだ、その通りだ!)、負担だけが押し付けられている気かします。(野次:そうだ)
 就労支援についてですが、負担を求めるからには、雇用促進について見通しが立っているものと思いますが、どのような見通しがあるのかお答えください。

高齢・障害者雇用対策部長/障害者の雇用については、雇用率制度というのが決められており、1.8%です。法廷雇用率が適用されます56人以上規模の民間企業の平成16年6月1日の実雇用率は1.6%、法定雇用率の達成の割合は、58.3%です。法定雇用率を達成するよう従来以上に力を入れて取り組みたいと考えます。

田名部/NPOについて伺いたい。障害の重い方に対する支援活動は、社会福祉法人よりもNPOの皆さんがサービスを行なっている割合が多いと聞いています。社会福祉法人が存在せず、サービスを提供してない場合には、市町村の判断によって、NPOがサービスを提供できると言うことになっています。この場合、その中心的役割を担ってるNPOに対しては、社会福祉法人に対するのと同じような減免措置をお考えでしょうか。

尾辻大臣/社会福祉法人は、他の法人とは異なり、低所得者が福祉サービスを利用できるようにすることを目的とする公共性の高い法人として制度上位置づけられています。このため、社会福祉法人が自ら負担することで、利用者が負担しないでいいということになっており、また一定の方については公費による助成を行なうことにより、その利用促進するようにしています。こうしたことを前提に減免を確保しています。これらの措置に対しては、地域で必要とされるサービスを行なっている社会福祉法人がない場合については、NPO法人を含めて、市町村が認めた他の法人にも認めることにしたいと考えています。

田名部/少しマクロ的な視点から伺います。厚生労働省が要求した予算が確保されなければ、障害者の方に対する今回の自立支援法によるサービスは絵に描いた餅になってしまう。この予算が確保できなければ、この法律の前提は崩れてしまいます。障害者にのみ負担を押し付けることに、内容は大幅に後退してしまうのではと思います。私はだからこの法案に反対です。
 そこで、概算要求が満額認められた場合にのみこの法律を施行するという条項を付け加えてはどうでしょうか。

尾辻大臣/来年の通常国会で概算要求は認められることになりますが、今仰るようなことがありますから、私どもは、この法案をお願いしております。つまり「義務的経費」にするということです。これがこの法案の一番の柱です。義務的経費にすれば、国は義務的に予算を付けますから、その予算が付かないことはないわけです。

田名部/時間が来ました。障害者の方々に対する支援費制度が2年で行き詰まったのは、政治の見通しが甘かったからだと思います。(野次:そうだ!)財源が不足したのも、障害者のせいではなく政治の責任です。そのツケを障害者の方々が押し付けられようとしています。(野次:そうだ!)必要なことを後回しにして国がやってきたことの失敗を国民に押し付けるということがないようにして頂きたい。私はこの法案に賛成できません。国民の皆さんから請託を受けてここに来られた皆さん、政治家としてだけでなく人間としてきちんと判断をして頂きたい。そうすれば、この法案に賛成する方はおられないと思います。障害者の方々の人生が関わっている法案です。「これから努力する」とかではなく、しっかり判断をして頂きたいと思います。
 これで終わります。

鴨下委員長/午後0時30分から委員会を再開することにし、休憩に入ります。

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その3)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
中村局長/法定外の施設であります小規模作業所が今度の法定内に移行しやすくする場合、設置主体の規制が緩和されNPO法人などの運営が可能となっています。2つ目として、空き店舗や空き教室、民家の活用など地域の社会資源を活用できるような事業にしていきたいと考えております。現在法定外の小規模作業所にも希望される場合に障害者自立支援法の規定する事業所となる道が開けるのではないかと考えています。支援策としては、小規模作業所に対する経営セミナーの開催など、今後そういう意向に備えまして、小規模作業所の方がノウハウを習得できる機会を設けるとともに、都道府県が障害福祉計画を策定しますので、都道府県でも地域における位置づけを考えてもらいたいと思っております。

林/時間が迫ってまいりましたが、最後に支給決定手続きについてお尋ねします。自立支援法におきましては、支援の必要の度合いに応じて、サービスが公平に利用できますように、利用に関する手続き、基準の透明化、明確化を図ると聞いております。その為に障害の心身の状態について障害程度区分が設けられると聞いておりますが、これについて通所している施設に通えなくなるのではと言う不安の声を施設に訪問して聞いているわけであります。どのような基準と配慮をしているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

尾辻大臣/現在の支援費制度では支給決定の手続きや決定が明確ではないと言う課題がございましたので、新しい制度では障害者の福祉サービスの必要度を表す、障害程度区分を導入することといたしております。この支援費制度におきます支給決定は、障害程度区分のみならず、介護者の状況、障害者の利用法等を勘案して、一人ひとりの状況にに合わせて行う予定でありますが、仮に新たな基準では利用対象とならないと判定されるケースでも、来年10月時点で現行制度を利用している人は、平成24年4月までの約5年間は経過措置を設けるようにしたいと考えております。

林/障害者の当事者の支給決定につきましては、本人の利用の意向を十分に聞いて、本人のニーズにそぐわないような決定はしないようにしてほしい。直接影響を受けるのは、本人とそのご家族であります。この法案によって障害者が不安にあえぎ、暮らしにくい状況になってはならないので、あくまでも行政本位ではなく、障害者の視点にたった、意向を尊重した政令の実現をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(拍手)

菊田/おはようございます。民主党の菊田です。本審議については、本日まで長時間にわたり審議が続けられてまいりました。尾辻大臣も連日、たいへんご苦労様でございます。しかし、率直に申しあげまして現実につきましてはいくら審議しても審議が深まるばかりで、議論が深まるほどに細かいところがどうなるのか、全容が明確になっておりません。(野次:そうだ!)今後政調例希望として決められると言うことがあまりにも多く(野次:そうだ!)、全国の障害者団体から連日たくさんの不安や疑問の声が国会に届けられています。(野次:そうだ!)私の会館の部屋にも本当に多くの人からの要請、要望が届けられておりますし、たくさんのメールやファックスも届いております。昨日の参考人質疑の中でも障害を持つ子の親としての切ない思いが語られました。「障害を持つ子を残して死ねない、自分が死んだ後はこの子はどうなるのか?」とおっしゃられました。一つの法案が障害者やご家族の生活に大きな影響を与え、人生までも左右してしまうのです。(野次:そうだ!)日本の福祉政策が大きく前進するのか、それとも大きく後退するのか、まさにその分け目の重要な法案です。私は改めて拙速であってはならないと冒頭に申しあげたいと思います。それでは、質問に入ります。今日も多くの障害者の方が傍聴にお見えです。しかしせっかく国会の審議をリアルタイムで見たり聞いたりしていただくのに国会は充分な配慮がなされているのでしょうか?「私たち抜きに私たちのことを決めないでほしい」ということが世界の障害者の共通のスローガンであります。本会議を聴覚障害者が傍聴・参観する際に手話通訳等の配置の現状はどうなっているのでしょうか?

中村局長/お尋ねのことですが、議会の運営に関することですので、私たちがお答えするのが適切かどうかと思いますが、承知していることをお答えさせていただきます。聴覚障害者が本会議及び委員会を傍聴する際には衆参両院の運営の規定などにより、必要に応じて手話通訳の派遣がなされると承知いたしております。

菊田/ありがとうございます。「必要に応じて手話通訳者の派遣がなされる」との事でしたが、これは院の公的制度としてはけんされるのか、それとも個人で手配することになっているのか、現状をお聞かせください。

中村/大変申し訳ないのですが、そちらの手続きとか、どういう状況で派遣されているのかなどは把握していません。

菊田/障害者の政治参画や社会参画を考えていく厚生労働委員会の場で、そのような関心のないようなご答弁を私は残念に思います。(野次:そうだ!)地域生活支援事業の中に、コミュニケーション支援がございます。現行法では、要約筆記は通訳行為としての専門性の位置づけがない、要約筆記奉仕員であるが自立支援法案とはどのように位置づけるのでしょうか? 手話通訳と同等の要約筆記通訳として位置付けるのでしょうか?

中村/お答えを申しあげます。聴覚障害者など、意思疎通を図ることに支障がある障害の方にはコミュニケーション保障はきわめて重要であると思います。この法案では手話を用いて会話する手話通訳や、中途に聞こえなくなったり難聴になった方に対して、手書きやパソコンなどを活用して話し手の話を判りやすく伝える要約筆記などのコミュニケーション支援施策として市町村が実施しなければならない施策として位置づけております。こういったことにより、意思疎通を図ることに支障のある方の各市町村での要約筆記や手話通訳の適切な利用が可能になるのではと思います。コミュニケーション支援施策でありますので、その地域での状況、資源、活用できる資源に応じて行なっていってほしいと思います。

菊田/今ほどお話にありましたとおり、要約筆記は特に中途失聴者にとっては大変有効な情報の保障手段でありますし、聴覚障害者の中で手話を自由に使える方は全体の2割にも満たないということが現状でありますので、もちろん地方自治体、市町村でしっかりと取り組みを行っていくことは当然でありますけれども。その前提におきまして、国会において手話・要約筆記を配置をお願いしたい、求めたいと考えておりますが、尾辻大臣どのようにお考えでしょうか? お聞かせください。

尾辻大臣/聴覚障害者の方々に対してのコミュニケーション支援施策はきわめて重要であると認識しております。国会においてそうした皆さんにおいて、どのように対応していくか、それは議員がお決めになることですから、障害者の施策を預かると言う立場で申しあげると色々な場所でそういうことが進んでいくと言うことは好ましいことだと考えております。

菊田/ぜひ尾辻厚生労働大臣が先頭に立って、ご努力をいただきたいと思います。議員運営委員会で検討される事項であることは承知しております。
次、グループホームについてお伺いします。グループホームは地域への移行としての社会資源としての大切な役割を果たしてきました。今回の改正で病院の敷地内にグループホームを置くことを認めるのならば、街中での自立生活、ノーマライゼーションを目指していたはずが、病院内の隔離生活へと逆戻りしかねないと思います。厚生労働省のグループホームのハンドブックの規定にはこのように書かれております。「グループホームにおける入居者の生活は基本的に個人生活であり、本人の希望により、契約が継続する限り続くものである。その意味で仮の宿ではないことを関係者は明記し、一市民の地域生活にふさわしく、プライバシーが確保され、一市民として全ての権利が保障されるよう最大の配慮をしなければならない。グループホームとして使用する住宅は、原則として一般住宅地内に位置し、外観は一般の住宅と異なることのないように配慮されなければならない。立地条件としては、精神薄弱者、援護施設や通勤寮と同一敷地内は望ましくない。やむを得ず同一敷地内の住宅を使用する場合も一般住宅地内であることが絶対条件です」これは、厚生労働省の児童家庭局障害福祉課が出しているグループホームの制度化設置運営マニュアルにあるわけですが(野次:そうだ!)、このようなハンドブックの規定にも反することであり、本法の趣旨にも反することだと思うが、どのようにお考えでしょうか?

尾辻大臣/グループホームとかケアホームは病院や施設と違い、地域の人と自然に交わりながら、住居から離れた日中活動の場に通うのが特徴です。(野次:そうだ!)設置場所の問題については関係者でもいろいろ意見があるところです。入所施設や病院敷地内に設置する場合、通所・入院と大きく変わることなく認めるべきではないのではないかという意見がある一方、設置場所にかかわらず、施設や病院との独立性が担保されれば認めてもいいとの意見があることも事実です。現実には、ただちに十分なサービス量を地域に確保することが困難な中で、一定の条件のもと、施設や病院の敷地を利用することも否定できないのではないかという、現実を見てという意見もあると承知しております。この点についてはいろいろご意見がありますので、社会保障審議会障害者部会等の場で十分お話をうかがいながら、私どもも具体的な取り扱いについて更に検討を進めてまいりたいと考えております。

菊田/仮に病院の敷地内や通勤寮内に中間施設をおくことを認めても従来のグループホームとは中身が違ってまいります。だから「これをグループホームと呼ぶのはやめてほしい」という運動が出ていることを大臣はどのように受け止められますか。このようなグループホームは、これまでの施設から出て地域の中で自立して生活していくためのグループホームとはまったく違う。ぜひ名前をかえてほしいという意見が出されております。私も今までのグループホームと、敷地内のグループホームとはまったく目指す姿が違ってくると思います。その点についてどうお考えでしょうか。

尾辻大臣/そもそもどうするのがいいか、意見が大きく分かれているというか、いろいろなご意見がありますので、私どもはその意見を十分伺いながら検討を進めていくべきと考えておるわけです。その中でもし認めればという今の話ですが、そういう前提でのお訊ねなので、名称をどうするかのお訊ねなので、私どもはそもそも認めるべきかどうか検討しているところなので、名称については今お答えすることは控えさせていただきたいと存じます。

菊田/現在のグループホームは4~5人という少人数になっています。20人程度のホームはグループホームとしては意味をなさず、現在の通勤寮や援護寮または福祉ホームがただ看板を付け替えただけに過ぎないと思いますが(野次:そうだ!)、その点、厚生労働大臣の見解をお聞かせください。

尾辻大臣/新しい制度でのグループホームやケアホームですが、大規模なグループホーム等を認める場合、実質的に入所施設と変わらないこととなり適当ではないとする意見があり、また一方、地域で居住するサービス基盤が不足している中、既存の社会資源を有効に活用して整備を急ぐべきというご意見もございます。この点について、社会保障審議会障害者部会等でご議論いただいております。そのご議論の中で私どもも、先生のご意見もうかがって更に検討を進めてまいりたいと考えております。

菊田/さまざまな意見がありまだ結論が出ていないということですが、一体いつになったら決まるんでしょうか。こんなに大事なことがまだ検討中、まだ議論が出ないということで、この法案を通していいのか(野次:そうだっ!)ほんとうに不安になります。
(拍手)
続いて民主党案に質問したいと思います。昨日の参考人の方々からも応益負担なら、まず所得保障を先にしてほしいという意見がございました。障害者の多くは月額6万6200円の2級年金が主な収入源であり、利用者負担の見直しにあたっては、まず障害者の所得保障の確立が不可欠であります。しかし政府案ではその点が不明確なままです。民主党案はどうか、お伺いします。

園田/お答えします。昨日、菊田議員の指摘通り、昨日の参考人質疑の中で大変多くの関係当事者の中から、所得保障・所得の確保に対しての考え方、不安が示されました。私どもは、所得保障の考え方について、就労支援という考え方が大きな柱のひとつと考えております。同時に障害基礎年金引き上げ、障害手当等も併せて検討が行われるべきと考えております。就労支援関係の事業についてですが、障害者が自立して社会参加する一環として、就労を促進することであります。これには2つの概念があり、ひとつは、就労が可能な人に対しては一般就労につながるための知識とか、能力向上のための訓練を行うことであります。さきほどの議論にもあったが成功事例の研究を行い、更に研修して実績につなげていくことと、民主党でも同じ考えに立っております。重度障害者等で一般就労が困難な方に対しては、就労の場というものを国の責任で提供しながら、知識や能力の向上のための訓練を行うことも想定いたしております。
更に、就労支援だけではなく、もっと考えなくていけないのは、今、菊田委員からご指摘があったように障害基礎年金、1級は8万2758円、2級は6万6208円という低い現状にあると認識しております。年金制度の抜本的見直しの中でさらなる支給額の改定を行っていく必要があると考えております。同時に特別障害者手当は、各位ご承知だと思いますが、現状では特別障害者手当は、特別障害者に対して福祉的な措置の一環として重度の障害のため必要となる精神的物質的な特別な負担の軽減の一助として手当を支給する形になっておりまして、平成16年4月現在の支給額は月額2万6520円。更には、障害児福祉手当、そして福祉手当、これは経過措置分としまして、20才以上の従来の福祉手当受給資格者のうち、特別障害者手当要件に該当せず、かつ、障害基礎年金も支給されない方に対して月額1万4430円が支払われているものです。そのほか、特別児童扶養手当がなされています。いずれにしてもこれらの障害手当に対して、政府も積極的に取り組んでいただく必要があると考えております。今後、この手当分に関して福祉的な措置として、公明党・自民党、民主党、共産、社民、一同しっかり検討してやっていくべき。財源の問題はあっても、手当の引き上げを念頭においておくことを、政治的な責任として進めて行く必要があると考えております。

菊田/続けて民主党案に質問します。今まで障害者が利用してきたさまざまなサービスが、どう維持されていくかをお聞かせください。また、福祉サービスが一元化すればすべての問題が解決してバラ色の制度になるというわけではございません。この点民主党の考えをあわせてお聞かせ下さい。

園田/現在、受けているサービスの現状維持は私どもの民主党案で可能であり担保されるかというご質問ですが、現在の支援費制度を維持し、その費用については義務的経費化を主張しております。支援費制度を拡充し精神障害者の支援費制度を導入することと、在宅のサービスの義務的経費化を行うことが柱であります。現行の支援費制度を拡充しつつ、継続していくことですので当然、現在のサービス水準は保障されるとお答えさせていただきます。
サービス利用者の現行の制度では、サービス利用者の申し出による契約という形式でサービスが決定されているので、これの継続と、国の財政責任を明確にして今後3年以内に、私ども民主党としては、包括的な障害福祉サービスというものが、拡充されるように包括的な障害福祉法を制定する作業に移っていかならなければならないと考えております。
支援費制度の現在ですが、障害者の地域生活あるいは社会参加を進める役割のまっただ中に果たされていると、まず認識する必要があると思っています。サービス需要がどんどんがのびていることに対して、残念ながら政府は、利用者の急増が支援費制度の維持を困難にした、と主張しているようですが、これは支援費制度の問題ではなく(野次:そうだ!)、政府の障害者のニーズ拡大をしっかり見ていなかった、読み間違ったのではないか、そこに問題があるのではないかと思います。にもかかわらず、支援費制度が問題だとして障害者施策を転換し、需要を抑制する措置を組み込もうとするのは、いかがなものかと考えます。逆に、現在は表に出てきつつある需要実態をまず把握していかならなければならない。その上で包括的な障害サービスの在り方を決定することが絶対必要であると思っております。この委員会の議論でも出てきましたが、法律体系を作ったのはいいが、中身が見えてこないというのは、グループホームもそうだし、障害程度区分もそうですが、枠を作ったが中身が全然見えてこないという形では、抑制されたままの状態で現状のサービスが維持できることにはつながっていかないのではないかという危惧があることをご指摘したい。
当面支援費制度を継続させるにあたっては、まず、制度の血管と言える箇所は裁量的経費で位置づけられた居宅生活支援に対しては民主党としては義務的経費化を行ない、予算不足による混乱を生じさせないこと。2つめは支援費制度の枠外にはずされた精神障害者の方々にも支援費制度を適用することで改善を図っていかならなければならないと思っております。
3障害一元化はすべての問題を解決という誤った認識が委員の中にもまだまだあるのではないかと思います。身体知的その他の障害者に対して、それぞれの定義やサービスの質・量の確保をあいまいにしておきながら、サービスの統一とか一元化を行なうのは、妄想、幻想なのではないかと思います。しっかりとした、手帳制度に基づくだけではなく、さまざまな形で、知的障害者の定義もとりのこされたまま次に移行するのは、拙速な議論であると指摘させていただきます。
(拍手)

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その2)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
福島/通所施設について日払い方式に移行すると、精神障害者で出勤率が高くない人の場合、安定している障害者に事業所そのものがシフトしてしまう心配がある。出勤率については対応を弾力的に考える必要がある。

中村/お答えします。今回の見直しに当たって、報酬の支払い方を月払い方式から日払い方式に改めますが、利用者の心身の状況、緊急のキャンセルなどを考えて、そういったことに対する配慮をすること、施設の定員についても、変動をうわまわる利用を一定期間認める、というように柔軟な合理的な事業実態にあった導入を考えています。

福島/実際に受け入れてくれる企業や地域の体制の改革も大切だと思っております。それをどう並行して進めるのか、国と地域とも両立が必要と思います。
障害者の就労支援について「障害者就労支援有識者懇話会」が共同宣言を出し、企業の好事例集を取りまとめていると聞いています。こういった事例集に対しても積極的なほう表をお願いするとともに、今後の就労支援について、受け入れ体制が必要、地域で、行政や企業・福祉関係者などのネットワークが必要だがそれへの国の対策をお聞きしたい。

中村局長/障害者の就労支援については昨年の9月に福祉、企業、行政の関係者が一堂に会して議論し、協同宣言を出しましたが、それをパンフにして関係のセミナー等配布しています。また好事例集は現在編集中で、今期中には出版したいと思っております。
地域でのネットワークについては、ハローワーク、企業、福祉施設、関係者との連携して就労支援事業を実施しています。ご指摘の通り、ネットワーク作りは大切ですので、力を尽くしていきたいと思っています。

福島/次の質問です。重度障害者のサービス水準が落ちないようにする必要があります。参議院の地方公聴会で、重度障害者については、全国平均ではなく高い実績の地域にあわせてほしいとの意見がありました。重度障害者は全体の0.06%と少数ですが、サービスの質を法改正で落とす事があってはなりません。むしろ高い水準に合わせる必要があります。
現在、24時間介護が必要な浄土障害者が施設ではなく地域で生活する事が可能になっていますが、今回の改正で施設に戻らざるをえなくなら問題です。
参議院でも・・・・(付帯決議の内容朗読)・・・と付帯決議されています。
適切なサービスを提供するためにどういう方策考えているのかお聞きしたい。
小規模の自治体でも支えられる工夫が必要。最重度の人が利用できる制度つくりについてどう考えているのか、副大臣にお答えいただきたい。

西厚生労働副大臣/ご指摘のように地域で暮らす重度障害者を支えることは重要な課題です。重度障害者の訪問介護、包括支援、国庫負担基準を今後検討していくわけですが、    障害等級区分はありますが、実態に合わせて、軽度の障害者が使わなかったものを重度の障害者に流用する等、障害種別を越えてやっている自治体もあり、障害等級区分でいくと本来は適当な処置ではありませんが、今、現に利用している人に大きな変化がおきないようにするために、流用についても、新たに設定する国庫負担基準で考えていきたい。小規模の自治体について配慮ができるように検討して対応していきたい。

福島/障害等級区分の認定については、公平性と透明性が国の立場で大切という発想は分かりますが、地域にはそれぞれの事情とさまざまな水準があるので、重度障害者への支援については、公平性、透明性が確保された上で、自治体で判断できる措置を要望します。。
 次に地域生活支援事業の年間予算が400億円ですが、私の地元の大阪市では28億円。どのように現在のサービスを維持することができるのか、政府の見解をおききしたい。

中村局長/地域生活支援事業には様々なメニューがありますし、全て必須事業ですので、基本的には一定の基準に基づいて配分する予定。人口比も入れますが、現在の事業の実施については全国で差があるのは事実です。サービスが進んでいる地域と、まだな地域がありますが、進んでいる地域を抑制しないように現状を考慮して事業費の配分をさせて頂きたい。
地域には実施計画を作って頂くことが基本ですが。

福島/時間がきたので終わります。政府には引き続き分かりやすい説明を求めます。   

林潤(自民党)/おはようございます。今日で質問は2回目です。初当選の新人にこのような機会をあたえて頂いた党及び関係者の皆様に感謝いたします。
本日は、ノーマライゼーションの観点から自立支援法案についての質問をいたします。
この法案については、福祉サービスの一元化、障害者の就労支援、国の財政の明確化等、様々な課題について正面から取り組んでいると受け止めています。
ただ、本法には障害者や、家族の方々から不安の声が出ています。私の所にも、毎日数十通、合わせると千通以上のメール(ファックス?)や手紙が届いています。主なものが、定率負担の導入です。家族の負担が今後求められるのではないか、医療費だけでもいれないでほしい等々。それについては法案提出前、提出中も政府に対し与党として指導し、国から配慮するとの答弁ももらいましたが基本的な考え方が理解されていないので、その観点から質問をします。
先日、地元横浜で福祉施設の「さかえホーム」を訪問しました。デイサービスと小規模作業所を運営していますが、利用者は30人で、1人を除いては就労が難しい状態です。資源回収等して月に3500~4500円もらっています。自立支援法が施行されると 自己負担が生じて、ほとんどの人が負担できずに働けなくなってしまいます。それらの人々が働く意欲を失わないように配慮をする必要と思いますが、いかがでしょうか。

中村局長/利用者負担の減免の仕組みを具体的に説明いたします。
1割の利用者負担をお願いすることになっていますが、所得の低い方にはより低い設定にしてあり、特にグループホームの人では66,000円以下の人は0になる等の仕組みも講じています。在宅で暮らしている方には上限額がさらに半分になるようにしています。食費については食材費のみの負担とさせて頂きます。重度障害者で施設に入所されている方も、手元に2万5千円は残るように、負担軽減措置を講じています。

林/減免措置をする場合、所得の範囲が世帯単位になっている。地域生活を促進する場合は、世帯ではなく本人の所得で見るべきとの声もあるが。

中村局長/費用負担については、今までの支援費制度では扶養義務者とあったが、これを廃止し、本人のみが負担義務者となっている。負担は本人のみを考えている。ただおっしゃったように、減免措置を講じる場合は、世帯単位で考えることになっている。その場合も、家族が障害者を扶養していないということがわかれば本人のみとなる。また配偶者がいる場合は選択できるようになっている。

林/就労支援について伺いたい。障害者が自立して暮らすための就労支援は非常に重要。しかし働きたい障害者に対して十分な支援がされていない。福祉のサイドからも支援すべきだと思う。授産施設を利用している障害者の中で、企業で働きたい人は約40%。しかし実際就労が実現されているのは1%。
昨日の参考人松永氏のように、障害者就労支援が難しいといわれる地方でも知的障害者の就労支援が現実になっている。松永氏は、障害者個々に応じた個別支援ができれば実現可能とのこと。
働く意欲や能力があっても働けない障害者に対し、福祉サイドからどのような支援をしていくのか。具体的な取り組み内容を教えていただきたい。

中村局長/障害者の一般就労の状況は、ご指摘いただいたとおり。授産施設のなかで就労に結びついている事例は少ない。昨日の福井県の松永参考人のように先進的に取り組まれているところもある。
就労支援から職場定着まで段階的に取り組んでいきたい。そこでまず、事業所ごとに責任者を配置し、個別支援計画を作り一般就労に向けてすすめていく。責任者に対しても報酬面での保障をする。2つ目に、ハローワークにおける障害者にあった職場探し。3つ目として、就労後の職場定着に向けた支援も進めていきたい。このような方法を踏まえて取組を進めていきたい。

林/今後、質の高いサービスを提供していくために、成功事例を全国に示すことが大切と思う。成功事例を全国に普及することも必要。

中村局長/まだ現実には一般就労へ結びついていない状況であるため、成功事例を集積し地域で実践している方に、普及してく必要がある。国としても成功事例集積していきたい。また先ほど述べたように、事業所に管理責任者を設け、管理責任者への研修、事例研究を含めた研修を行う。事業者に、一般就労へ結びつけるための具体的なノウハウの理解を深め、伝えていくことが大切。

林/ぜひお願いしたい。
次に工賃についてお伺いしたい。先ほども、年金と工賃を合わせた額が障害者の収入といった話があった。就労支援がいかに現実のものとなるかが重要。工賃が数千円の人から多くて10万円の人まで、幅がひろい。工賃収入を引き上げていくべき。
昨日の松永氏の話によると、障害程度に関係なく目標工賃を設定してがんばっているとのこと。工賃水準の引き上げへの取り組みについて具体的なことを聞きたい。

中村局長/工賃の実態として、1万円未満が45%。工賃水準の引き上げが重要な課題。地方公共団体はいままでも、授産施設への優先発注を進めてきた。今後はそれに加え、就労継続支援事業を行っていく。障害者以外の雇用も認めることで生産性を高め、障害者と健常者が一緒に働きながら工賃を引き上げることができると思う。
工賃の引き上げを高めることの他、できるだけ雇用型を多くしていくために、事業所への報酬面も高めていきたい。
工賃を引き上げる観点から経営努力も必要ではとの声もいただいている。

林/障害者雇用促進法の雇用サイドと福祉サイドが有機的に連携し、一層促進されることを期待したい。
次に、精神障害者のことについて。今回の法律では身体障害者・知的障害者と一元化されることに評価の意見が昨日も述べられた。一方では、地方では基盤整備が遅れており、精神病院への社会的入院など、課題は山積み。
社会的入院の解消について、基盤整備についてお話いただきたい。

中谷部長/精神医療の現状、地域資源の乏しさなど、取り組むべきことは非常に多い。支援費制度の時は精神障害者が含まれていなかった。今回の自立支援法では精神障害者を含め一元的にサービスを提供することになった。
障害者福祉計画の策定の上でサービス提供の整備を図りたい。また、精神病院の退院促進を進める。
社会復帰支援を強化し、地域生活の支援について根本的に整備したい。社会復帰地域生活支援に全力で取り組みたい。

林/改善に向けて取り組んでほしい。
次は、施設についてお聞きしたい。施設利用の応諾義務があるとのこと。
たとえば、知的障害者の施設に精神障害者の利用もできることになるが、施設のノウハウがないと、サービスの質の低下を招く。この応諾義務について詳しく。

中村局長/今回の自立支援法は、体系的に身体障害者、知的障害者と精神障害者も含め、障害種別を超えて一元化を図ることになっている。場合によっては、一つの施設で異なる障害者にサービスを提供できる仕組みになる。しかし実際は異なる障害者へのサービスには専門性が必要になる。施設ごとにそれぞれの障害者の特性に応じてのノウハウが必要になる。各施設の専門性に応じて適切に利用者に対応する。利用者もできる限り、自分に最適な施設を利用されると思う。
合理的な理由なく拒んではならないことと、各施設の専門性に応じて受け入れることが重要。

林/障害種別ごとの専門性を認め、障害者が地域で生活できるようにしてほしい。
次は小規模作業所について。現在の小規模作業所利用者は85000人。将来を不安視している人が多い。法案に組み込まれるよう、積極的に移行していくといい。そのためにはどんな規制緩和が必要か。

■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その1)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
【福島】ちょうどグランドデザインが公表されて1年と少しになる。障害者福祉をどのように改革するかをいろいろ考えた。グランドデザインが出されたときには、支援費制度を変える改革でこれは相当大変なこと、秋の臨時国会で大臣にも、障害者団体の声をよく聞いて欲しいとお願いした。大臣においては真摯にご努力いただき改革に取り組んでくださったと感謝しています。昨日参考人から意見を聞きましたが、ある方が、支援費制度によりこれからの福祉制度変わると期待していたが、支援法に移行することでサービスが潰える心配という意見を頂いた。支援費制度により、サービスの需要が掘り起こされ、障害者自らが選択きるようになったが、これを確実にしなければならない。その道を開くために避けて通れない改革と認識している。先進諸国と比較するとわが国の福祉の水準はまだ低い。障害者の社会参加を推進していくためには、予算を何億も拡大する必要があり、それを国が約束し勝ち取らねばならないと考えている。ただ、グランドデザインがでたとき、負担を障害者にお願いできるのか?現在の水準を考え、受け入れてもらえるところまで大臣が先頭に立ちいろいろ見直してもらい、先日の国会においても、方針が示されたものと考える。負担をどうするかという話ですが、当初の案から見直していただいたことは感謝すべであるが、障害者からだされる心配の声に一つ一つ丁寧に答え、また審議でも、答えていかなければならない。私からは小規模作業所についてお伺いしたい。全国に6000超の作業所があり、障害者の方々、特に重度の方々についても、日中活動の場が失われるという心配の声がある。昨日の参考人の方からも、将来どうなるか具体的に示していただきたいとの話があった。まことに、もっともなことである。障害者の保護者の方々のご努力が、こうした改革のなかでも、将来にむかって確実となっていく方向が必要である。作業所にもいろいろな状況があるが、共通しているのは運営において財政的に厳しいということ。新しい事業形態のなかで、安定した運営と、多くのマンパワーを確保することができるよう変わっていかなければならない。小規模作業所に対してどう取り組んでいかれるのか、大臣のお考えをお伺いしたい。
【尾辻】小規模作業所は、障害者の働く場、創作活動の場、社会参加の場として、重要な役割を果たしている。障害者自立支援法では、既存の企業や施設について着目しつつ、地域活動生活支援センターへの再編。また、NPOによる運営を可能とする規制緩和をするように支援法に規定する。作業所は障害者自立支援法案に規定する事業を選択して自立することで活動の場が広がる、それを支援するため、作業所に対する経営セミナーなど新しい事業も実施し、規制緩和、都道府県の計画で新たな事業形態に移行できるようにしているところである。

【福島】大臣から熱心な意向が表明されたが、これらからの取り組みが大事。引き続き努力していくことが大切。具体的な点で言えば、関係者から様々な要望を頂いている、大臣の答弁で、作業所は、地域活動支援センター事業、就労支援事業等々、大事な役割を担っていかれるだろうということ。だが、このなかで地域活動生活支援センターも大切な事業になっていただくためには、財政的な裏づけが大切だと思っている。作業所に対してセンター事業を行なう場合、現在、作業所には地方交付税が措置されているが、交付税の財源をベースにし、いままで以上に安定して事業を実施するためにきちんとした支援が必要である。政府として、どのようにお考えか。

【中村局長】現在の、一定の用件をみたす場合、作業所に対し110万円の運営補助がでる。委員からご紹介あったように、交付税が都道府県、市町村と講じられている。小規模作業所からの移行がみこまれる地域活動支援センターを位置づけようと思っているが、交付税の財源措置も含めて、確保予算編成過程で、総務省にもお願いしなければならない。地域活動支援センターには、いまの財源の他に、確保が必要。作業所から、先ほど申し上げたように、作業所への移行が多いと思われるので、そういうことも踏まえて、財政基盤をきちんとしていきたい。

【福島】地域活動生活支援センターだけでなく、多機能の事業形態が示された。作業所には、様々な障害者、種別のかたが一緒に活動しておられるのが現実。それをふまえて、安定した事業するために、同時に就労移行支援、継続支援が、一人ひとりの障害の特性に応じて行えることが大切。個々の事業のユニット、単位をどう考えるか。大きいと、組み合わせの自由度が失われるので、柔軟な対応で様々な事業経営をみとめるべきとの意見がある。法案成立後、具体的作業になる。お考えは?

【中村局長】ひとつの事業所が多くの機能を果たしている。新しい事業、自立援護事業、就労訓練を、1箇所で行う可能性もあり、地域生活の特性を考えた複数の日中サービスの多機能型を考えている。現在の障害者福祉法では最低利用人数が20人となっていて、実際の利用者数がそれを下回っても可能とする。設置条件も緩和し、相談室、洗面所の設備の作りやすい工夫も考えます。こうしたことを進めることで、地域に多機能の拠点を作る方向を考えている。

【福島】 ありがとうございます。これから、どのようにしていくかは、それぞれの地域で計画がつくられる。国も、しっかり予算を確保してバックアップし、我々も努力していきたい。
就労支援について尋ねる。工賃収入に対して3000円の控除を認めるが、それが利用者の就労意欲を阻害になることを心配する声が挙がっていた。控除が意欲を阻害し、それによって授産施設への通所が少なくなることは 避けなければならない。もっと高い工賃水準の実現めざすという考え方もあるし、事業運営で高い工賃が実現するということもある。
政府の見解は?

【中村局長】就労意欲を阻害しないようにということで、グループホームの利用者の算定で6万6000円を超える収入から、就労年金3000円の控除をはかった上で、よりひくい設定を。自宅から通う場合は、上限半額の措置。雇用契約の就労継続支援と障害者雇用法には、障害者を雇用する企業への補助もある。事業主の負担を半減できるしくみ。これらを配慮しながら考えていく。

【福島】通所施設が日払い報酬に移行する。しかし、精神障害者の場合、状態によっては出勤率が低くなる場合がある。こうした出勤率に対応できるようなしくみも想定しなければならないのでは?措置を講ずるとの答弁があったが…?