聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

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■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その6)

2005年10月26日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
【中村社会援護局長】まず、予算で概算要求。障害者自立支援法案の成立前提としている。
障害福祉関係では、対前年度で712億円増、で要求。このうち、義務的経費は、314億円を要求。この義務的経費の中に、介護給付、訓練等給付、公費負担医療等が入ってくる。
特別児童扶養手当ても入ってくる。裁量的経費については、対前年度173億円増で要求。ここには地域生活支援事業も入っている。義務的経費と裁量的経費では、9対1。
次に、委員は、裁量的経費がどの程度ふくらむことになるのかと問われたが、19年度、20年度予算については、18年度のサービスの伸び率を踏まえて決めていきたい。最終的に固まるのは、全自治体が障害福祉計画を策定確定してからのこと。ニーズ予測が立ったら、次の三年間の義務的・裁量的の割合が決まる。現在は9:1。

【五島(民主党)】現在9:1。裁量的経費のうち約400億円を地域生活支援事業に使う。この事業は1/2は国負担、1/4は都道府県負担、計画は市町村がおこなうことになっている。裁量的経費というのは、市町村レベルでの裁量的経費なのか?それとも国レベルでの裁量的経費なのか?つまり、国が1/2負担すると言っているが、仮に市町村が1000億の地域生活支援事業を計画したとする。すると、国は自動的に500億の経費を担うことになる。しかし義務的経費ではないから、国の義務的経費の中でやりくりしなくてはならない。そういう場合、市町村に裁量権はない。裁量的経費、義務的経費は今まで言い分けられてきた。しかし一方で、国は1/2負担する、県は1/4負担する、ということになっている。総額と、それぞれの予算枠組みの決定権はどこにあるのか?もし市町村に決定権があるならば、国は自動的に負担するのか?そうした場合、義務的経費になるが?

【中村社会援護局長】私の方から、制度の説明をする。
義務的経費、裁量的経費の区分は、国の補助の性格の差を現している。障害者自立支援法案に関しては、市町村が実施主体になっている。費用の支弁は市町村であるが、その1/2を国が必ず負担するというのが義務的経費。それに対して、裁量的経費の方は、1/2の範囲内で補助することができるという規定。国が予算制度で予算を立て、概算要求の範囲内で市町村が地域生活支援事業の経費として支弁したものに対して、補助することができるということ。

【五島(民主党)】例えば、地域生活支援事業が膨らんできた場合。1/2までで補助できるのだから、国の予算の状況によっては1/4の時もある?

【中村社会援護局長】法律では、94条第2項などの規定で、国は予算の範囲内で、地域生活支援事業に要する費用の50/100以内を補助することができる、とされている。

【五島(民主党)】それでは、自治体は、その辺について地域生活支援事業をきちんとやっていこうと思っても、国が1/2負担してくれるか分からないという状態では、各市町村の財政状況がもろに出てくる。その結果、地域ごとでサービス提供に格差が出る。それで本当にいいのか?これまでも、制度上のペテンをやってこられた。前回も介護保険と障害者福祉サービスの関係について質問をした。今回も、介護給付や訓練等給付を一定の水準に置いて消化したものでないとサービスを受けられない、ということであれば、小さくなっていってしまう。あなたがたは、サービスを縮小する方法はすぐに思いつくと思う。1/2の中でやる、と言っているが、本当に三事業と言えるのか?まやかしではないのか?
次に、これもまた前回の質問の中で、当時の塩田部長が「障害者というのは資産形成にハンディを持っている。所得保障のあり方全体を検討したい。まず省内で勉強したい」と言っていた。省内でどんな勉強していたか?結論は出たのか?

【尾辻大臣】今回の障害者自立支援法案の中でも、この障害者の所得保障は、障害者の地域における自立生活を考える上で大切なものと考えている。就労支援を含めて、所得保障施策のあり方は検討している。
前回の議論の中で、当時の塩田部長が、省内で勉強始めたいと答弁した。障害者の所得保障を検討するにあたっては、障害者の就労や所得の実態、就労支援施策、家族との連携など、仕組み等に関する様々な問題を解決することがまず大切。私たちが整理をしなくてはならないということで、始めている。三年後の見直しまでには、検討を重ねていって、結論を出したい。まだ作業の途中。

【五島(民主党)】今回の障害者自立支援法案は、様々な欠点を持っている。基盤整備というのが、我が国において、全くされていない。障害者施策全体における基盤整備というのは何か?私は、地域生活支援事業が各自治体でどのように取り組まれるのか、ということが大切だと思う。また、施設利用料をとるのであれば、所得保障がされていないといけない。この基盤整備を抜きにしたままの、自立支援法案になっているのが問題。自立支援法案を審議する前に、基盤整備のための法案を作って議論すべき。舛屋さんの質問に対して、「基盤整備が大切」と答えたのを覚えている。
前回の審議から半年経っているが「三年の間に議論したらいい」というような雰囲気。その間どうしたらいいのだ?昨日の参考人質疑で、市長さんは現場の人間として不安の声を出していた。
例えばASLの人へのサービスは、市町村がもたなければならない。しかし、小さな村では、そういう人一人すら抱えることができない。そうした場合、どうしたらいいか。「施設に入っていてほしい」と言うしかない。地域での自立支援と反する!
どう考えているのか?

【中村社会援護局長】基盤整備、地域生活支援、所得保障、重度障害者についてなど質問があった。
ALS患者など、重度の方を地域で支えるのは大切なこと。包括的な支援ができるように検討しているところ。小さな自治体は実施が困難になるのでは?という声があった。適切なサービス水準を作る。小規模自治体において、大きな費用が発生した場合、どのように国庫負担金水準を考えるか、検討しているところ。
ALSについては、介護保険制度活用の問題、在宅で暮らし続ける場合、医療サイドからの支援についても考える必要がある。ALSのような超重度の人については、自立支援法案だけではなく、基盤整備の観点から取り組んでいきたいと考えている。

【五島(民主党)】例えば精神の問題もある。基盤整備は非常に大きな問題。
今、超重度の人についての話があった。重度障害者についても、重度障害者包括支援や、重度障害者訪問介護というものの、国庫の負担水準が適切な水準にする、と言う答え。問題なのは、この「適切な水準」とはなんなのか?困難な思いで社会参加を果たした障害者の方々が、これまでどおり、現状水準を維持することができるのか聞きたい。
先ほど、局長は少し前向きな話をした。これまで、障害者施策は障害者だけで取り仕切る、医療の問題は医療だけで話をする、介護の問題は介護で話をする…という状況だった。一人の人が生きていくうえで包括的にサービスを提供するという観点が少なかった。ALS患者や頚椎損傷の人など、第三者の介助によって排便排尿をしなければならない人たち。ボランティアの看護婦さんを抱えないと、在宅でやっていけないという訴えを聞かされてきた。
局長から、訪問看護についても話があった。では、重度の人については、医療、福祉、介護それぞれの側面からのサービス提供がある、と考えても良いのか?

【中村社会援護局長】指摘通り、例えばALS患者の方を地域で支えるためには、狭義の障害福祉のみならず、医療福祉、介護施策の連携が必要と考えている。現在の医療サービス、介護サービスでも、制約があって患者、障害者を在宅ではできない、という課題がある。今のサービスでは円滑にいかない、という課題がある。以前介護保険で担当していたときも、そういった課題があった。痰の吸引という問題もあった。解決してないこともあり、それぞれの分野で問題がある。
福祉、介護、医療あわせた対応を研究し、作り上げる必要があると思っている。それが基盤整備だと思う。

【五島(民主党)】それが、皆さんが考える福祉施策の方向であれば、その基盤整備がない中でのこの法案はどうなのか?障害者にとっては、不安が増すだけ。今必要なのは、基盤整備をどうするのかということ。今、重度の障害者についての話があった。そこを話しするなら、育成医療や更生医療についても踏み込めるのではないだろうか。心疾患を持っている子どもたちを、医療保険のなかでどうやるのか、という議論はまったくない。障害者施策の中で取り込んで40,200円だなんだと、上限規定を作って議論している。なぜ、何回も手術を受けなければならないような子どもを持つ親、家庭について考えないのか。大臣は、介護保険、障害者などの責任者。200万300万の手術を何度も受けなければ生きていけない子どもについて、医療費をどうするのか、障害者福祉の中でやるのではなく、医療保険の面でやったらいい。その子が20歳を超えて成人した後にも手術が必要な場合でも、医療で考えていったら、すんなりいくのだと思う。それを、「障害者」と名がつけば、障害部で担当しなければならない、という感じ。他も1割負担だからうちも1割負担、という感じ。ようやく重度障害者について医療制度の面からの検討が必要と認めてもらえるようになった。

【尾辻大臣】まず、医療保険制度について。原則として、障害種別程度というよりも、あるなしにかかわらず、国民が受ける医療について費用を支える。一方、障害にかかる公費医療負担制度については障害の特性に合わせて、負担の軽減をしてきた。両制度が、それぞれの趣旨目的をもって、発展してきたということ。先ほど「すべて医療でみればよいではないか」という意見があったが、医療保険制度はその原則がある。その原則と、公費負担医療制度の両方を組み合わせて、対応していくのが現実的であると考えている。

【五島(民主党)】医療の部分は医療でやったらいい、と言っているだけ。先天性高次機能障害についてまで、医療でやれとは言っていない。なぜ、先天性心疾患を持っている人間について、障害の方の費用でやらねばならいのか。
省内における、部局のなわばりみたいなものがあるのでは?
2,3質問がある。
二次判定の問題について。障害者の意見も聞け、という意見もあった。これから二次判定をしていくにあたって、障害程度区分の表に基づいて判定することになる。表を見ると、サービスの利用状況というのがある。その後に、認定調査票というのがある。その後、特記事項、医師の意見書がある。サービスの利用状況表というのは使わない。これまでどのような時間帯にどのようなサービスを受けてきたか、という調査をしないと言っている。まさかそんなことはない??私は、これまでの話から言っても、サービスの状態はいろいろあるから、必要に応じてサービスを提供する 患者の現状、障害者の現状がわかった上で判断するのだと思っていた。それなのに、利用状況表使わない??

【中村社会援護局長】調査票を調査しない、ということはない。現にサービスを受けていて、障害程度区分のほか、市町村が支給決定をおこなううえで大切なものなので、障害者自身のサービス状況を知ることは必要。当然のことながら、市町村が支給決定案を作成するにあたっては、本人と面接をする。

【五島(民主党)】その人がどんなサービスを必要としているのか、を知るために必要な資料。こういうものについてこそ、大切にしてほしい。
もう一つ聞きたい。第94条に、障害程度区分判定について「その他の事情を勘案して」とあるが、これは何を指しているのか?

【中村社会援護局長】国、都道府県が負担すべき費用の範囲を決める部分。現在のサービスの利用実態を想定している。

【五島(民主党)】現在のサービス利用実態、ということであれば、杓子定規ではなく、市町村のなかである程度対応できるということですね。
最後にもう一度言いたい。支援費制度のときもそうだったが、支援費制度が広く普及されるための基盤整備がないままにこの法案が出された。小さい市町村ほどやっていけなくなる。どうきめこまかくやっていくのか。障害者福祉で提供できるサービスの中身についての基盤がない。できあがっても、広がらないまま終わるのでは?与党の皆さんに言いたい。基盤整備の法案を作るべき。
最後に委員長に言いたい。前国会で、全会一致で付帯決議が決まった。今回、前国会で決まった付帯決議をつけるのかどうか、理事会で決めてほしい。
以上です。

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