2005年8月19日、聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部は全国へ向けて声明文を発表しました。以下は声明文の全文です(文末にPDF版を置いています)。
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「障害者自立支援法案」が廃案、障害者運動の成果
- あらためて障害者や関係者の願いに応えた制度の確立を求めます-
8月8日、郵政法案の参議院本会議での否決による衆議院解散に伴い、「障害者自立支援法案」が廃案となりました。厚生労働省は、「廃案は政治的アクシデントのため」と説明していますが、「慎重審議」や「応益(定率) 負担反対」を切実に求めた障害者団体や関係者の共同した全国、各地での運動が、安易な法案審議と採択を許さなかったと言えるものです。
私たち聴覚障害者関係者も、障害の重い人ほど負担が重くなるという「応益( 定率)負担」制度は障害者の深刻な暮らしを無視したものであり到底納得することができないこと、地域生活支援事業に位置付けられるコミュニケーション施策の財源確保や基盤整備の見通しが不十分であることなどから、同法案の全面見直しや徹底した国会審議を求めて、厚生労働委員会への傍聴団の派遣、国会議員への要請活動、障害者団体と共同した中央集会の開催など全国、各地で運動を展開してきました。
聴覚障害者関係団体の共闘組織の結成による今回の取組みは、私たちの新たな運動の可能性を開くもので、今後の国の施策づくりにも少なからず影響を与えていくものであると確信するものです。
一方、廃案後の記者会見で、厚生労働大臣は、臨時国会で法案の骨格を変えることなく再提案する意向を表明しました。政府・厚生労働省は、廃案という結果を真摯に受け止め、障害者の生活実態を無視した拙速な法案提出はもちろんのこと、反発の強い「応益(定率)負担」制度の導入を断念し、法案審議でも明らかになった所得保障の確立や社会資源などの基盤整備にこそ早急に取り組むべきです。
私たちは、あらためて、障害者や関係者の願いに応えた福祉制度の確立と、基本的人権であるコミュニケーション施策の充実を求めて、次の取組みを全国に力強く、大きく広げていきます。
記
1 . 衆議院議員選挙予定候補者及び政党への「公開質問状」の提出
2 . 都道府県・市町村議会への「意見書」採択のための要請活動
3 . 来年度予算確保のために都道府県・市町村への要請活動
4 . コミュニケーション施策の重要性を啓発するためのパンフレットの発行と普及
2005年8月19日
聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部
(構成) 財団法人全日本ろうあ連盟
社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
全国手話通訳問題研究会
日本手話通訳士協会
特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会
【2005/08/19 声明文】(PDF版)