聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

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■10/26 衆議院厚生労働委員会記録(その8)

2005年10月27日 | 【速報】10/26衆議院厚生労働委員会
委員長/質疑を続行します。

笠井(共産)/昨日の韓国・台湾のハンセン病訴訟判決について、山井議員からの質疑について、関係省庁と協議した上で対応すると言われた。しかしこういうときこそ、国は全面解決を前面すべき。当時、参議院で私も大臣と一緒に超党派の取り組みをした。国立ハンセン病院に入った人々に精神的福祉的に賠償を支払う考えを示した。ここから考えると、平等に保障すべき。立法者の意思は明確だ。政府に義務がある。原告者に会った。身がつまる思いだ。真摯に受け止めて、国は控訴せず、大臣の判断で旧植民地の人にも保障すべき。

尾辻大臣/経過は承知している。昨日判決が出たところであり、今話されたこともあるが、それを踏まえての対応になるので、判決内容を詳細に検討し、関係省庁とも協議した上で判断したい。

笠井(共産)/もう一つ。厚生労働省の経過がある。当時山井議員?が質問したときに、坂口大臣が「歴史を検討した上で行いたい」といった。

尾辻大臣/坂口大臣が述べたことは同じように引き継ぐべきことと思っている。

笠井(共産)/裁判が進行中の今年3月、大臣が受け取った検討報告書がある。今、まさに厚生労働省大臣の政治的決断が大事。明確な判断を。

尾辻大臣/最終報告書は私がじかにもらった。ぶ厚くて重いという物理的意味ではなく、重く受け取ると言った。おっしゃる通りに書いてある。いろいろな経過があることもその通り。ただ、今日私が答えられるのは、関係省庁とも協議した上で決定していくということだけだ。

笠井(共産)/まさに重く受け止めることは大事。裁判で長い期間をかけるのではなく、全面的解決を。
 これまで審議してきた障害者自立支援法案についても、厚生労働省がどれだけ一人の人間を大切にするか、当事者の心に寄せて考えているか、行政のあり方が問われている。昨日も委員会でも障害者と家族の長年の苦労が述べられた。またこの法は自立を侵すとも言われた。本当の意味での自立、社会支援のために抜本解決が必要だ。この法案は応益負担を始め多くの問題があり、当事者や関係者に納得のいく審議が必要。
いくつか質問したいが、まず一つ。障害者福祉の重要な担い手である、施設の職員等福祉労働者の確保について法案には盛り込まれていない。職員の配置基準も明確になっていない。職員の非正規化の流れがある。パートの人も大変だ。まともに食事も出来ないほど忙しい。家に持ち帰って仕事をする、実質的なサービス残業もある。知的障害者の施設では重度の方が増えているのに、人員が足りない。夜間は50人を2人で見ないといけない状況で、何かあったらと心配でしょうがない。障害者の生存権の問題だ。職員数を確保して、設置基準の義務化、改善化を図ることが必要だが、具体的に検討しているか。

尾辻大臣/障害者の能力や適性に応じた支援を行う観点から、障害者別に既存の体系を見直して再編する。サービス毎に利用者像などを見直して、見合った職員数を設定する。利用者ごとに個別計画を作成する。施設には評価責任者を配置し、サービス等の評価を公正にできるようにする。

笠井(共産)/基準の形はどのようなものか?

中村社会援護局長/サービス事業者は都道府県知事が指定する。指定基準は施設、人員配置、職種資格の基準がある。

笠井(共産)/政府はどのように関与するか。

中村社会援護局長/各サービスの配置基準は厚生労働省で最低基準を出す。それで都道府県知事が指定する。

笠井(共産)/どういう形か。政省令か?

中村社会援護局長/指定基準は厚生労働省令で規定する。

笠井(共産)/今、現場が支えるのは本当に大変。これまでよりも改善されるのか、不安がある。働く人には当然だが、何より障害者が生きる上で、きちんと改善されるのか。具体的には?今の答弁は抽象的なものばかりだ。

中村社会援護局長/今度の法律で事業体制を大幅に変える。新基準を作る。今言っているのは今ある施設のことだと思う。それは平成18年4月を目指して基準の見直しを行う。それぞれの事業に応じた報酬基準を決めたい。賃金が払えないと困るから。一体にして決めたい。

笠井(共産)/これから?4月まであと半年だ。現場は不安だ。障害者や関係者が知り得たい中身が、政省令で決まる、213項目といっぱいあるという。法案の成立時にはわからない。これでは政府に白紙委任も同じ。人間あっての社会福祉だ。決め細やかに見守ってほしい。具体的な問題が見えてこない。抜本的に解決すると言っても、これからどうなるかわからない。
次に、障害者自立支援法案について、精神障害者の社会参加からも医療面が大事だ。精神障害者の施策は貧弱。通院医療について聞きたい。

笠井(共産)/自立支援医療について。精神障害者に関しては施策が貧弱。基準についてこれから考えるという話であるが、障害者が知りたい中身が法案では一切分からない。具体的に見えないのでは不安がつのるばかり。精神障害の予防を高めるといわれているが、40年前の法律の趣旨は変わらないのか?

尾辻大臣/昭和40年創設以来、適切な医療をという趣旨は変わらない。改めて変わっていないと申し上げたい。

笠井(共産)/精神通院医療は重要。もし1割負担を導入すれば自立に逆行するのではないか?今日も500人の関係者が傍聴している。当事者の声として「うつの治療を始めて11年。毎週保険適用で5%だから通院できる。10%だと通院も辞めなければならなくなる。」「障害者自立支援法になると医療費がはらえない、止めて欲しい」と。現在の5%から10%になるのは負担増である。早期治療の機会を多くするという意義がうすれるのではないか?

尾辻大臣/法案の趣旨では適切な精神障害の医療を普及することにかわりない。5%から10%になることで、負担増にならないように上限を決めている。5%はどこまでいっても5%なわけだから、額が増えると絶対額が大きくなっていた。その方にとっては上限があったほうが良いと思う。従来の役割は変わっていない。

笠井(共産)/当事者は納得できないというのが先ほど紹介した声である。実態を知って欲しい。平成15年度障害者生活実態より。精神障害者で現在仕事をしていない人は52.9%。収入なしは身体5.8%、知的6.3%、精神22.4%でダントツ。61.2%の人が自宅にいる。世間には精神障害の偏見もまだある。1割負担は通院への足が重くなると思うが。

尾辻大臣/足が重くなるとう表現で言われたが、私が言いたいことは、通院への足が重くならないような仕組みを作ったということ。

笠井(共産)/もう一度この法案で障害者の命が守れるかを考えてほしい。障害者にも清潔できちんとした生活をする権利がある。最低限の暮らしを保障してほしい。それぞれの障害者と向き合ってほしい。大臣一人の人間として一人の政治家としての考えはどうか。

尾辻大臣/だから障害者自立支援法を提案し審議をお願いしている。精神部分が障害施策の谷間になっていた。谷間の谷間が精神障害者になっていた。だから一元化した法案を提案している。負担については提案時に気にしたが、良心に照らして出しても言いと思い、考えてつめてきた。負担の軽減をしようとして複雑な仕組みになってしまったが、この負担なら大丈夫と思い提案した。

笠井(共産)/複雑にしたのは応益負担。納得できないという声がある。一律1割というのはやはり横暴。日本の政治が問われる。まだまだ問題があるので引き続き審議をお願いしたい。

阿部(社民)/昨日のハンセン病の判決の明暗を別けた事態をどのように考え、より良い施策考えないとならない。台湾の人は控訴をしない。大臣は韓国の方にも台湾の方にも会ってくれるということなので、火急にお願いしたい。よい解決方法をお願いしたい。自己負担については審議を重ねるとどんどん藪の中。先程複雑にしたという言葉があったが、応益負担についてが問題。
2000年の社会福祉改正法案の時、応能負担に基づいての利用者負担と、定率負担にして低所得者には減免をするという議論があり、前者を取った。支援費もそう。所得の問題があったから。所得が保障されていない事と、所得が把握されていないという事。根本に立ち返って、その後この部分についての論議が深められていない。社会保障審議会の議事録を読んでも、利用者負担のあり方の部分で、定率負担が大前提のように述べられている。なぜ応能負担にしなかったのか。1999年からこの4年間、所得保障について厚労省としてデータを持って?

尾辻大臣/先日の先生の質問に答えた。今回私たちがしたことは、障害を持つ方すべてにサービスを利用してもらう。障害を持つ人の中でも、低所得の人も高所得の人もいる。すべての人に利用してもらうことを目的とし、ユニバーサル化を目指している。すべての人に利用をしてもらう場合、定率負担の考えが適切である、ということ。その中で、低所得の方々については上限額を細かく決め、限りなく応能負担に近づけたと思っている。

阿部(社民)/誰でも受けられる、というのは応能負担でも出来る。低所得なら低所得なりに支払をする。定率負担導入の理由にならない。誰でも障害のある人はサービスを利用したいし、費用の支払をしたいと思っているはず。もともと、応能負担で出来ていたものなのに、なぜ応能負担ではいけないのか。

尾辻大臣/支援費から契約の制度を入れた。すべての人がサービスを受けられる。契約に基づく場合は定率負担の方が自然だと思う。

阿部(社民)/支援費も契約だったのではないか。契約に基づいて応能負担だった。ただ基盤整備は足りなかったと思う。大臣の説明だと、契約だから定率負担を導入するという。では、なぜ支援費では応能だったのか?応能負担を当面する、というのが99年時の説明。ここの部分を理解されなければ、利用サイドの納得は得られない。大臣、なぜ応能負担ではいけないのか?

尾辻大臣/そもそも応能負担ということは、高齢者介護でもそうだったが、低所得者を対象とした制度。応能負担は低所得者が対象だからユニバーサル化のため、定率負担と変えた。また、先生が指摘している99年の資料には「新しい制度への円滑な移行のため、定率負担の声もあったが、現行の利用者負担を設定していくことが適当である。」とある。つまり、円滑な移行も考えて、と書いてある。

阿部(社民)/その通り。所得の状況を勘案して、円滑な移行のために応能負担となったはず。ではその後、障害者の所得が変わったのか?先日の参考人質疑でも、所得保障をしてほしいとの訴えがあった。しかし、提示されている所得の状況の資料は、簡単な説明の資料1枚だけ。精神障害者のデータにいたっては本当に簡単なものだけ。どのデータを見ても所得は把握されていないし、事実障害者の所得は良くなっていない。その中で、定率負担が導入されたら、障害者の所得は減ることがあっても増えることはない。せっかくこの法案で費用を国の義務的経費に取り込んだとしても、所得の把握も保障もなければ、夢も何もなくなってしまう。また、高齢者の福祉は保険制度が基本であり、その上での補完的な意味で定率負担がある。事情が違う。今は税を財源としてサービスを提供する時に、障害が重ければ重いほど費用を請求するのはおかしい、ということ。質問をしたいが、資料の1枚目。生活保護需給の世帯の人員数をあげてもらった。生活保護の統計はなかなか信頼にたる数値が出てこないが、大臣にはこれを良く見て欲しい。65歳以下の数85万人の中で、障害や疾病が理由の需給者は45万人。この法律が通ることによって、今でも少ない収入の障害者がさらに生活保護になっていく人が増えるのではないか。その理由は、資料の2枚目。区分に「生活保護・一般・低所得」とあるが、この低所得の中に、生活保護の人よりも低い収入で暮らしている人がいるのを、ご存知か?

尾辻大臣/数字だけで言えば、その通りだと思う。しかし、生活保護の制度には色々な条件があるので、その月の収入だけでは比較できない。

阿部(社民)/こういう表を示すのであれば、生活保護よりも低い所得で暮らしている人を補足率というが、そういうデータも示すべき。また、その次のページ。障害者自立支援法で手元に幾らお金を残したらよいか、という基礎データで、年収200万以下の2人世帯をモデルにしている。そのモデルは日本の家計所得のどこに位置付けられるのか?このモデルは1万分の160くらいだが、生活保護の基準は1万分の1000で計算されている。年収200万以下の最低の生活の消費レベルで障害者のモデル像で幾ら残すのかを検討している厚労省は、障害者に、生活保護以下の生活をしていけというのか?この施策では「生活保護に落とさない」というが、そもそも生活保護以下の生活をしている人にすら、今以上の負担を求めている。そういう生活を求めていることが納得できない。今日はデータの問題を指摘したい。自立支援医療にはかからない人の話。いくらを越えれば自立支援医療を受けられないか。資料4枚目の中ほど、医療体系の負担上限額と同じになるとある。所得ベースで医療保険の一定ベースと同じ方は給付外とするという文書。そこに線が結ばれて所得税額30万円以上となっている。実は参議院の審議で、私ども(民主党)の福島が、所得税30万円と言うのは収入でいくらかと質問した。答えは800万円くらい。ところが障害者を含む3人世帯で670万円以上の収入と言う数値も出ている。670と800では話が合わない。積算根拠を求めたところ厚生労働省から出された資料が最後に追加した資料です。右側が委員会答弁、左がこの資料で、審議会でかけたデータであるとすると、この670万円という収入額で所得税30万になるという計算はどうひっくりかえってもできない。収入が670万なら所得税は約23万にしかならない。いろいろな控除、障害者控除とか扶養控除を入れなくてもこの値にはならない。根拠のない数字を並べ審議会に出している。現実には患者の日々の生活が関わっている。670という数値が一人歩きして、先だっての参考人の方が作った資料にも出ていた。年収670万と800万では、除外される方が大きく違う。どっちが本当なのか。所得税30万でいくらくらいの収入を想定しているのか。30万の根拠をあげてほしい。これは中村局長でいい。違いますか?何度も言いますがお金に関わる微妙な審議会資料が違うということは審議していることがイメージがわかない。大臣はどう考えるのか。

中谷部長/今の資料のP5。問題は自立支援医療の給付対象外の一定所得以上をどう切るか。所得が高ければ高いほど対象の3割負担と同じだけの数が少なくなる。それを前提に、所得税30万と言っているが21回の部会には670万、10月12日の参議院の答弁で私が800万といっているのはどうなんだということ。年収に換算した場合、世帯によって控除が異なるので一概にはいえないが、仮に夫婦と障害者のこども、一般的に給与所得、扶養控除、配偶者控除、障害者・・・試算したら概ね800万と答えた。21回の社会保障審議会障害者部会、昨年の、11月。この問題は支援医療の対象外をどれだけみるか。最大限見込むために厳しい試算をした。最低限、障害者控除を勘案せず厳しい試算で670万円。30万以上の設定は医療保険における一定以上の所得者を参考に30万円。結果として800、670という2つの数字がでているが、計算前提が違うので違った結果になった。

阿部(社民)/3人世帯で障害者基礎年金1級受給者、と書いてある。これでどうして障害者控除を受けない世帯があるのか。約100万円の年金。いろいろな控除を受ける人の場合で、受けない人の仮定を設けて何の意味があるのか?そんな無茶苦茶が公の場でなぜ出るのか、お詫びなり善処がないと。そんなずさんな数値では誰が対象外になるかわかわない。次回答えてほしい。大臣は善処作を考えてほしい。

(以下、高齢者虐待防止高齢者・・・草案について案件が移ったので割愛します)

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