11月23日に開催されました「いつでも、どこでも、コミュニケーションと生活支援の保障を! 全国集会」について、午前中に行った厚生労働省の講演記録を掲載します。
講演内容は
1.国会審議の状況
2.11月11日全国会議における「地域生活支援事業」に関する説明
3.コミュニケーション支援事業に関する検討事項
4.聴覚障害者情報提供施設の位置づけ
5.質問事項(※)に関する説明
6.質疑応答
の6つに分かれています。1~3、4~6の2つに分けて掲載します。講演記録は、下に向かって掲載します。
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※集会前に厚生労働省へ4つの質問事項を提示していました。質問事項については、別に掲載します。
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厚生労働省報告「障害者自立支援法と施行のあり方」
講演者:厚生労働省 社会援護局・障害保健福祉部企画課 社会参加推進室室長補佐 田村 一 氏
皆様ご苦労様です。ご紹介を頂きました厚生労働省の田村です。
本日は「いつでも、どこでも、コミュニケーションと生活支援の保障を!全国集会」ということで、この時間をお借りして私どもから自立支援法の関係についてのご説明をさせて頂く時間を頂いたことは、私どもにおいても良い機会を頂いたと考えています。支援法の成立を受けて、今後、政省令あるいはガイドラインといったような検討を進めまして、あるいは来月の予算編成等を受けまして、施行に向けて準備を進めていきたいと考えております。
特にコミュニケーション支援事業の新たなる枠組みでの施行については、大変関心の高いことと承知をしておりますので、本日はコミュニケーション支援事業の今後の施行に向けて、現段階で私どもが考えていること、あるいは今後さらに皆様との意見交換・協議等を通じて進めていくべき課題について説明させて頂き、皆様方からのご質問を受けて、今後の準備の参考にしていきたいと考えておりますので、よろしくお願い致します。
本日の私の説明に際しましては、資料4ページに説明させて頂きたい4つの柱を準備致しました。全て詳細を説明すると時間がとても足りないので、この4つの柱を意識しながらご説明させて頂きたいと考えています。更に詳細な資料は25ページ以降に、先だっての11月11日に開催されました全国の都道府県、政令指定都市、中核市等の担当者会議においてお示ししました資料があり、後半には、成立し改めて公布されました自立支援法の条文等々が掲載されております。このへんを後ほど確認して頂きながら、私の話をお聞き頂ければと思います。
1.国会審議の状況
先ほどの報告とも関連しますが、本年2月に国会へ障害者自立支援法として提出をさせて頂いた以降、衆議院の解散選挙があり再提出させて頂いた場面もありましたが、最終的には先の特別国会で賛成多数により可決・成立したところです。この間の国会におきます審議は、延べ76時間45分に及び、また参考人質疑を合計4回、参考人として合計25人の方にご意見を頂戴しました。更には参議院では、大阪府において地方公聴会を1回開催させて頂き、5人の方に口述をお願いした経過があります。こういう経過を踏まえ11月7日に平成17年の法律第123号として公布されているということです。この間、国会でのご審議において、今後の施行に向けての様々なご質問を頂き、私どもとしましても現在のサービス水準の低下をきたさないことはもちろん、今後の増大する障害者の方への保健福祉政策に万全の措置を講じて、今後増大するであろうサービス利用に対応する体制を各自治体をはじめ関係機関とも共同して作り上げていきたいと考えているところです。施行に向けての当面のスケジュールは25ページに主なもの、主な事項に沿って掲げております。後ほど、ご覧頂いてご確認を頂きたいと思います。
コミュニケーション支援事業が位置付けられます地域生活支援事業については、先ほどのスケジュールにも書いてございますが、先般の11月11日の全国会議において、基本的な考え方、これを各都道府県担当者宛にお示ししたところであり、資料は次の26ページ以降に掲げさせて頂いています。これに沿い若干、現段階での地域生活支援事業、あるいはコミュニケーション支援事業についてお話しさせて頂きます。
2.11月11日全国会議における「地域生活支援事業」に関する説明
まず27ページの事業の性格については、地方分権の推進という要素も勘案しながら、1番目の○にありますように地域における利用者の状況ですとか、地域での社会資源の整備といったことも勘案し、地域のご判断に基づいて柔軟に実施して頂くことにより効果的・効率的な実施が可能となる事業を地域生活支援事業に位置付けさせて頂こうということであります。柔軟な形態は①~③に掲げておりますが、いずれにしても②にありますように、地方自治体を中心とした、地域で自主的に取り組む事業、こういう性格の事業を地域生活支援事業として改めて位置付けたいということであります。当然、3番目の○にありますように生活ニーズに応じて個別給付と組み合わせて利用することも可能ですし、あるいは単独事業としてご利用を頂くということも可能になるわけです。その他4番目の○にもありますように、今後の障害保健福祉サービスの利用の普及を考えていく上で、啓発に関する事業も、ここに位置付けていきたいと考えています。事業の性格・位置付けについては、これがベースになるわけですので、皆様におかれましても、ご理解を賜ればありがたいと考えております。
次の28ページからが、これまでの現行事業の再編成、あるいは新規事業の構築というものも含めて、地域生活支援事業全体の事業の位置付けというものを、現段階におきまして暫定的に整理したものであり、冒頭で申し上げました施行に関する準備の過程で、整理・統合や名称変更もありうるという取り扱いをして頂ければ、ありがたいと思います。左側に現行事業を掲げていますが、これらが新しい地域生活支援事業のどの条項に該当するのかということを整理しています。これについて一つ一つ説明する時間はございませんので、本日はコミュニケーション支援事業の部分を中心に話をさせて頂きます。
3.コミュニケーション支援事業に関する検討事項
コミュニケーション支援事業というのは、市町村の地域生活支援事業 第77条、第1項・第2号事業として位置付けられております。ここでは、手話通訳者の派遣事業、要約筆記者の派遣事業、手話通訳の設置事業、これを主な事業として位置付けようと考えております。この他、日常生活用具給付等事業もこの条項に該当するわけですが、ここに掲げた3つの事業を中心に考えているところです。これらについて従来の障害者社会参加推進事業の中で位置付けられていた、手話通訳者の派遣事業、あるいは要約筆記にかかる派遣事業、手話通訳者の設置事業を継続的に位置付けることを考えています。ただし奉仕員の派遣事業の関係については、今後の公的なコミュニケーション支援として、派遣サービスを担って頂く人材としての位置付けとして、関係の皆様から更に検討する必要があるという意見を頂いているので、この制度改革を機会に現在、更なる見直しを検討させて頂いています。ただ奉仕員に担って頂いていた場面、あるいは今後担うことが期待されている場面については、その役割はいささかも変わるものでないと考えています。そういう意味では29ページの第77条の3項、その他事業ということになりますが、その一番下の社会参加促進事業の中で、奉仕員の方々の養成研修事業について、市町村におかれても取り組んで頂くという位置付けを考えているところです。
当然、要約筆記者の派遣についても同様の考え方から、その通訳技能の専門性に着目して新たに要約筆記者としての範疇に位置付けすることを検討中です。この事業名の考え方をもう一度繰り返して申し上げれば、それぞれ手話通訳者派遣事業、要約筆記者派遣事業というように明記していますが、この範疇には手話通訳の場面では当然、手話通訳士資格を持つ方々も含まれるものと考えていますし、現在の奉仕員の立場で担って頂いている方々も基本的には「手話通訳者」の言葉の範疇に含めて考える方向で検討中です。要約筆記の場面においても要約筆記者と明記しているが、この範疇には、これまで奉仕員のお立場で要約筆記のサービスを担って頂いた方も含めるという考え方です。
ただし、先にも申し上げた公的サービスを担うための一定のレベル・水準は必要であるため、奉仕員の方々に対して、どのようにその水準を明確にしていくのかが新たな課題であると考えているところです。
それから30ページ以降が、都道府県の地域生活支援事業と考えております。今ほど申し上げました手話通訳者、あるいは要約筆記者の人材養成という部分を特に都道府県に担って頂きたいと考えており、その意味で30ページの下の78条の第2項事業に対応する育成事業の範疇に、手話通訳者、要約筆記者の養成研修事業を位置付けているところです。なお盲ろう者の通訳・介助員派遣事業がこれまで取り組まれていますが、これについては市町村におけるコミュニケーション事業として検討してきましたが、各地域での取り組み状況等を勘案し最終的には継続的に都道府県事業と位置付けさせて頂くことを考えています。31ページ中ほどに、情報支援等事業がありますが、この最後に通訳・介助員の派遣事業を改めて継続的に位置付けたいということです。これにかかる手話通訳者養成・研修事業を資料30ページに位置付けさせてもらっています。また、31ページの社会参加促進事業の中には、下から三つ目の所にあります奉仕員養成研修事業を市町村と同様に位置付けたいと思います。手話通訳者派遣ネットワーク事業も継続的に、ここで位置付けたいと考えています。申し遅れましたが都道府県段階における手話通訳者設置事業についても、31ページの中ほど、情報支援等事業の一つの事業として継続的にやって頂くことを考えています。
一応、事業の新たなる位置付けについては、このような現段階での暫定案として整理させて頂きました。繰り返しになりますが、今後、検討を進めて参りまして、場合により事業名等の見直しも含めた更なる整理が行われる場面もあるということです。
次に32ページですが、地域生活支援事業全体の国庫補助の有様について、現段階の大雑把な方向性として、そこに書いてあるような負担割合で補助をさせて頂くことを考えています。
コメントが要るのが、2つめの※印の「18年4月より実施予定」と書いてある部分です。これについて地域生活支援事業としての施行は18年10月ですので、地域生活支援事業に対する補助としては10月分から適用されるという考え方に立つものです。ただし4~9月分の現行の枠組みの中で事業をして頂く分についての補助の仕組みは、18年度の1年間を通して実務処理等を勘案して、10月以降の地域生活支援事業と同様の仕組みで補助することが出来ないか検討中です。その際には、先ほどからの現行社会参加推進事業のメニュー事業等についても統合化をして所要の予算を確保し、10月以降の地域生活支援事業と、一体的に補助をさせて頂く、交付させて頂く、この効率的方法等を検討したいということで、少し言葉足らずではございますが、ご理解を頂きたいと思っております。
国庫補助の配分の考え方としては(2)にありますように、現行事業の仕組み、あるいは地域生活支援事業として位置付けられる事業の項目を示しましたが、そこにありますように、まず大原則としては、統合化される補助金ですので、私どもとしては、それぞれ掲げてある個別事業のそれぞれの所要額に基づく配分は行わない方向で考えています。基本的には、人口に基づく配分となろうかと考えていますが、2番目の○にありますように、現在、実施していない市町村あるいは、すでに実施して頂いている市町村、これの実施水準を確保するという意味合いから、現在の事業実施水準を反映した基準も設けて総体的に配分額を決定したいと考えています。そこは来年度の予算編成等を踏まえて改めて検討したいということです。
33ページは利用者負担の考え方を書いています。ここで特にご確認をお願いしたいのは、地域生活支援事業に規定する各サービスをご利用頂く際の利用者負担は個別給付の場合と異なり、一定の定率の負担をお願いすることは考えていないということです。繰り返しますが、地域生活支援事業のサービスをご利用される場合でも、個別給付と同様、1割なら1割の定率負担が求められるのではないかというふうに受け止めておられる方がいらっしゃると聞きますが、地域生活支援事業につきましては、その仕組みは考えていません。
むしろ①、②にも書いてありますように、冒頭申し上げた事業の性格、あるいは地方分権推進を考えると、利用者負担の方法も全国一律に定められるべきものではなく、基本的には事業の実施主体のご判断にゆだねたいと考えています。ただ従来からの負担をお願いしている事業も改めて位置付けられ、またコミュニケーション支援のように、従来から無料の位置付けでご利用頂いた場面もあり、そういう状況を各実施主体においては考慮頂き、ご判断頂く仕組みにしたいと考えています。
時間の関係でこの程度のご説明に止めざるをえませんが、こういった基本的な考え方を踏まえ更に検討し、年明け以降、予算編成を踏まえ、地域生活支援事業にかかるガイドライン案をご提示するとともに、補助金の配分方法も提示させて頂きたいと考えております。合わせて4~9月分までの現行事業の統合後の「地域生活推進事業」というふうに私どもは名称を考えておりますけれども、これに関する実施要綱案もお示ししたいと考えています。これらの案について、関係自治体、及び皆様を初めとする関係団体との意見交換の場を持たせて頂いた上で、年度内にはそれぞれガイドライン等の確定・通知をと考えています。18年4月以降、各自治体において規程整備をし、その体制整備を進めて頂くことになると思います。それから地域住民・国民の意思として地域生活支援事業、特にコミュニケーション支援事業を推進していく上で計画作りが大変重要ですので、国会での審議の過程の中の附帯決議で、この計画作りへの皆様をはじめ障害をお持ちの方の参画、各地域における数値目標の設定などが提起されているので、こうしたことも踏まえながら、各自治体において体制整備を進めて頂きたいと考えています。その上で10月以降の地域生活支援事業として施行して頂くことになるわけです。なお付帯決議については、資料40ページ以降に掲げてあります。後でご確認を頂ければ、ありがたく思います。
講演内容は
1.国会審議の状況
2.11月11日全国会議における「地域生活支援事業」に関する説明
3.コミュニケーション支援事業に関する検討事項
4.聴覚障害者情報提供施設の位置づけ
5.質問事項(※)に関する説明
6.質疑応答
の6つに分かれています。1~3、4~6の2つに分けて掲載します。講演記録は、下に向かって掲載します。
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※集会前に厚生労働省へ4つの質問事項を提示していました。質問事項については、別に掲載します。
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厚生労働省報告「障害者自立支援法と施行のあり方」
講演者:厚生労働省 社会援護局・障害保健福祉部企画課 社会参加推進室室長補佐 田村 一 氏
皆様ご苦労様です。ご紹介を頂きました厚生労働省の田村です。
本日は「いつでも、どこでも、コミュニケーションと生活支援の保障を!全国集会」ということで、この時間をお借りして私どもから自立支援法の関係についてのご説明をさせて頂く時間を頂いたことは、私どもにおいても良い機会を頂いたと考えています。支援法の成立を受けて、今後、政省令あるいはガイドラインといったような検討を進めまして、あるいは来月の予算編成等を受けまして、施行に向けて準備を進めていきたいと考えております。
特にコミュニケーション支援事業の新たなる枠組みでの施行については、大変関心の高いことと承知をしておりますので、本日はコミュニケーション支援事業の今後の施行に向けて、現段階で私どもが考えていること、あるいは今後さらに皆様との意見交換・協議等を通じて進めていくべき課題について説明させて頂き、皆様方からのご質問を受けて、今後の準備の参考にしていきたいと考えておりますので、よろしくお願い致します。
本日の私の説明に際しましては、資料4ページに説明させて頂きたい4つの柱を準備致しました。全て詳細を説明すると時間がとても足りないので、この4つの柱を意識しながらご説明させて頂きたいと考えています。更に詳細な資料は25ページ以降に、先だっての11月11日に開催されました全国の都道府県、政令指定都市、中核市等の担当者会議においてお示ししました資料があり、後半には、成立し改めて公布されました自立支援法の条文等々が掲載されております。このへんを後ほど確認して頂きながら、私の話をお聞き頂ければと思います。
1.国会審議の状況
先ほどの報告とも関連しますが、本年2月に国会へ障害者自立支援法として提出をさせて頂いた以降、衆議院の解散選挙があり再提出させて頂いた場面もありましたが、最終的には先の特別国会で賛成多数により可決・成立したところです。この間の国会におきます審議は、延べ76時間45分に及び、また参考人質疑を合計4回、参考人として合計25人の方にご意見を頂戴しました。更には参議院では、大阪府において地方公聴会を1回開催させて頂き、5人の方に口述をお願いした経過があります。こういう経過を踏まえ11月7日に平成17年の法律第123号として公布されているということです。この間、国会でのご審議において、今後の施行に向けての様々なご質問を頂き、私どもとしましても現在のサービス水準の低下をきたさないことはもちろん、今後の増大する障害者の方への保健福祉政策に万全の措置を講じて、今後増大するであろうサービス利用に対応する体制を各自治体をはじめ関係機関とも共同して作り上げていきたいと考えているところです。施行に向けての当面のスケジュールは25ページに主なもの、主な事項に沿って掲げております。後ほど、ご覧頂いてご確認を頂きたいと思います。
コミュニケーション支援事業が位置付けられます地域生活支援事業については、先ほどのスケジュールにも書いてございますが、先般の11月11日の全国会議において、基本的な考え方、これを各都道府県担当者宛にお示ししたところであり、資料は次の26ページ以降に掲げさせて頂いています。これに沿い若干、現段階での地域生活支援事業、あるいはコミュニケーション支援事業についてお話しさせて頂きます。
2.11月11日全国会議における「地域生活支援事業」に関する説明
まず27ページの事業の性格については、地方分権の推進という要素も勘案しながら、1番目の○にありますように地域における利用者の状況ですとか、地域での社会資源の整備といったことも勘案し、地域のご判断に基づいて柔軟に実施して頂くことにより効果的・効率的な実施が可能となる事業を地域生活支援事業に位置付けさせて頂こうということであります。柔軟な形態は①~③に掲げておりますが、いずれにしても②にありますように、地方自治体を中心とした、地域で自主的に取り組む事業、こういう性格の事業を地域生活支援事業として改めて位置付けたいということであります。当然、3番目の○にありますように生活ニーズに応じて個別給付と組み合わせて利用することも可能ですし、あるいは単独事業としてご利用を頂くということも可能になるわけです。その他4番目の○にもありますように、今後の障害保健福祉サービスの利用の普及を考えていく上で、啓発に関する事業も、ここに位置付けていきたいと考えています。事業の性格・位置付けについては、これがベースになるわけですので、皆様におかれましても、ご理解を賜ればありがたいと考えております。
次の28ページからが、これまでの現行事業の再編成、あるいは新規事業の構築というものも含めて、地域生活支援事業全体の事業の位置付けというものを、現段階におきまして暫定的に整理したものであり、冒頭で申し上げました施行に関する準備の過程で、整理・統合や名称変更もありうるという取り扱いをして頂ければ、ありがたいと思います。左側に現行事業を掲げていますが、これらが新しい地域生活支援事業のどの条項に該当するのかということを整理しています。これについて一つ一つ説明する時間はございませんので、本日はコミュニケーション支援事業の部分を中心に話をさせて頂きます。
3.コミュニケーション支援事業に関する検討事項
コミュニケーション支援事業というのは、市町村の地域生活支援事業 第77条、第1項・第2号事業として位置付けられております。ここでは、手話通訳者の派遣事業、要約筆記者の派遣事業、手話通訳の設置事業、これを主な事業として位置付けようと考えております。この他、日常生活用具給付等事業もこの条項に該当するわけですが、ここに掲げた3つの事業を中心に考えているところです。これらについて従来の障害者社会参加推進事業の中で位置付けられていた、手話通訳者の派遣事業、あるいは要約筆記にかかる派遣事業、手話通訳者の設置事業を継続的に位置付けることを考えています。ただし奉仕員の派遣事業の関係については、今後の公的なコミュニケーション支援として、派遣サービスを担って頂く人材としての位置付けとして、関係の皆様から更に検討する必要があるという意見を頂いているので、この制度改革を機会に現在、更なる見直しを検討させて頂いています。ただ奉仕員に担って頂いていた場面、あるいは今後担うことが期待されている場面については、その役割はいささかも変わるものでないと考えています。そういう意味では29ページの第77条の3項、その他事業ということになりますが、その一番下の社会参加促進事業の中で、奉仕員の方々の養成研修事業について、市町村におかれても取り組んで頂くという位置付けを考えているところです。
当然、要約筆記者の派遣についても同様の考え方から、その通訳技能の専門性に着目して新たに要約筆記者としての範疇に位置付けすることを検討中です。この事業名の考え方をもう一度繰り返して申し上げれば、それぞれ手話通訳者派遣事業、要約筆記者派遣事業というように明記していますが、この範疇には手話通訳の場面では当然、手話通訳士資格を持つ方々も含まれるものと考えていますし、現在の奉仕員の立場で担って頂いている方々も基本的には「手話通訳者」の言葉の範疇に含めて考える方向で検討中です。要約筆記の場面においても要約筆記者と明記しているが、この範疇には、これまで奉仕員のお立場で要約筆記のサービスを担って頂いた方も含めるという考え方です。
ただし、先にも申し上げた公的サービスを担うための一定のレベル・水準は必要であるため、奉仕員の方々に対して、どのようにその水準を明確にしていくのかが新たな課題であると考えているところです。
それから30ページ以降が、都道府県の地域生活支援事業と考えております。今ほど申し上げました手話通訳者、あるいは要約筆記者の人材養成という部分を特に都道府県に担って頂きたいと考えており、その意味で30ページの下の78条の第2項事業に対応する育成事業の範疇に、手話通訳者、要約筆記者の養成研修事業を位置付けているところです。なお盲ろう者の通訳・介助員派遣事業がこれまで取り組まれていますが、これについては市町村におけるコミュニケーション事業として検討してきましたが、各地域での取り組み状況等を勘案し最終的には継続的に都道府県事業と位置付けさせて頂くことを考えています。31ページ中ほどに、情報支援等事業がありますが、この最後に通訳・介助員の派遣事業を改めて継続的に位置付けたいということです。これにかかる手話通訳者養成・研修事業を資料30ページに位置付けさせてもらっています。また、31ページの社会参加促進事業の中には、下から三つ目の所にあります奉仕員養成研修事業を市町村と同様に位置付けたいと思います。手話通訳者派遣ネットワーク事業も継続的に、ここで位置付けたいと考えています。申し遅れましたが都道府県段階における手話通訳者設置事業についても、31ページの中ほど、情報支援等事業の一つの事業として継続的にやって頂くことを考えています。
一応、事業の新たなる位置付けについては、このような現段階での暫定案として整理させて頂きました。繰り返しになりますが、今後、検討を進めて参りまして、場合により事業名等の見直しも含めた更なる整理が行われる場面もあるということです。
次に32ページですが、地域生活支援事業全体の国庫補助の有様について、現段階の大雑把な方向性として、そこに書いてあるような負担割合で補助をさせて頂くことを考えています。
コメントが要るのが、2つめの※印の「18年4月より実施予定」と書いてある部分です。これについて地域生活支援事業としての施行は18年10月ですので、地域生活支援事業に対する補助としては10月分から適用されるという考え方に立つものです。ただし4~9月分の現行の枠組みの中で事業をして頂く分についての補助の仕組みは、18年度の1年間を通して実務処理等を勘案して、10月以降の地域生活支援事業と同様の仕組みで補助することが出来ないか検討中です。その際には、先ほどからの現行社会参加推進事業のメニュー事業等についても統合化をして所要の予算を確保し、10月以降の地域生活支援事業と、一体的に補助をさせて頂く、交付させて頂く、この効率的方法等を検討したいということで、少し言葉足らずではございますが、ご理解を頂きたいと思っております。
国庫補助の配分の考え方としては(2)にありますように、現行事業の仕組み、あるいは地域生活支援事業として位置付けられる事業の項目を示しましたが、そこにありますように、まず大原則としては、統合化される補助金ですので、私どもとしては、それぞれ掲げてある個別事業のそれぞれの所要額に基づく配分は行わない方向で考えています。基本的には、人口に基づく配分となろうかと考えていますが、2番目の○にありますように、現在、実施していない市町村あるいは、すでに実施して頂いている市町村、これの実施水準を確保するという意味合いから、現在の事業実施水準を反映した基準も設けて総体的に配分額を決定したいと考えています。そこは来年度の予算編成等を踏まえて改めて検討したいということです。
33ページは利用者負担の考え方を書いています。ここで特にご確認をお願いしたいのは、地域生活支援事業に規定する各サービスをご利用頂く際の利用者負担は個別給付の場合と異なり、一定の定率の負担をお願いすることは考えていないということです。繰り返しますが、地域生活支援事業のサービスをご利用される場合でも、個別給付と同様、1割なら1割の定率負担が求められるのではないかというふうに受け止めておられる方がいらっしゃると聞きますが、地域生活支援事業につきましては、その仕組みは考えていません。
むしろ①、②にも書いてありますように、冒頭申し上げた事業の性格、あるいは地方分権推進を考えると、利用者負担の方法も全国一律に定められるべきものではなく、基本的には事業の実施主体のご判断にゆだねたいと考えています。ただ従来からの負担をお願いしている事業も改めて位置付けられ、またコミュニケーション支援のように、従来から無料の位置付けでご利用頂いた場面もあり、そういう状況を各実施主体においては考慮頂き、ご判断頂く仕組みにしたいと考えています。
時間の関係でこの程度のご説明に止めざるをえませんが、こういった基本的な考え方を踏まえ更に検討し、年明け以降、予算編成を踏まえ、地域生活支援事業にかかるガイドライン案をご提示するとともに、補助金の配分方法も提示させて頂きたいと考えております。合わせて4~9月分までの現行事業の統合後の「地域生活推進事業」というふうに私どもは名称を考えておりますけれども、これに関する実施要綱案もお示ししたいと考えています。これらの案について、関係自治体、及び皆様を初めとする関係団体との意見交換の場を持たせて頂いた上で、年度内にはそれぞれガイドライン等の確定・通知をと考えています。18年4月以降、各自治体において規程整備をし、その体制整備を進めて頂くことになると思います。それから地域住民・国民の意思として地域生活支援事業、特にコミュニケーション支援事業を推進していく上で計画作りが大変重要ですので、国会での審議の過程の中の附帯決議で、この計画作りへの皆様をはじめ障害をお持ちの方の参画、各地域における数値目標の設定などが提起されているので、こうしたことも踏まえながら、各自治体において体制整備を進めて頂きたいと考えています。その上で10月以降の地域生活支援事業として施行して頂くことになるわけです。なお付帯決議については、資料40ページ以降に掲げてあります。後でご確認を頂ければ、ありがたく思います。