聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

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■10/21 衆議院厚生労働委員会記録(その4)

2005年10月21日 | 【速報】10/21衆議院厚生労働委員会
枡屋(公明党)/公明党枡屋(ますや)です。先の国会に引き続き、自立支援法について審議させていただきます。先の国会では、尾辻大臣と一時間くらい議論させていただいたことを今思い出しています。本日は30分の持ち時間なので、15分を民主党と残りの15分を政府と議論したいと思っています。まず、山井(やまのい)先生をはじめ、ご苦労様です。短時間で対案をお作りになったことに、敬意を表します。なんで前回、出してくれんかったんですか、出していただきたかったと思っているところです。対案の内容を見ると、ますます民主党の基本的なスタンスが見えなくなってきています。山井議員とは、どこかのシンポジウムでご一緒させていただきました。私は障害の福祉と介護保険についてのリンクについて、大変慎重な姿勢を持っていた一人だったのですが、説得されて意識を変えた一人なので、「一体どうなってるのか」を正直に聞きたいと思うんです。決して揚げ足をとるつもりではありません。国民が見ているのだから、対案を出した基本的なスタンスを、時間がないので小さいところはさっぴいて、議論したいのです。前回の国会で、介護保険改正の議論をいたしました。民主党と中村局長の議論を聞いていて、「まあ、ずいぶんひどいことを言うもんだな」と聞いていたんです。あの分野の話、徹底的にされていましたね。おそらく反対だと思っていたのですが、賛成されました。なんで賛成に回ったのか、あのときの議論は何なのか、僕は分からんです。しかし、賛成をされた。大人の対応をされたなと。私を説得された山井さんも「なるほど、よくわかった対応だな」と思った。支援費も、同様に激しいことをやっていましたが、支援費も賛成すると理解していた。現行の支援費ではもうどうにもならないということは、お互いわかっているわけだから。それなのに、反対された。いまだに、腑に落ちないんですが。出てきた対案を見て、これはないだろうと。問題のある現行制度(現行制度に問題があるのは皆さんご承知ですから)もう少し現行の制度を残して、問題を解決するための仕組みを組み込んだ上でやるならわかるんです。「現行制度は続ける。負担金だけやる」と。だって、山井さん、チャンスは今なんですよ。障害施策はこれだけ遅れているんですよ。介護保険はもう20年。見直しもして、進んでいるわけです。今始めないと手遅れになると私は思います。「チャンスは前髪で」といいますが、この対案ではチャンスを失ってしまう。社会保障の制度について行けないのではないかと。私はそう理解しているが、違いますか。スタンスがよく見えない。ご説明を簡単に。15分ですから。

山井/お答えします。枡屋議員とは今までも色々と議論してきております。質問していただいて感謝しています。先ほどの大村議員と重なる部分もあると思うがお許しいただきたいと思っております。まず第一点。私たちは永遠にこの対案で支援費を続けると言ってないことは、対案を見ればご理解いただけると思います。2年間続けていって、包括的障害者福祉法制を作っていく、ということです。今まさに問われているのは、介護保険の年齢拡大、エイジフリーというのは何かという議論の認識が、政府と民主党では違います。介護保険のいいところの一部を障害者福祉に活用して、障害者福祉を良くしていく、という考えが今回の対案の通りなのであります。枡屋議員が「今がチャンス、先送りはない」とおっしゃった。しかし、現状認識が私たちとまったく違っております。多くの障害者の方々から聞くのは、「支援費制度が入って施設でなく在宅で暮らせるようになった」あるいは「グループホームで暮らせるようになった」と、良かったなぁとはっきりいって大部分の方は喜んでおられるんですよね。これからグループホームを増やそうと言うときに、一割負担導入かと、応益負担導入かと。それはないだろうと私たちは認識しているわけで。支援費制度ができて2年半で急に変える方が、私は当事者不在じゃないかと思っています。

枡屋/ここが見解を異にする立場ですね。今、山井さんは、「支援費が始まって喜んでおられる」とおっしゃったが、今の支援費ではどうにもならないということや様々な問題があることは、痛いほどあなたもおわかりになっているじゃないですか。将来、介護保険を利用する、あなたの言葉で言うと「利用する」という立場、僕も同じですよ。送考えたとき、支給決定の手続きとか認定の事務であるとか、あるいは介護保険とは違って、障害者の世界には施設だけでもたくさんある。その体系を見直しせにゃならん。サービスの内容の見直しをせにゃならん。自立生活給付の中でですね、介護給付の体系を作っていかにゃならん。もう介護保険は動いているのですから。私は、むしろチャンスを失うという立場だと思います。いささか、現場の声に引っ張られすぎているのではないかと。
 時間がないので、次のテーマに行きます。いや、どうしても反論があれば。私は本当に心配しているんです。もっと言いますと、これから2年やろうというのは、おそらく政府案の中でもいい部分がたくさんあると思っているということですか。

山井/枡屋議員に賛同する部分は多々ありますが、1割負担を導入すると、やはり障害者の方々の自立生活、社会参画に大きくブレーキをかけてしまうんです。一元化の方向や年齢拡大の方向性は、同じ思いのところがかなりあります。しかし、主人公は障害者のかた。今の急な改革ではサービスを受けられなくなるという不安がこれだけ多いのだから、やはり慎重にやるべきだと考えております。

枡屋/そうすると、将来、障害者施策が介護保険を利用するとして、一割負担を変える、という発想ですね? 介護保険は1割負担なんですから。どうなんですか?

山井/まさにそこがポイントで、一例を申し上げます。ドイツでは介護保険を全年齢でやっております。障害者を含んでおります。しかし、障害者福祉の部分は自己負担0でやっております。だから「介護保険とくっつくから、1割負担がそのまま導入される」
という考えは、我々民主党は持っていません。

枡屋/表と裏の議論があること、立場の違いもあると了解しております。私どもも、自立支援法で障害者の方々が悩んでいるというのは十分わかっています。だからこそ、何らかの手を打ちたいと思っています。どうも制度に取り組む姿勢の違いではないかと私は思っております。あと、事務的経費を負担金にするということの難しさ。簡単ではないのです。お気持ちは分かりますが、財政当局を恐れて言うのではないのですが、負担金にする以上、国民に理解をしていただく…。後ろで首を振るのはやめてくれないかな。真摯な議論してるときに、なんだ、その態度は。議員同士の議論をやってんだ! どんな思いでやってると思ってるんだ! 下げてくださいよ、サポートなんか、いりませんよ。山井さん、あなたと私の議論じゃないか。不愉快なんですよ、うしろで。下げてくださいよ。何を言ってるんだ!
負担金にするというのは、苦労があると思っています。障害者の皆さん、費用を負担されている皆さん、市民は大変苦しんでおられ、それを見て、みんなも悩んでいるんです。従って、私はサービス給付の手続き、認定の義務、障害制度区分など、介護保険で始めた手法を始めないと、自己負担の問題も含めて、負担金にするのは容易なことではないと私は思っています。民主党の皆さんも理解してると思っているが、どうでしょうか。

園田/基本的な認識を、私も共有させていただきたいと思っております。今、おっしゃっていただいたように、支援費制度そのものの評価に問題があったと。私たちは、当事者団体、当事者、その家族の意見をよく聞きながら今日までの政策に取り組んできた。以前の措置制度の時代、地域や施設に縛られていた時代から、今は外に出れるようになって来た、社会参加できるようになった。その中で、障害者基本法もできてきて、自らの権利意識も芽生えて参加するようになってきた。それが第一歩であったと私は思っています。それはここにいる皆さんも、制度を拡充していこうという方向になってきたのではないかと思っています。しかし、その段階で与党・政府の皆さんが一番苦労されたのは裁量的経費、予算確保がなかなかままならなかった。それが足かせになり、残念ながら支援費制度がスタートして2年、毎年毎年予算不足になってしまった。その辺が問題になったのではと思っています。私たちはその基本をおさえていただきたかったんです。おっしゃるとおり、民主党としても、支給設定の方法や区分の分け方などの手法を考えるという部分に関しては、評価しています。改革ではなく、支援費制度が立ち上がる頃の、新しい考えであったころの考えを思い出していただきたい。だからこそ、社会制度認定区分、支給設定のあり方の中において、介護保険の手法を取り入れるのではない。介護保険を取り入れるのとは違う。作っていくのであるなら、しっかりしたデータや障害者の皆さんの生活に基づいてしっかりと作っておくべきです。午後の議論の中で、認定区分の中身をしっかりと明らかにさせていただきたいとは思っています。こういう形で拙速にやることが、様々な混乱を生んでしまうという危惧がある。ということで、私たちはまず制度を拡充していく。改革ではなく、拡充。その上で、2年後、議論に基づいたきちっとした制度を作っていこうと申し上げているのです。

枡屋/介護保険も走りながら考えながらやってきています。完全に出来上がっているものではないという認識ですね。それが我が国の福祉の現場なんです。皆さんは「現場の声」とよくおっしゃるが、我々も皆さん以上に現場で障害者の方や市町村の方と話をしてきているんです。準備もできていて、今やらなくてはならないと思っている。問題がないわけではない。多くの問題を抱えながらでも、次の段階に行かなくてはならないとおもっているのです。これは、立場の違いだろうと思うんですが。あともうひとつ。民主党マニュフェストの中で、社会保障の分野は地方に任せると書いてあると私は理解していました。マニュフェストを作るときには、支援費の部分はこうなってなかったのではないかと思うんです。地方に渡すよりもむしろ国、生活保護と同じ世界に入れていくという発想ではないか。そこが大きく変わったのではないかと思いますが。どうでしょう。

山井/確かに、生活保護などの一部は残していくと書いてある。厚労省も言っているように、障害者サービスの地域間格差を、底上げすることで、できるだけなくしたい。格差がなくなった時点で、地方に渡したい。しかし、いま地方に任せては駄目だと思う。
それと、もうひとつ。やはり、認識の違いということですが。現場を回ったとおっしゃったが、先日も1万1千人の方が、今の自立支援法を当事者抜きに決めないでとおっしゃっていた。私も5か月間で60数か所回ったが、圧倒的多数は、やはり今回の自立支援法では自己負担と応益負担で、社会参加にブレーキがかかると言う意見が多いんです。私たちとしては、この法案はピンチだと思っています。

枡屋/ピンチだからこそ、私たちは改革を、と。政治は少し先を見て、痛みをどう克服するかという知恵を出しながら取り組んでいこうと。残念ながら、この対案は山井さんの本音と違うのではと思っています。残された時間は、政府案の議論をしたいです。
 今回負担金になるが、今までは現場の裁量が自由にできた。昔、無認可の施設を例えば身体障害者福祉法や知的障害者福祉法の施設にすると、とたんに運営がぐちゃぐちゃに四角四面になり、現場は利用者のニーズに応えられなくなったという実態を私は見てきました。今回の改正が、そうなってはいけないと思います。とりわけ制度の移行期において、柔軟な対応をまず求めておきたいと思います。事務方に伺うが、重度障害者に対しては、今回の自立支援法でどんな支給になるか。重度障害者に対しては、市町村で様々な工夫をしているが、ここで負担金になるからといって四角四面にやるのかどうか。柔軟な対応が現場で求められると思うが、可能かどうかをうかがいたい。

中村局長/お答え申し上げます。負担金になった後の配分方法の問題だと思います。委員からお話がございましたように、新制度の基本は必要度に合わせまして障害程度区分の基準を設定すると、こういうことが基本になろうかと思いますが、今、議論にもありましたように、大変全国的には大きな地域格差がございます。新制度に移行する場合に、当然、今、サービスを受けておられる方々の現状に大きな変化が生ずるということは、まさに一番大変なことでございますので、今、委員からお話がございましたように、制度移行時の対応をどうするかについては、新たに定める国庫負担基準の水準、これは新しい基準を今、定めようと思っておりますが、そういったことも踏まえながら、激変緩和については、当然検討させていただきたいと思っております。

枡屋/ありがとうございます。十分な検討をお願いしておきたいと思います。それから、もう1点、今回の自立支援法の世界で行われる給付について、利用施設について、今までは、私も長い間、現場におりましたけれども、月額単価で支弁されていた措置費の時代が長く続いてまいりましたけれども、今度は日割になると。基本的に日割だろうと。それはある意味でいいことでありまして、日割にすればおそらく定員以上の処遇もお世話することも可能だろうと。そこはそれで私はいいことだと思っているのですが、しかし今、自立支援法の実態を見たときに、案を見て心配しますのは、定員がオーバーしたときよりも、むしろ私の地元では定員が確保できないと。障害者の皆さんでありますから、体の状態を悪くして入院をされたり、さまざまな状況があると。そうすると、定員に満たないことがあると。そうすると十分な運営費が確保されないということがあるのではないかという心配しているのでありますが、この点は移行期においてどうでありましょうか。

中村局長/2つ申し上げたいと思います。基本的には、日払い方式に改めるのを基本に置いておりますが、今、委員からもお話がございましたように、それぞれの障害者施設の利用者の方の特性に応じまして、キャンセルの問題ですとか、入院や外泊の問題など、さまざま、定員と実員の乖離が生ずるようなことがございますので、そういったことについて一定の配慮を行うことは、これは当然だろうということが第1点でございます。第2点は、それぞれの制度の施設がございますが、いわば措置制度に使っている期間が長い施設ほど月額払いが定着しておりますので、そういった施設については、現にかなり定員を下回っておられながら運営されているところもありますので、一挙に日払い方式を適用されると経営が破綻してしまうという恐れもあろうかと思います。激変措置を講じ、そういったことがないように、軟着陸をよく考えていきたいと。その2点でございます。

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