2012年のロンドン五輪における野球とソフトボールの正式競技復活が、IOCによって再否決された。大きな国際舞台を失ったソフトボールには気の毒だが、野球界にとっては国際組織結成に向けてのいいきっかけになるはずだ。
MLBの非協力的態度によって、アメリカばかりでなく、ドミニカ共和国やベネズエラ、プエルトリコなどもベストチームを五輪に送り込めない状況では、野球が不人気競技になるのは当然の結果だった。IOC側からは人気面と同時に、FIFAのようなプロ・アマを統括する国際組織が存在しないことも指摘されている。
現在、野球界にはアマチュア球界を統括する国際アマチュア野球連盟(IBAF)はあるが、MLBやNPBなど各国プロ野球組織の上部団体ではない。現在、世界中のプロとアマが共通のテーブルで話し合うのは野球規則の改定ぐらいで、ワールドベースボールクラシック(WBC)にしても、IBAFによって国際大会のお墨付きは得ているものの、事実上MLB主催の大会である。
プロ・アマ全体を統括する上部団体が存在しない弊害は、言うまでもなく日本において顕著である。というよりも、現役はもちろん経験者でも高野連に「バイ菌」のごとき扱いを受け、もし父親がプロ野球経験者だと高校生の息子にも指導できないという日本の「プロ除菌体質」が飛び抜けて異常なのだが。いずれにしても、そうした野球の普及・発展に弊害にしかならないシステムがのさばっているのも、日本サッカー協会(JFA)のようなプロ・アマ全体を統括する組織がないことが最大の原因だろう。
現在、特にプロ野球の代表であるアメリカと、アマチュア野球界の王者であるキューバ両国が敵対関係にある影響もあって、MLB主導でもIBAF主導でも、真の国際組織が作りにくい状況がある。こうした現状だからこそ、むしろ両方にホットラインを持つ日本やアジアの野球界にとっては、国際組織の旗揚げに向けて先導役を務める絶好のチャンスでもあるのだ。
以前にもこのBlogで触れたが、そもそもFIFAとサッカーのワールドカップは、「サッカーの母国」を自任し、かたくなに「鎖国主義」をとっていたイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4協会を置き去りにして、フランスを中心とした欧州と南米のサッカー界が国際化を進めた結果生まれたものだ。それによってもたらされた隆盛を見て、第二次大戦後にはイギリス4協会もW杯参加に踏み切らざるを得なくなった。
五輪復帰などのためでなく、むしろ五輪抜きでもベースボールの普及・発展を成し遂げるためにこそ、国際組織の結成が必要だろう。その際、会長と副会長二人によって構成される「三役」のうちひとつと、10人の理事の一定数は、キューバのようにプロフェッショナルリーグを国内に持たない国に分配されなければならない。
五輪から追放された野球に対し、FIFAはむしろ「脱・五輪」に向けて着々と計画を進めている。今回も23歳以下の国際大会と定められている五輪サッカー競技を除くすべての国際大会(男女、世代別、クラブ対抗)に「ワールドカップ」の名称をつけることを決定した。これにより、「ワールドカップ=サッカー」のイメージはより強くなることだろう。
私と同じく「野球文化學會」の会員である久保直也さんは、昨年の學會論文集「ベースボーロジー」で、野球の国際大会の名称として「ワールドフラッグ」を提唱しているが、いいアイディアだと思う。国別対抗、クラブ世界大会、世代別国際試合、女子大会など、野球を盛り上げるための国際大会のプランはいくらでもあるし、投資は必ずマーケットの拡大につながって、将来巨大な利益となって野球界に還元されるはずだ。
「メジャーによる日本プロ野球の植民地化」などと危機感をあおる前に、大風呂敷と思われてもいいから、自分たちがアメリカを飲み込むくらいのプランがなぜ立てられないのか? 少なくとも「日本プロ野球の父」と呼ばれた正力松太郎ならば、それぐらいの大号令をかけたであろうし、そのための投資も惜しまなかったはずだ。そうした点でも渡邉恒雄・読売ジャイアンツ球団会長は、いかにもスケールの小さな人物に思えてならない。
MLBの非協力的態度によって、アメリカばかりでなく、ドミニカ共和国やベネズエラ、プエルトリコなどもベストチームを五輪に送り込めない状況では、野球が不人気競技になるのは当然の結果だった。IOC側からは人気面と同時に、FIFAのようなプロ・アマを統括する国際組織が存在しないことも指摘されている。
現在、野球界にはアマチュア球界を統括する国際アマチュア野球連盟(IBAF)はあるが、MLBやNPBなど各国プロ野球組織の上部団体ではない。現在、世界中のプロとアマが共通のテーブルで話し合うのは野球規則の改定ぐらいで、ワールドベースボールクラシック(WBC)にしても、IBAFによって国際大会のお墨付きは得ているものの、事実上MLB主催の大会である。
プロ・アマ全体を統括する上部団体が存在しない弊害は、言うまでもなく日本において顕著である。というよりも、現役はもちろん経験者でも高野連に「バイ菌」のごとき扱いを受け、もし父親がプロ野球経験者だと高校生の息子にも指導できないという日本の「プロ除菌体質」が飛び抜けて異常なのだが。いずれにしても、そうした野球の普及・発展に弊害にしかならないシステムがのさばっているのも、日本サッカー協会(JFA)のようなプロ・アマ全体を統括する組織がないことが最大の原因だろう。
現在、特にプロ野球の代表であるアメリカと、アマチュア野球界の王者であるキューバ両国が敵対関係にある影響もあって、MLB主導でもIBAF主導でも、真の国際組織が作りにくい状況がある。こうした現状だからこそ、むしろ両方にホットラインを持つ日本やアジアの野球界にとっては、国際組織の旗揚げに向けて先導役を務める絶好のチャンスでもあるのだ。
以前にもこのBlogで触れたが、そもそもFIFAとサッカーのワールドカップは、「サッカーの母国」を自任し、かたくなに「鎖国主義」をとっていたイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4協会を置き去りにして、フランスを中心とした欧州と南米のサッカー界が国際化を進めた結果生まれたものだ。それによってもたらされた隆盛を見て、第二次大戦後にはイギリス4協会もW杯参加に踏み切らざるを得なくなった。
五輪復帰などのためでなく、むしろ五輪抜きでもベースボールの普及・発展を成し遂げるためにこそ、国際組織の結成が必要だろう。その際、会長と副会長二人によって構成される「三役」のうちひとつと、10人の理事の一定数は、キューバのようにプロフェッショナルリーグを国内に持たない国に分配されなければならない。
五輪から追放された野球に対し、FIFAはむしろ「脱・五輪」に向けて着々と計画を進めている。今回も23歳以下の国際大会と定められている五輪サッカー競技を除くすべての国際大会(男女、世代別、クラブ対抗)に「ワールドカップ」の名称をつけることを決定した。これにより、「ワールドカップ=サッカー」のイメージはより強くなることだろう。
私と同じく「野球文化學會」の会員である久保直也さんは、昨年の學會論文集「ベースボーロジー」で、野球の国際大会の名称として「ワールドフラッグ」を提唱しているが、いいアイディアだと思う。国別対抗、クラブ世界大会、世代別国際試合、女子大会など、野球を盛り上げるための国際大会のプランはいくらでもあるし、投資は必ずマーケットの拡大につながって、将来巨大な利益となって野球界に還元されるはずだ。
「メジャーによる日本プロ野球の植民地化」などと危機感をあおる前に、大風呂敷と思われてもいいから、自分たちがアメリカを飲み込むくらいのプランがなぜ立てられないのか? 少なくとも「日本プロ野球の父」と呼ばれた正力松太郎ならば、それぐらいの大号令をかけたであろうし、そのための投資も惜しまなかったはずだ。そうした点でも渡邉恒雄・読売ジャイアンツ球団会長は、いかにもスケールの小さな人物に思えてならない。
野球はともかく、ソフトは気の毒すぎます。
プロアマの壁。ベルリンの壁だって壊れたんです。私がおばあちゃんになる前に壊れますように。
スポーツの世界祭典としての面白さを十分に味わうのだが、何がなんでもオリンピックという騒ぎ方には背を向けたくなります。
世界的に普及していない種目がオリンピックに組み入れられるのはもともとおかしな話です。野球は残念ながら、ひとりよがりな面があります。日本はアジアで、もっと指導的な立場に立つべきで、その姿勢がオリンピック種目になる大事な要因です。
コミッショナーをも巨人軍の組織下にあるかのごとき、日本のプロ野球界の組織が変わらなければなりません。
巨人の言いなりになってきた構造を改革しなければ、一歩もすすまないでしょう。オリンピックのことよりも、足元のアジアでの立場をよく考えて見る必要があると思っています。
お邪魔させていただきます。
スタインブレナーの美談が伝わってきてますが、
ニューズデーの健康不安説に対する、メディア
戦略か?などと勘ぐってしまうのは、ちょっと
無粋でしょうか?(笑)