1954年製作のアメリカTVドラマをリメイク
1957年 アメリカ(モノクロ)
現在の日本の陪審員制度に一石を投じるような映画。
陪審制度の持つ危うさについても鋭い問題提起をしている。
父親殺しの罪に問われた少年の裁判で
陪審員が評決に達するまで一室で議論する様子を描く。
法廷に提出された証拠や証言は被告である少年に圧倒的に
不利なものであり,陪審員の大半は少年の有罪を確信していた。
ただ一人,陪審員8番(ヘンリー・フォンダ)だけが
少年の無罪を主張する。
彼は他の陪審員たちに固定観念に囚われずに証拠の疑わしい点を
一つ一つ再検証する内にあいまいな点が少しずつ分かってくる。
8対4,6対6,3対9・・・ 投票を重ねるに従って
無罪の評決が増えていく。
最後まで有罪を主張し続けた男は,息子と喧嘩別れして
もう2年間も会っていないことで苦しんでいた。
自分の息子と被告の少年を心の中でだぶらせて
だから「有罪だ」とかたくなに繰り返していたのだった。
男は涙しながら「無罪だ」と言って机に突っ伏した。
少年に対する評決はついに無罪で一致した。
12人の陪審員は裁判所の建物を出て
それぞれの家へと帰って行く。
もう二度と会うこともないかもしれない。
しかし,1人の少年が死刑になるかどうかを真剣に
討議した体験は忘れることがないだろう。
そうして疑わしきは無罪との評決に達したのだ。
骨太の社会派ドラマです。
1997年にTV映画としてオリジナルと同じ脚本でリメイクされた作品