ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

青いブレザー&カシミアのダッフルコート

2010-02-27 04:00:00 | 白井さん




 一昨日は5月上旬並の気温を記録し春一番が関東地方を席捲。もうこのまま春になるのかな?・・・コートを着ようか着まいか・・・もう少し冬の装いを楽しみたいのになぁ~・・・でも柔らかな日差しに合うような明るい色のネクタイを新調しようかなぁ~・・・etc. この時期になるとあれこれ心惑い浮き立ちます。

 今日の白井さんは“春を意識した”着こなし。色鮮やかな青いブレザー&薄手のカシミア・ダッフルコートです。

   

 毎回思うことですが、言葉で色を表現するのはとても難しいことだと今日も改めて痛感しています。青い、といっても正確にはややネイビー寄りの青、もしくは濃いめの青、またはもう少し詩的に“春の海の色”と云うべきでしょうか、ダブルブレストのブレザーはちょっと凸凹感のある(織り方の名前が解らなくて恐縮です・汗)ウール素材を使ったダリオ・ザファーニ(伊)製。薄水色BDシャツにレジメンタルストライプ(フランコ・バッシ伊)、少し織り柄のある白地に大きめの青いドットが入ったシルクチーフ、パンツは今までで一番明るいグレーフランネル。白井さんは『強いて云うなら、ブレザーとネクタイの色の合わせを意識した。』と仰っていました。

 一つ一つは取り立てて特異な点など何も無い至って“普通”の品ばかりですが、これらが白井さんの感覚を通して纏められると、素材同士が共鳴し合い全体で“春”を表現し始めます。“どうしてそうなるのか?”これもまた言葉で表わすのは極めて困難な作業で、こればかりは“感じる”以外仕方が無いと思っていますし、私としては今のところは“ブレザーはこういう風に着こなすものなんだな”という基本的な部分をより重視して自分の糧にしたいと思っています。

 因みに、前回白井さんにお薦めしていただいた『炎のランナー』、1924年に行われたパリ五輪に出場した実在の2人の陸上ランナーを描いたこの作品を今日観たところ、英国代表選手が着用していた遠征用のユニフォームが、今日の白井さんのブレザースタイルによく似ていて、色んな意味でタイムリーだったのでちょっと可笑しかったです。その他の衣装についても、さすが白井さんお薦めの映画、目を見張るシーンの連続で、前回の『コットンクラブ』がアメリカ合衆国、今回が英国、ともに1920年代を描いた作品ということで両国の違いも比べることができ、大変有意義な映画鑑賞2本立てとなりました。

   

 この日の白井さんは、服よりもどちらかというとこの靴についての方が比較的多くの言葉数を費やされていたかもしれません(といってもベラベラたくさんという訳ではありません笑)。

 『ナンブッシュ(米)の確か“エドガートン”だったかな、だいたい40年位前だね。上野のアメ横で買ったやつで、当時で1,350円・・・じゃなくて13,500円(笑)だったなぁ。革はあんまり良くはないんだけどね。といっても昔の革はちゃんと時間を掛けてタンニンなめしをするから丈夫だよ。今みたいに薬品を使って短時間でなめした革は、きっと組織が荒いんだろうなぁ、底革なんか昔よりも今の方が減りが早い気がする。』

 専門家の皆さんの間では、なかなか良い革が手に入らなくなってきた、と言われている昨今のようですが、私のような素人はそういう時代に生きていることを素直に享受するしかないと思っています。もちろん専門の方々にはより良い品を生み出して欲しいとは強く願いますが、私には白井さんが40年かけてこの靴を愛用してきた事実の方が重要に感じられます。『エイジングは自分でするもの。』白井さんはそう仰っていました。

  

 今日のお帰りはダッフルコート。2007年の秋冬に信濃屋オリジナルとして発売されたダッフルコートの試作品として軽めのカシミア生地を使って作製したもの。暖かかったこの日は軽めのコートに合わせて帽子、マフラー、手袋、ステッキも無し。“ああ~そろそろ冬の終わりが近づいているんだなぁ~”と実感してちょっと寂しい気持ちになってしまいました(涙)。

※前回訂正・・・と言うよりは、補足とでも言いましょうか、一昨年のクリスマスパーティーの時の白井さんの装い、チョークストライプのフランネルスーツにテンガロンハット、ウェスタンブーツという着こなしについて、私は『余人では真似のできない着こなし』と書かせていただきました。ところがこれは私の知識不足による大袈裟な表現だったようで、白井さんから『昔のカントリーウェスタンの世界ではよく見られた着こなしだよ。』とご説明を頂きました。白井さんはあくまでそれに倣って装われたとのことですので、もし私の表現で“白井さんが奇を衒っていた”といった印象を与えていたようでしたら、この場をお借りして補足させて頂き誤解を招いてしまったことをお詫びいたします。

※おまけ・・・“今回は短いな!”そう思われた方のために、先日、白井さんと、白井さんのお散歩お友達のKさん(Kさんも服飾には大変造詣が深い方で、書きたいエピソードがたくさんあるのですがいづれ機会をみて。因みにこちらはKさんのブログです。)と、私の3人で鞄職人・藤井 幸弘さんの個展を見学に行ったときの白井さんの画像です。



  

 といっても藤井さんの個展会場は撮影禁止。と言う訳で上の写真は、この日藤井さんの個展に行く前に寄らせていただいたいつもお馴染み銀座天神山さんの店内での撮影です。

 この日一番の収穫は、以前から見てみたい!と思っていた白井さんのエルメスのシルクマフラーを初めて拝見できたことです。天神山Iさんから『春先にジャケットの襟元にふわりと巻いた姿は惚れ惚れするほど』と伺っていた噂のマフラーだったので感激!でした。



 最後に、私が『折角ですから!』と言ってちょっと強引に撮影させていただいた白井さんと藤井さんのツーショットです。私と藤井さんとのご縁は白井さんから頂いたものでしたが、藤井さんと白井さんのご縁は、かつて白井さんのご近所にお住まいだった白井さんを敬愛して已まないSさんという方が、藤井さんの古くからのご友人でもあったというご縁が始まりで、かれこれもう10何年になるお付き合いなのだそうです。藤井さんがこの日お召しになっていたのは信濃屋オリジナルのタッターソールシャツ。藤井さんはそんなことは一言も仰ってはいませんでしたがこの日訪ねて来られる白井さんを意識されていたことは間違いありません。画廊からの帰り道、白井さんが『藤井さんあのシャツ着てたな。昔信濃屋からプレゼントしたシャツなんだよ。』と仰っていましたから。

 私が目指すべき大人の男達。お二人のツーショット写真は私の貴重な宝となりました。