ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

ガンクラブチェックのスパンカシミアジャケット

2009-12-18 13:02:04 | 白井さん


 このブログに新しいカテゴリー『白井さん』を加えました。

 『僕が今まで見てきた人の中でも白井さんの着こなしの素晴らしさは群を抜いている。』・・・信濃屋さんご在籍当時から長年に渡って白井さんと接してきた銀座・天神山の店長Iさんが折に触れ私に仰る言葉です。

 『白井さんの服飾への拘りは半端なものではなかったよ。』・・・信濃屋さんに顧客として足繁く通っていた往時を振り返って、ご自身もまた良いものを妥協することなく愛されている天神山オーナーのMさんですらそう仰います。そして私もまた天神山のお二人とのご縁を通じて白井さんにお会いするようになると毎回その着こなしに魅了され続け、例外は今までただの一度としてありません。白井さんの着こなしを言葉で表わせば・・・“カッコイイ”・・・このシンプルな5文字の言葉に集約されているのではないでしょうか。

 また少し話が逸れますが、この撮影の時、別のお客様も交えつつ話された会話はいつしか野球の話(白井さんは野球が大好き!)へ。白井さんから往年の名選手、川上、青田、の名前が挙がったところで、私が『赤バット、青バット!』と合いの手を入れたところ、すかさず白井さんは『そうそう!俺なんか子供の頃バットをこう~赤~く塗ってさ、でも打つたびに色が剥げちゃって云々・・・』と実に楽しげにお話に笑。またそんな時は決まってちょっといたずらな表情で、それは言葉では表わせないくらいまことにチャーミングです。着こなしとは一見全く関係が無い話のようですが、実はそういう部分にも着こなしに繋がる“何事か”が隠れているのかもしれません(単なる想い過ごしかもしれませんが汗)。“一日接すれば一日の愛生ず”とは少し大袈裟ですが、お会いするにつれ私は白井さんのそんな“着こなし以外の部分”にもまた強く魅かれるようになりました。

 いつしか募るようになった想い・・・“白井さんをもっといっぱい写真に収めたい。”・・・私は写真術のプロでも何でもないですし服飾についてもズブの素人。まさに無謀厚顔不埒僭越極まりないアイディアで、今もって尚恥じ入るばかりですが、この日、勇を鼓して白井さんに今後のこのブログヘの掲載をお願いしました。白井さんは極々シンプルに、そして驚くほどあっさりと『いいですよ。』と許して下さいました。私のような若輩者が“不世出の洒落者”である白井さんをこのブログでご紹介することの是非については、私自身随分悩みましたが、白井さんが私の写真を『中々綺麗に撮れてるね。』とお褒め下さっていることを唯一の励みにこれを二つと無い機会と捉え、期間をこれからの四季一巡りまでと区切ってでき得る限り横浜へ足を運ぼうと考えています。掲載のスタイルについてもあれこれ悩みましたが、私らしく今まで通りのやり方で、カテゴリーのタイトルも至ってシンプルに『白井さん』にしました。この私的な試みを素人らしく開き直って思う存分楽しみたいと思います。『自然に自然に、あくまでも自然に』映画監督の故・黒澤明さんの晩年の言葉ですが、そんな気持ちで。

 もちろん白井さんは50年以上紳士服飾業界の第一線でご活躍されてきた正真正銘の“プロフェッショナル”であり、私は末席に連なる一顧客に過ぎないことは重々承知しているつもりですし、その関係はこれからも変りません。長年の顧客の皆さんの中にはきっと眉を顰める方も多くいらっしゃるかもしれませんが、平にご容赦下さい。

  

 さて、またも長々と書き連ねてしまいました汗。この日の白井さんの着こなしは『安かったんだよ。』と仰っていた伊カンパーニャのガンクラブチェックのスパンカシミア・ジャケットに緑地のシルクペイズリーのチーフを挿し、白地に細い赤いストライプのボタンダウンシャツ、シルクのレジメンタルタイ、インナーに鮮やかなグリーンのカシミアニット、濃いめのチャコールのフランネルパンツに白井さんが数年前クロケット&ジョーンズにご自身で別注したスウェード・ダービーのシューズ。『こんな格好良い靴は他に無いよ~。』と笑。全体をグリーンで纏め所々にアクセントの赤(因みにソックスも赤のソッツィ)をあしらうリラックスした雰囲気の中にもそこはかとない色気を感じさせる着こなしでした。『こういう方が楽しいよね。』とのこと。

 

 帽子は分厚いフェルトが今では希少な40年以上前の白井さん特注ボルサリーノ。『ソフト帽は前を上げつつもブリムは額を隠すようにスナップ(下げて)させ、少しアミダになるくらいに左右どちらかに傾けて被ると格好良い。』とお手本を見せていただきました。