ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

ダブルブレストのネイビーフランネルブレザー

2009-12-07 21:34:36 | お気に入り
 

 ダブルブレストのネイビーフランネルブレザーです。

 

 数多ある服飾素材の中で私が最も好きな冬の定番“フランネル”。鈍い輝きを控えめに放つ滑らかな光沢感、やや硬めの感触と乾いた質感、スポーティーな出自ながらどこか気品漂い、着る人の個性をキラリと主張するこの素材は長年私の心を捉え続けてきました。

  

 私が日頃お世話になっている横浜・信濃屋さんも銀座・天神山さんもこの素材は大好物。信濃屋の白井さんはHPの中で“身も心も暖かくしてくれる冬服の定番”(2007年12月12日掲載『THE FLANNNE』より)と謳い、ダブルのフランネルネイビーブレザーは白井さん御自身の“定番”といっても良いくらいしばしば愛用されている印象が私にはあります。

 地球温暖化が叫ばれ、季節感のない装いが巷を占めている昨今にもかかわらず、天神山のIさんはブログ上で毎冬必ず紹介し続けるくらいこの素材がお好きで、これは私の勝手な印象ですが、チャコールのダブルブレストの幅広のチョークストライプの着こなしがあれほどサマになる方を私は他に知りません。

 天神山オーナーのMさんが茶とベージュ地に赤いペインのプリンスオブウェールズ柄のフランネルのスリーピースを上品に着こなしている様などを見るに至ってはただもう指を銜えて羨ましがるだけという始末だったここ数年・・・涙。

 

 この様に私の周りではこの素材を小粋に楽しむ方々がわんさか居て、毎冬羨望の眼差し無くしてはいられないという状態でしたが、遂にこの憧れの素材を我が身に纏う日がやってきました。

 

 霜降りのはっきりとしたミディアムグレーにも強い憧れがありましたが、グレーフランネルといえば当然スリーピース!ということになり、普段ジャケパンスタイルが多く、スーツを着る機会が殆ど無い私にとっては折角のフランネルも出番薄となってしまうので、今回はフラノといえばもう一方の定番であるネイビーブレザーにしました。素材はフランネルでは本邦で一、ニを争うと評判の尾州の老舗テキスタイルメーカー“三星毛糸”のMerrow Flannnelシリーズから、少し明るめのネイビーを選びました。綾目が少なく重さは程よい400g/m。

 

 “ネイビー”と一口に言っても黒に近いものからブルー寄りまで色幅は広く、選択肢は限りなくありますが、昨年製作したサージのネイビーブレザーがかなり濃い色だったので、今回はそれよりほんの少し明るめのネイビーにしました。またフランネルといえば霜降り感が大きな魅力の一つで、貧乏性の私にはこの点がどうしても捨て難く、ネイビーながら少し霜降り感のあるものを選びました。フランネルネイビーブレザーの素材としては正統というよりは少し趣味性が感じられますが、長年自分の中で温めていたアイディアだったので大変満足しています。ゆっくり時間を掛けてドリップした珈琲に豆の個性はっきり感じられるように、じっくり時間をかけて自分の中を濾過したアイディアで選んだ服にもまた着る人の個性が表れるような気がします。服飾初心者の私は、素材選びに関してもこれまではIさんやMさんのお勧めを頼りに選んでいたのですが、数あるブックの中から今回初めて自分が第一発見者となったので、エポックメイキングな一着といえるかもしれません。少しステップアップです笑。

 

 モデルは細かな体型補正を繰り返しもう私の体にすっかり馴染んだ銀座・天神山“CRCS”モデルですが、今回は初のダブルブレスト。フランネルといえばダブル!ということで迷わず選びました。特徴ある幅広のダブルブレストは天神山さんのお家芸。先端が丸みを帯びたピーク、襟の返りはいつもながら美しい曲線を描き、緩やかに湾曲した襟線は私の丸っこい体型にぴったり。ダブルブレストの最大の魅力は男振りある立ち姿も然ることながら、(これはめちゃ私見なんですが汗)座ったときの“襟の開き”にあるのではと思っています。シングルよりも前の合わせが多いダブルならではの襟の開き具合にはなんともいえない雰囲気があります。特に硬めの素材であるフランネルの開き方は鋭角的で、大人の男の色気をぷんぷん振りまいて、これは諸兄と座って対面してきた時に私が長年感じていたことでした。これで私もその仲間入りを無事果たすことができ感無量です笑。

 

 今まで天神山さんでお願いしてきた服は全て3パッチのジャケットだったので、“初”バルカ(船底型)の胸ポケットに、“初”フラップ腰ポケット、“初”チェンジポケットと今回は“初”が多いです汗。私は幅が広いいかり肩なのでパッドは1/3にして、縫製は片返し、サイドベンツのメタル6ボタン仕様。袖のボタンはメタルの輝きと私の短い腕を考慮して重ねず3つの本切羽で。ブレザーということでIさんには7㎜ステッチをお勧めしていただきましたが、今回は少しノーブルな素材感に合わせて敢えてコバステッチに仕上げていただきました。

 

 コーディネートは撮影用に天神山さんにお借りして、ラウンドカラーのクレリックにカシミアのストライプタイ、胸に白いシルクチーフ、パンツは同じくフランネルのグレーのグレンチェックを合わせてみました。天神山のお二人にもご協力いただき感謝多謝です笑。万能のネイビーブレザーなのでいろいろ試して楽しんでいきたいと思っています。

 

 来週の日曜日に予定されている信濃屋さんのクリスマスパーティーにはこのブレザーにカメラをぶら下げて颯爽と乗り込んでみようと思っています。『お時間がありましたら、私とおしゃれ談義の続きでもいかがでしょうか。』(信濃屋HP『白井俊夫のおしゃれ談義』より)・・・一度言ってみたかったこの台詞(照)。

 天神山さんのHPです→http://www.tenjinyama.jp/

 信濃屋さんのHPです→http://www.y-shinanoya.co.jp/top.html