イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

私の青春は何だったのだろう? (青春時代を考える 2/10)

2018-09-04 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

 蝶は青虫から蛹の時期を経て完全変態する。蛹の時には身体はアミノ酸レベルにまで分解するという。植物も種類にもよるが、それまでの地味な成長期から打って変わって、綺麗な花を咲かせ命を伝えて行く。このあたりは、同じ地球上のDNAからなる生命である人間も似ていて、13歳から22歳のころに身体の変化とともに、子供から大人へ変わって、親に全面依存していた存在から脱却していく。

 今、自分の青春期を振り返ってみると、自分の身体の変化に伴い、たよる対象が、劇的に変化して来たんだなとあらためて思う。両親を中心とした依存や同一化の対象が、学友やクラブ仲間、勉強仲間と・・・いろいろなところに軸足が移ってくる。その中でも印象的なのは、信じる対象、信じる内容の変化だ。

 私は幼児洗礼のカトリック信徒だったので、中学1-2年のころまでは教会にも行き神を信じていたが、3年くらいになると懐疑的になり、高校2年生のころにはカトリック教会には殆ど行かなくなった。科学万能主義(これもある種の信仰だと思うが)の世の中で、ちょっと宗教の話をすると変に思われたり、侮蔑される日本。その雰囲気は今でも確実にあり、あるいは輪をかけてきているところもある。私は今ではカトリックの信仰に戻ってるが、宗教から一歩身を引く多くの人たちの気持ちも痛いほどわかる(かつての自分もそうだったから)。

 ①宗教に根ざしているといわれる戦争やテロや殺戮の存在 ②証明されない見えない神仏を大切にすることへの不信 ③反社会的な宗教集団(カルト)の存在 ④宗教を信じている身近な人で、なんとなく嫌だと思う人がいる ⑤あきれるような腐敗や残虐な宗教の歴史 ⑤信仰をもって何が変わるかよく分からない ⑥宗教は時代と共に刻々と変わる要素もあるが、勉強不足からくる誤解・偏見(日本では比較宗教学的な文化がない)で宗教を決めつけてしまいがち ⑦宗教の必要性を日常の中では感じない ⑧倫理道徳に過度に縛られそうで窮屈な感じ・・・ 他にもあると思うが、こんな原因で母の信仰していたカトリックから距離を置くようになった。反動もあり東洋の思想が好きにはなった。とはいえ、あの世や神仏を完全否定することもなく、我が青春は次の成年期に移行したように思う。

 ただ、信仰に関しては、いくつかの出合いのチャンスがあったとも思う。私の青春時代は結構激しい学園紛争などの政治の時代だった。その中での悩みなどを身近な宗教人に尋ねれば変わったかもしれながったが、若気のいたりというか食わず嫌いで殻を破れなかったようにも思う。厳しい現実の中では、やればできるのに萎縮してしまったり、反対に、よせばいいのに無茶なことをする愚もあった。今でも同じようなところがあるが、青春時代は輪をかけてそうだったように思う。

 神仏という揺るぎのないものへの信頼感・信仰の問題もあるが、今考えると、自分を含めて人間という不完全で揺らいでいる存在への対応も青春時代の大きな課題だったように思う。不完全なものへの愛の訓練というのだろうか。そうした、人生に価値を見出すために身に着けるべきことは、信仰とは別のように見えるが、信仰の基礎であることは間違いないと思う。自分をある程度信じたり、他者をある程度信じたりすることを学び始める。不完全なものに対する信頼というべきか。不完全な存在(自分を含め)を慈しみ愛していく。その訓練の時期の始まりが青春時代だったかもしれない。

青春時代を考える 2/10

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おのおのの青春時代と人生 (青春時代を考える 1/10)

2018-09-02 | 第一章「意識と知覚」

 自分の生育史を明るく解釈することは明るい生活をする上で大事なのだが、やはりそうはいかない生育史の部分もあるようだ。U先生からは、自己分析はちょっと辛いかなというときは辞めた方が良いと教えられている。とはいえ、長年生き甲斐の心理学を楽しんでいくと、明るく解釈できる領域が増え、またできなかった部分もできるようになっていくようだ。

 さて、今日はエリクソンのいう青春期、13歳から22歳の時期についてあれこれ考えている。

 歴史が好きなので、まずは持統天皇(鵜野讃良皇女)の青春はどうだったかを妄想してみよう。歴史をひもといてみると持統天皇の青春時代は実に波瀾万丈。始まりの13歳のときに同じ息長系の有馬皇子が謀殺され、実弟の建王も亡くなる。その後、夫の大海人皇子(天武天皇)や姉(太田皇女)とともに祖母の斉明天皇に率いられた征西軍に従軍して船で九州に行き、その地で息子の草壁皇子を産む。その後、朝倉宮で斉明天皇が亡くなり、蝦夷等北征で成果を上げた阿倍比羅夫他の船団は白村江で唐に大敗北をし壊滅する。そして戦後処理に奔走する父の天智天皇に付いて大津京に入ったのは22歳のころだ。姉の太田皇女も同年になくなられる。その時期は、大友皇子らの勢力も拡大していて、政権をとる可能性も危うくなってきている。

 こんな流れの中で、持統天皇は夫や父を初めとする近親とどのような関係をもち、また九州という天皇家の故郷の中で、どのようなアイデンティティを形成されたのか実に興味が湧く。持統天皇の後日の生涯を考えると、頻繁な吉野行幸などでは神武天皇が東征で長髄彦を熊野経由でやっと破って飛鳥を占拠した歴史を大いに意識していたようにも思われる。天皇家と関係の深い日向族の故郷は中国大陸だという説、日向族自体も先住の隼人と密接な関係が会ったという説、記紀の神武天皇のあたりの話などすべて虚構・・・いろいろな説があるが、縄文時代からの流れに興味をもつ私にとって、記紀の世界は真実へ(私たちのアイデンティティにかかわる)の貴重な材料だ。

 持統天皇の青春時代をいろいろ考えたが、このほか今日は母と会うこともあり、母の戦中の青春時代の出来事や自分の青春時代の出来事などを調べたりした。そんなことをしていると、本当に人の数ほど(80億とか・・)貴重な青春があり、それが私たちに様々な影響を与えていることが見えてくるようだ。見えてくると簡単に人を裁いたりするのがへんだと思うようになる。

青春時代を考える 1/10

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ウタを大事にした祖先達 (健全な心を考える 10/10)

2018-09-01 | 第八章「魂と聖霊」

 高校2年生の時に、現代国語の先生が「若い時に詩を読むことはとても大事」そんなことを言われて、こころに何故か響いたことがあった。それから和歌や俳句、現代詩などを読み始めた。青春時代の懐かしい思い出である。その後、理工科系に進みエンジニアで就職したこともあり、詩の世界からはどんどん遠ざかったが、U先生の「生き甲斐の心理学」に18年前に出会ってから再び詩に関心を持つようになった。

 心理療法と詩・・・それがどのように結びつくのといわれそうだが、日本でもポピュラーなフォーカシングの原理と日本の和歌や俳句の原理が非常に似ているといわれている。フォーカシングに関しては先日「不安感の正体を見抜いてみる」でご紹介したが、戦後に日本に米国から紹介されたとき、日本に庶民が学ぶ和歌や俳句の文化がすでにあることに驚かれたとも言われる。

 万葉集は日本に文字が導入されたころに作られた詩集とも言えるが、世界に類のない4000以上の和歌(弥生、縄文のの古来の日本の詩の伝統も含まれているだろう)を含み、どのような音声で読まれたかは怪しくなっているものの、祖先の生き抜く知恵、文化の原型を表しているように思われる。

 それ故、私も縄文小説の中で詩の文化をあれこれ考えたが、奥が深い世界を垣間見たようだった。言霊という言葉があるが、生命体と言葉との関係・・・これは、とても深いものがあることは確かだ。

健全な心を考える 10/10

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