U先生からいろいろ学んだ中に、エリクソンの停滞感への対処方法があった。人は生まれてからいろいろ変化して生きるものだが、年と共に身体の変化というものがあるのは事実だと思う。そして、35歳を過ぎると身体もピークを過ぎ老化がはじまり、何となく停滞感を感じるようになる。私の35歳ころは大企業でマーケティング部門で働いていたが、どういうわけかストレスがたまるようになった。当時は本人は気がつかなかったが、後からこの理論で考えると停滞感を感じる時期だったのだろう。そんな中でいろいろ変化がありどういうわけか元気になっていった。それは、本人が気がつかないうちに、エリクソンの停滞感を脱出するポイントを実践していたようなのだ。エリクソンは停滞感の脱出について二つのポイントを述べている。一つは難しい言葉であるが生殖性。これは健全なお色気というようなもの。もう一つは、世話である。世話は自分に対する世話と他者に対する世話に分けられると思う。理論的には生殖性と世話が重要だ。
さて、停滞感は35歳を過ぎて随分だった今でも無関係ではない。それは私の問題でもあるが、今の日本の高齢社会の大きな問題でもあるように思う。私は運良く朝から晩まで沢山のやることに恵まれているが、それでも時に停滞感に悩まされる。そんな中で、今日は自分を大切にすること(世話)を考えている。
U先生から学んだ比較宗教学をベースにした人間観では、自分を大事にするといったときに、3つのポイントを考えることになっている。一つは身体であり、医学の対象領域だ。二つ目はこころ(生育史)であり臨床心理学の対象だ。そして三つ目は魂であり宗教の対象領域である。その中で、この一年は身体のケアということを随分考えたというか悩まされてきた(この10年分くらい)。身体のケアといっても、私の場合は体調が悪いときは別にして、二週間に一回の東洋ストレッチ、太極拳教室で考えるくらいだったが、それでもこうしたチャンスがあることは貴重だった。私の師匠のA先生は中国でつぼ経絡の勉強をされただけでなく、24式太極拳の世界大会で優勝するなどの実践家でもあり、一度レッスンを受けるとお人柄もあり、その魅力に多くの方はひかれてしまう(私もその一人)。そして、毎回いろいろ教えていただくのだが、その一つに足の五本の指を大事にすることがあった。世の中には普通の靴下ではなく、五本の指が入る靴下があり、それを練習の時に履いたりして、体感を楽しむ事も覚えた。
そして、先日真新しいふかふかの五本指靴下を機会があり履き始めたのだが、それが何とも言えない温かさ。そして五本の指を大切にくるんでくれることもあったのだろう。その靴下を履いたまま思わず就寝してしまった。年なので夜中に起きることも多くなったが、この靴下のお蔭でまれにみるほど熟睡した。これが停滞感とどう関係したかはまだ分からないところがあるが、縄文小説などのやる気を考えた場合、何か違ってきたように思う。
意外に自分の身体で大事にされない、例えば足の小指。光が当たった小指は、全体の私まで新たにしてくれるようだった。
停滞感からの脱出 1/10
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森 裕行 | |
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