やっと縄文小説の2作目が身近になってきたような気になっている。もちろん道半ばなのであるが。
2016年の終わりに第一作目を書いてから8年目。そもそも小説を書こうと思ったのは2014年ごろで、U先生の「生き甲斐の心理学」の私的論文執筆を意識し始めたころだ。2015年に論文は完成したものの、書き足りない部分を並行して表したのが縄文小説第一作であった。小説家になるなど今まで考えてもいなかったので、自分でも驚いた。
U先生の心理学(生き甲斐の心理学)は比較宗教学と比較文化論をベースにした欧米の学問であり、キリスト教文化圏の影響が大きい。さらに私自身も幼児洗礼のカトリック信徒だったこともあるのだろうか、古層の縄文文化が私の中で不思議に響いた。人の成育史は生れ落ちてからの経験の地層のようなものから形成されるように考えているが、父母を始め祖先や環境の影響もさらに深層にあり、縄文時代や旧石器時代等の地層と同じように意識・無意識の世界で影響を与えているのだろう。「縄文時代でつながるキリスト教」という拙文をかつてブログに書いたが(こちら)、こうした視点は今後大事になってくるのではないかと考えている。
さて、U先生の心理学の私的論文にはもう一つ「持統天皇のケーススタディ」がある。「生き甲斐の心理学」は心理療法的な側面も含まれていて、ケーススタディを歴史的人物を使って研究していく。ケーススタディは2021年に提出したが、その時にも第一作と同じように書き足りないところを縄文小説にすると記してしまった。しかし、いろいろな壁があり筆が止まってしまっていた。そんな時、AMOR誌に「縄文時代の愛と魂」を毎月投稿させていただくチャンスを与えていただいた。小説を書くための準備ということもあり約一年半毎月書かせていただいたが、その間様々な方々に身に余るご協力を賜わった。出会いもあり交友の深まりもあり、つい先日は鬼界カルデラの破局的噴火を学ぶための種子島ツアー参加で貴重な体験を得た。実にありがたかった。
さて、友人から教えてもらった今日の日経新聞の記事。厚生労働省の白書で、2024年の調査でストレスがこの20年間で3倍になったという。あるいは教員志望者(特に小学校)の減少。その要因はいろいろあると思うが、現代社会の行き詰まりが大きく影響しているように私は推察している。
人間関係、経済問題、環境問題、戦争、パンデミック。おそらくこの10年でさまざまな常識が当たり前でなくなったようにも感じる。混迷の時代。そして、その回答への道は他者に求めるより、個人個人の心の深層を探ることが近道のように思ったりする。
ギリシャ神話の中に、ナルキッソスの話がある、水に映る自分の姿を愛してしまい水仙になってしまったナルキッソス。美しい話のようであるが、そのナルキッソスを愛してしまったエコーは悲しみのあまり木霊になってしまう。それだけ他者に対して破壊性をもつ自己愛の問題を示す神話である。自分が神仏に愛されるように他者を愛し、平和を実現していくのが希望の道だと思うが、愛の孤独でブラックホールのように自分だけでなく他者まで不幸にする問題。
その呪縛をどう逃れ、本来ナルキッソスの心の最奥にもある普遍的な愛に辿り着く道のことを考えていきたい。
写真は10年くらい前に八幡平で写した写真。美しい世界を描きたいものだ。
3/10 今ここと縄文時代
WebマガジンAMOR「縄文時代の愛と魂」にも縄文に関する関連記事があります是非ご覧ください。こちら
この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。
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森裕行