昭和30年代のころ。「もういくつ寝るとお正月」という童謡をよく聞いたが実感を伴っていた。普段食べられないご馳走や、家族そろっての団らんは楽しみそのものであった。逆に言うと、正月の前は忙しく粗食の日々だった。そして、それは貧しい時代だったかもしれないが、こころは豊かであったように思う。
それが、いつの間にかハロウィン、クリスマス、正月、恵方巻の節分、バレンタイン、ホワイトデイ・・・と毎日がお正月のように、掻き立てられるようになってしまった。それで良いかということだが、私は少なくとも心理学的に良くないと思っている。私は、たまたまクリスチャンであるが、クリスマスの前には待降節があり、粗食の日とか一食抜く日などがある。今は復活祭を前にしての四旬節であるが、復活祭の前には、やはり粗食や一食抜く日がある。そして、貧しさを実感することが、大きな喜びにつながるように感じている。
光と影という言葉があるが、大きな光を得るためには大きな影を認識する必要があるようだ。それは、決してキリスト教だけでなく、伝統的宗教は、そのような側面を必ずもっているし、また神話などでも同じような話が山ほどある。
そういう観点から、愛と親密性と孤立感を思索し、自分の生活を反省するとどうだろうか。今日は考えてみたい。
愛と親密性と孤立感 2/10