学校を卒業し、社会人になってしばらくしてから、私は関西で営業をすることになった。そのために、運転免許を取得し、意気揚々としてコンピュータの営業を開始した。とはいっても、商いが有名な関西もはじめて、車の運転もおぼつかなく、そして当然営業も初めてであり、営業となってしばらくは売上がほとんどなかった。
コンピュータの営業なのに、一ヶ月の売り上げはキャリングバックが一つということも。
今、思い出して考えてみると、売れなくてわたしの眼は邪眼そのものになっていたようだ。そんな私であったが、良き先輩、そして関西で共存共栄が徹底していたお客様に支えられ、だんだん売れるようになっていく。邪眼の私から買ったお客様は、今考えると大したものだった。
さて、U先生の生き甲斐の心理学でも、自他肯定のスタンスが大切だと教えられる。そして、なんとなく自分なりの営業のスタンスが自他肯定になってくると、不思議なことに営業の成績がよくなってきた。多分、その時の私の眼は慈眼だったのだろう。
人生のスランプの時期と反対の時期を思い出すと慈眼と邪眼の関係がなんとなくわかる。
慈眼 10/10