+3Kの牛の如く

前に向かってひたすら歩く。
感動し、希望を胸に、明るく楽しく元気に。
大地を踏みしめて歩く。牛の如く。

2015山行の回想Ⅱ

2015年12月31日 | その他

ここ3年は、夏に北アルプス山行が夫婦にとっての行事となっている。今年は北アルプスの鏡平までが山行の目的地である。特に今回は、福井の友人を訪問することと福井市内の観光も目的の一つに加えていた。
以下は、からつ労山の会報へのレポートを載せることにした。

昨年、一昨年は蝶ヶ岳へ、今年は穂高連峰を挟んで反対側の鏡平が目的地。
日程は、7月26日から27日で、前泊を新穂高温泉の深山荘、26日は鏡平山荘に泊まり、ゆっくりと鏡平からの展望を楽しむ企画。
トレッキングを含む全行程は、25日夕方長崎(諫早)を出て新穂高へ、27日下山後は福井市まで行き友人との再会・会食、28日は福井周辺の観光後帰路につき、29日帰宅ということで、年相応のゆったり旅行。


さて、26日朝7時に朝食、その後深山荘の車で登山口へ。天気は上々、むしろ日差しが暑い一日が始まろうとしていた。8時からいよいよ左俣谷に沿った林道をスタート。もちろん登山届を出して。帰りに気が付いたことだが、深山荘から登山口まで歩くと20分近くかかったので、車で送ってもらい大幅に時間を稼いだことになる。
わさび平小屋まではコースタイム70分とあるが、85分要していた。上高地から横尾までのような平坦な道を予想していたが、だらだらとした上りの連続で単調な林道歩きが続いた。ただ、途中の「お助け風」(風穴)からはまさに一服の涼を与えてもらい、蒲田川沿いに見える笠が岳に続く断崖、錫杖岳の岩峰、谷間日見える土石流の爪痕、更に雪渓など、景色を楽しみながらの歩きで、滑り出しは順調であった。

わさび平小屋で小休憩。おなじみの果物を冷やした丸太船から、リンゴを1個買って二人で半分ずつ食べる。小屋の前には清流があり、水汲み場、洗い場と表示があり、手を付けると氷水のような冷たさだった。時間が早くこれから登る人たちも休憩していた。

わさび平小屋から次のポイントである秩父沢へ。コースタイムは90分となっているが、105分要して到着。休憩ポイントといわれるように多くの登山者が休んでいて、雪渓から流れくる冷水を汲んだり、タオルを洗い汗を拭くなどしていた。ただ日差しが暑く、私たちは秩父小沢で休憩をすることにして歩みを進めた。

わさび平小屋を過ぎて、日差しが強い登山道に変わった。途中雪渓が解け落ちた場所は下流側を迂回したり、丈夫な雪渓の上を歩いたりしながら、徐々に高度を上げて行く。小屋から1時間ほど登ると槍ヶ岳の穂先が顔を出し、目を転じると西穂高岳や焼岳の頂が見えてくる。更に30分ほど歩くと槍ヶ岳から続く南岳への稜線、北穂高岳から西穂高までの稜線、焼岳までもが大きく一望できるようになった。かなり高度が上がってきたことが実感でき、疲れも和らぐのを覚えた。

秩父小沢を越えたところで昼食休憩。沢の水は当然冷たいが、熱くなった体にはこの上ないご褒美。早速顔を洗い汗を拭く。家内はかなり暑さに参ってきている様子だが、冷水で少し生き返ったようだ。昼食のデザートは持参した甘夏。疲れた体にはこの酸味が甘く感じられるから不思議である。
昼食後は、シシウドヶ原が次の経由ポイント。コースタイム60分、この間から時間を要した。結局100分余りかけて登り上がった。時間がかかった要因は日差しによる暑さである。木陰を見つけては小休憩を繰り返した。ただ休む度に穂高連邦の峰々、更には乗鞍岳までも大きくその姿をとらえることが出来、今回の登山の醍醐味を味わう時間ともなった。
シシウドヶ原から最後の登りとなる。ここからは幾分傾斜も緩み、目的地が近いということもあり、私は俄然元気が湧いてくる。ただ家内は引き続き暑さに参っているので、「あと少し、もう直ぐ」と励ましながら、鏡池を目指した。コースタイム60分を80分かけて目的地である鏡平に到着。家内もやっと着いたという安堵の表情と充実感が顔に出ていた。鏡池で槍をバックに記念写真を撮ってもらった。

天気に恵まれ、西鎌尾根から槍ヶ岳、南岳への稜線、大キレットから北穂高、奥穂高、西穂高に続く岩稜地帯の峰々まで見渡せる、まさに絶景。今回この地を選んで良かったと、至福の時間が訪れてきた。
鏡平山荘は、双六小屋までの中継地ではあるが、新穂高を目指す下山組や槍や黒部方面への縦走組など、多くの登山客で賑わっていた。宿泊手続きをして蚕棚へ。当初布団一枚に2人と割り当てられた。
夕食までは時間があったので、私は生ビール、家内はかき氷を買って山荘前のベンチへ。夕焼けまでの時間をまったりと過ごす。ただ夕方近くになると槍ヶ岳に雲がかかり始めた。夕焼けをあきらめて、寝床に戻り、くつろぎながら同年輩の登山者と言葉を交わす。彼らは明日槍ヶ岳へ向かうとのこと、我々は下山するというともったいないという言葉が返ってきた。二人の体力から考えれば、我々はこれで十分。むしろ贅沢かなということで得心する自分がいた。
まったりとくつろいでいると外が騒がしくなった。外に目を向けると夕焼けで赤く染まった空のもとに槍ヶ岳が姿を現していた。慌てて外に飛び出した。すると雲が輪郭となって、その内側に槍ヶ岳が浮かび上がり、幻想的な夕景が広がっていた。カメラを忘れ、携帯電話で写真を撮ったが、カメラを取りに戻る間に再び雲が槍を覆っていた。残念ではあるが、しっかりと脳裏に焼き付いた夕景であった。

夕景の余韻を楽しみながら、20時頃には眠りについた。幸いにも布団三枚に4人となったことで、余裕をもって寝ることが出来た。
一眠りして夜中に外に出てみた。夕方の雲が去り、満天の星空が広がっていた。去年蝶ヶ岳で見た星空が今年も見ることが出来た。家内と二人して星の煌めきに見入っていた。
27日は、福井までの行程や日差しを避けたいということから4時起床、5時前に食事、5時30分には鏡平山荘を出発。朝食前の日の出は雲で見られず、蝶ヶ岳からみたような、東の空が茜色に染まる荘厳なひと時は味わえなかった。鏡池まで来ると沢山の登山者が槍ヶ岳の穂先から朝日に照らされていく峰々を見ていた。残念ながら蝶ヶ岳から見るモルゲンロートには及ばなかった。

下山は、急がずとも確実に一歩一歩を心掛け、花々の写真を撮りながら、雄大な穂高連峰の峰々を目に焼き付けながら下った。
流石に下りだけあって、シシウドヶ原、昨日何気なく通過したイタドリヶ原、秩父小沢、秩父沢と、休憩回数を減らして各ポイントを過ぎてきた。とはいえ、ゆっくり下山を心掛けていたので、下山者には追い越されるし、登りの登山者には道を譲ったりで、結局4時間近く掛かってわさび平小屋に着いた。
わさび平小屋では、少し長めの休憩を取り、昨日食べたリンゴが忘れられず、また購入して分け合って食べた。
いよいよラスト。ただ、わさび平小屋手前から家内の歩き慣れない膝が悲鳴を上げ始めていた。私までも伝染したようで、整備された林道歩きとはいえ、深山荘まではすごく長い道のりとなった。結局2時間近くかかって深山荘にたどり着いた。
深山荘で温泉に入り、二日間の汗を洗い流した。痛い膝も少しは楽になったが、明日までに治るのかどうか?そんなことを思いながら、12時には深山荘を後にして福井に向かった。幸いにも一晩寝たら、翌日からの観光には差し障りもなく、楽しい山行を終えた。北アルプスは山体が大きく、目的地までは距離があり、歩き甲斐があるが、その分与えてもらう感動も大きい。体力さえ続けば来年も・・・と思うが。それまでにせっせと九州の山に登ろうと二人して話しながら帰った。

追伸 福井では友人が経営する会社を訪問。夜は日本海の海の幸、銘酒をいただいた。20年ぶりに再会する友も来て、楽しい時間を過ごすことが出来た。

翌朝は、曹洞宗大本山永平寺に行き、山門、仏殿、法堂、僧堂など七堂伽藍を巡り、醸しでる禅宗の厳しさ、教えの尊さを肌で感じた。一乗谷朝倉氏遺跡では、往時を想像しながら、広大な遺構巡りをした。その後東尋坊まで足を延ばしたが、観光地化されたところ過ぎて、呼子の朝市や波戸岬の方が余程味わいがあると思った。
名物料理では、ソースカツ丼は今一つ口に合わなかったが、おろし蕎麦は大根の辛みが効いて大変美味しかった。以上で、今回の山行報告を終わります。最後までお読みいただきありがとうございました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿