クワガタ~スズメバチ等の覚書

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朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

チャイロマルバネ・3-産卵床

2017-11-23 21:23:38 | チャイロマルバネ

今年はどうしてもチャイロマルバネの採卵がしたく

そのために昨年から飼養してきた幼虫が「まさかの3オス」になってしまい

スタートでつまずきましたが

何とか予定の複数セットを組むことができました。





前記事の4日で7卵産んだメスはその後ピタリと産まなくなってしまいました。

マルバネ類でたまにある”最初だけ産む”というやつかもしれません。

恐らくマットが気にいらないのだと思いますが

とりあえず産んだことには違いないので同じマットで再セットしていました。

そして、今日掘り出してみましたが残念ながら産んではいませんでした。


↓ 追い掛け


↓ このマルバネも再交尾後に白い物(精嚢)を排出する



ということは

再後に交尾したオスの遺伝子が多く残される
       ⇓   ⇓   ⇓



シイの森

11月12日に近隣のシイの森で赤枯れを採取したとき、少しのヒントを得ました。

↓ 巨大なシイが自生する森




このヒントをもとにダメもとで再セットし、未産卵の別のメスを投入していました。

セットから6日後、見放し気味だった捨てセット

何気に容器底部を覗いてみると卵らしきものが二つ見えます。

えっ! 卵?

次の休日に掘り出してみよう。





今日は休日です。

セットから9日経過、掘り出してみました。

まず上部のマットを丁寧に取り除いてゆきます。

すると産卵床にはいくつも穴が開いています。

慎重に産卵床を塊で掴んでみると、ありました!

見えていたのはやっぱり卵でした。

卵は、ある程度締まった部分から発見できました。

今日の掘り出しで確認できた卵は25個。

1日の産卵指数は2.7 驚きです。






そういえばメスはこのセット開始から殆ど潜りっぱなしで

今回もトンネルがいくつか見えていました。

ツボにはまったのでしょうか?


↓ 産卵床のメス

↓ 野外生態写真で見るような汚れ方



掘り出しは屋根だけの車庫で行ったため、この季節は急激な温度低下が心配です。

早々に再セットし、卵入りプリンカップとともに22度前後の温室へと移しました。

それにしても森で得たヒントをもとに採卵が出来るとは思いませんでした。




温室には採卵に苦慮しているメスがおり、今日、同様の産卵床で再セットしてみました。

もし、この床が他メスにも通用したなら安定し採卵に繋げるかもしれません。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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チャイロマルバネ・2-産卵

2017-11-03 23:03:30 | チャイロマルバネ

前記事「チャイロマルバネまさかの3オス」の続きです。




3オスは、大きな個体ばかりでそれはそれで嬉しかったのですが

10月18日の時点で、2頭は死んでしまいました。

最後に残ったのは羽化の一番遅かったと思われる個体です。


↓ 最後の野底産飼育オス




このオスも近いうちに死亡することが予想されため

繁殖は半ばあきらめていましたが

生存中に同産地飼育メスを確保することが出来

10月30日より産卵セットに投入していました。


↓ 野底産飼育個体 メス25mm

 


交尾

メスは、蛹室から自力脱出して4日経過していました。

オスは、動き始めて1か月近く経っていたため

符節麻痺や、動きの鈍さはありましたが余力はまだ残っていたようです。


↓ 2017.10.24



↓ 交尾終了






メスは、オスをすんなりと受け入れましたが

4日後の追い掛け時には多少抵抗する様子が見て取れました。

交尾時間は、15~20分ほどでした。


↓ 追い掛け(2017.10.28)



そして、交尾を終えたメスを準備していた産卵セットに移しました(10月30日)


↓ 20cmx30cmのケース




産卵セットに使用したマットは、同幼虫の食べかす約80%:シイの赤枯れ約20%です。

水分は強く握って僅かに水がにじむ程度でオキマルのそれより少ない感じにしました。

そして、底部5cmほどは硬めに詰め,その上に残りのマットを被せました。

管理温度は23度前後です。

これで産んでくれるかどうかはわかりませんが、とりあえず様子を見ることにしました。




↑↓ 林床に溶け込む色合い



産卵

セットから4日経過、メスはほぼ潜りっぱなしです。

ケース側面にはいくつかのトンネルが見えます。

少しだけマットを掘ってみるとトンネルの先には頭をこちらに向けたメスがいました。

メスを取出し周辺を入念に探しましたが卵はみつかりません。

「あ~やっぱり・・・」

半ばあきらめながら更に範囲を広げていくと一瞬白いものが見えました。

「オッ!」 慎重にスプンで取り出します。






卵、卵がありました。 やっと産んでくれました、4日で卵。

産卵場所は、底近くの硬めに詰めた部分でしたが

オキナワマルバネなどのような産座とは少し違うように感じました。

チャマルは、本来は潜らずお尻を刺して産卵するらしいので

そういった様子も見たいものです。



↓ 卵はプリンカップに移して観察開始


母虫は、自力脱出から10日ほどで産卵をしています。




マルバネは本来幼虫期にため込んだ栄養だけで産卵できる種です。

そういった種が昆虫ゼリーを食べることでどの程度栄養分を体内に取り込むことが出来

蔵卵や寿命に影響を与えるのかは判りませんが

オスに与えると間違いなくゼリーは減ってゆきます。

産卵スイッチの入ったメスのゼリーも減りました。




↓ 排泄あり



4年ぶりのチャイロマルバネは日増しに元気の薄れていくオスと

自信のない産卵セットで始りましたが今回は産んでくれました。

そして、母虫は再びマットに潜りました。


↓ 種オス (2017.11.1死亡)

↓ 2番目に大きかったオス(2017.10.17死亡)



↓ 棲息地風景(石垣在住A様提供)



チャイロマルバネまさかの3オス

2017-10-19 22:28:36 | チャイロマルバネ

2013年にチャイロマルバネ野外個体を3ペアを入手し

採卵を試みましたが全く産んでくれませんでした。

「これは無理」と一旦は手を引いたのですが

やはり諦めきれず、2016年に終齢幼虫を購入して飼育をしてきました。




幼虫飼育は、800cc程度のプリンカップに

自作のマルバネ用マットを追加し、1頭ずつ投入しました。






↓ 2017年3月13日撮影

↓ 既に蛹室が出来ていた

↓ 誤って穴をあけてしまった(黄色味がかった幼虫)

↓ 埋め戻す



2017年9月11日

プリンカップを覗くと何やら茶色いものが動いています。

オスが這い出していました。




残り3つの繭を掘ってみると

オスが2頭と、幼虫のまま黒くなったものが1頭

とういことはオスばっかり3頭!

メスがいない・・・厳しいですね。


↓ 繭玉(9月11日)





↓ 3オス





無事羽化した個体は全部大型で

恐らく入手した時点でそうなる飼育を前ブリーダーの方がされていたと思います。





↓ 一番大きかったやつ 

↓ 羽の一部が黒い個体は半月で死亡



今年も飼育チャマルは流通していますが

西表では「今週初めころからようやくオスが発生した」と聞きます。


手元にあるチャイロマルバネは石垣の♂2頭。

チャマルとは縁がないのかなあ~