貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

てらてらカルサイト

2022-03-16 20:31:10 | 漫筆

カルサイトというのは、表現が悪いけれど凡庸な石。どこにでもある。
けれど、色が多彩だったり、結晶が変だったりして、面白いところもある。そしてだいたい安い。(まあそれが何よりだね)
石集めを始めた頃、いろいろな石の色を見たいと思って、色つきカルサイトをいくつか買った。
最初は例のどでかいやつ。何とも形容しがたいけれど、けっこう好き。

イエローカルサイトはカミさんの趣味。

コバルトカルサイトは少しばかりレアで高め。色が面白い。

既述だけど、結晶が変な形のやつ。蛍光もするし「テネブレッセンス」も見せる。

     *     *     *

で、五反田さんの棚の一番下に少し埃まみれになって、レッドカルサイトというのがあったので、こりゃ珍しいと思って買ってみた。
うーむ。色が暗い。そして一番の問題は、表面がやけにてらてらしている。
カミさんがそれを見て「円谷プロ」とあだ名を付けた。確かに怪獣っぽい。
コレクションケースの一番隅に入れて置いた。
その後、グリーンカルサイトというのも買った。色がとても美しい。けれどこれも表面がてらてらしている。色はいいし、透過光で照らすと素晴らしいので、いいと言えばいいのだけど、どうしてこうなるのか気になった。
で、売っていたセルフさんに聞いてみたら、どうも石を洗浄処理する時に酸を使うので、そういう滑らかなてらてら状態になるらしい。なるほど。

で、ある時、別の石の母岩を割るというのをやってみたらうまく行ったので、はたと思いついた。
「円谷プロ君も、表面を取り去ってしまえばいいのではないか」
果敢に挑戦した。金ヘラを当てて金槌で叩く。劈開が強いので、割合簡単だったけど、えらく小さくなった。当初の5分の1くらい。それでも劈開面がてらてらではなくきらきらになって、円谷プロは無事卒業。色は暗いままだけど、それなりに美しい。

それでやめときゃいいのに、その後、カミさんのオレンジカルサイト好みに付き合って、「ハニー・カルサイト」というのを買った。蜜色だけどオレンジに近い。
色はいいけど、やはり表面がてらてら。「どうにかならない?」とカミさんにすごまれた。(すごみはしてないだろw)
紙ヤスリで表面を削ってみたけれど、凹凸があってうまく行かない。
で、またはたと思いついた。「酸で溶かせばよくね?」
塩酸は前にフローライトやアマゾナイトの母岩浸潤を取り除くために使ったサンポールがある。(いろいろやってるんだね)
しかし相手はカルサイト。炭酸カルシウム。どのくらい溶けるのかわからない。
こわごわ、5分、10分と浸けてみた。
だんだん表面に筋模様が出始めて、いい感じになってくる。結局小一時間ほど風呂に入れたことになった。
てらてらではなくなって、結晶構造に沿ったスジスジの模様に覆われた、ぴかぴかのカルサイトになった。

「お、これ蝕像じゃね?」と思ったけど、それほど深い浸食ではない。
「何となくギベオンのウドンマンスッテンテンに似てなくね?」(名前が全然違ってます。似てもいません)
隠れていたのかそれともただ気がつかなかっただけのか、あるいは酸処理の影響か、ラブラドライトっぽいシラーもあちこちに出て、とても面白い石になった。大成功。

さて、グリーンカルサイトはどうするか。色が味わいだからそのままにしておくか。へたして変色したらいやだし。
しかし、塩酸の「人工蝕像」は面白そう。今度また安いカルサイトを買って、1日とか2日とか浸けて、ダイナミックな「エッチド・カルサイト」を作ってみようかな。(楽しそうで何より)


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