貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

大穴

2022-03-13 12:54:22 | 単品

原宿のコスモスペースさんには、小さい磨き石の廉価版コーナーがある。500円とか。
ピーターサイトを200円でゲットした話は前に書いた。鉱物に興味を持ち始めた子供たちのためのものなんだろうけど、ジジイが買ってはいけないということはない。すまん。
そこに「大穴」と書かれた一角がある。
別に競馬で一攫千金を狙うために買うものではない。石に紐を通せるような大きな穴が開いているということ。それもお安い。種類もけっこうある。
「最近は手間賃も上がってきて、穴を開けるのも高いんですよ」と店員のお姉さまはおっしゃった。日本では穴を開けるだけでも500円じゃすまないだろう。

穴あきタンブルというのは、普通は「A管」と言うペンダントトップ用の金具の足を差し込めるような小さな穴が開いているものだけれど、これは大きい。革紐やしっかりと編まれた紐を通せる。便利であって、かつとてもプリミティブな感じがする。
世界各地の土着部族には、石に穴を開けて紐を通し、じゃらじゃらと身につける人々がいる。あれ、機械もないのにどうやってやるのだろう。こりこりと少しずつ、何ヶ月も掛けて削るのか。だとしたらとても貴重なものなのだろう。
それを思わせる。革紐でワイルドにペンダントにしてもよし。紐で何かにくくりつけるもよし。魅力的。

で、その中にアズライトがあった。
普通、アズライトの磨き石というのは、お高い。アズライトそのものもなかなかお高い。
前に書いたけど、あちきが石集めを始めようとして最初に買ったのがアズライトの磨き石。「御本尊」。これはちょとお高い。

ところが、かなり似たような色合いのものが、ワンコインであったので買った。御本尊のようにキュープライトなどの彩りはないけれど、アズライトの深い青とマラカイトの緑が入り交じって美しい。

御本尊の「分身」として、しっかりした紐を通してカバンのチャックのところに結びつけた。
以来、通勤のお供をしている。
銅鉱物のせいか、ずっしりとした質感がある。表面はつるつるでなく少しざらざら感を残した磨き。これがとてもいい。
通勤電車では、いろいろと心がささくれることもある。そんな時、この「分身」を握ると、心が鎮まる。指で撫で、深い青を見つめれば、さらに心は澄む。
石はいくつもあるけれど、これは一番よく触る、一番身近な石になっている。愛おしい。

「忘れないで、ボクのことも書いておいてね」と言われたような気がして、これを書いた。
「ああ、忘れておった。すまんな。一番ちかしいトモダチだものな。いや、世捨て老人には唯一のトモダチかもしれんな。グスッ」(なにおセンチになってるんだよw)

「大穴」タンブル、他所ではあんまり見たことがないけど、いいですよ。


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