貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

石って何じゃい

2021-09-26 21:03:09 | 漫筆

石好き、と自称する。その石とは何ぞや。

「鉱物」じゃね? しかし鉱物というのは純粋体のこと。複数鉱物の集合体は鉱物ではなく岩石。それに鉱物好きというのはちょっと堅い。白衣を着ていそう。
じゃあ「岩石」。うーん、岩石だと大きくてごつい感じがある。重機がいるね。
なら単に「石」。それだと砂利とか建築用材も含まれるぜ。それに、もともと日本には「観賞石」の伝統があって、床の間にどーんと置いたものを愛でる。それが正統日本の「石好き」だろ。
「貴石」は? いやそれ宝石の別名。
「ミネラル」とか。それ、鉱物あるいは無機物という意味の英語だけど、どうしても栄養素のほうに行ってしまうなあ。ミネラル好きだと、サプリの錠剤をいつも飲んでいる感じ。
「天然石」。まあそれが順当かな。でも、人工石を排除しているわけじゃない。
「パワーストーン」。ううむ。パワーって何だよ。どうやって決めるのさ。(ところでパワーがない石ってあるんですかね。河原の石?)

驚くべきことに、「一定の美しさと希少性を持つ観賞用の鉱物岩石類」を表す言葉はないのですね。
そういうものを扱う業界を、「天然石業界」とか「天然石・パワーストーン業界」とか言っているけど、何となくおさまりが悪い。
言葉というのは、あるところでは変に細かくこだわってみたり、あるところではごそっと抜け落ちていたり、変なものです。
何か新しい言葉を作ればいいのに。美稀石とか、じゃ変か。(誰が作るんだよ)

ちなみに、「鉱物」の定義も微妙に曖昧で、「結晶」が必要条件だとするとオパールは除外されてしまう。「固体」が必要条件だとすると水銀が排除されてしまう(固体って、温度に左右されるものだし)。一義的に定義できない概念を基礎に据えているなんて、ちょっと科学としてはみっともないと言えないこともない。
それに、「花崗岩は鉱物の集合体だけど鉱物ではない」なんて、ちょっと変じゃね? え? 花崗岩って鉱物じゃないの?

これは花崗岩にアズライト(と言われている)が混入した「K2ストーン」。カラコルム山脈にある世界第二の高峰K2のふもとで採れるからこう呼ぶ。K2というのは恐ろしい山で、登山者がたくさん死んでいる。
石英の代わりにアズライトが入ったみたいな感じ。白と青の取り合わせがきれい。ただこれだと墓石にはならないような感じ。(なんで墓石にする)
で、これは岩石です、鉱物ではありません。んなわけない。あちきは日本人だけど、日本人が三人集まるとそれは日本人ではない、そんなことあるかい?(変な難癖のつけ方はやめなさい)

集めたものをつらつら眺めてみると、まあこれは石ですね。石っころ。
けど、これは石じゃないですねえ。石っころではない、何か不思議なもの。
石でありつつ、石でない。そこに石好きが石を好きになる何かがある。
それは結局、言葉にならないものかもしれません。(それにしちゃよくしゃべるな)
「造化の妙」という言葉があるけど、しいて言えばそれかな。


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