貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

茅舎石:ミニ水石

2024-02-28 19:13:32 | 国産鉱物

水曜日だから水石を。(あらまだやっとるのかい)

「茅舎石」。まあ「ぼうしゃせき」と読んでしまうけど、これ「くずやいし」なんだそうで。水石の一ジャンル。
「くずや」は葛屋・葛家で、草葺[くさぶき]つまり藁や茅[かや]の屋根の家屋を指す古い言葉。瓦葺きでないから庶民や農民の質素な家のこと。藁屋[わらや]、茅屋[ぼうおく]、草屋[くさや]。しかしなんで藁や茅が葛になるのかはよくわからない。葛すら生えてるぜという誇張表現かな。「葛屋」と素直に書かずに「茅舎」にしたのは一種のスノビズムか。日本文化はけっこうこういう小細工がうざい。(こら)
要するに、草葺の田舎家のような形をした石、つうことですな。自然の石に想像上の情景を紡いで楽しむのが水石の常道の一つで、田舎家を思わせる姿はそれなりの風情がある。盆栽の傍らに置いてもマッチする。そんな具合で人気があるらしい。
素人のあちきなんぞも、そんな姿を見ると何となく懐かしいような長閑なような気持ちになるもので、ちょっと持ってみたいなとは思っていた。そしたらヤフオク信濃美術石博物館さんで、「岩上茅舎石」というわりとお安いものが出た。



安倍川石。ミニ水石で左右6センチ弱。草屋は小さくて屋根の棟もない。
でもそれなりに何となく鄙びた家を思わせ、岩上平面の造作と併せて、楽しい雰囲気を醸し出している。かわいい。
硬質な岩石層の上に脆い石の層が形成され、その上に礫主体の石が積み重なる。で、脆い石と礫の周りが崩壊して、こういう「屋根」の形ができる、というような感じでしょうかね。
信濃さんの説明では上の部分は「ウブ」つまり未加工だそうで。
茅舎石の多くは、多少加工がしてある。中にはもろ「削りました」というのもある。それはそれで、盆栽に添えたりして楽しめるからいいのでしょう。
これも全然手が加わっていないかというとちょっと疑問ですけど、けっこう自然の造作のような感じがして、いいように思います。
まあ何より、小さいのがいい。机の上に文鎮代わりに置いて楽しむことができる。葛屋ではないけど貧家住みのあちきにはぴったり。
今は広い家に住んでる人は少ないだろうから、30センチを超えるような石を置くのはなかなか難しい。こういうミニ水石というのはいいのではないでしょうか。箱庭という伝統もあることだし。


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