貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

キャシテライト(錫石)

2024-03-01 11:57:17 | 単品

亜鉛、鉛と来たので目先を変えて錫なんぞを。



Cassiterite、錫石。SnO2。
産地は……ちょっと問題があるので省略。外国。

真っ黒で、かっきりしていて、ピカピカ輝く。いいですねえ、こういう金属の石。
そして重い。ずっしりと来る。石はこれでなくっちゃねえ。

ちなみに重い石は、
  プラチナ 21.5
  金 15.2~19.3
  水銀 13.5
  銀 8.9
  銅 8.9
  シナバー(水銀) 8.1
  ガレナ(鉛) 7.6
  キャシテライト(錫) 7.0
  パイロモルファイト(鉛) 7.0
  バナディナイト(バナジウム) 6.8~7.1 
  ウルフェナイト(モリブデン) 6.5~7
  セルサイト(鉛) 6.6

バナディナイト、ウルフェナイトが意外に重いんですね。小さいのしか持ってないからわからない。

英名の Cassiterite はローマ時代、欧州西沖にあるとされた「Cassiterides」という島々に由来。しかしこの島がどこにあるのかは、たくさんの人が研究したがまったく不明。ん? アトランティスか?
カタカナ読みにすると十字模様のアンダルサイト「キア(キャ)ストライト」とごっちゃになりそうで困る。「錫石」は単純でいい。

キャシテライトは花崗岩から派生した熱水鉱脈やペグマタイトにできる「水成鉱物」。ええ? こんなん水からできるの? 嘘みたい。
さらに、耐摩耗性があり重いため崩壊した岩石から砂として出て、それが水によって集められて圧縮されると大きな錫鉱床となる。ここでも水が主役なんですな。

錫とは何ぞや。低温で溶けて柔軟性もあるので加工しやすい。銅との合金が「青銅」、鉛との合金が「はんだ」。人類はずいぶんお世話になってる。そのまま食器になんかもできる。どこかの国の特産土産に錫食器があったな。(どこだか調べなさいな) ああ、マレーシアらしい。
日本でも食器はたくさん作られていて、毒性を心配する人がいるみたいだけど、高濃度溶解液や有機化合物は毒性があるけど普通にはまったく問題ない。缶詰内部に使われているくらいだし。まあ今はいろんな新しい金属加工物ができているので、お目に掛かることは少ないかな。
錫は金へんに易い。加工しやすいからか。人類は何千年も青銅器を作ってきたから銅と錫の区別はちゃんとしていたでしょう。日本語の「すず」は「鈴」と同音だけど、どういう経緯でそうなったのかはちょっと調べが付いていない。
英語では「tin」で、「tin soldier」は「おもちゃの兵隊」。「鉛の兵隊」と訳されることもあるけどそれは間違い。これを並べて戦争ごっこをするのが昔のアメリカ人の趣味だったらしい。「刑事コロンボ」にもあったね。(古い。しかも余計な話)

錫鉱物というのはちょこちょこあるけど、錫を採るのはほとんどこの錫石。後はだいたい硫化鉱物。こちら参照。
ケイ酸塩としてマレーヤアイト(Malayaite、マラヤ石、CaSnSiO5)があるけど、蛍光するくらいであまりぱっとしないらしい。
まあ錫はキャシテライト。すっきりしてよろしい。(手抜きできてよかったねw)


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