世界的なチンパンジー研究者J.グドール博士は、
名著『罪なき殺し屋たち』のなかで、ダチョウの卵に
繰り返し石をぶつけて割り、その中身を食べる「道具を
つかう鳥」を紹介している。博士をして「アフリカには
まだ知られていないことが数多くある」と驚愕せしめた
この鳥は、エジプトハゲワシであった。
エジプトハゲワシは一属一種をなす小型のハゲワシ類で、
インドからアフリカ、ヨーロッパから中央アジアにかけて
広く分布する。主食は野生生物や家畜の死骸。他のハゲワシ類が
敬遠するような残骸や、腐った生ゴミも食べ、弱った小動物や魚、
昆虫類を襲うこともある。多くはこうした食物の豊富な、
昔ながらの人家や古い都市の周辺に、群で生息する。
適応力が高く、長命で、人とも共生してきたエジプトハゲワシは、
最近まで絶滅とは縁のない鳥とされてきた。
ところが2007年、突然、絶滅危惧種のリストにその名を連ねることになった。
最大の生息地インド亜大陸での絶滅が明らかになったのである。
減少の原因は、家畜用の薬剤ジクフェナクによる腎臓疾患だった。
この薬剤を服用した家畜の死骸を食べたことで、多くの個体が死亡。
同様の犠牲は他のハゲワシ類にも広がり、インドではこの十年で、
ハゲワシの個体数が95%も減少した。このことは、放置された家畜の死骸や、
それを食う野犬の増加を招き、疫病の流行も懸念されているという。
インド政府はジクフェナクの使用を禁止したが、激減したハゲワシ類の
未来は、楽観を許さない。薬物の化学物質による害が、ハゲワシ類のみを
脅かすものではないことも、忘れるべきではないだろう
分類:タカ目タカ科エジプトハゲワシ属
学名:Neophron percnopterus
英名:EGYPTIAN VULTURE
分布:インド亜大陸、中央~西アジア、ヨーロッパ、北アフリカおよび
サハラ以南のアフリカ
名著『罪なき殺し屋たち』のなかで、ダチョウの卵に
繰り返し石をぶつけて割り、その中身を食べる「道具を
つかう鳥」を紹介している。博士をして「アフリカには
まだ知られていないことが数多くある」と驚愕せしめた
この鳥は、エジプトハゲワシであった。
エジプトハゲワシは一属一種をなす小型のハゲワシ類で、
インドからアフリカ、ヨーロッパから中央アジアにかけて
広く分布する。主食は野生生物や家畜の死骸。他のハゲワシ類が
敬遠するような残骸や、腐った生ゴミも食べ、弱った小動物や魚、
昆虫類を襲うこともある。多くはこうした食物の豊富な、
昔ながらの人家や古い都市の周辺に、群で生息する。
適応力が高く、長命で、人とも共生してきたエジプトハゲワシは、
最近まで絶滅とは縁のない鳥とされてきた。
ところが2007年、突然、絶滅危惧種のリストにその名を連ねることになった。
最大の生息地インド亜大陸での絶滅が明らかになったのである。
減少の原因は、家畜用の薬剤ジクフェナクによる腎臓疾患だった。
この薬剤を服用した家畜の死骸を食べたことで、多くの個体が死亡。
同様の犠牲は他のハゲワシ類にも広がり、インドではこの十年で、
ハゲワシの個体数が95%も減少した。このことは、放置された家畜の死骸や、
それを食う野犬の増加を招き、疫病の流行も懸念されているという。
インド政府はジクフェナクの使用を禁止したが、激減したハゲワシ類の
未来は、楽観を許さない。薬物の化学物質による害が、ハゲワシ類のみを
脅かすものではないことも、忘れるべきではないだろう
分類:タカ目タカ科エジプトハゲワシ属
学名:Neophron percnopterus
英名:EGYPTIAN VULTURE
分布:インド亜大陸、中央~西アジア、ヨーロッパ、北アフリカおよび
サハラ以南のアフリカ