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円安第2ラウンドの日本株 外国人が見切る分岐点

2013年01月31日 08時11分00秒 | 経済
 円安は「第2ラウンド」に入ったようです。「第1ラウンド」は日銀が一段の金融緩和に踏み切るとの観測や、閣僚らの円安誘導発言による円売りです。このラウンドは2%の物価上昇率目標導入を柱とする政府・日銀の共同声明発表や、円安誘導発言に対する海外からの批判の高まりを受けて終わったと考えられます。

 ところが円高・株安に振れ始めた矢先、2012年の日本の貿易赤字が過去最高(6兆9273億円)になったと発表されたことで円安・株高基調を取り戻しています。これが円安の第2ラウンドの始まりです。

 日本の貿易収支の赤字転落は11年から始まっています。このときは東日本大震災・福島原発事故という特殊事情がありましたが、12年の貿易赤字は中国や米国の景気低迷、原油価格の高騰などが主たる原因です。13年も貿易赤字は続く見通しです。

 これまで円・ドル相場がほぼ一貫して円高方向に大きく振れてきたのは、米国の「双子の赤字(財政赤字と貿易赤字)」と日本の貿易黒字、つまり日米の貿易収支不均衡(貿易戦争)がいつまでも解消できなかったことが最大の原因でした。しかし、日本も貿易赤字が一気に膨らみ始め、米国同様「双子の赤字」を抱え込むようになっているのです。

 しかも、米国では政府が借金できる上限が決められており、それを超えて国の借金(国債発行)を増やすことができません。しかし日本にはこうした上限はなく、際限なく借金を増やすことができます。その結果、日本政府が抱える借金は12年で約1000兆円と、GDP(国内総生産)の約235%に達しています。

 一方、米国政府の借金は同106.6%にとどまっています。このようにファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を考えれば、行き過ぎた円高が修正されるのは当然の流れです。

 円・ドル相場が今後どう動くかは、ヘッジファンドなど国際的な投機筋次第です。彼らにとって、大もうけのチャンスは相場が大きく動くときです。しかし為替投機を仕掛けるためには、それなりの理由づけも必要です。日本の大幅な貿易赤字転落と巨額の債務残高は、投機筋が円安投機を仕掛けるうえで有力な口実となります。

 当面は1ドル=95~100円を目指す動きとなるでしょうが、今後も貿易赤字が続くという見通しが強まれば、中長期的には110~120円、あるいはそれ以上の円安となることも考えられます。

 ちなみに、過去の円・ドル相場を振り返ると、10年4月に94.70円、09年4月に101.24円、08年8月に110.48円、07年6月に124.14円という円安局面がありました。さらにさかのぼれば、02年には135.04円、1998年8月には147.64円という記録的な円安水準で、98年には日本政府が円安・ドル高にブレーキをかけるため市場介入をしたほどでした。

 為替相場は5~6年で大きな流れが変わる習性を持つという説もあり、これらも投機筋の頭の中に入っているはずです。

 もし円相場が100円や110円、あるいはそれ以上の円安が進んだ場合、日本株にどんな影響を与えるのでしょうか。95~100円までの円安であれば、輸出関連株が人気を集めて株式相場は活況を呈する可能性があります。しかし、それを超えてさらに円安が進めば、外国人投資家が日本株を大幅に売り越す可能性が強まります。

 外国人投資家は、ドルに換算した日経平均の動きに注目しています。日経平均がこれから10%上昇しても、円相場が15%円安になればドルに換算した日経平均は5%値下がりする計算です。つまり、外国人投資家が日本株に投資すれば、為替差損が発生して損するということになるのです。

 それよりもはるかに問題が大きいのは国債です。国債は値上がりがほとんど期待できず、利回りも微々たるものです。円安が進めば進むほど、国債を保有する外国人投資家は評価損が膨らみ、金利も目減りしてダメージが大きくなります。

 日本の国債は、約1割(12年9月末で86兆円)を外国人投資家が保有しています。彼らが為替差損を恐れて売りに出せば、国債価格は暴落(金利は上昇)する可能性が強まります。

 また、外国人投資家が日本の株式や債券の売り越しに転じれば円安がさらに進み、日本の株式や債券を保有し続けられず、手放さざるを得なくなる悪循環に陥ることも予想されます。その結果、円安・株安・債券安というトリプル安に見舞われ、深刻な円安不況に陥る可能性すら出てくるのです。

 つまり日本経済にとっては行き過ぎた円高と同様、行き過ぎた円安も決して好ましくないのです。しかも、日本にとって都合のよい為替レートを維持することが非常に困難なことは、過去の歴史が物語っています。日本の投資家は、こうしたことも頭の中に入れたうえで今後の投資作戦を考えていくべきでしょう。


<筆者プロフィル> 1942年愛媛県生まれ。中央大学法学部を卒業後、株式専門誌などの編集・記者を経て、87年に経済ジャーナリスト・経済評論家として独立。証券、金融、不動産から経済一般まで幅広い分野で活躍中。的確な読みとわかりやすい解説に定評があり、著書は90冊を超えている。「もっともやさしい株式投資」「『相場に勝つ』株の格言」「相場道 小説・本間宗久」(日本経済新聞出版社)などがある。




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