FD証拠改竄 前部長ら最終的に「過失」 「故意」報告も客観的事実重視(産経新聞) - goo ニュース
大阪地検特捜部前田主任検事のFD証拠改竄事件に関連して,同検事の上司であった大坪弘道元特捜部長らが,前田検事による意図的なFDの改ざんを知りながら,これを隠蔽した疑いがあるとして最高検は,犯人隠避罪の成否を検討するため,大坪前特捜部長,佐賀前特捜副部長,大阪地検小林検事正ら関係者から複数回にわたる事情聴取を行った。
大坪前部長らに犯人隠避罪が成立するためには,大坪元部長らが,前田検事が故意にFDのデータを改竄したことを認識した上,これを隠蔽するた積極的な行為に及んだことが必要である。
佐賀前副部長は,2010年1月末,前田検事の同僚検事らから前田検事が故意にFDデータの改竄をしているとの話を聞き,当時東京に出張中の前田検事に電話でその真偽を確認した。
すると前田検事は,「誤ってデータを書き換えた可能性がある。」旨答えたという。
そこで佐賀前副部長からの報告を受けた大坪前部長は,FDがすでに返却済みであり,FDのデータ内容(嘘の証明書の作成日時は6月1日である)を記載した捜査報告書が証拠請求(証拠開示)されていることから,前田検事がFDのデータを改ざんして,証明書の作成日時を6月8日に書き換える必要はないと考え,前田検事が誤ってデータを改ざんしたという報告を信用した。
そして大坪前部長は,検事正・次席検事に「同僚検事らが騒いでいるが,問題はありません。大丈夫です。」と報告したとされる。
この問題について,報道機関や世論は,どうも検察は,あらかじめ描いた構図(ストーリー)に従って事件を作り上げようとして,強引な取調べによって筋書きに沿った供述調書を作成した上,証拠物(FD)にまで手を加えて改ざんしたのであるから,さらにこの証拠隠滅行為が行われたことを検察が組織ぐるみで隠ぺいしたのではないかという疑いを強めている。
このような世論に押されてか,メディアは,大坪前部長らが,故意による前田検事のデータ改ざんに対する認識があったことを推測させる記事を連日流している。
それらは,①同僚検事らは,佐賀前副部長らに,「前田検事が故意にFDを改ざんしているから,これを公表すべきだ。」と言って直訴していること。②佐賀前副部長が東京にいる前田検事に電話をしている際,同僚検事らがそばにいて,佐賀前副部長が「FDまで触らせてしまうとは苦労かけたな。」と話しているのを聞いていること。③2月1日の朝,佐賀前副部長と4人の同僚検事が副部長室に集合し,佐賀前副部長が隣の部長室で経緯を報告していると,大坪前部長が「なんだ,それは」と怒鳴りながら机を叩く音を4人の同僚検事が聞いていること。④その後,大坪前部長が佐賀前副部長や同僚検事を連れて,小林検事正と玉井前次席検事に報告する際,大坪前部長が「正直に話しましょう」との同僚検事の進言を拒否している検事正らに報告したことといったものである。
これらの状況証拠が掲載された新聞記事を読むと,一般の多くの人は,大坪前正は部長と佐賀前副部長は,前田検事が故意にデータを改ざんしたことを知っていたはずであると思うだろう。
しかし,大坪前部長らは,同僚検事の内部告発を受けて一度は,前田検事の故意のデータ改ざんを疑ったかもしれないが,FDデータの報告書が作成されていて,これがすでに証拠請求(証拠開示)されているとすると,前田検事が故意に改ざんしなければならない理由はないと思うのが自然である。
したがって,大坪前部長らは,この時点で,前田検事を至急東京から呼び寄せて詳細な事情を聴取すればよかったのかもしれないが,前田検事が東京に応援で出張中でもあり,故意による改ざんであって欲しくないという意識および自分の部下を信頼したいという意識が働いたのか,あえて前田検事を呼び戻して事情聴取することはなかった。
また返却されたFDを再度弁護側から借用してデータ内容の改ざん方法等を検証すべきであったのに,これをしなかったのかという指摘もあるが,前田検事が過失にせよデータの改ざんそのものは認めていたのであるから,FDの検証を行わなかったことが大坪前部長らの犯人隠避の犯意を推測させるとはいえない。
結果論であるが,FDの検証を行っていれば,前田検事が故意にデータを改ざんしていることが判明し,前田検事から詳細な事情を聞けたかもしれない。
一方で,地検内において,特捜部と公判部の対立,前田検事と同僚検事らとの確執が少なからずあったとすれば,そのような事情が逆に大坪前部長の判断(告発した同僚検事らの考え過ぎではないか)を一方向に誘導させてしまった可能性もある。
いずれにしても,大坪前部長らが,同僚検事らの告発内容を詳細に吟味せず,安易に前田検事の言い分の方を重視してしまったことが問題なのであるが,前田検事が故意の改ざんを大坪前部長らに申し立てていない限り,同僚検事らの告発を受けて講じた大坪前部長らの対応の推移だけから,犯人隠避の犯意を認めることにはやや無理があるだろう。
また,大坪前部長らが,前田検事から詳細な事情聴取をしていない以上,少なくとも同僚検事らの内部告発を受けた時点において,前田検事がFDの捜査報告書の存在を知っていたか否か,あるいは知っていて捜査報告書が証拠請求(証拠開示)されないだろうと考えていたか否かはおよそ知りえない事情であっただろう。
現在,前田検事のデータ改ざんの経緯が少しずつ明らかになりつつあるが,本年2月の内部告発があったとき,大坪前部長らが前田検事の内心をどのように考えていたのかが重要である。
最高検は,相当長時間にわたり大坪前部長らの事情聴取を行った。
そして間もなく何らかの結論が示されるはずだが,法律判断だけでは世論の理解を得ることは難しく,失われた検察の信頼を回復することは容易なことではない。
どのような捜査結果が発表されるのか,それが検察の信頼回復の試金石になるだろう。
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大阪地検特捜部前田主任検事のFD証拠改竄事件に関連して,同検事の上司であった大坪弘道元特捜部長らが,前田検事による意図的なFDの改ざんを知りながら,これを隠蔽した疑いがあるとして最高検は,犯人隠避罪の成否を検討するため,大坪前特捜部長,佐賀前特捜副部長,大阪地検小林検事正ら関係者から複数回にわたる事情聴取を行った。
大坪前部長らに犯人隠避罪が成立するためには,大坪元部長らが,前田検事が故意にFDのデータを改竄したことを認識した上,これを隠蔽するた積極的な行為に及んだことが必要である。
佐賀前副部長は,2010年1月末,前田検事の同僚検事らから前田検事が故意にFDデータの改竄をしているとの話を聞き,当時東京に出張中の前田検事に電話でその真偽を確認した。
すると前田検事は,「誤ってデータを書き換えた可能性がある。」旨答えたという。
そこで佐賀前副部長からの報告を受けた大坪前部長は,FDがすでに返却済みであり,FDのデータ内容(嘘の証明書の作成日時は6月1日である)を記載した捜査報告書が証拠請求(証拠開示)されていることから,前田検事がFDのデータを改ざんして,証明書の作成日時を6月8日に書き換える必要はないと考え,前田検事が誤ってデータを改ざんしたという報告を信用した。
そして大坪前部長は,検事正・次席検事に「同僚検事らが騒いでいるが,問題はありません。大丈夫です。」と報告したとされる。
この問題について,報道機関や世論は,どうも検察は,あらかじめ描いた構図(ストーリー)に従って事件を作り上げようとして,強引な取調べによって筋書きに沿った供述調書を作成した上,証拠物(FD)にまで手を加えて改ざんしたのであるから,さらにこの証拠隠滅行為が行われたことを検察が組織ぐるみで隠ぺいしたのではないかという疑いを強めている。
このような世論に押されてか,メディアは,大坪前部長らが,故意による前田検事のデータ改ざんに対する認識があったことを推測させる記事を連日流している。
それらは,①同僚検事らは,佐賀前副部長らに,「前田検事が故意にFDを改ざんしているから,これを公表すべきだ。」と言って直訴していること。②佐賀前副部長が東京にいる前田検事に電話をしている際,同僚検事らがそばにいて,佐賀前副部長が「FDまで触らせてしまうとは苦労かけたな。」と話しているのを聞いていること。③2月1日の朝,佐賀前副部長と4人の同僚検事が副部長室に集合し,佐賀前副部長が隣の部長室で経緯を報告していると,大坪前部長が「なんだ,それは」と怒鳴りながら机を叩く音を4人の同僚検事が聞いていること。④その後,大坪前部長が佐賀前副部長や同僚検事を連れて,小林検事正と玉井前次席検事に報告する際,大坪前部長が「正直に話しましょう」との同僚検事の進言を拒否している検事正らに報告したことといったものである。
これらの状況証拠が掲載された新聞記事を読むと,一般の多くの人は,大坪前正は部長と佐賀前副部長は,前田検事が故意にデータを改ざんしたことを知っていたはずであると思うだろう。
しかし,大坪前部長らは,同僚検事の内部告発を受けて一度は,前田検事の故意のデータ改ざんを疑ったかもしれないが,FDデータの報告書が作成されていて,これがすでに証拠請求(証拠開示)されているとすると,前田検事が故意に改ざんしなければならない理由はないと思うのが自然である。
したがって,大坪前部長らは,この時点で,前田検事を至急東京から呼び寄せて詳細な事情を聴取すればよかったのかもしれないが,前田検事が東京に応援で出張中でもあり,故意による改ざんであって欲しくないという意識および自分の部下を信頼したいという意識が働いたのか,あえて前田検事を呼び戻して事情聴取することはなかった。
また返却されたFDを再度弁護側から借用してデータ内容の改ざん方法等を検証すべきであったのに,これをしなかったのかという指摘もあるが,前田検事が過失にせよデータの改ざんそのものは認めていたのであるから,FDの検証を行わなかったことが大坪前部長らの犯人隠避の犯意を推測させるとはいえない。
結果論であるが,FDの検証を行っていれば,前田検事が故意にデータを改ざんしていることが判明し,前田検事から詳細な事情を聞けたかもしれない。
一方で,地検内において,特捜部と公判部の対立,前田検事と同僚検事らとの確執が少なからずあったとすれば,そのような事情が逆に大坪前部長の判断(告発した同僚検事らの考え過ぎではないか)を一方向に誘導させてしまった可能性もある。
いずれにしても,大坪前部長らが,同僚検事らの告発内容を詳細に吟味せず,安易に前田検事の言い分の方を重視してしまったことが問題なのであるが,前田検事が故意の改ざんを大坪前部長らに申し立てていない限り,同僚検事らの告発を受けて講じた大坪前部長らの対応の推移だけから,犯人隠避の犯意を認めることにはやや無理があるだろう。
また,大坪前部長らが,前田検事から詳細な事情聴取をしていない以上,少なくとも同僚検事らの内部告発を受けた時点において,前田検事がFDの捜査報告書の存在を知っていたか否か,あるいは知っていて捜査報告書が証拠請求(証拠開示)されないだろうと考えていたか否かはおよそ知りえない事情であっただろう。
現在,前田検事のデータ改ざんの経緯が少しずつ明らかになりつつあるが,本年2月の内部告発があったとき,大坪前部長らが前田検事の内心をどのように考えていたのかが重要である。
最高検は,相当長時間にわたり大坪前部長らの事情聴取を行った。
そして間もなく何らかの結論が示されるはずだが,法律判断だけでは世論の理解を得ることは難しく,失われた検察の信頼を回復することは容易なことではない。
どのような捜査結果が発表されるのか,それが検察の信頼回復の試金石になるだろう。
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