「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)6月2日(火曜日)弐 通算第4561号より下記引用
廣池幹堂『人生の名言 歴史の金言』(育鵬社)
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著者の廣池幹堂氏は廣池学園理事長である。
廣池学園では広く、モラロジーを教える。
「道徳科学」を重視する教育方針で、そうとくれば孔孟から荀子老子はもとより
佐藤一齋、西郷隆盛、吉田松陰、石田梅岩、新渡戸稲造とずらり並ぶのは当然だろうと予測がつく。
想定外の金言、格言も挿入されていて、たとえばその一つが若泉敬である。
若泉は若くして国際外交舞台で大活躍し、沖縄密約のときは、
佐藤首相の密使として何回もアメリカへ飛んで、ニクソン、キッシンジャーと渡り合った。
評者(宮崎)は、学生時代に何回か会って、
また毎月一回は氏のオフィスで新聞のスクラップブック作りのアルバイトをしていた。
政治の現場を離れた若泉さんは京都産業大学で教鞭をとって、
しずかな余生を送られ遺書のような大作を残して自裁したのは、つい昨日のような感じである。
若泉さんは次の金言を残している。
――危機管理とは考えられないこと、或いは考えたくないことを考えることである。
その通りである。
日本人の多く、とりわけ付和雷同の人たちが嫌がる防衛論議、日本の核武装、戦争。
これら「考えたくないこと」を、じつは真剣に近未来のシナリオとして考えなければならない。
それが指導者の役目だ。
若泉さんは次のことを書き残した。
「戦後の日本人は危機管理など考えたくないことには目をつむり耳を塞いできた。
そしてきれいごとをいって、耳に心地よいことばかりを追い求めている。
まるで愚者の楽園であり、精神的文化的に根無し草に陥ったようなものである」と。
まさにいまのニッポンは「愚者の楽園」だ。
たまたま何年も前のメルマガを読んでいたら、
ぐさっと刺さる一文を見つけた。
沖縄返還交渉において、佐藤栄作の密使として重要な役割を果たしたとされる日本の国際政治学者 若泉敬さんが残された言葉。
今も昔も変わってないな・・・というのが実感であります。。。
武漢熱で大騒ぎですが、今問われているのは日本の危機管理能力であります。