老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

死ぬまで歩く 97才の婆さん [1]

2023-01-02 11:03:32 | 老いの光影 第10章 老いの旅人たち
1922 小さな「大人」



(1)
哺乳類動物の大半は前足と後ろ足を使い歩く。
人間は「直立歩行」が出来たことで、「前足」は「手」となり自由になった。
手は石を掴み、石に棒をつけることで、金槌の機能を果たし武器にもなった。
手はさまざまな道具を作りだし、労働を行うことで「ヒト」から「人」へと成長した。

人間にとり「歩く」「歩ける」ことは、大きな自由(解放)をもたらした。
オギャーと産声をあげた赤ん坊は、首が座り、寝返りができるようになると、
頭を上げ、周囲(まわり)を見渡すようになると、赤ん坊にとり世界観は大きく変わる。

目の前にある物に興味を抱き、這い這いを始める。
這い這いは高這いに変わり、高這いから椅子の座面に両手をつき、「立ち上がり」をする。
立ち上がりから「立ち(立位保持)」、自由になった両手で手を叩きながら満面の笑顔になる。
月面に降り立ち上がったアメリカの宇宙飛行士と同じ位、
幼児の立ち上がり立位したことは、その人の人生上における偉大な行動を意味する。

立つ行動を繰り返すなかで、第一歩を踏み出し歩けた時には、両親は大喜び、歓喜の聲に包まれ、
生まれた時と同じく忘れられない記念日となる。
歩けるようになると、行きたいところに行ける。
行動は拡大され、見知らぬ世界に遭遇する。

歩ける、と次にはオムツが外れ、パンツになる。
トイレに向かって歩き、洋式便器でオシッコができるようになる。
まだ、見守りやズボン、パンツの上げ下げに若干手はかかるが、
やがて一人でできるようになり、小さな「大人」になり、
僕は赤ちゃんではない、というプライドが出てくる。









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