老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

272;人間の息づかい

2017-08-08 08:24:54 | 老いの光影
阿武隈川上流

人間の息づかい 

夏は晴れなくとも
蒸し暑く気怠さを感じる
喉が渇くと
気が滅入ってしまう
喉が渇いても
水を飲むこともわからずにいる
認知症を抱えた老人
だれも冷たい麦茶を淹れてくれる人はなく
居間にじっとしている一人暮らし老人

家族から気にされなくなると
食べることにも事欠く
食の飢えは
愛情の飢えでもあるのか
夏の空腹は
気怠さを覚え生きる気力させ失せてしまう

民家を借りた
小さなデイサービスは
愛情に飢えた老人にとり
オアシスのような居場所
乾いた喉を潤し
飢えた腹を満たす
忘れかけた言葉を取り戻し
人間の息づかいを感じる






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