東京電力ホールディングスは28日、福島第1原子力発電所3号機の使用済み燃料プールに残っていた核燃料566体の搬出を終えたと発表した。4号機に次いで2基目で、3月11日に事故から10年を迎えるのを前に廃炉作業が一歩前進した。ただ、1、2号機にはなお約1000体の核燃料が残るほか、1~3号機内の溶融燃料(デブリ)は手つかずだ。廃炉作業はこれから本格化する。
2011年3月の東日本大震災に伴う津波の影響で、福島第1原発は1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)、1、3、4号機で水素爆発を起こし、今も廃炉作業が続いている。原発内に残る核燃料やデブリなどの放射性物質のリスクを取り除くことが廃炉の重要な使命だ。大震災時に停止中で炉心溶融を起こさなかった4号機では14年12月にプールからの核燃料取り出しを終えていた。
3号機は放射線による作業員の被曝を防ぐために、遠隔での取り出し準備に時間を要して19年4月に始まった。機器トラブルなどで当初想定から4年遅れた。がれきの影響で持ち手が変形した燃料が見つかるなど、一時は20年度中の完了が危ぶまれたが、乗り切った。搬出した核燃料は敷地内に設置したより安全なプールに移した。
ただ、1号機には392体、2号機には615体の燃料がプールに残っている。取り出しの開始は従来想定から最大5年遅れる。1号機は水素爆発で生じたがれきの撤去に苦戦しており、開始は27~28年度、2号機は建屋内の放射線量が高く開始は24~26年度の予定だ。(*日経記事より)図も . . . 本文を読む