少年カメラ・クラブ

子供心を失わない大人であり続けたいと思います。

論文捏造

2009-08-27 22:17:40 | その他
新聞の書評欄を見て図書館で借りてきて読んだ本。NHKのドキュメンタリーで放送された内容をまとめたものだという。この本、めちゃめちゃおもしろかった。お勧めです。少し前の本なので、本屋で平積みにはなっていないです。

一時は海外のアカデミアに身を置いたことがあるものとして、なんかすごくわかる気がする。教授は専門知識というよりも金をいかに取ってくるかで、その地位がきまる。金のない教授は、よい学生を大学院生として迎え入れることもできない。そんな中で、データを偽造して論文を発表してしまう誘惑に駆られることがあっても、不思議ではない気もする。

でも、本を読んだ感想はそういうことよりも、「事実」というものの危うさということを改めて考えさせられた。ネイチャーやサイエンスにのった研究を人々は間違いなく事実だと思う。有名大学の教授が共著の論文は事実に違いない。それを思いこみといったらそれまでだけど、実は事実の本質は思い込みに他ならないような気もする。事実とは、人間とは関係なく存在する真実などではなく、大多数の人が信じていること(つまり思いこみ)に過ぎないのだ。

リアリティとはすべて思い込みの産物なのだ。写真に写るリアリティ、それさえもフォトグラファーの思い込みに過ぎないともいえるはず。