岩壁の母-京都府舞鶴市：舞鶴赤れんがパーク

Maizuru Brick　Park, Maizuru City, Kyoto Pref.

さてさて、ワタクシは次に舞鶴市の東舞鶴地区にある舞鶴赤れんがパークへと足を運びました。
ここには旧舞鶴海軍軍需部本部地区の赤レンガ倉庫群があるんです。
国の重要文化財および近代化産業遺産にも指定されておりまして、最近は多くの人が訪れるようになったんですよ。


赤レンガ倉庫群は明治３３年（１９００）臨時海軍建築部支部（舞鶴）の直営工事で建設に着手され、
大正１０年（１９２１）までに次々と建てられたものなんです。
日露戦争に向けて日本海側の軍備を整備しなければならないことと、
将来的な大陸への進出の拠点として舞鶴は当時の海軍の重要な軍港だったのですね。


舞鶴が軍港として発展していったのは、「富国強兵」「殖産興業」「欧米に追いつき追い越せ」…そんなスローガンの時代だったのでしょう。
そんな考え方は間違った方向に向いたときには、多くの被害を周辺諸国にもたらしたのも事実でしょう。


しかしながら、我が国の「発展」ということにおいては、これらのスローガンのもとに国民が力を合わせ国力増強に努めたことが、
日本の繁栄の礎になったことも事実だと思うのです。


「舞鶴」「軍港」となると、ワタクシには二葉百合子さんが歌った『岸壁の母』という歌の、セリフの部分が強く心に残っています。

また引揚船が帰って来たに、今度もあの子は帰らない……
この岸壁で待っているわしの姿が見えんのか……
港の名前は舞鶴なのに何故飛んで来てはくれぬのじゃ……。
帰れないなら大きな声で……
お願い……
せめて、せめて一言……


子供の時だったのでよくわからなかったのですが、今にして思うと重く、そして深い歌詞の歌だったんですねぇ。


ワタクシ、こういう明治時代や大正時代の近代建築って好きなんですよ。
「欧米列強に追いつこう」としていた日本人の一生懸命さ、誠実さが伝わってくる気がするんですよ。


確かにこの建物は、日露戦争に向けての軍備として建設されたものです。
反戦平和を謳い、日清・日露戦争が日本の軍国化を進めていったのだと主張する方から見れば、この建物は負の遺産かもしれません。


ワタクシもティーンエィジャーの女の子ではないですから「きゃー、レンガ倉庫が可愛い～」などと喜ぶ気はありませんが
このような歴史遺産も「明治期から大正期にかけての洋風建築」として、素直に評価したいなぁとは思うんですよ。

使用したカメラ：1、8枚目はFUJIFILM X-T30、他はFUJIFILM X-Pro2


日清戦争、日露戦争、第1次世界大戦、第2次世界大戦…これらの戦争に関して、私は歴史の授業で学びました。
戦争というものは過去のものであり、人類はもう同じ過ちを繰り返すことはないと勝手に思い込んでいました。
しかし、今は戦争がすぐそこにあるものだと実感しています。いつ起こってもおかしくないのだと恐怖を感じます。


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